王様とメイド

立花すずな

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24 お仕置き

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 朝。今日はお客さんが二人もいる。

 一人は綺麗なお嬢さん。もう一人はクソ野郎…。



 「おはようございます。お身体は大丈夫ですか?」オリヴィアは彼女がいる部屋に入って言った。

 「はい、大丈夫です…。あの、昨日はどうもありがとうございました…」

 「いえいえ!全然、というか私は何もしてませんよ。お礼はアンドレア様とルシア様に言ってください」とニコリと笑う。

 二人はダイニングに向かう。

 すでに二人はいた。

 「あ、おはようございます。よく眠れましたか?」

 「どうだ、調子は」

 「はい、大丈夫です。お二人、昨日は本当にありがとうございました」

 「いえいえ、そんな。顔を上げてください」

 「礼はいらないさ」

 「さて、と…」アンドレアは立ち上がると、

 「今日の昼の1時だ。分かったな」と言った。




 ファリーは地下室に閉じ込めてある。



 そして午後1時。

 4人は地下牢へ歩く。

 地下牢は冬は凍えそうなほどに寒く、夏は叫びたくなるほどに熱い。今はその中間の春だが、だからといって丁度いい気温とは言えない。

 「おい、どうだ調子は?」

 「…」

 「答えろよ」

 「良いです…」

 「ふっ。そうか。昨日は大変だったな」

 「僕は、死ぬんですか…?」

 「当たり前だろ。バカかよ」吐き捨てるようにアンドレアは言う。

 「さ、行きましょう」ルシアは地下牢のカギを開け、ファリーの腕を掴み、外へ連れていく。

 彼女はオリヴィアの腕をがっしりと掴んでいる。



 「さぁ、準備は良いか?」

 アンドレアはなぜか日本刀を手に取った。

 「何故日本刀?」とオリヴィアは聞く。

 「切れ味が良いからだ。昔本で見てな、日本の刀はいい、と言う事を知った。それでライヤに買ってきてもらったんだ、はるばる日本まで行ってもらった甲斐があった、ここで使えるとは。日本では、斬首刑と言うらしい。これでチョッキンだ」

 アンドレアがチョッキンと言うと、チョッキンの後に、地獄に落ちろぉ…!と言っているように感じてしまう。

 
 「さぁ、最後に言いたいことは?」アンドレアは言いながら刀を振り下ろす準備をしていた。

 「メアリー。僕は君が好きだった。大切にすれば、君を怖がらせずに済んだのに。ごめん…」

 そう言って目を閉じた。と同時にオリヴィアも腕でメアリ―の目を覆う。

 それをしっかり見た後、アンドレアは刀を振り下ろした…。

 その時のアンドレアの顔と言ったら…。

 「最後は懺悔か。いい時間だった。楽しかったよ…」

 


 こうして幕は閉じた。
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