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第10話 優しい夫
しおりを挟む立花和樹から半場強制的に抱かれた私は、その日の十一時に自宅に戻った。
夫は寝ていると思っていたが、リビングで本を読んでいた。私の足音に気付いた夫は、
「友梨佳、お帰り。遅かったね」
「あっ、起きていたんですか。すみません。遅くなって」
「いや、良いんだ。君の仕事が不定期に遅くなるのは始めから分かっている事だ。友梨佳、こちらにおいで」
一瞬躊躇したが、そのまま夫の側に座った。
「友梨佳」
珍しくいきなり口付けをして来た。もちろん素直に受け入れた。
背中に優しく手を置きながら撫でてくれる。夫は決して無理をしない。やがて唇を離すと私の方に顔を置いて
「友梨佳。君がきちんと毎日帰ってくれればそれでいいんだ。でも体に無理はさせないで」
「はい」
夫は体を離すと
「僕は先に休ませてもらうよ。君も一緒に寝るかい。もうお風呂は入っているんだろう」
「……っ!」
夫はその後何も言わずにベッドに入った。
夫は完全に分かっている。それでもこんな私を受け入れようとしている。リビングに座ったまま、顔を手で覆い、こぼれて来る涙を抑えた。
その後、再度家でシャワーを浴びた。あの時の気持ちが体の中から消えるまで。
次の朝、
「あなた、今日は、何時ごろ帰れます」
「うんっ。いつもと同じ七時には帰宅するよ」
「分かりました。私も七時前には帰宅するようにします」
「どうしたの。友梨佳」
「……今日お話ししたい事があります」
「……そうか」
僕はこの時、妻の友梨佳が、別れ話でも持ち出すのかと思っていた。
私は、用事があるという事にして研究室を午後五時半には出た。この時間なら、近くのスーパーで買い物して帰っても六時半だ。
キッチンで夕食の支度をしていると夫が帰って来た。
「ただいま」
「お帰りなさい」
この言葉を聞いたのは何か月ぶりだろうか。
「もうすぐ夕食が出来ます。お風呂も沸いていますが、如何しますか」
「食事を先にしよう」
「分かりました」
僕はWICの前にあるハンガーにスーツを掛けると部屋着に着替えた。もう一つのハンガーの列に妻が仕事に行く時のスーツが掛かっている。
パンツスタイルかタイトスカートが妻の仕事に行く時の姿だ。それを横目で見ながら、洗面所に行った。
手を洗いうがいをしてダイニングに行くとほとんど夕食の支度は、整っていた。
僕は冷蔵庫からビール缶を取り出し、グラスと共にテーブルに座って、ビールを飲みながら食事の支度をする妻の姿を見た。
……もし別れ話なら困るが。
久々に妻と普通の時間に食べる夕食は美味しかった。
「あなた、食器を片付けたらお話させてください」
「分かった」
やがて、妻が、リビングのソファに座る。テーブルを挟んで向かい側だ。
「………」
「話したい事って」
「二つほど、あります。
一つ目は、今、私達が開発している新薬の情報すべてが、ハッキングされました」
「何だって!」
「データはAI技術研究所のスーパーコンピュータに繋がっているマザーと呼ばれているストレージに有りましたが、ここを検索するには十六桁のパスコードが必要です。
今回ハッカーは、私のパスコードを利用しました。もちろん、私は出来るはずが有りません。ハッキングされた時間午後六時半から七時半は、あなたに抱かれていましたから」
「…………」
「二つ目の事です。
……その事がAI技術研究所から来ている立花和樹主任が知っていて、……。
もしこれを上層部に報告したら、あなたは今の会社に居れないどころか高額な賠償要求がされる。
この事を黙っている条件として……私の体を要求してきました。そしてこれからも要求すると」
「まさか…」
「ごめんなさい。ごめんなさい。あなたの事を考えると断れなかった。私一人ならどうなってもいい。でもあなたが、私の為にいままで築いて来たものを失うのは、私には出来ない事です」
少しずつ涙が出て来た。夫の顔は見れない。
僕は友梨佳の言っていることが理解できなかった。
始めは好きな人が出来たから別れ話でも持ち出されるのかと思っていたところに、脅されて体を提供したと。これからも抱かれると。
僕は友梨佳の事が好きだ。愛している。これだけの容姿だ。結婚前は色恋の一つや二つは有っただろう。仕方ないことだ。でも結婚した後は、僕だけかと思っていた。
でも最近の妻の行動を見ていると外に男がいる感じがしていた。それがまさかこんな事だったとは……。
…………。
「友梨佳。君はどうしたい」
「私は、私は、あなたと別れたくない。こんな汚い体になっても貴方の側に居たい」
「…………」
「…許されないですよね。これからも汚れて行く女なんて」
…………。
「友梨佳。この事を知っているのは、誰だ。君と僕を除いて」
「立花主任以外知りません。仲間が居たのかも知れません。後はAI技術研究所のセキュリティ室長影山です」
「そうか」
…………。
「友梨佳。一緒にお風呂に入ろう」
「えっ、良いですか」
「うん。僕が君の体を全部洗ってあげる」
「……分かりました」
夫は、お風呂の床にマットを敷いて私を寝かせると、本当に物を洗うみたいに洗い始めた。これが夫の気持ちの整理の仕方なのだろうか。でも。
顔と髪の毛は自分で洗った。
でもそれ以外は、
「あっ、あん」
胸を洗い、あそこも洗われた。中まで指を入れて来た。さすがに感じてしまう。
その後、足の付け根から足先まで洗われた。
そして湯船に二人で入ると後ろから胸を触って来た。優しく。首筋に口付けもして来た。
「あっ、あっ」
少しして、湯船から出ると
「友梨佳。バスユニットに手をついて後ろ向きになって」
何をしたいのか分かった。
お尻にキスをし始めた。優しく撫でてくれる。
「えっ、えっ」
妻の体を綺麗にして再度僕のものであそこまで綺麗にすれば、妻は元に戻る。それしかない。
妻のお尻を口付けしながら、あそことは別のとこにも口付けをしてあげた。
「あなた。あっ、…っ!」
もう一つの所も綺麗にしてあげないと。口付けをした後、指を入れてみた。
最初痛がっていたが。指を上下すると腰を振り始めた。気持ちいいのだろうか。あそこも一緒に。
「うっ」
夫が、あそこに入れて来た。立花に比べて単純だが、気持ちの面で心地よかった。前後してくる。
「あなた、もっと、もっと」
誰か分からないが、友梨佳のここに入れている男がいる。許せない。結婚前はいい。でも結婚後に強制するなんて。
気持ちの高ぶりが、これに出たのか。
「あーっ、凄い。凄いです。あなた。もっと」
更に思い切り奥の奥まで突き上げた。子宮と僕のものがぶつかっている。
「あーっ、だめ、だめー。いくー」
妻がお尻を振り始めると共にあそこの奥から熱いものが出て来た。
「友梨佳、我慢できない」
「来て。五郎さん。来てー。あーっ」
いつもと違う激しい夫のものの先端から熱いものが私の子宮に思い切り浴びせられた。
「五郎さんのが、来てる、来てる。嬉しいー」
僕は妻がいった後、抜かずに更にもう一度いかせた。いつもはこんな事が出来ない。立花という男へのいかりがあるのかな。
「あなた、もう、許してください。腰が」
「あっ、ああ。僕もだ」
妻がこちらを向いてお風呂の床に座り込んだ。僕は二回も出したのにまだ元気だった。他人に犯された妻の体への発情なのか。
「友梨佳。加えて。出来るんだろう」
「…」
コクリと頷いた。
結婚したころは妻がこんなこと出来るとは思っていなかった。でも今の妻は、上手かった。とても初めてとは思えない。直ぐに頂点に達してしまった。
「くーっ、出る」
妻の頭を後ろから押さえると喉の奥へ思い切り吐き出した。
全部吐き出すと、妻は僕を見上げながら飲んでしまった。
「…っ!他の男のものも飲むのか」
妻は大きく首を横に振り、
「絶対にしません。五郎さんだから」
その後、もう一度二人でお風呂に入ってからベッドに横になった。
「友梨佳。僕は君とは離れない。君と結婚する時、十二才も違う男と結婚すると決めた君を一生守ると心に誓ったんだ。でも守れなかった。ごめん」
「……ごめんなさい」
「だけど、君を見捨てる事は絶対にしない。今回の件、相手がそう来るなら僕に考えが有る。友梨佳、脅されてもその立花という男にもう体を渡しちゃだめだぞ。何を言われてもだ」
「あなた。…ありがとうございます」
「なあ、もう一度する」
「あなたさえ良ければ。ふふふっ」
―――――
心の強い夫で良かったですね。望月友梨佳さん。
でも、まだ夫に隠している事ありますよね。
夫の五郎さん。心広いけどちょっと変態?
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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