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決戦編:来客
うるせぇーーーーー!!!
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「くそっ……!」
地面に拳を打ち付けるカミーユに、ヴィクスが畳みかける。
「君がS級冒険者のリーダーになった理由は、全てシャナのためだろう? シャナと結婚をするため。そして、シャナの家族を殺したヒト型魔物を倒すため」
「おい……! なんでそんなことまでお前が知ってるんだ!? こんな、ユーリにさえ言ってなかったことを……!」
「シルヴェストルに教えてもらったんだ。彼はシャナの追っかけだからね。彼女のことを、彼はこの二百五十年間ずっと見ていた。彼は君たちのことを何でも知っているよ。君たちの好きな食べ物、好きな本、そして……一番大切な存在の事も」
「っ……」
ヴィクスはちらりとユーリに視線を送り、微笑んでみせた。
カミーユとシャナの顔面が蒼白になる。
「お、おい……まさか、ユーリのことも……?」
「嘘でしょう……そんな……」
「そのまさかだよ。シルヴェストルはね、あの日からシャナのことを忘れられないんだ。君の……絶望に打ちひしがれた顔をね」
「……」
「彼は口癖のようにこう言っていた――〝もう一度、シャナのあの顔が見たい〟」
「ちょっ……と、待って……?」
続きを聞きたくないと、シャナは耳を塞ぐが、ヴィクスは話すのをやめない。
「シルヴェストルはこうも言っていた。〝カミーユを殺し、シャナが夫を失った傷から立ち直りかけたときに、フォントメウの残りの家族と、ユーリを殺したい〟とね」
「そんなっ……」
ワッと泣き出したシャナを、アーサーとモニカが抱きしめる。双子は怒りを抑えきれず、ギリギリと歯ぎしりをしてヴィクスを睨みつけていた。
だがヴィクスは彼らと目線を合わさず、もう一度カミーユに問いかける。
「さあカミーユ。もう一度聞こうか。これでも君は、僕の指定依頼を断るかい?」
「こんの……っ」
「お兄さまとお姉さまのため、そしてシャナのため、仇討のために、この指定依頼を受けてくれないかな」
カミーユは血が滲むほど唇を強く噛んだ。
己の復讐のためだけに、こんな危険な場所に、パーティメンバーやクルドを巻き込むわけにはいかない。
だが、カミーユが一人で戦っても死ぬだけなのは明白。
葛藤するカミーユの心の中を覗いたかのように、ヴィクスは他のメンバーも焚きつける。
「安心して。この依頼を受けたいと思うのは、きっとカミーユだけじゃないよ。……ジル、裏S級には君のお兄さんもいるよ」
「……」
「ジルのお兄さん……マルムは、過去にミントの家族も暗殺しているね」
「「え……」」
「カトリナとサンプソン、君たちの仲を違わせた……、そしてマデリア、君に魔物の体を移植させた、サイコパスな魔術師もいる」
「「「……」」」
「あとはヴァラアリアだけど、彼は特段君たちと関係性があるわけじゃないね。ただ、彼はお兄さまとお姉さまをひどい目に遭わせた張本人だ」
「くっ……」
「クルドとブルギー、そしてリアーナと彼らの関係性は、残念ながら見いだせなかった。だからこうしようか」
「……」
「クルド。この依頼を受けないのなら、裏S級にダフを殺させるよ」
「……んだとっ……」
「ブルギー、この依頼を受けないのなら、裏S級に君の故郷に暮らす人々を惨殺させる」
「はぁっ……!?」
「リアーナ、この依頼を受けないのならーー」
「うるせぇーーーーーー!!」
ヴィクスの言葉を遮り、リアーナが大声で叫ぶ。
「脅されなくたってなあ! やってやるっつーの!! あたしにとったらシャナとカミーユは親代わりみたいなもんなんだよ!! こいつらの仇討だったら、喜んでやってやる!!」
「それは心強い。君にはいてもらわないと困るんだ。だって聖魔法と反魔法を使える稀少な冒険者なんだかーー」
「うるせぇーーーーー!!」
「……」
「ずっと思ってたけどよ! 気に食わねえなあお前!! アーサーとモニカが好きなら、こいつらの前でこんな脅し使うんじゃねえよ!! やるなら今までみたいに陰でやれや!! 見てみろよこいつらの顔!!」
「……」
ヴィクスは顔を動かさず、目だけを双子に向けた。
先ほどまでのフィック(ヴィクス)と再会できて喜んでいた表情とは打って変わり、怒りと苦しみで顔を歪めている。
リアーナは、よそ見をしていたヴィクスの胸ぐらを掴み、唾がかかりそうなほど顔を近づける。
「あいつらはお前とちがって、きたねえことに耐性がねえんだよ。お前、あいつらの命は守ろうと必死のようだが、あいつらの心を守ろうとしたことがあるか?」
「……」
「自分の弟が、親のように慕ってるやつらの弱みにつけこんで脅してる姿を見て、あいつらがどれほど傷つくか、お前は考えたことがあるか!?」
「……そんな優しさなんて、僕は持ち合わせていない」
「あぁっ!?」
「勘違いしないで、リアーナ。僕は決して君たちの味方ではないし、善人でもない」
ヴィクスはダフに命じ、リアーナを離れさせた。
そして深呼吸をして、目の前にいる人たちに冷たい目を向ける。
「僕に人の心を慮るよう説教するなんて、君たちはまだまだ僕のことを分かっていないようだね」
ヴィクスが立ち上がり、ダフに合図をする。
「それじゃあ、明日の昼までに返事をくれるかな。また来るよ」
複雑な表情を浮かべるダフの前を歩くヴィクスは、振り返ることなくアジトを出た。
地面に拳を打ち付けるカミーユに、ヴィクスが畳みかける。
「君がS級冒険者のリーダーになった理由は、全てシャナのためだろう? シャナと結婚をするため。そして、シャナの家族を殺したヒト型魔物を倒すため」
「おい……! なんでそんなことまでお前が知ってるんだ!? こんな、ユーリにさえ言ってなかったことを……!」
「シルヴェストルに教えてもらったんだ。彼はシャナの追っかけだからね。彼女のことを、彼はこの二百五十年間ずっと見ていた。彼は君たちのことを何でも知っているよ。君たちの好きな食べ物、好きな本、そして……一番大切な存在の事も」
「っ……」
ヴィクスはちらりとユーリに視線を送り、微笑んでみせた。
カミーユとシャナの顔面が蒼白になる。
「お、おい……まさか、ユーリのことも……?」
「嘘でしょう……そんな……」
「そのまさかだよ。シルヴェストルはね、あの日からシャナのことを忘れられないんだ。君の……絶望に打ちひしがれた顔をね」
「……」
「彼は口癖のようにこう言っていた――〝もう一度、シャナのあの顔が見たい〟」
「ちょっ……と、待って……?」
続きを聞きたくないと、シャナは耳を塞ぐが、ヴィクスは話すのをやめない。
「シルヴェストルはこうも言っていた。〝カミーユを殺し、シャナが夫を失った傷から立ち直りかけたときに、フォントメウの残りの家族と、ユーリを殺したい〟とね」
「そんなっ……」
ワッと泣き出したシャナを、アーサーとモニカが抱きしめる。双子は怒りを抑えきれず、ギリギリと歯ぎしりをしてヴィクスを睨みつけていた。
だがヴィクスは彼らと目線を合わさず、もう一度カミーユに問いかける。
「さあカミーユ。もう一度聞こうか。これでも君は、僕の指定依頼を断るかい?」
「こんの……っ」
「お兄さまとお姉さまのため、そしてシャナのため、仇討のために、この指定依頼を受けてくれないかな」
カミーユは血が滲むほど唇を強く噛んだ。
己の復讐のためだけに、こんな危険な場所に、パーティメンバーやクルドを巻き込むわけにはいかない。
だが、カミーユが一人で戦っても死ぬだけなのは明白。
葛藤するカミーユの心の中を覗いたかのように、ヴィクスは他のメンバーも焚きつける。
「安心して。この依頼を受けたいと思うのは、きっとカミーユだけじゃないよ。……ジル、裏S級には君のお兄さんもいるよ」
「……」
「ジルのお兄さん……マルムは、過去にミントの家族も暗殺しているね」
「「え……」」
「カトリナとサンプソン、君たちの仲を違わせた……、そしてマデリア、君に魔物の体を移植させた、サイコパスな魔術師もいる」
「「「……」」」
「あとはヴァラアリアだけど、彼は特段君たちと関係性があるわけじゃないね。ただ、彼はお兄さまとお姉さまをひどい目に遭わせた張本人だ」
「くっ……」
「クルドとブルギー、そしてリアーナと彼らの関係性は、残念ながら見いだせなかった。だからこうしようか」
「……」
「クルド。この依頼を受けないのなら、裏S級にダフを殺させるよ」
「……んだとっ……」
「ブルギー、この依頼を受けないのなら、裏S級に君の故郷に暮らす人々を惨殺させる」
「はぁっ……!?」
「リアーナ、この依頼を受けないのならーー」
「うるせぇーーーーーー!!」
ヴィクスの言葉を遮り、リアーナが大声で叫ぶ。
「脅されなくたってなあ! やってやるっつーの!! あたしにとったらシャナとカミーユは親代わりみたいなもんなんだよ!! こいつらの仇討だったら、喜んでやってやる!!」
「それは心強い。君にはいてもらわないと困るんだ。だって聖魔法と反魔法を使える稀少な冒険者なんだかーー」
「うるせぇーーーーー!!」
「……」
「ずっと思ってたけどよ! 気に食わねえなあお前!! アーサーとモニカが好きなら、こいつらの前でこんな脅し使うんじゃねえよ!! やるなら今までみたいに陰でやれや!! 見てみろよこいつらの顔!!」
「……」
ヴィクスは顔を動かさず、目だけを双子に向けた。
先ほどまでのフィック(ヴィクス)と再会できて喜んでいた表情とは打って変わり、怒りと苦しみで顔を歪めている。
リアーナは、よそ見をしていたヴィクスの胸ぐらを掴み、唾がかかりそうなほど顔を近づける。
「あいつらはお前とちがって、きたねえことに耐性がねえんだよ。お前、あいつらの命は守ろうと必死のようだが、あいつらの心を守ろうとしたことがあるか?」
「……」
「自分の弟が、親のように慕ってるやつらの弱みにつけこんで脅してる姿を見て、あいつらがどれほど傷つくか、お前は考えたことがあるか!?」
「……そんな優しさなんて、僕は持ち合わせていない」
「あぁっ!?」
「勘違いしないで、リアーナ。僕は決して君たちの味方ではないし、善人でもない」
ヴィクスはダフに命じ、リアーナを離れさせた。
そして深呼吸をして、目の前にいる人たちに冷たい目を向ける。
「僕に人の心を慮るよう説教するなんて、君たちはまだまだ僕のことを分かっていないようだね」
ヴィクスが立ち上がり、ダフに合図をする。
「それじゃあ、明日の昼までに返事をくれるかな。また来るよ」
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