Xmas・nighT

鳴神月

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恋は盲目っていうじゃない?

ーXmas・nighTー

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 …話し中だった。栞の方もダメだったらしい。


「もしかして…本当に別の男と…」


「諦めちゃダメだよ!!私は諦めない!!ここで諦めたら絶対に後悔するもん!!」


ウチはもう一回掛ける事にした。寒さなんか、最悪の未来を想定してるんかは分からんけど手が震える。怖い。


「落ち着いて栞。俺ももう一度一緒に掛けるから。それなら怖くないだろ?」


作り笑いで栞をなだめる。笑える訳ない。今も笑えてないかもしれない。不安の大きさはきっと二人共一緒だ。


「…ダメだまだ話し中」


「こっちも…」


優君は優しくウチを慰めてくれる。優君も辛いはずやのに。こういう事言うのはズルいと思うけど…今日だけは許して神様…


「…お互い振られたらさ…付き合ってくれる?傷の舐め合いみたいだけど…」


「…もちろんだよ栞。こういう事言うのはアレだけど滑り止めがある状態で本命の試験に望むのと無い状態で望むのじゃ緊張のレベルが違うからね。安心してくれ」


本当に俺はズルい男だ。こんなの栞を滑り止め扱いしてる。でもそれ位しないと心が壊れてしまいそうだ。


「「!!」」

掛かってきた!!栞の方も掛かってきたらしい。急いで出る。


「もしもし優?帰りに卵買って帰ってくれない?」


「もしもし栞?帰りに食パン買ってきて。五枚切りのヤツ」


おかーん!!この大事な場面におかーん!!何がパンやねん!!買っとかんかい!!優君の方も母親からやったらしい…。しんどなんで…ほんまに…


「何か…ちょっと肩の力抜けたね」


「あはは…栞もお母さんだったんだ」


…よし。掛けよう。少し気も楽になったし。


「栞。俺掛けるよ」


「私…待ってるよ。優君の事」


……!!か、掛かってきた!!優君の方も掛かったらしい。深呼吸して…電話に出る。


「「もしもし!!」」


……ん?栞と顔を見合わせる。


「「…も、もしもし?」」


……ん?優君と顔を見合わせる。


「もやしっ子」


「ガサツ女」


…………お互いの顔を見合わせる。嫌な予感が…


「こほん…あー…栞?」


「ど、どうしたの優君?」
  

無言で電話を切った。最終確認や。


「もやしっ子。本名教えて貰っていいかな?」


「奇遇だなガサツ女。俺もお前の本名が知りたい」


…しばしの沈黙。多分俺は信じたくないんだと思う。


「…安永 優だ。普段はコンタクトじゃなくて眼鏡で学校行ってる」


「…花村 栞や。いつもは髪を括ってマスクしながら学校行ってる」
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