涙女村

立花すずな

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 最近、紫都の様子がおかしい。

 村の端から端まで歩いて、「ここなら、行けるかも」とか「ここ、どこに繋がってるかなぁ」などと、言っている。

 何をしたいのかはわからないが、きっと何か企んでいるのだろう。

                                   その前に、どうにかしなければ。

〇〇〇


 「紫都?今いいかな」
 「はい!」

 紫都を自分の家に連れて行く。

 「どうしたんですか?」
 「さあ、座って」
 椅子に座らせる。

 「最近、紫都、村をよく歩きまわっているけど、どうしたの?」

 「えーと…」
 何か考えているようだった。 

 「私も、何かしたくて」

 「え?」

 「みんな、森に行くけど、私は行けないでしょ?だから、村に生えてる草とかないか探していたの」

 「そうだったのか…」

 「私、悪いことした?」

 「ううん、ちがうんだ。なんだか嬉しくてね」

 「どうして?」

 「紫都が、わたしたちのために、頑張ってくれてたなんて」
 「ふふ、ありがとう」

 野草を探してくるわと言って、走り出す。



                                    ああ、君だけは消えないで。
                                    僕たちが、君を殺してしまう前に。
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