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第4話 海辺の遊び(3)
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二日目の朝。
「うーん」
手足を伸ばすと、妻の寝顔が有った。
可愛くて綺麗で、たまらない妻の唇を僕の唇で塞ぐと
「うん、うん」
顔を逸らして思い切り伸びをしている。浴衣は開けたままだ。なにも着けていない。
夫が、じっと私の体を見ている。浴衣が開けて、ほとんどそのままに見せてしまっている。
「ふふっ、欲しいの」
「うん」
「だーめ。もう起きよう。楽しみは後でねって言葉もあるでしょう」
有ったってそんな諺?
時計を見るとまだ、六時半だ。
「ちょっとだけ」
そう言って、妻の胸に唇を充てた。
「もう、我儘なんだから」
…………。
「七時半だ。起きよう」
今度は、夫が言い出した。私は、まだ余韻に浸っているのに。
少し落ち着かせてから、起きた。
食堂に行くと土田夫妻は、もう来ていた。
「「おはようございます」」
「「おはようございます」」
朝食も一段落すると土田が、
「今日は、海岸行って、三時位まで遊んだら、一度上がって、お風呂に入って。
少し休んだら、夕食。柏木と僕は夜釣り。洋子と里美さんは、女子会って感じかな」
「ああ、それで行こう」
「ねえ、私達も一緒に行っては駄目?」
「危ないし、万が一あったら、大変だから、洋子さんと女子会していて」
「すみません。三時間位です。十時位には、戻りますから」
「里美さん。仕方ないわ。夫は言い出すと聞かないから」
「分かった」
不貞腐れた顔になった妻に
「今日、釣った魚、明日、家で僕が調理するから」
「ほんと。……でも釣れなかったら」
「いや、その時は………外食で」
今度は、目を輝かして
「うん、ならいいよ」
「おっとー、朝から、見せつけてくれるな。柏木夫婦は」
「痛い」
いきなり裾を蹴られた。
「ねえ、私たちは」
「いやあ、そうそう。釣った魚、僕が調理して……。痛い」
また、蹴られた。
「台所に立ったこともないのに」
「じゃあ、外食で」
「だったら、いいわ」
「はは、土田の所も朝から熱いじゃないか」
「「何処が」」
午前中は、昨日と同じように遊んだ。土田が奥さんから、やたら突かれていたのは気のせいか。
結構、遊んだせいか、四人共疲れてしまい、二時半には、宿に戻ることにした。
せっかくだからと温泉で体を洗い、昼寝をした。
さすがに何もせずに、妻の里美と思い切り爆睡。
目が覚めると、もう、五時を過ぎていた。
ドアがノックされる。
「柏木、そろそろ食堂に行こう」
「あっ、ちょっと待ってくれ。先に行っていてもいいよ」
「部屋で待っている」
妻を起こして、土田夫妻のドアをノックした時、もう五時半近くだった。
「悪い。寝てしまった」
「はは、こっちも似たようなもんだ。これで元気に夜釣りできる」
「そうだな」
土田と釣りの用意をして、宿を出る時、土田が洋子さんにウィンクをした。
釣り場は、歩いて十五分位だ。歩きながら
「土田、お前ん所、ウィンクなんかする習慣あるのか」
「あっ、見られた。偶には、ああでもしないと、洋子は我儘だから」
「はは、何となく分かる。結構焼き餅焼きだよな」
「そう。今回も里美さんを見たとか言って、文句言われるし」
「それはきついな。一緒に居る以上、目の入ってしまうからな」
「それもダメだって」
「………だめ、土田。笑い堪えられない。あははは……。しかし、愛されているねー」
「そんな事ない。単に焼き餅焼きなだけだ」
「まあ、全く焼かれないよりいいかもよ」
「柏木、お前の所はどうなんだ。里美さん、焼き餅焼きか」
「どうなんだろう。気にした事ないな」
「………。まあ、お前が愛してますオーラ目いっぱい出しているからな」
「えっ、そうか」
「そうだよ」
「おっ。そろそろ着くぞ。今回は、釣果ゼロは出来ないな」
「そうだな」
その頃、里美さんと洋子さんの女子会は、
「里美さん、飲みましょう。どうせ、帰るの十時と言っているけど、もう少し遅れるから」
「えっ、そうなんですか」
「あの人、釣りに行って、時間守った事無いし」
「………」
早く帰ってこないかな。
「里美さん、はい」
二人のグラスに白ワインが、注がれると
「女子会に乾杯」
「乾杯」
「ねえ、里美さん。旦那様とのなれそめは」
「えっ、ええ。……五年前に私の友人と彼の友人が知り合いで、たまたま、そこに居合わせた、私達がってところ」
「もっと詳しくー」
「うーん。はじめは、真面目な人だなと思っていたけど、優しくて、いつも私を思いやってくれて、ちょっと仕事かで落ち込んだ時も、側にいてくれて……」
「うわー、もういい。もういい。それだけ聞いてお腹いっぱいだわ。良い人見つけたわね。でっ、初めてのアレは」
「え、ええー。そこまで言うですか」
ワインが二杯目になっていた。少し酔いに任せて
「うーん、結婚決めた時かな。この人なら信じられる、一生守ってくれるって思った時。初めてだった」
「うわー。これももういい。すごーい。超ラブラブだわ。旦那さん、それまで、
要求しなかったの」
「うーん。キスはしてくれたかな。でもそこまで」
「はあー。聞いて損した。胸やけモード。もう。もう一杯付き合いなさい」
とうとう、二人で三杯づつ。だいぶ酔って来た。
「洋子さんは」
「うちは、あの人の実家って、資産家でね。大学時代から、遊んでいたらしいんだけど。あっ、もちろん、ワルという意味でなく、自由気ままという意味で。
そんな遊びに、たまたま友人が私を誘ってくれて、彼に会ったのが、その時初めてかな」
ワインを一飲みすると
「その時は、それでおしまいと思っていたのよ。そうしたら、その後も、連絡が来て、最初は、遊び人って感じで嫌だったんだけど。付き合っている内に結構真面目な所あるんだなって思って。それでゴールイン」
「そう、はじめてのあれは」
「えっ」
「私も言わされたのだから、洋子さんも教えて」
「うーん、五回目位の時、酔った勢いで。でも初めてじゃなかったの。それよりほんの少し前まで付き合っていた人が初めての人。
でも、気にしないみたいで。あっ、ちょっと気にしていたかなー」
私は、
「あっ、ごめんなさい。ちょっとトイレ」
トイレから帰って来ると洋子さんは、寝ていた。ワイングラスは空だった。
はーっ、こんなに飲んだんだもの。私も空にして部屋に戻ろう。
部屋に戻って一人でいると手持ち無沙汰になった。何故か意識がはっきりしている。昼寝したからかな。
時計を見るとまだ、八時半。
一時間半近く飲んでいたのね。温泉でも行ってこようかな。
体拭きタオルと手拭いを持って、部屋を出た。
―――――
何となく、良いのかな里美さん。一人で。
済みません。もう一回、海辺の出来事、続きます。
文章まとめ能力養います。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
「うーん」
手足を伸ばすと、妻の寝顔が有った。
可愛くて綺麗で、たまらない妻の唇を僕の唇で塞ぐと
「うん、うん」
顔を逸らして思い切り伸びをしている。浴衣は開けたままだ。なにも着けていない。
夫が、じっと私の体を見ている。浴衣が開けて、ほとんどそのままに見せてしまっている。
「ふふっ、欲しいの」
「うん」
「だーめ。もう起きよう。楽しみは後でねって言葉もあるでしょう」
有ったってそんな諺?
時計を見るとまだ、六時半だ。
「ちょっとだけ」
そう言って、妻の胸に唇を充てた。
「もう、我儘なんだから」
…………。
「七時半だ。起きよう」
今度は、夫が言い出した。私は、まだ余韻に浸っているのに。
少し落ち着かせてから、起きた。
食堂に行くと土田夫妻は、もう来ていた。
「「おはようございます」」
「「おはようございます」」
朝食も一段落すると土田が、
「今日は、海岸行って、三時位まで遊んだら、一度上がって、お風呂に入って。
少し休んだら、夕食。柏木と僕は夜釣り。洋子と里美さんは、女子会って感じかな」
「ああ、それで行こう」
「ねえ、私達も一緒に行っては駄目?」
「危ないし、万が一あったら、大変だから、洋子さんと女子会していて」
「すみません。三時間位です。十時位には、戻りますから」
「里美さん。仕方ないわ。夫は言い出すと聞かないから」
「分かった」
不貞腐れた顔になった妻に
「今日、釣った魚、明日、家で僕が調理するから」
「ほんと。……でも釣れなかったら」
「いや、その時は………外食で」
今度は、目を輝かして
「うん、ならいいよ」
「おっとー、朝から、見せつけてくれるな。柏木夫婦は」
「痛い」
いきなり裾を蹴られた。
「ねえ、私たちは」
「いやあ、そうそう。釣った魚、僕が調理して……。痛い」
また、蹴られた。
「台所に立ったこともないのに」
「じゃあ、外食で」
「だったら、いいわ」
「はは、土田の所も朝から熱いじゃないか」
「「何処が」」
午前中は、昨日と同じように遊んだ。土田が奥さんから、やたら突かれていたのは気のせいか。
結構、遊んだせいか、四人共疲れてしまい、二時半には、宿に戻ることにした。
せっかくだからと温泉で体を洗い、昼寝をした。
さすがに何もせずに、妻の里美と思い切り爆睡。
目が覚めると、もう、五時を過ぎていた。
ドアがノックされる。
「柏木、そろそろ食堂に行こう」
「あっ、ちょっと待ってくれ。先に行っていてもいいよ」
「部屋で待っている」
妻を起こして、土田夫妻のドアをノックした時、もう五時半近くだった。
「悪い。寝てしまった」
「はは、こっちも似たようなもんだ。これで元気に夜釣りできる」
「そうだな」
土田と釣りの用意をして、宿を出る時、土田が洋子さんにウィンクをした。
釣り場は、歩いて十五分位だ。歩きながら
「土田、お前ん所、ウィンクなんかする習慣あるのか」
「あっ、見られた。偶には、ああでもしないと、洋子は我儘だから」
「はは、何となく分かる。結構焼き餅焼きだよな」
「そう。今回も里美さんを見たとか言って、文句言われるし」
「それはきついな。一緒に居る以上、目の入ってしまうからな」
「それもダメだって」
「………だめ、土田。笑い堪えられない。あははは……。しかし、愛されているねー」
「そんな事ない。単に焼き餅焼きなだけだ」
「まあ、全く焼かれないよりいいかもよ」
「柏木、お前の所はどうなんだ。里美さん、焼き餅焼きか」
「どうなんだろう。気にした事ないな」
「………。まあ、お前が愛してますオーラ目いっぱい出しているからな」
「えっ、そうか」
「そうだよ」
「おっ。そろそろ着くぞ。今回は、釣果ゼロは出来ないな」
「そうだな」
その頃、里美さんと洋子さんの女子会は、
「里美さん、飲みましょう。どうせ、帰るの十時と言っているけど、もう少し遅れるから」
「えっ、そうなんですか」
「あの人、釣りに行って、時間守った事無いし」
「………」
早く帰ってこないかな。
「里美さん、はい」
二人のグラスに白ワインが、注がれると
「女子会に乾杯」
「乾杯」
「ねえ、里美さん。旦那様とのなれそめは」
「えっ、ええ。……五年前に私の友人と彼の友人が知り合いで、たまたま、そこに居合わせた、私達がってところ」
「もっと詳しくー」
「うーん。はじめは、真面目な人だなと思っていたけど、優しくて、いつも私を思いやってくれて、ちょっと仕事かで落ち込んだ時も、側にいてくれて……」
「うわー、もういい。もういい。それだけ聞いてお腹いっぱいだわ。良い人見つけたわね。でっ、初めてのアレは」
「え、ええー。そこまで言うですか」
ワインが二杯目になっていた。少し酔いに任せて
「うーん、結婚決めた時かな。この人なら信じられる、一生守ってくれるって思った時。初めてだった」
「うわー。これももういい。すごーい。超ラブラブだわ。旦那さん、それまで、
要求しなかったの」
「うーん。キスはしてくれたかな。でもそこまで」
「はあー。聞いて損した。胸やけモード。もう。もう一杯付き合いなさい」
とうとう、二人で三杯づつ。だいぶ酔って来た。
「洋子さんは」
「うちは、あの人の実家って、資産家でね。大学時代から、遊んでいたらしいんだけど。あっ、もちろん、ワルという意味でなく、自由気ままという意味で。
そんな遊びに、たまたま友人が私を誘ってくれて、彼に会ったのが、その時初めてかな」
ワインを一飲みすると
「その時は、それでおしまいと思っていたのよ。そうしたら、その後も、連絡が来て、最初は、遊び人って感じで嫌だったんだけど。付き合っている内に結構真面目な所あるんだなって思って。それでゴールイン」
「そう、はじめてのあれは」
「えっ」
「私も言わされたのだから、洋子さんも教えて」
「うーん、五回目位の時、酔った勢いで。でも初めてじゃなかったの。それよりほんの少し前まで付き合っていた人が初めての人。
でも、気にしないみたいで。あっ、ちょっと気にしていたかなー」
私は、
「あっ、ごめんなさい。ちょっとトイレ」
トイレから帰って来ると洋子さんは、寝ていた。ワイングラスは空だった。
はーっ、こんなに飲んだんだもの。私も空にして部屋に戻ろう。
部屋に戻って一人でいると手持ち無沙汰になった。何故か意識がはっきりしている。昼寝したからかな。
時計を見るとまだ、八時半。
一時間半近く飲んでいたのね。温泉でも行ってこようかな。
体拭きタオルと手拭いを持って、部屋を出た。
―――――
何となく、良いのかな里美さん。一人で。
済みません。もう一回、海辺の出来事、続きます。
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面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
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