【完結】またたく星空の下

mazecco

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プロローグ

第1話 星のチョウ

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 小さな星が集まって、チョウのように飛び立った。広がり落ちる星たちは会場にいる人たちの指に止まり、すぅっと胸の中に溶けていく。
 真っ白な太陽が照り付ける八月におこなわれた、吹奏楽コンクール。
 客席に座っているのは、聴き慣れないクラシックな音楽にあくびを噛み締める人、ソロの音色に惚れ惚れする人、我が子が演奏する姿を食い入るように見つめている人など、さまざまだ。

 そんな中、冴えない女子生徒はほとんど誰にも注目されないまま大仕事を終えた。彼女はふぅ、と安堵のため息を吐き、クラッシュシンバルをスタンドに戻す。

 五分間の曲の中でたった一度しか出番がないクラッシュシンバル。彼女がその一音に込めたのは、シンバルへの熱い想いと、ほんの少しの初恋の響き。
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