【完結】疫病神がうちに来まして~不幸せにするために、まずはあなたを幸せにします~

mazecco

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第一章

第12話 卑怯なり、疫病神

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 家に帰った私は、テーブルに買ってきた駄菓子を並べた。
 しゅわしゅわするアメが百個入った透明のプラスチックポット。ソフトキャンディがニ十本入った箱。細長いするめが五十枚入った箱。コーラの形をしたグミが百個入った箱。小さなガムが六十個入った箱。そしてそれらの手前に、知育菓子五つと消しゴムくじを置いた。
 圧巻。ここで駄菓子屋を開けてしまいそう。
 私はガムの箱を開け、一つ摘まんだ。

「ムミィ。このガムとあっちのアメは、当たりが入ってるんだよ。当たりが出たらもう一個もらえるの。箱買いしたから、いつかは絶対当たりを引ける!」
「それ、楽しいですね! 今日から毎日、一つずつアメとガムで勝負しましょう! 先に当たりを引いた方が勝ちです!」
「乗った! 負けた方は一週間ゴミ出しね!」
「分かりました! では、早速選びましょう!」

 どれにしようか悩んでいる私の隣で、ムミィは迷うことなくひょいと摘まみ上げた。
 私のアメとガムからは、ハズレと書かれた紙が出てきた。まあ、こんなもんか。

「どっちもハズレ。ムミィは?」

 ムミィはふふんと笑い、包装紙を私に見せつけた。
 どちらも当たりだ。

「どうやら真白さんがゴミ出し当番のようですね!」
「はぁぁぁ!? 二つとも当たりなんてことある!? イカサマだ、イカサマー!」

 ブーイングする私に、ムミィは指を振る。

「真白さん、忘れましたか? 僕、こう見えて神なんですよ。当たりを引くなんて容易いこと」
「なぁっ……! じゃあほぼ出来レースじゃん!」
「あはは! 神からの勝負を簡単に受ける真白さんが悪いです!」

 卑怯なり、疫病神。まあ、どっちにしたっていつもゴミ出ししているのは私だから、いつもの日常と変わりないんだけど。

 続いて、私とムミィは消しゴムクジをした。アイスクリームやお弁当、野菜や果物の形など、見ているだけで楽しくなってくる。
 私はソフトクリームの消しゴムを、ムミィは赤い車の消しゴムを狙ってくじを引いた。当然のように私は一番はずれの小さな消しゴムが当たり、ムミィはお目当てのものが当たった。
 遊び終えたあとの消しゴムくじは壁にかけた。これから一週間に一度くじを引いて楽しむつもり。

 そのあとは知育菓子で遊んだ。謎の粉に水を落とすとグミになるものや、粉をひたすら混ぜたら謎のふわふわができあがり、食べると謎の味がするもの、お菓子でハンバーガーセットを作るものなど。最近の知育菓子はレパートリーが豊かで、大人でも遊んでいて楽しい。
 ムミィは特にグミができる知育菓子が気に入ったようだ。

「作る工程も楽しい上に、味まで美味しい! 真白さん、今度はこれも箱買いしましょう!」

 思う存分遊んだ私とムミィは、達成感に包まれていた。

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