8 / 49
第一章
第7話 トロトロの温泉
しおりを挟む
「なんだこのトロトロはぁ~……けしからん……けしからんぞぉ……」
しかもぬるめのお湯なのでのぼせない。延々入っていられそう。
湯には、ムミィが殺し文句に使った湯の花がふよふよ漂っている。一見普通の白っぽい湯の花だけど、光が当たるとうっすら虹色に輝いた。
「綺麗な湯の花。キラキラ光ってるよ」
湯を掬い、うっとり眺めていると、ムミィが良いことを教えてくれた。
「はい。カクリヨではお馴染みの湯の花です。気に入ったのであれば、少名毘古那にお願いしたら湯の花を販売してくれますよ」
「本当に!? うわ、買って帰ろ」
浴槽がひとつしかない、ずいぶん古くてショボイところだけど、途中から湯が良すぎてそんなこと気にならなくなった。まさか家から徒歩小一時間のところに、こんなに良い温泉があったなんて。これはリピート確定だ。
私は結構長湯するタイプだ。一緒に温泉に行った友だちが、のぼせて倒れてしまったこともある。それからは友だちに合わせて湯から上がるようにしているから、いつも温泉に行っても物足りなさを感じながら帰ることになる。
でも、ムミィはのぼせることなく、私が満足するまで付き合ってくれた。
無言でぼうっと湯に浸かり、思い出したように一言二言、言葉を交わす。
確かにここは、私が生きている世界と違う場所なのかもしれない。だからこんなにも時間の流れがゆっくりで、騒音や情報に邪魔されずに安らげるのだろう。
トロトロの濁り湯を満喫した私とムミィは、帰り際に少名毘古那に声をかけた。
「少名毘古那さん、良いお湯、ありがとうございました。最高でした~」
「今日も最高だったよ! お代はどうしようか」
ベタ褒めされて、少名毘古那は嬉しそうに頭を掻いた。そしてそろばんを弾き、ムミィに手を差し出す。
「それなりに良いモノで二人分だな」
「あ、湯の花も欲しいから、その分も足して!」
「じゃあ、ちょっと良いめのそれなりに良いモノで」
私が二人のやりとりを不思議そうに眺めていると、ムミィが教えてくれた。
「僕たち神の間では〝お金〟という概念がないんです。だからいつもモノで支払うんですよ。少名毘古那だったらお米とか湯の花で支払うし、僕だったらヒトからもらったモノで支払います」
そう言って、ムミィは二つの指輪を取り出した。ひとつはハイブランドの指輪で、もうひとつはアクセシブルブランドの指輪。
「どっちがいい?」
少名毘古那は二つの見比べ、うんうん唸ってからハイブランドの指輪を手に取った。
「今日はオマケしてこっちにしといてやる」
「わっ、ほんとに!? ありがとう~!」
少名毘古那は、その指輪を空になったたばこの箱に投げ入れ、代わりに湯の花を三袋ムミィに渡した。それを受け取ったムミィが上機嫌に帰ろうとするので、私は慌てて彼の腕を掴んだ。
いくら良いお湯だったとはいえ、一回の温泉で何百万円もする指輪を取られるなんて、ぼったくりも甚だしい。
「ちょっとムミィ! あんたは知らないかもしれないけど、あの指輪はすっごく高価なやつ! 温泉入っただけであんなもの渡すなんてどうかしてるわ。あんた、騙されてるよ!」
少名毘古那とムミィはポカンと口を開けたかと思えば、二人同時に大声で笑った。
「あんたの考え方、面白いなあ! ヒトらしいというか、なんというか!」
「真白さん。僕たち神にとって、ヒトが付けた価値なんてあんまり意味がないし興味ないんですよ」
大口を開けて笑われ、バカにされているように感じてしかめっ面をしていると、少名毘古那が私の手のひらに先ほどの指輪を載せた。同じ手のひらに、ムミィももうひとつの指輪を載せる。
「この指輪はどっちも僕がヒトからもらったもの」
ムミィが言った言葉に、少名毘古那はピクッと眉を上げる。
「盗った、だろ」
「仕事の報酬さ」
ジト目を向ける私に、ムミィはごまかすように笑い、言葉を続けた。
「さっき僕が少名毘古那に渡した指輪の持ち主は、宝石がゴロゴロついた指輪を他にもたくさん持っていました。だから僕がこれをもらっても、持ち主に気付かれもしなかった。この指輪の価値は、その程度のものなんです」
次にムミィは、アクセシブルブランドの指輪を撫でる。
「これの持ち主は、一生もののつもりでこの指輪を買いました。金属アレルギーのせいで身につけられなくなってからも、とても大切にしていました」
ムミィはその時のことに思いを馳せ、うっとりした。
「持ち主はこの指輪を失くしたとすぐ気付き、何日も探してグスグス泣いていましたよ」
ドン引きしている私と少名毘古那の視線を感じハッとしたムミィは、慌てて咳ばらいをした。
「と、まあこんな感じで、僕たちにとったら、そのモノの価値とはどのくらい持ち主に愛されていたかが基準なんです! つまり、少名毘古那は僕を騙そうとなんてしていませんよ! ご安心ください、真白さん!」
目の前にいる人畜無害そうな少年が人の物を盗むような存在だと知って、安心できるわけないでしょうが。
私はムミィから一歩距離を取り、おそるおそる尋ねる。
「え……。もしかしてあんた、私の物も盗んだりした……?」
「いえいえ! まだ真白さんには報酬をいただいていませんよ!」
「まだ、ねえ……」
そういやこの子疫病神だった。良い神なわけがない。
少名毘古那が私を手招きする。
「神に大切な物を盗られないための方法を教えてやる。憑かれてる間は定期的に貢物をすることだ」
「貢物……。それって料理でも大丈夫ですかね?」
「ああ、いいじゃないか! ムミィはウツシヨの食べ物が好きだから、大概のことはそれで済ましてくれるだろうな」
私たちの内緒話にしっかり聞き耳を立てていたのか、ムミィはパッと顔を輝かせた。
「それ、いいー! 美味しい料理を食べられる僕、大切なものを盗られない真白さん! これぞウィンウィンの関係ですね!!」
「ウィンウィンと呼ぶには私が不利すぎるのよ」
上機嫌で私の腕に抱きついたムミィは、スキップしながら少名毘古那のたばこ屋をあとにした。
昨日から思っていたけれど、ムミィは家主を自分だと思っているような気がする。晩ごはんを食べたら一番風呂に入り、勝手にクローゼットを開けて私のパジャマを身につける。そして迷うことなくベッドにダイブ。最後に笑顔で「おやすみなさい、真白さん!」と言う。
「ねえ! 今日もあんたがベッドで寝るの!? 私もベッドで寝たいんですけど!」
「ごめんなさい。隣に誰かいると眠れないから……」
「ベッド以外で寝る気ないわこの人!!」
私は力ずくでベッドを奪い返そうと、ムミィの足を引っ張った。でも、ヘッドボードに掴まる彼を引きはがすことができずに断念。せめて布団だけでもと思ったのに、ムミィはそれすらも手放さなかった。
体力の限界を迎え、息を荒げてうずくまる私の傍で、ムミィは満足げに伸びをする。
「ああ~。寝る前に良い運動ができました! それでは、今度こそおやすみなさい!」
ムミィは布団に潜るなり寝息を立て始めた。もうすでに涎を垂らし、枕にシミを作っている。
ムミィが寝ている間にベッドから引きずり出そうと画策したけれど、寝ぼけた彼にアゴに蹴りを入れられて、私は泣く泣くソファで眠った。
私は、明日や将来の不安を考えてしまって寝つきが悪い。でも温泉のおかげか、この日は夢も見ずにぐっすり眠れた。ソファだったけど。ベッドで眠りたかったけど。
しかもぬるめのお湯なのでのぼせない。延々入っていられそう。
湯には、ムミィが殺し文句に使った湯の花がふよふよ漂っている。一見普通の白っぽい湯の花だけど、光が当たるとうっすら虹色に輝いた。
「綺麗な湯の花。キラキラ光ってるよ」
湯を掬い、うっとり眺めていると、ムミィが良いことを教えてくれた。
「はい。カクリヨではお馴染みの湯の花です。気に入ったのであれば、少名毘古那にお願いしたら湯の花を販売してくれますよ」
「本当に!? うわ、買って帰ろ」
浴槽がひとつしかない、ずいぶん古くてショボイところだけど、途中から湯が良すぎてそんなこと気にならなくなった。まさか家から徒歩小一時間のところに、こんなに良い温泉があったなんて。これはリピート確定だ。
私は結構長湯するタイプだ。一緒に温泉に行った友だちが、のぼせて倒れてしまったこともある。それからは友だちに合わせて湯から上がるようにしているから、いつも温泉に行っても物足りなさを感じながら帰ることになる。
でも、ムミィはのぼせることなく、私が満足するまで付き合ってくれた。
無言でぼうっと湯に浸かり、思い出したように一言二言、言葉を交わす。
確かにここは、私が生きている世界と違う場所なのかもしれない。だからこんなにも時間の流れがゆっくりで、騒音や情報に邪魔されずに安らげるのだろう。
トロトロの濁り湯を満喫した私とムミィは、帰り際に少名毘古那に声をかけた。
「少名毘古那さん、良いお湯、ありがとうございました。最高でした~」
「今日も最高だったよ! お代はどうしようか」
ベタ褒めされて、少名毘古那は嬉しそうに頭を掻いた。そしてそろばんを弾き、ムミィに手を差し出す。
「それなりに良いモノで二人分だな」
「あ、湯の花も欲しいから、その分も足して!」
「じゃあ、ちょっと良いめのそれなりに良いモノで」
私が二人のやりとりを不思議そうに眺めていると、ムミィが教えてくれた。
「僕たち神の間では〝お金〟という概念がないんです。だからいつもモノで支払うんですよ。少名毘古那だったらお米とか湯の花で支払うし、僕だったらヒトからもらったモノで支払います」
そう言って、ムミィは二つの指輪を取り出した。ひとつはハイブランドの指輪で、もうひとつはアクセシブルブランドの指輪。
「どっちがいい?」
少名毘古那は二つの見比べ、うんうん唸ってからハイブランドの指輪を手に取った。
「今日はオマケしてこっちにしといてやる」
「わっ、ほんとに!? ありがとう~!」
少名毘古那は、その指輪を空になったたばこの箱に投げ入れ、代わりに湯の花を三袋ムミィに渡した。それを受け取ったムミィが上機嫌に帰ろうとするので、私は慌てて彼の腕を掴んだ。
いくら良いお湯だったとはいえ、一回の温泉で何百万円もする指輪を取られるなんて、ぼったくりも甚だしい。
「ちょっとムミィ! あんたは知らないかもしれないけど、あの指輪はすっごく高価なやつ! 温泉入っただけであんなもの渡すなんてどうかしてるわ。あんた、騙されてるよ!」
少名毘古那とムミィはポカンと口を開けたかと思えば、二人同時に大声で笑った。
「あんたの考え方、面白いなあ! ヒトらしいというか、なんというか!」
「真白さん。僕たち神にとって、ヒトが付けた価値なんてあんまり意味がないし興味ないんですよ」
大口を開けて笑われ、バカにされているように感じてしかめっ面をしていると、少名毘古那が私の手のひらに先ほどの指輪を載せた。同じ手のひらに、ムミィももうひとつの指輪を載せる。
「この指輪はどっちも僕がヒトからもらったもの」
ムミィが言った言葉に、少名毘古那はピクッと眉を上げる。
「盗った、だろ」
「仕事の報酬さ」
ジト目を向ける私に、ムミィはごまかすように笑い、言葉を続けた。
「さっき僕が少名毘古那に渡した指輪の持ち主は、宝石がゴロゴロついた指輪を他にもたくさん持っていました。だから僕がこれをもらっても、持ち主に気付かれもしなかった。この指輪の価値は、その程度のものなんです」
次にムミィは、アクセシブルブランドの指輪を撫でる。
「これの持ち主は、一生もののつもりでこの指輪を買いました。金属アレルギーのせいで身につけられなくなってからも、とても大切にしていました」
ムミィはその時のことに思いを馳せ、うっとりした。
「持ち主はこの指輪を失くしたとすぐ気付き、何日も探してグスグス泣いていましたよ」
ドン引きしている私と少名毘古那の視線を感じハッとしたムミィは、慌てて咳ばらいをした。
「と、まあこんな感じで、僕たちにとったら、そのモノの価値とはどのくらい持ち主に愛されていたかが基準なんです! つまり、少名毘古那は僕を騙そうとなんてしていませんよ! ご安心ください、真白さん!」
目の前にいる人畜無害そうな少年が人の物を盗むような存在だと知って、安心できるわけないでしょうが。
私はムミィから一歩距離を取り、おそるおそる尋ねる。
「え……。もしかしてあんた、私の物も盗んだりした……?」
「いえいえ! まだ真白さんには報酬をいただいていませんよ!」
「まだ、ねえ……」
そういやこの子疫病神だった。良い神なわけがない。
少名毘古那が私を手招きする。
「神に大切な物を盗られないための方法を教えてやる。憑かれてる間は定期的に貢物をすることだ」
「貢物……。それって料理でも大丈夫ですかね?」
「ああ、いいじゃないか! ムミィはウツシヨの食べ物が好きだから、大概のことはそれで済ましてくれるだろうな」
私たちの内緒話にしっかり聞き耳を立てていたのか、ムミィはパッと顔を輝かせた。
「それ、いいー! 美味しい料理を食べられる僕、大切なものを盗られない真白さん! これぞウィンウィンの関係ですね!!」
「ウィンウィンと呼ぶには私が不利すぎるのよ」
上機嫌で私の腕に抱きついたムミィは、スキップしながら少名毘古那のたばこ屋をあとにした。
昨日から思っていたけれど、ムミィは家主を自分だと思っているような気がする。晩ごはんを食べたら一番風呂に入り、勝手にクローゼットを開けて私のパジャマを身につける。そして迷うことなくベッドにダイブ。最後に笑顔で「おやすみなさい、真白さん!」と言う。
「ねえ! 今日もあんたがベッドで寝るの!? 私もベッドで寝たいんですけど!」
「ごめんなさい。隣に誰かいると眠れないから……」
「ベッド以外で寝る気ないわこの人!!」
私は力ずくでベッドを奪い返そうと、ムミィの足を引っ張った。でも、ヘッドボードに掴まる彼を引きはがすことができずに断念。せめて布団だけでもと思ったのに、ムミィはそれすらも手放さなかった。
体力の限界を迎え、息を荒げてうずくまる私の傍で、ムミィは満足げに伸びをする。
「ああ~。寝る前に良い運動ができました! それでは、今度こそおやすみなさい!」
ムミィは布団に潜るなり寝息を立て始めた。もうすでに涎を垂らし、枕にシミを作っている。
ムミィが寝ている間にベッドから引きずり出そうと画策したけれど、寝ぼけた彼にアゴに蹴りを入れられて、私は泣く泣くソファで眠った。
私は、明日や将来の不安を考えてしまって寝つきが悪い。でも温泉のおかげか、この日は夢も見ずにぐっすり眠れた。ソファだったけど。ベッドで眠りたかったけど。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
処刑された令嬢、今世は聖女として幸せを掴みます!
ミズメ
恋愛
かつて侯爵令嬢マリエッタは、聖女を害したとして冤罪で処刑された。
その記憶を持ったまま、マリエッタは伯爵令嬢マリーとして生を受ける。
「このまま穏やかに暮らしたい」田舎の伯爵領で家族に囲まれのびのびと暮らしていたマリーだったが、ある日聖なる力が発現し、聖女として王の所に連れて行かれることに。玉座にいた冷徹な王は、かつてマリエッタを姉のように慕ってくれていた第二王子ヴィンセントだった。
「聖女として認めるが、必要以上の待遇はしない」
ヴィンセントと城の人々は、なぜか聖女を嫌っていて……?
●他サイトにも掲載しています。
●誤字脱字本当にすいません…!
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。

恐怖体験や殺人事件都市伝説ほかの駄文
高見 梁川
エッセイ・ノンフィクション
管理人自身の恐怖体験や、ネット上や読書で知った大量殺人犯、謎の未解決事件や歴史ミステリーなどをまとめた忘備録。
個人的な記録用のブログが削除されてしまったので、データを転載します。

裏切られた私はあなたを捨てます。
たろ
恋愛
家族が亡くなり引き取られた家には優しい年上の兄様が二人いました。
いつもそばにいてくれた優しい兄様達。
わたしは上の兄様、アレックス兄様に恋をしました。
誰にも言わず心の中だけで想っていた恋心。
13歳の時に兄様は嬉しそうに言いました。
「レイン、俺、結婚が決まったよ」
「おめでとう」
わたしの恋心は簡単に砕けて失くなった。
幼い頃、助け出されて記憶をなくして迎えられた新しい家族との日々。
ずっとこの幸せが続くと思っていたのに。
でもそれは全て嘘で塗り固められたものだった。
余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~
藤森フクロウ
ファンタジー
相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。
悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。
そこには土下座する幼女女神がいた。
『ごめんなさあああい!!!』
最初っからギャン泣きクライマックス。
社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。
真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……
そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?
ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!
第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。
♦お知らせ♦
余りモノ異世界人の自由生活、コミックス1~4巻が発売中!
漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。
よかったらお手に取っていただければ幸いです。
書籍1~7巻発売中。イラストは万冬しま先生が担当してくださっています。
第8巻は12月16日に発売予定です! 今回は天狼祭編です!
コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。
漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。
※基本予約投稿が多いです。
たまに失敗してトチ狂ったことになっています。
原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。
現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
21時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

【完結】妊娠した愛妾の暗殺を疑われたのは、心優しき正妃様でした。〜さよなら陛下。貴方の事を愛していた私はもういないの〜
五月ふう
恋愛
「アリス……!!君がロゼッタの食事に毒を入れたんだろ……?自分の『正妃』としての地位がそんなに大切なのか?!」
今日は正妃アリスの誕生日を祝うパーティ。園庭には正妃の誕生日を祝うため、大勢の貴族たちが集まっている。主役である正妃アリスは自ら料理を作り、皆にふるまっていた。
「私は……ロゼッタの食事に毒を入れていないわ。」
アリスは毅然とした表情を浮かべて、はっきりとした口調で答えた。
銀色の髪に、透き通った緑の瞳を持つアリス。22歳を迎えたアリスは、多くの国民に慕われている。
「でもロゼッタが倒れたのは……君が作った料理を食べた直後だ!アリス……君は嫉妬に狂って、ロゼッタを傷つけたんだ‼僕の最愛の人を‼」
「まだ……毒を盛られたと決まったわけじゃないでしょう?ロゼッタが単に貧血で倒れた可能性もあるし……。」
突如倒れたロゼッタは医務室に運ばれ、現在看護を受けている。
「いや違う!それまで愛らしく微笑んでいたロゼッタが、突然血を吐いて倒れたんだぞ‼君が食事に何かを仕込んだんだ‼」
「落ち着いて……レオ……。」
「ロゼッタだけでなく、僕たちの子供まで亡き者にするつもりだったのだな‼」
愛人ロゼッタがレオナルドの子供を妊娠したとわかったのは、つい一週間前のことだ。ロゼッタは下級貴族の娘であり、本来ならばレオナルドと結ばれる身分ではなかった。
だが、正妃アリスには子供がいない。ロゼッタの存在はスウェルド王家にとって、重要なものとなっていた。国王レオナルドは、アリスのことを信じようとしない。
正妃の地位を剥奪され、牢屋に入れられることを予期したアリスはーーーー。

【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる