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第一章 異世界からの来訪者編

第8話 私は「シャンテ=ゼーベック」ですよ。

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 ――――私はシャンテ=ゼーベック。
 ごく普通の農家に生まれ、ごく普通の両親に育てられた。家族は両親と弟のミルコの四人家族。そんな私に魔法の才能なんてあるわけない。そう思っていた。
 ところが10歳の適性検査の時、召喚士としての魔力量が認められたことには驚いた。誰もが憧れる召喚士だ。まだ幼い私が舞い上がらないはずはない。
 両親に報告する為、戸惑いと嬉しさの混じる顔で家までの道を帰っていたが、思い返せばこの時に気付くべきだったのかもしれない。
 いつも通りの見慣れた帰り道。草原を横切った先にある森を抜け、ちょっと古びた家の横を通り抜け、更にまっすぐ行った湖のほとりに私の住む村がある。
 いつも通りの帰り道のはずだった。そのはずなのに、私は気付いてしまった。村の変化に。

※ ※ ※ ※

 その日の朝はいつもと同じように始まった。
 いつも通りの食卓にパンとジャムがあり、飲み物は私とお母さんがレモンティー、ミルコがミルクティー、お父さんがコーヒーだ。
 私はコーヒーがあまり好きじゃない。前に大好きなお父さんの真似をしようとして飲んだけど、苦すぎて全部飲めなかった。さすがに今は飲めるけど、当時の私にはちょっと厳しかった。
 既に王都からの手紙で、今日が適性検査の日というのは分かっていた。指定された時間に指定された場所に行き、適性検査を受けて結果をもらい、魔力量が認められれば、翌年には召喚士育成学校「サモール」の生徒として入学する事が決定する。
 貴族や騎士の子女はこの学校に入るため、いろいろと訓練する人もいるらしいけど、私は全く訓練もしてないから合格するはずもない。そう思っていた。

「わぁ! ここが王都かぁ!」

 初めて訪れる王都。その大きさに私は驚き浮かれていた。
 自分の家から馬車で4時間とかなり遠いところに王都はあり、普通の農家の子供ならこういう時以外は来ることもないと思う。
 私の村ではほとんどが木造住宅の平屋だけど、この王都では殆ど全てが石造りの家で、二階建て以上の民家が立ち並ぶ。
 大通りの左右には様々な商店が建ち並び、人々が買い物をしたり交渉をしたりしているのが見える。
 道行く女性は皆キレイで、身に着けている服も装飾品も私なんかでは到底手が出ない代物なのが見てわかる。
 羨ましい気持ちが無いわけではないけど、私は今の生活で満足している。
 それに、召喚士になったらお金が必要になるって言うし、そう考えると召喚士に選ばれない方が良い気がする。
 でもせっかく王都に来たんだから家には何かお土産を買って行きたいな。何が良いだろう? ん? 何かいい香りがする。あの露店からかな?
 近づくにつれていい香りが強くなってくるのが分かる

「――いらっしゃい。うちは香炉と香草を扱ってる店だよ」

 そう言って私に声を掛けてきたのは多分店主かな。ちょっと目が細くて怖い印象のある人だ。

「こうろ? こうそう?」

 聞いたことがない。こうろってなんだろ? この良い香りの元かな?

「ん? お嬢ちゃん知らないのかい? 香炉って言うのは、簡単に言うと香りのついた煙を出す置物だ。その煙の元が香草だよ。これを嗅いでごらん!」

 首を傾げていると、おじさんが私の目の前に小さな壺のようなものを一つ差し出してきた。壺にの蓋には穴が空いており、そこからは細い煙が出ているのが分かる。

「良い匂い」

 そしてその煙こそ私がこの露店に来た原因だ。
 甘くて爽やかな匂いのする不思議な煙は、私の鼻腔を刺激して優しい気分へと変化させる魔法のような煙だ。

「そうだろう? うちで扱ってる香草の中では一番高いものだからな。貴族や騎士の娘さんたちからも人気が高いんだ。お嬢ちゃんも気に入ったかい?」

「うん! 凄く良い匂い」

 この香りを嗅ぐだけで幸せな気分になれる。ミルコにお土産でこれを買って行ったら喜ぶかな?

「でもちょっと値が張るよ。お嬢ちゃん買えるのかい?」

「えっと――いくらですか?」

「香炉と合わせて四万ルークだよ」

「四万!」

 貴族や騎士の娘たちが買うってことは、単純に考えたら私では手が届かない値段のはずだ。そんなことは分かってる。分かっていた。

「――そうですよね」

 だからこそ手に入らないと改めて分かった時の落胆は人一倍なのかもしれない。肩を落として俯き、もうこれは諦めようと決めた時、

「――お嬢ちゃんはこの王都に来たのは初めてかな?」

「――はい。召喚士の検査に来ました」

 そうでなければ私のような田舎者が王都に来ることはない。
 多分この人も私のそんなところを見抜いたんだよね。舞い上がった田舎者なんか相手にするわけないもんね。

「そうか――それなら検査を受けた後、もう一度うちに来ると良い」

「え?」

 検査を受けた後にもう一度? どうして? そんな疑問を抱いた私だったけど

「それで検査結果を私に教えてもらえるかな?」

「はぁ」

 続くおじさんの言葉にただただ間抜けな返事をするしかできなかった。

「さぁ、そうと決まれば検査を早く終わらせた方が良い! 検査場所はこの道をまっすぐ行った先にある広場だよ!」

 品物を買っていない時点で私は客じゃないはずなのに、どうしてこのおじさんはこんなに親切にしてくれるんだろう? それに検査結果を教えて欲しいって――どんな意図があるんだろう?
 でも広場までの道を教えてくれたおじさんの顔は、宝物を発見したような笑顔だった。それも気になる。
 おじさんに促されたこともあるし、今はとりあえず検査を先に終わらせた方が良いような気がしてならない。
 そう思って検査が行われる広場まで道を急ぐ。

※ ※ ※ ※

「では次シャンテ=ゼーベック! 検査を受けろ!」

「ひゃい!」

 広場で私の名前を呼んだのは赤い髪の女性。年齢は多分20歳前だと思う。今回の検査の監督官で現役の召喚士。名前は検査が始まる前に「エリーヌ=クルーグハルト」と名乗っていた。
 皆が憧れる召喚士の資格を持っていて、しかも美人で格好いい。その女性の前では、10歳の少女に過ぎない私が緊張しないはずもない。
 声が上ずってしまったのは多分そんな緊張からだ。
 検査自体は簡単だ。エリーヌ監督官の前にある魔法円の中に入り、魔力を集中するだけらしい。
 でも、私は今まで魔力を集中するという感覚がないため、具体的に何をしたらいいのか分からない。

「――あの」

 だからちょっとした質問をするぐらいいいですよね?

「何だ?」

 凛とした声と姿勢でエリーヌ監督官が私を睨みつける。
 あぁ、やっぱりやめておこうかな――どうせ私に召喚士の資質なんてあるわけないんだし。でも、せっかくだから聞くだけ聞いても良いよね。

「私、魔力を集中する感覚が分からないんですけど――教えてもらっても良いですか?」

 まだ上ずった声でそう質問した時、周りから笑い声が聞こえる。当然だけど嘲笑がそのほとんどだ。そう言えばさっき上ずった返事をした時にも聞こえた気がする。

「早く終わらせろよ田舎もん! どうせあんたに召喚士は無理だよ!」

 容赦ない中傷の声が聞こえる。どうやら声はエリーヌ監督官の後ろで待機していた少女の口から放たれたようだ。
 多分貴族の娘さんかな? 確かに私に召喚士になる資格なんてあるはずない。でもそんな言い方しなくても良いじゃない。

「今発言したのは貴様か?」

 エリーヌ監督官が、シャンテに言葉を投げた少女に詰め寄って硬い声を掛ける。

「え? は、はい」

「ふむ。では貴様は先ほど召喚士の資質を認められたが、一般の学校を卒業してからサモールに入学したまえ」

「は?」

 その少女が、エリーヌ監督官の言葉が理解できないといった声を上げる。

「貴様の品位を疑っているからだ。まずは他人を見た目で判断しないだけの品位を身に着けろ。出なければサモールには入学させん!」

 監督官の容赦ない言葉を浴びせられ、その少女の目に涙が溢れる。
 いや、監督官――別に私は何とも思ってないですよ。それに召喚士になれないって事は明白ですし、気にしなくても良いですよ。
 声を掛けられた女の子泣きそうじゃないですか。

「そんな――そんなこと――」

「今の監督官は私だ。私の思い描く召喚士像と合致しない者は、如何に実力があろうと入学は許可しない!」

 まぁ確かに品位云々はあると思いますけど、やっぱり実力ある人は召喚士になるべきなんじゃないですか?

「では、魔力の集中の仕方を教える。そんなに時間も無いからな簡単にしか教えられないが――」

 あ、それでもいいですよ。どうせ私に召喚士の資質なんてないですから。

「一言で言うならばイメージだ。君が『魔力』と聞いて思い描いた物を、その魔法円に叩きつけたり、押し付けたり広げたりするイメージだ。例えば思い描いたのが『炎』ならば、魔法円を焼いたり溶かすイメージをすれば良い」

 イメージかぁ。『魔力』のイメージって何だろう? でも召喚士のイメージはあるかなぁ。もちろん漠然としたものだけど。
 んでこれを魔法円から出てくるようなイメージ――っと。あ! 良い感じ。

「これは! ストップ! シャンテ=ゼーベック! 中断しろ!」

「え? あ、はい!」

 監督官の焦りにも似た声でイメージを中断する。
 何かあったのかな? それとも私の無能さに呆れたのかな? ほら、周りの皆もそんな表情――って、あれ?

「――――シャンテ=ゼーベック、貴様は召喚士の娘か?」

 え? どういうこと? そんなわけないじゃないですか。なんでそんなに驚いた目をしてるんですか?

「え? 普通の農家の娘ですけど」

「では、今まで魔力を感じたりしたことは無いのか?」

「無い――と思いますけど」

 うん。そりゃそうだ。魔力を感じたらさっきみたいな質問しないですしね。

「そうか――」

「あの、何かあったんですか?」

 出来れば早く不合格の言葉を聞きたいんですが――。そうすれば早めに家に帰れるし。

「気付いていないようだから教えよう。まず貴様の周りをよく見てみるが良い」

 え? 私の周り? ってさっきも見ましたよ。
 呆れたような表情――とはちょっと違う、どちらかというと驚いたような感じだけど、皆の視線が私に集まっているのは分かる。
 あまり大勢の人に見られることに慣れてないから、出来るならあまり見ないで欲しいんだけどな。
 それで足元の魔法円を見ても、先ほどと何も変わった様子がない。いや、さっき私が見た時よりも、石畳が剥がれている場所がある。

「この魔法円は測定用だ。余程の事が無い限り、ここに干渉することはありえない。だが、貴様が魔力を集中した瞬間、膨大な魔力がこの広場を包み込み、巨大な影が現出したのだ。あれは間違いなく召喚術、それも最上級召喚術に匹敵するものだ」

「えっと、それって――」

 最上級召喚術? ってもしかして異世界より『神獣』と呼ばれるものを召喚し、意のままに操ると言われている。
 その召喚術を私が? そんなバカな事あるわけがない。

「シャンテ=ゼーベックは来年度のサモールSクラスに入学することを命ずる!」

「え? ええええぇぇぇ! 私が? 召喚士学校に? しかもSクラス?」

 頭の中が真っ白になる。どうして私が? 今まで魔法とは縁も所縁もないのに、どうしていきなり?

「ふむ。少し混乱しているようだが、貴様には才能があるのだろう」

「で、でもそんな召喚士って――」

 お父さんとお母さんに何て言えば良いんだろう? 私召喚士になりますって言えばいいのかな? でもそんなこと認めてくれるかな? それに

「私の家はそんなに裕福な生活をしているわけではないんです。召喚士には召喚ポイントが必要ですよね? 召喚ポイントを購入するお金、私にはないです」

 そもそも召喚士に必要となる召喚ポイント。それを購入するお金は私の家にはない。仮に召喚士になったとしても、ただの役立たずが生まれるだけだ。

「それは後程考えよう。今問題なのは――」

 いやいや、私にはこれの方が重要なことです。それよりも重要なことなんてありませんよ。

「今はこれからの検査をどうしようかという事だ。貴様が魔法円に規格外の魔力を注入してしまったため、測定が不可能になってしまった。まぁまだ今の貴様では召喚士にはなれないがな。先ほどの魔力量には驚かされたが、その使い方が分かっていないようだ。仮に召喚士にならないとしても、魔力制御は身に着けておかないと、今後苦労することになる。それからのことは入学してから考えれば良い」

 あ、そう言えば私の規格外の魔力で、魔法円を石畳ごと剥がしたっけ。
 自分ではそんな自覚ないけど、私って才能あるのかな?
 そんなことを私が考えていると、監督官が立ち上がって後ろを見回し

「あと何人いる?」

 そう言って後ろに控えている少年少女を見渡し、人数を数えると

「七人か。それなら魔術師ギルドの方で測定をしても問題ない人数だな。よし、検査がまだの者はこれから移動する。ついて来い!」

 そう言うと監督官は残りの子供たちを連れて行ってしまった。
 残された私はどうしたら良いんだろう? と考えていると監督官が慌てて戻って来た。

「忘れてた。明日には貴様宛にサモールの入学に関する書類を送る。それを読んだら、指定された日に指定された場所に来い。では」

 私の話も聞かずにまた行ってしまった。
 結局私はサモールに入学することになるのかな? まぁその辺はお父さんとお母さんに相談して決めれば良いか。
 あとはあの香炉屋さんのところに行かないとね。

※ ※ ※ ※

「おじさ~ん! 検査終わったよ~!」

 手を振りながら香炉と香草を売っていた店まで走る。店には既に何人かのお客さんがいるのが見える。そのほとんどが高級そうな服を着ているから、たぶん貴族の娘さんなんだろうなぁ。
 私に向けられる視線がちょっと痛い気がするけど、それはきっと気のせいだよね。

「お! 終わったのかい? ちょっと待っててくれるかな? 九万ルークだけどお嬢ちゃんたち美人だから八万五千にまけとくよ! 毎度あり!」

 え? なにその代金。あの娘たちが買ったの? 私のお小遣い何年分だろう。やっぱり私みたいな田舎者には、王都という場所は不釣り合いなんだろうなぁ。
 買い物を済ませた娘たちが私の横を通り過ぎる時、チラリとこちらを見た気がする。多分私の事を見下してるんだろうなぁ。
 俯いている私に店主のおじさんが話しかけてくる。

「お待たせ! それでどうだった?」

「えっと、なんかよくわからないけど、Sクラス? らしいです」

 ここで嘘を言っても仕方がない。私はおじさんに検査した場所で起きたことを話した。おじさんは私の話を聞いてすごく驚いていたけど、すぐに納得した表情をして

「やっぱりか! 俺の目も捨てたもんじゃないな!」

 と言った。どういう事かと首を傾げて尋ねてみると、私がここに来た時に嗅がせてもらったものは、その人物の潜在能力を引き出す効果があるらしい。もっとも引き出す能力が魔力とは限らないらしいし、効果は人によって違うらしいけど。
 おじさん曰く、召喚士の検査に来たと聞いた時、何か感じるものがあったから私に例の香草を使用してみたらしい。

「それじゃ、未来の召喚士様にこの香草と香炉は献上するよ! その代わり、召喚士になったらうちを贔屓にしてくれよ!」

 最後にそう言うとおじさんは、私に先ほどの二つを笑顔と共にくれた。この時私は召喚士になるかどうかわかりませんよ、とは口が裂けても言えなかったんだけど。

※ ※ ※ ※

 王都での検査が終わり、思わぬところからお土産も手に入れた私の足は軽かった。農家に生まれた私が、召喚士になれるかも知れないと分かり、両親にどう説明するかという戸惑いもあった。
 実家は弟のミルコが継ぐことになるだろうし、私は顔も知らない誰かに嫁ぐはずだった。全て決められた自分の人生のはずだった。
 それが嫌だったわけじゃないけど、人生の不自由さを感じたことがないわけじゃない。だから今回の事で、もし召喚士になることが出来たらと思うと、心が弾んで態度に出てしまうのも仕方ないと思う。
 そんな淡い期待に、運命は残酷だった。
 村に着いた私を待っていたのは、大罪王の幹部による襲撃だった。田畑は焼け、家は崩れ、村人たちは一人残らず殺された。
 ある者は四肢を切断され、ある者は首を撥ねられ、ある者は生きたまま火で焼かれ、全滅していた。
 お父さんもお母さんも、まだ幼かったミルコも全員殺されていた。
 敵の一人が私に気付き、手に持っていた蛮刀を振り上げ、私に向かって走ってきた。私は必死に村の中を逃げ回った。そこから先は覚えていない。
 気付いたら王都から来た騎士たちに囲まれ、私はエリーヌ監督官の腕の中で泣いていた。
 後から聞いた話では、騎士たちが到着した時、村には私しかいなかったという事だ。敵の幹部も村人も全員死亡していたという。
 何があったのか、と騎士たちに聞かれたことはよく覚えているが、正直なところ覚えていない。その時の記憶は今でもまだ戻っていない。
 首を振って泣いている私を、エリーヌ監督官が優しく抱きしめてくれた温かさは今でも覚えている。
 孤児となった私の面倒を見てくれたのはエリーヌ監督官だった。サモールに入学するまでの一年間だけだったけど、お姉ちゃんが出来たみたいで嬉しかった。
 それから全寮制のサモールに入学したものの、成績は芳しくなく、卒業試験に落ち続けること四回。
 もう諦めたほうが良いのかなと思っていた時、エリーヌ姉さんから貰ったプレゼント。
 そのプレゼントで異世界から召喚した、私よりちょっと年上の少年「アマミヤ=タクミ」。線が細くてちょっと頼りないところもあるけど、私のパートナーなのかな?
 それに私たち二人にしか聞こえない声で話すムサフィ。私たちの事を、「パパ」「ママ」って言った時、赤くなりそうな顔を抑えるのに必死だったんだぞ。
 出来ることなら、もう一度あの二人に会いたい。タクミと一緒に旅をしたい。ムサフィと一緒に遊びたい。そしてお姉ちゃんに恩返しがしたい。
 お姉ちゃん、私もう会えないのかな?

「おらぁ!」

 え? 何?

「遅くなってすまない。助けに来たぞ!」

「タク――ミ?」

 どうして? なんでここにいるの? さっき私を攫った人が、普通の人間はこの空間に入れないって言ってたのに、どうして?

「他の誰に見えるんだよ? 助けに来たぞ。動けるか?」

「うん!」

 どうやら運命は、私の事をまだ見放していないみたいね!
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