物語は突然に

かなめ

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最初の知識

古代魔術言語と昼食

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「では昼食にしましょう」
そう言って、眼鏡さんが色々な物を乗せたワゴン(?)をコロコロ転がしてくるのを、ソワソワしながら待つ。朝ご飯はスッゴく美味しかった。お昼は何だろう♡机に横付けてワゴンの上の物を移していく様を周りでチョロチョロしながら見る私。パンにサラダに何かのスープらしき物と、何枚か切って並べられたお肉。私専用らしく、それらがまとめて乗っているお皿。朝ほどゴージャスではないけどコレも美味しそう♡ワクワクしながらお皿を見てたら、なんと、小さなテーブルと椅子まで一緒に出てきた。
「えっ!何、これ!?」
驚いてる私を横目に
「先程、必要と思う物を買いに行くと言ったでしょう?」
と、笑顔で小さなテーブルをセットしてくれる。小さいと言っても、私よりは大きい。お相撲さんサイズとでも言えばいいのか。ナイフやフォークもやや大きかったけど全然使えそう~🎵こんなの売ってるんだ…オモチャかな?
そしてやはりと言うか何て言うか、眼鏡さんは笑顔で言ったのだった。
「では頂きましょうか」







「ご馳走様でした♡」
うーん、美味しかった🎵しかも今回は眼鏡さんが買ってきてくれた諸々のおかげでベタベタにもならなかったし。
「お気に召したようで何よりです」
相変わらず笑顔の眼鏡さん。ていうか、この人、割りと常に笑顔が標準装備だよね。良い人だと思うんだけど、実は腹黒さんとかだったらどうしよう。ソッと窺い見るも、此方の視線には気付かず、食べ終わった物をワゴンへと乗せている眼鏡さん。そしてちょっと待っててくださいと言い残して、そのままワゴンと一緒に部屋の外へと出て行ってしまった。小さなテーブルセットだけは机の上だ。私が座ってるしね。
それにしても、あの古代魔術言語って、どうなってるんだろう。どう見てもバッチリ日本語だった。あ、そうだ。魔法が使えるかどうか、ちょっと試してみたいな。直ぐにでも試したくなったので、取り敢えず席を立つ。それで…と、さっきの事を念頭に置いて、何か適当な言葉を考える。イメージしやすいのは、やっぱり『火』とかなんだよね。でも本当に燃えちゃったりしたら困るし…何か適当な言葉ないかな。イメージしやすくて、意味も解るヤツ。あ、『灯り』とか良いかも。確か成り立ちは…安定した火とか何とかだった。よし決まり。あとはイメージ…イメージ…よし。

灯りライティング

目を閉じてイメージしてから、手を前にかざしてソレっぽく唱えて数秒後、ソロ~っと目を開けてみる…けど、何も無かった。
チィィィッ!
やっぱり魔法使えないのかーい!何だよ、もう!期待しちゃったってのに、もう!ダメじゃん!頭を抱えるように悶えてジタバタしてると、目端に何かキラッと光るものが入ってきた。
「?   何が光って…た………お?ん?」
がある!思わず開いた口が塞がらない状態ですよ。何!?もしかして今の魔法成功したの!?がそうなの!?
「……え~~…、成功、なの、これ?」
解らない。だって目ぇ閉じてたし、出てきた瞬間とか当然見てない訳で。魔法って、発動したらしたぞって感覚とか無いんだろうか。
……………。
よし、もう一度、別な何かで試そう。もっと解りやすい何かで。解りやすくてイメージしやすいのは、やっぱり『火』。そのままだと火事にでもなった時に困るから、もうちょい違う感じで…小さい雰囲気…『火種』でどうだろう?そうだ、この紙を千切ってっと。これの先のほうにチピッとこう…燻る程度のイメージで…今度は目を閉じないようにして、行くぞ~。

火種チャコール

…っ!
千切った紙の周りでフワリと小さな光の渦が出来たと思ったら、ジリジリと煙りを上げて燻りだした。
魔法!出来たーーー!って事は上のもやっぱり成功したヤツか。スゴい!本当に出来るとか、異世界ヤッホーだよ!
「あっ、ちっ!」
ヤバい、消さなきゃ!
さっきの火種が千切った紙をあっという間に焦がして、熱くなってきたので手を離してしまった。急いで残っていたお茶をぶっかける。机が焦げ付く事もなく、火種は直ぐに消えた。火事にならなくて良かった…。それよりも。今ので気付いたのは、魔法が発動したっていう感覚は無いって事。しかしがあった事。抜けたような感覚…と言うか、メッチャ軽い立ち眩みみたいな感じ?これはアレか、MPが減った的なヤツか?よく解らないけど。チラリと天井を見ると、まだチラチラと光るソレがいる。
「…アレはいつになったら消えるんだろう…?」
ふと。
「上のアレをさっきの千切ったヤツの先にくっつけるようなイメージで懐中電灯ってすれば良かったかも…」
なんて思ったけど、今更である。魔法が使える世界では、言葉を知るって大切なんだなぁ、なんて日本人のくせにそれこそ今更に思ったりして……。
「ま、いっか」
魔法が使えるってんなら、出来る事も色々あるよね。そう思ったのでした。
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