グリモワールな異世界転移

クー

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第一章 全ての始まり 『種族の集まる国 ガイア』

第四十二話『初めての料理』

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 現在俺達は77層にいる。仲間が増えて一段とにぎやかになった俺のパーティーだ。それはどうでもいいんだが。ちょうど今はモンスターが入ってこないセーフティーエリアっぽい部屋を見つけて夕食を食べている所だ。今日の夕食のメニューは…………


「これは、どう言う食べ物なんだ?」


 俺は目の前にある料理をゆびをさして言う。


(見た目的にはハンバーグに似てるんだけどな。)


「えっと、これはアサイと言う料理です。作り方はペクラと言う動物の肉をき肉にして形を整えて焼いたものです」

「そうか。美味しそうだな」


(確かラテン語の辞書を読んだことがあるけど、それだとアサイがハンバーグでペクラが牛と言う意味だったよな。『アイテムボックス』とかは英語だし、この世界では色々な国の言語が混ざってるようだな。それにしても、こんなところで俺の無駄な豆知識が役に立つとはな。)


「あとは、イラスと、宝箱に入っていたミノタウロスのミルクか」
 
「はい。あと、ご飯の後でデザートもありますよ」

「そうか、それは楽しみだな。なら、とりあえず、食べるか」

「はい。食べましょう」

「それじゃあ、いただきます」

「「「いただきます」」」


(う! こ、これは、うまい! 完全にハンバーグだな。これでソースがあれば完璧なんだがなー。この世界には無いのかな? ならば今度作って見るしかないな。マヨネーズとかも欲しいし。城に帰ったら絶対作ろう! それに、イラスも完全にご飯と言ってもいいものだし、ミノタウロスのミルクも牛乳とさして変わらない、本当にどれも美味しいな。)


 そんな事を思いながら食べていると、あっという間に出された料理は全てなくなった。


「ごちそうさまでした。おいしかったよ、スカーレット」

「ありがとうございます。ユウ様」

「ねぇねぇ、ボクも誉めてよ。ボクも作ったんだよ」


 俺がスカーレットだけを褒めると横からライムが少し頬を膨らませながらそんなことを言ってきた。だから、俺は、


「あぁ、ライムもありがとうな」


 と、ライムのことも誉める。すると、


「えへへー、どういたしまして。ご主人」


 と、直ぐに機嫌がよくなった。 そんな、会話をしていると、今まで完全に存在を忘れ去られていた、イプシーが、


「私の事は誉めてくれないんですかー?」


 と、会話に入ってきた。


「………お前は何か手伝ったのか?」

「うん。手伝ったよー」

「そうか。なら何を手伝ったのか言ってみろ」

「私が手伝ったこと……それはね…………作られてきたご飯を一緒に食べたんだよー!」

「そうかー、それは偉いなーイプシーは、……………って誉めるか! それは手伝ったとは言わないんだよ! 当たり前のこ事なんだよ!」

「もう! ユウのケチ! 誉めてよー」

「さっきのお前のセリフの中の何処に誉める要素があるのか逆に聞きたいね!」

「そんなの、あるに決まってるよー。私はお腹が減っ………いや皆きっと全部食べきれないと思ったから手伝ってあげたの! 偉いでしょー」


 そう言ってイプシーは無い胸を自慢気じまんげに張った。


(ダメだ。こいつにはもう何を言っても通じない。)


 結局は、諦めて適当にイプシーの事を誉めてしまうユウだった。


 …………よし! 気を取り直して最後はデザートだ!


(どんなものだろうかな? 楽しみだな。)


「ユウ様。コレが今回のデザートです。ちょっと、失敗してしまったんですけど、多分大丈夫だと思います」


 目の前に出てきたのは、プリンだった。


(プリンだよな。これ。でも色が白い。多分これはただのプリンじゃなくて牛乳を使った牛乳プリンなんだろう。)


「これも、美味しそうだな」

「ありがとうございます。美味しく作れているかはわかりませんが食べて見てください」

「あぁ、分かったよ。それじゃあ、さっそく一口」


 そう言って俺はプリンをスプーンですくい、口に運ぶ。


(これは、美味しいな。やっぱり予想通り牛乳プリンだったな。牛乳の味が濃くてとても美味しいな)


「美味しいぞ。スカーレット、ライム」

「そ、そうですか、よかったです」

「ボクも喜んで貰えてよかったよ」


 こうして俺の楽しい食事の時間はあっという間に過ぎていった。

 

────────────────────────


 現在俺達は79層まで来ている。ここまで、来ても特別モンスターが強い訳でも無ければ経験値が大量に手に入る訳でも無い。つまり、あまり面白くない。これは、スカーレットやライム、イプシーも同じようだった。


「暇だなーーー」

「そうですね。ユウ様」

「何か面白い事無いのー?」

「ご主人ー。ボクもそろそろ暇で死んじゃいそうだよ」

「まぁ、しょうがないな。こればっかりは。あと、もう少しでボス部屋に着くからそれまでの我慢だ」

「「「えーーー」」」


 三人から同時に声が上がった。


「仲良いな、お前ら」

「「私と (ボクと)ライム (スカーレット姉)は仲良いけど、イプシーは違うよ!!」

「ちょっとー。それひどくないー」

「ははは…………」


 自分で話題を提供しときながら笑いながら温かく見守る事しか出来ないユウだった。


────────────────────────



───80層・ボス部屋前───

「ふぅーー、やっと着いたな」

「はい。なんかいつもより長く感じましたね」

「ボクはもう疲れたよー。ご主人ー」

「あぁ、俺も少し疲れたよ。ここはモンスターも来ないし少し休憩してからボスと戦おう」

「はーい」

「分かりました。ユウ様」

「あれ? 私には何も言ってくれないの? ねぇ、ねぇてばぁー」


 何か横から声が聞こえるがそんな声は無視して俺は浅い眠りについた。





       ───数時間後───



「よし! 少し寝て疲れもやわらいだ事だし、ボスと戦うか。そして、倒したら、ゆっくり休むぞ」

「はい。ユウ様」

「分かったよ。ご主人」 

「私も頑張るよー」


 全員の言葉を聞いてから俺はボス部屋の扉を開けた。
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