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魔女編:合同クエスト

家具を買いに行きました

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 その日双子はギルドでカミーユたちとお喋りをしていた。ただの雑談の他に、カミーユたちがこれから受ける仕事のこと、近隣の町についてなど、さまざまな事を教えてもらっていた。
 そしてその元に、待ちに待った伝書インコがやってきた。

 《イエ カンセイ ミセ コイ》

「家!!!!」
「ドワーフのおじさんからだ!!」
「おお!完成したのか」

 双子はカミーユたちに別れを告げ、ギルドを出た。

「楽しみだなあ!」

 アーサーがニヤニヤしている。

「ねえ、家具を揃えたら、みんなを呼んでパーティーしようよ!」
「賛成!!」

 店に向かいながら、どんな家具を買おう、どんなパーティーにしようと想像を膨らませた。

「お、来たな」

 ドワーフがニッとして立ち上がる。「ついてこい」と言い、新居へ二人を案内した。

「わぁ…!」

 木の塀に囲まれた双子の敷地に入ると、広い庭の向こうにレンガ造りの家が建っていた。レンガの壁のてっぺんに、ちょこんと赤い屋根が乗っている。

 ドワーフが二人に中を案内した。
 ドアを入ってすぐ、ダイニングが広がっている。ダイニングの右側のドアを開けると客室があった。窓が多く開放感がある。ダイニングの左側のドアの先には、倉庫がある。壁に棚が設置されていて便利に使えそうだった。ダイニングの奥には二つのドアあった。ひとつはトイレで、もうひとつは浴室だった。浴室は、小さな脱衣所があり、その先に体を洗うスペースと浴槽がある。浴槽は大人二人が入れる広さで双子は大喜びした。

 二階に上がると、双子の寝室と、もうひとつの客室、調合室、薬素材置き場、トイレがあった。寝室と客室は太陽の光が入る場所に位置している。調合室は広く、薬素材置き場は一面棚が設置されており、たっぷり素材が置ける仕様になっていた。

 双子はおおはしゃぎで新居を探検し、ここに何を置こう、何色のものを置こうなど話し合った。

「どうだ。満足してくれたかな」
「うん!とっても!!」

 アーサーとモニカは元気いっぱいに答えた。ドワーフが腰に手を置いて大声で笑った。

「そいつぁ嬉しいぜ!それにしても2年半前はたった金貨20枚握りしめて家買いに来たってぇのに、今や白金貨300枚の家をポーンと建てちまうんだもんなあ。大したもんだ」

 そう言って双子に鍵を渡し、ドワーフは店へ帰っていった。アーサーとモニカはしばらく新居をみまわしたあと、宿に戻った。家具は揃うまでは当分宿暮らしだ。

 宿へ戻り、アーサーは所持金の確認をした。硬貨を入れた袋を7つ取り出し、一枚ずつ数えていく。

「白金貨328枚と、金貨5枚、大銀貨5枚、小銀貨2枚、銅貨3枚…と、カミーユからもらった白金貨200枚」
「これだけあれば家具も思う存分買えるね!ねえ、せっかくだったら服もたくさん買おうよ!私もっと欲しい」
「いいね!ほしいもの全部買っちゃおう!」

 双子はわくわくしながら布団にもぐった。

 ◇◇◇

 次の日、二人は朝から町へ飛び出した。まず、ドワーフに紹介してもらった家具屋に入る。そこはドワーフの女性
 が店主をしていた。

「いらっしゃい。ゆっくりしてってね」

 ドワーフはみんな不愛想だと思っていたが、家具屋のおばさんはとても愛想が良かった。
 アーサーとモニカはまずベッドを選ぶことにした。実際に寝っ転がってみて、寝心地を確かめる。アーサーは少し固め、モニカはすごく柔らかめ、客室用のものは無難に普通の物を選んだ。
 その他にも、クローゼット、ダイニングテーブル、ランプ、ソファなど必要な家具一式を半日かけて選んだ。家具屋でかかった費用は金貨982枚だった。家具は明日運び込んでくれるとのことだ。

 その後、双子は生活用品や洋服を買い足した。服屋を出たときには夜になっていた。
 帰り道を歩いていると、モニカがある店の前で立ち止まった。ショーウィンドウに並んでいるコスメをじっと見ている。

「入ってみる?」

 アーサーが声をかけると、モニカは顔を赤くして「い、いいかな?」と遠慮がちに言った。アーサーはニッコリ笑ってモニカの手を引き店に入った。

「いらっしゃい!あらまあ素敵なお客さんがご来店♪」

 スタイルの良いエルフが双子の肩を抱いて店の真ん中まで案内した。エルフからフローラルの良い香りがする。

「さて王子様とお姫様、今日は何をお求めで?」
「?!」

 二人が驚いて咄嗟に武器に手をかけると、エルフが「え?!」と固まった。

「何者だ?」

 アーサーが低い声で唸るが、首をかしげるエルフ。そして「そういうことね!」と手を叩いた。

「ああ、ごめんなさいね。気付いてあげられなくて。王子様とお姫様ごっこをしたかったのね。もう一回始めからしてくれるかしら?次は上手に演じて見せるわ」
「?」

 双子は目を見合わせる。何か話が食い違っている気がする。

「あの、もしかしてお客さんのことそう呼んでるんですか?」
「ええそうよ。ここは美容のお店。ここに来られる方はみーんな王子様とお姫様よ」
「なぁーんだ!」

 アーサーとモニカはホッと胸をなでおろして武器から手を離した。「あれ?ごっこ遊びはもういいの?」と尋ねるエルフに「うん!楽しかった!」と答えてごまかした。

「では仕切り直しね。王子様とお姫様、今日は何をお求めで?」
「モニカ、何が欲しいの?」
「えっと、ブラシと、いい匂いがする石鹸と、髪を梳かすオイルがほしいな」
「はぁーい!ではお姫様、こちらに来てちょうだい」

 案内された先には、20種類もの石鹸が並んでいた。バラの香り、ユリの香り、ラベンダーの香りなどさまざまだ。
 モニカはひとつずつ匂いを嗅ぎ、最終的にユリの香りの石鹸を5つ購入した。楽しそうに選んでいる妹の様子を見ていると、アーサーも自分の石鹸が欲しくなり、オレンジの香りのものを買った。
 その他には細かい装飾が施されたブラシや、ヒマワリ油のヘアオイルなどを購入した。
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