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第6章:大魔王討伐パーティ結成
第49話 残りのメンバー
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二人のやりとりを見ていた国王は、ソチネにこっそり尋ねる。
「この二人は仲が悪いのですか?」
「ええ、そのようですね」
「大丈夫なのでしょうか……? 彼らは共に大魔王に挑むパーティなのでしょう……? 今の時点でこんな感じでは先が思いやられます。その……アサヒはやはりパーティから省いた方が……。」
ソチネは唇を尖らせ、不満たっぷりに言った。
「あら。本来であれば、私が選んだパーティに勇者はいなかったんですよ。あなたが『どうしても勇者をパーティに入れて欲しい』と言って聞かなかったから、仕方なく入れてあげたんです。それなのにどうしてアサヒを外さないといけないんでしょう?」
「分かってくだされ、ソロモン様。勇者はナンブリッジ国の英雄となるべくして生まれてきた者。国民からの人気もはかり知れませんし……」
言い訳がましく言葉を並べる国王を見て、ソチネはクスクス笑った。
「それに、国王や冒険者ギルドは勇者に莫大な投資をしていますしね。そんな彼が役目を全うできなかったら、そのために税金を払った国民から愛想を尽かされます」
「……そこまで分かっていらっしゃるなら、どうかこのわしのワガママを受け入れてくだされ……」
「仕方ありませんねえ。その代わり、もうアサヒをパーティから外そうだなんて愚かな提案はしないでくださいね」
国王はしぶしぶ頷いたものの、全く納得できていない様子だった。
「……あんな、見るからに弱そうな者をなぜそこまで……」
「それは、これから起こることを見ていただいたら分かります」
首を傾げる国王にウィンクで返すソチネ。
未だ勇者と朝陽が小競り合いをしている中、再び謁見の間の扉が開いた。
その途端、国王ががたりと立ち上がる。
「あなたは……! ま、まさかソロモン様が選んだ弓士とは……あなた様でしたか……」
謁見の間に足を踏み入れたのは、フルーバのエルフ、リヴィルだった。
リヴィルは国王の言葉を無視して、ズカズカとソチネに歩み寄る。
「ソロモン! 元気にしているか? アサヒに愛想を尽かされて泣いてはいないか!?」
「元気だし、アサヒともラブラブよ」
「ソチネさんの脳内ではね……フゴォッ……」
ソチネは朝陽の腹に肘鉄を食らわせたあと、彼に国王を紹介した。
しかしリヴィルは国王に全く興味を示さず、ソチネと朝陽にばかり話しかけていた。
勇者はハッとしてリヴィルを指さす。
「お前は……! あの時の、俺に不遜な態度をとったエルフじゃないか! 貴様よくもあの時は――」
罵声を浴びせようとした勇者に、国王からの叱責が飛ぶ。
「これ勇者! こちらは純血エルフの村フルーバの村長、リヴィル様であるぞ! 言葉を慎むのだ!」
「……はっ。し、失礼いたしました……」
誰にも叱られたことがなかったのだろう。勇者は悔しさと屈辱のあまり、血が出そうなほど唇を噛み、ぶるぶると震えていた。
「なぜ……勇者の俺が、たかが他種族の村長を敬わなきゃならないんだ……クソッ」
気まずい空気が流れる中、謁見の間の蝋燭がゆらゆら揺れた。
「……?」
国王が眉をひそめ蝋燭をじっと見る。蝋燭の火は、どこからか吹く冷たい風に当たり、小さくなったり大きくなったりしている。そのせいで部屋の明るさが安定せず、不気味な雰囲気が漂っていた。
蝋燭の火が青く変色し、徐々に黒い火へと変わっていく。
「なんだ……。何が起こっている……?」
床に魔法陣が浮かび上がったと同時に、蝋燭の火が消えた。
謁見の間が暗闇に包まれる。その中で、コツ、コツ、とハイヒールの床を打つ音がいやに大きく聞こえた。
暗闇の中から声がする。
「ソロモン。仕方なく来てやったぞ」
「ありがとう。ごめんね、忙しいのに」
「この貸しは高く付く。覚えていろ」
「はいはい」
聞き慣れない女性の声に、国王が怯えた声を出す。
「あ、あの。ソロモン様……。そこにいるのは誰でしょうか……」
「ええ、今からご紹介します」
ソチネが杖を振り、蝋燭に火を灯す。明るくなった謁見の間に一人立っている女性の姿を見て、国王と勇者が悲鳴を上げた。
「ま、まま、まっ、魔族っ……!」
「き、きき、きさまっ、ま、魔王っ!」
勇者は立ち上がり、魔王ドロリスに向けて剣を振り下ろした。
「国王! お逃げください!! ここは私が!! 私が魔王を倒します!!」
しかし、剣がドロリスに触れる前に、勇者は風で吹き飛ばされた。
壁に強打しよろけている勇者に目もくれず、ドロリスは国王の顎に指を添える。
「おやおや。私にそんな態度を取っていいのかい? この私が、特別に手を貸してやろうというのに」
「この二人は仲が悪いのですか?」
「ええ、そのようですね」
「大丈夫なのでしょうか……? 彼らは共に大魔王に挑むパーティなのでしょう……? 今の時点でこんな感じでは先が思いやられます。その……アサヒはやはりパーティから省いた方が……。」
ソチネは唇を尖らせ、不満たっぷりに言った。
「あら。本来であれば、私が選んだパーティに勇者はいなかったんですよ。あなたが『どうしても勇者をパーティに入れて欲しい』と言って聞かなかったから、仕方なく入れてあげたんです。それなのにどうしてアサヒを外さないといけないんでしょう?」
「分かってくだされ、ソロモン様。勇者はナンブリッジ国の英雄となるべくして生まれてきた者。国民からの人気もはかり知れませんし……」
言い訳がましく言葉を並べる国王を見て、ソチネはクスクス笑った。
「それに、国王や冒険者ギルドは勇者に莫大な投資をしていますしね。そんな彼が役目を全うできなかったら、そのために税金を払った国民から愛想を尽かされます」
「……そこまで分かっていらっしゃるなら、どうかこのわしのワガママを受け入れてくだされ……」
「仕方ありませんねえ。その代わり、もうアサヒをパーティから外そうだなんて愚かな提案はしないでくださいね」
国王はしぶしぶ頷いたものの、全く納得できていない様子だった。
「……あんな、見るからに弱そうな者をなぜそこまで……」
「それは、これから起こることを見ていただいたら分かります」
首を傾げる国王にウィンクで返すソチネ。
未だ勇者と朝陽が小競り合いをしている中、再び謁見の間の扉が開いた。
その途端、国王ががたりと立ち上がる。
「あなたは……! ま、まさかソロモン様が選んだ弓士とは……あなた様でしたか……」
謁見の間に足を踏み入れたのは、フルーバのエルフ、リヴィルだった。
リヴィルは国王の言葉を無視して、ズカズカとソチネに歩み寄る。
「ソロモン! 元気にしているか? アサヒに愛想を尽かされて泣いてはいないか!?」
「元気だし、アサヒともラブラブよ」
「ソチネさんの脳内ではね……フゴォッ……」
ソチネは朝陽の腹に肘鉄を食らわせたあと、彼に国王を紹介した。
しかしリヴィルは国王に全く興味を示さず、ソチネと朝陽にばかり話しかけていた。
勇者はハッとしてリヴィルを指さす。
「お前は……! あの時の、俺に不遜な態度をとったエルフじゃないか! 貴様よくもあの時は――」
罵声を浴びせようとした勇者に、国王からの叱責が飛ぶ。
「これ勇者! こちらは純血エルフの村フルーバの村長、リヴィル様であるぞ! 言葉を慎むのだ!」
「……はっ。し、失礼いたしました……」
誰にも叱られたことがなかったのだろう。勇者は悔しさと屈辱のあまり、血が出そうなほど唇を噛み、ぶるぶると震えていた。
「なぜ……勇者の俺が、たかが他種族の村長を敬わなきゃならないんだ……クソッ」
気まずい空気が流れる中、謁見の間の蝋燭がゆらゆら揺れた。
「……?」
国王が眉をひそめ蝋燭をじっと見る。蝋燭の火は、どこからか吹く冷たい風に当たり、小さくなったり大きくなったりしている。そのせいで部屋の明るさが安定せず、不気味な雰囲気が漂っていた。
蝋燭の火が青く変色し、徐々に黒い火へと変わっていく。
「なんだ……。何が起こっている……?」
床に魔法陣が浮かび上がったと同時に、蝋燭の火が消えた。
謁見の間が暗闇に包まれる。その中で、コツ、コツ、とハイヒールの床を打つ音がいやに大きく聞こえた。
暗闇の中から声がする。
「ソロモン。仕方なく来てやったぞ」
「ありがとう。ごめんね、忙しいのに」
「この貸しは高く付く。覚えていろ」
「はいはい」
聞き慣れない女性の声に、国王が怯えた声を出す。
「あ、あの。ソロモン様……。そこにいるのは誰でしょうか……」
「ええ、今からご紹介します」
ソチネが杖を振り、蝋燭に火を灯す。明るくなった謁見の間に一人立っている女性の姿を見て、国王と勇者が悲鳴を上げた。
「ま、まま、まっ、魔族っ……!」
「き、きき、きさまっ、ま、魔王っ!」
勇者は立ち上がり、魔王ドロリスに向けて剣を振り下ろした。
「国王! お逃げください!! ここは私が!! 私が魔王を倒します!!」
しかし、剣がドロリスに触れる前に、勇者は風で吹き飛ばされた。
壁に強打しよろけている勇者に目もくれず、ドロリスは国王の顎に指を添える。
「おやおや。私にそんな態度を取っていいのかい? この私が、特別に手を貸してやろうというのに」
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