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画廊編:4人での日々
アーサーの取り合い
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ポルの部屋へ行ったアーサーは、早々にドレスを脱がされて男の子の姿に戻っていた。朝食を食べたばかりなのに、二人でベッドに潜り込み二度寝を試みる。ポルはアーサーの胸の中で心地よさそうに目を瞑っていたが、一方アーサーはジュリアに兄だと気付かれたのではないかと考えてしまい眠気は一向に訪れなかった。
(うわぁ…。ジュリアにまでバレちゃったらいよいよまずいよ…。ヴィクスに話がいっちゃうかもしれないし、そうなったら国王と王妃の耳にも入るよね…。僕たちが王子と王女と仲良くしてるって知られたらそれこそ殺されちゃう…)
そのとき、ポルの部屋をノックする音が聞こえた。アーサーは頭を持ち上げてドアの方を見る。ゆっくりと開いたドアの隙間から、ウィルクが顔をのぞかせた。
「ウィルク?どうしたの?」
「あっ…。えっと…。少し…お兄さまが恋しくなって…。ポルの部屋へ入っていったと聞いたので、来てしまいました。返事も待たずにドアを開けて申し訳ありません」
「大丈夫だよ。でもポルが寝てるから静かにね」
「え?」
アーサーは指を唇に当てて「シー」と合図をした。そこで兄しか見ていなかったウィルクの視界にポルの姿が映った。アーサーにべったりくっつき、幸せそうに胸に頭をうずめながら寝息を立てている。
「……」
「ウィルク?」
ふくれっ面をしたウィルクがドタドタと足音を立ててベッドまで歩いてきた。横になっているアーサーとポルを見下ろす彼の目は、かつてのワガママウィルクと同じだった。
「おいそこの」
「……」
「おい!!聞いているのか!!」
「ちょ、ちょっとウィルク…。寝てるから静かにって…」
「…なに。うるさ…」
怒鳴り声に目を覚ましたポルが、目をこすりながら声の主を見上げた。それがウィルクだと分かった彼は、顔をしかめてアーサーに抱きついた。
「なんだ、おまえか」
「おまえとはなんだ。誰に向かって口を聞いている」
「ウィルク!どうしたの急に!そんなこと言うのよくないよ!」
「お兄さまもお兄さまです!!なぜこのような薄汚い子どもと抱き合って寝ているのですか!!」
「だ、抱き合って!?言い方が良くないよ!!」
「僕という弟がいるのに!!お兄さまは僕をほったらかしにして、こんな子どもと寝ているなんて!!」
「ポルのことを”こんな子ども”なんて言わないで!!僕にとって大事な子なんだから!!」
「なぁっ…」
ポルを庇うアーサーに、ウィルクは眩暈がした。
(お兄さまが僕よりこの子どもを選んだ。実の弟の僕よりも、赤の他人の子どもをぉぉ…っ)
選ばれたポルは、勝ち誇った顔でニヤァと笑った。
「へへ。アーサーは俺のものだからな。横取りするな」
「お兄さまは僕のものだ!!うぬぼれるな!!」
「わぁー…」
これはえらいことになったぞ、とアーサーは顔を青くした。はじめは年上のウィルクに引いてもらおうと説得していたが、兄を取られてしまうと不安になったウィルクが大人になれるはずがなく失敗に終わった。
インコを取り出しかねないと思い、今度はポルを説得しようとした。今では世界で一番だいすきなアーサーを手放せるわけがなく、これも失敗した。
ウィルクとポルはアーサーを挟んで激しい言い争いをした。すべてを諦めたアーサーは、彼らの間で菩薩のような顔をして遠い場所を眺めていた。
「だから離れろと言っているんだ!!平民風情が僕のものに手を出すな!!」
「アーサーは俺のものだっていてるだろ!!弟だからっていつまでも兄ちゃんにくっついてんじゃねえよ!!俺より年上のくせにみっともない!!」
「ちょっと待ちなさーーーーい!!!」
騒ぎを聞きつけたのか、モニカがぷんぷんしながらドアを乱暴に開けた。叱られると思ったウィルクとポルは、ヒッと恐怖の声を漏らしてアーサーにしがみついた。モニカを怒らせたら怖いことは、ウィルクもポルも充分知っていた。
予想通り、モニカは氷魔法を纏っていた。カツカツと部屋へ入り、ウィルクとポルの頭をペチペチとはたいた。二人をベッドから追い払い、頬を膨らませながらアーサーを抱き寄せてこう叫ぶ。
「アーサーは私のものだもん!!!」
「えええー!?」
「どうしてアーサーが驚いてるのよ!!」
「いや!!ここは二人のケンカをやめさせてそれで終わりでいいでしょ!?どうしてケンカに参加しちゃうの!?」
「だって二人がおかしなことを言ってるから!!」
「おかしなことではありませんお姉さま!!確かにお兄さまはお姉さまのものでもありますが、次に僕のものなんです!!」
「なに言ってるんだ。アーサーはモニカでもウィリーのものでもない。俺のものだしここは俺の部屋なんだぞ!早くここから出て行けよぉっ」
「ちがうわ!!アーサーは私だけのものだもんー!!」
アーサーは寝ることにした。目が覚めたらきっとケンカもおさまって仲直りしてるだろう。僕はどこでも眠れるのが特技なんだ。例え僕のまわりで僕を取り合ってる子たちが3人暴れまわってたって、きっと眠れる。そう考えながらそっと目を瞑った。
一方アーサー大好きっこたちは壮絶な戦いを繰り広げていた。勇敢にもポルがモニカをポカポカと殴ったが、合宿で体を鍛えられたモニカには1ミリもダメージが通らない。
姉を殴られ、ウィルクが怒ってポルの頬に平手打ちを食らわせた。「いってえな!!」と叫びながらポルがウィルクの股間を蹴り上げる。ウィルクはしばらく床に倒れこんでヒクヒク痙攣をしていた。
モニカだって容赦なしだ。ウィルクとポルがアーサーに手を伸ばそうものなら、腕をひねりあげられてギブアップするまで離してくれなかった。
(うわぁ…。ジュリアにまでバレちゃったらいよいよまずいよ…。ヴィクスに話がいっちゃうかもしれないし、そうなったら国王と王妃の耳にも入るよね…。僕たちが王子と王女と仲良くしてるって知られたらそれこそ殺されちゃう…)
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「ウィルク?どうしたの?」
「あっ…。えっと…。少し…お兄さまが恋しくなって…。ポルの部屋へ入っていったと聞いたので、来てしまいました。返事も待たずにドアを開けて申し訳ありません」
「大丈夫だよ。でもポルが寝てるから静かにね」
「え?」
アーサーは指を唇に当てて「シー」と合図をした。そこで兄しか見ていなかったウィルクの視界にポルの姿が映った。アーサーにべったりくっつき、幸せそうに胸に頭をうずめながら寝息を立てている。
「……」
「ウィルク?」
ふくれっ面をしたウィルクがドタドタと足音を立ててベッドまで歩いてきた。横になっているアーサーとポルを見下ろす彼の目は、かつてのワガママウィルクと同じだった。
「おいそこの」
「……」
「おい!!聞いているのか!!」
「ちょ、ちょっとウィルク…。寝てるから静かにって…」
「…なに。うるさ…」
怒鳴り声に目を覚ましたポルが、目をこすりながら声の主を見上げた。それがウィルクだと分かった彼は、顔をしかめてアーサーに抱きついた。
「なんだ、おまえか」
「おまえとはなんだ。誰に向かって口を聞いている」
「ウィルク!どうしたの急に!そんなこと言うのよくないよ!」
「お兄さまもお兄さまです!!なぜこのような薄汚い子どもと抱き合って寝ているのですか!!」
「だ、抱き合って!?言い方が良くないよ!!」
「僕という弟がいるのに!!お兄さまは僕をほったらかしにして、こんな子どもと寝ているなんて!!」
「ポルのことを”こんな子ども”なんて言わないで!!僕にとって大事な子なんだから!!」
「なぁっ…」
ポルを庇うアーサーに、ウィルクは眩暈がした。
(お兄さまが僕よりこの子どもを選んだ。実の弟の僕よりも、赤の他人の子どもをぉぉ…っ)
選ばれたポルは、勝ち誇った顔でニヤァと笑った。
「へへ。アーサーは俺のものだからな。横取りするな」
「お兄さまは僕のものだ!!うぬぼれるな!!」
「わぁー…」
これはえらいことになったぞ、とアーサーは顔を青くした。はじめは年上のウィルクに引いてもらおうと説得していたが、兄を取られてしまうと不安になったウィルクが大人になれるはずがなく失敗に終わった。
インコを取り出しかねないと思い、今度はポルを説得しようとした。今では世界で一番だいすきなアーサーを手放せるわけがなく、これも失敗した。
ウィルクとポルはアーサーを挟んで激しい言い争いをした。すべてを諦めたアーサーは、彼らの間で菩薩のような顔をして遠い場所を眺めていた。
「だから離れろと言っているんだ!!平民風情が僕のものに手を出すな!!」
「アーサーは俺のものだっていてるだろ!!弟だからっていつまでも兄ちゃんにくっついてんじゃねえよ!!俺より年上のくせにみっともない!!」
「ちょっと待ちなさーーーーい!!!」
騒ぎを聞きつけたのか、モニカがぷんぷんしながらドアを乱暴に開けた。叱られると思ったウィルクとポルは、ヒッと恐怖の声を漏らしてアーサーにしがみついた。モニカを怒らせたら怖いことは、ウィルクもポルも充分知っていた。
予想通り、モニカは氷魔法を纏っていた。カツカツと部屋へ入り、ウィルクとポルの頭をペチペチとはたいた。二人をベッドから追い払い、頬を膨らませながらアーサーを抱き寄せてこう叫ぶ。
「アーサーは私のものだもん!!!」
「えええー!?」
「どうしてアーサーが驚いてるのよ!!」
「いや!!ここは二人のケンカをやめさせてそれで終わりでいいでしょ!?どうしてケンカに参加しちゃうの!?」
「だって二人がおかしなことを言ってるから!!」
「おかしなことではありませんお姉さま!!確かにお兄さまはお姉さまのものでもありますが、次に僕のものなんです!!」
「なに言ってるんだ。アーサーはモニカでもウィリーのものでもない。俺のものだしここは俺の部屋なんだぞ!早くここから出て行けよぉっ」
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姉を殴られ、ウィルクが怒ってポルの頬に平手打ちを食らわせた。「いってえな!!」と叫びながらポルがウィルクの股間を蹴り上げる。ウィルクはしばらく床に倒れこんでヒクヒク痙攣をしていた。
モニカだって容赦なしだ。ウィルクとポルがアーサーに手を伸ばそうものなら、腕をひねりあげられてギブアップするまで離してくれなかった。
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