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画廊編:4人での日々
4人でトロワ
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翌朝、アビーの姿になったアーサーを見たオリバ家と王女王子は、呆けたようにかたまった。
カツラをかぶり、化粧をしてスカートを身に着けたアーサーはどこからどうみても女の子にしか見えない。仕草や振る舞いまでもが女性そのものだった。
「おはようございます、みなさま」
「……」
スカートをちょんとつまみ挨拶をするアビー。ウィルクだけでなく、リーノまでもが頬を赤らめている。オリバ婦人とジュリアはキャーキャー騒いでアビーの周りを飛び跳ねた。オリバ男爵はアビーの手を取り、「リーノと結婚しないか?」と言い出す始末だ。
「父さん!!こう見えてもこの子は男の子なんだぞ!!変なこと言わないでください!!」
「本当に男の子なのかい?アーサーは本当に男の子なのか!?」
「男だよ!!一緒に風呂入ったことあるから知ってるよ!!かろうじてついてるよ!!」
「かろうじてってなにリーノ!ひどい!!」
アビーがぷぅっと頬を膨らませた。それもまたかわいらしかったらしく、男性陣の頭から湯気が出ている。なにをしても夢中にさせてしまうと危機感を抱き、モニカの手を引き逃げるように馬車へ飛び乗った。ウィルクとジュリアもあとを追い、4人が乗った馬車が走り出した。
◇◇◇
「これは…」
トロワ貧困層の門をくぐったジュリアは目をしばたかせた。想像していた町と180度違い、発展途上だが活気があった。建物や舗装は白を基調としており清潔感がある。できたばかりなのであろう広場には、色とりどりの花が咲いていた。そこでは追いかけっこをしている子どもたちや、楽器の練習をしている人たち、それに合わせて踊っている人たちもいる。
「どこが疫病が蔓延しそうな町なのですか?お姉さま」
ウィルクがニヤニヤしながら姉の腕を小突いた。ジュリアは弟を睨みつけ、ふいと顔を背ける。
「ありえない。見渡せる範囲だけでも、施設はすべてここ数年で建ったばかりのものだわ…。たった4年でここまで町をつくりかえてしまうなんて…。費用もバカにならないでしょうに…」
「結構かかったねー」
「まだまだ施設増やしたいねー」
「お兄さま、お姉さま…。まさかこの施設もあなたたちが費用を出して…?」
「うん!」
「広場はカトリナとジルが建ててくれたんだ!」
「……」
唖然として町を見渡すウィルクとジュリア。双子が冒険者をしていることしか知らないウィルクは(冒険者業だけで町を作り変えるほどの稼ぎがあるのだろうか)と不思議に思った。一方エリクサー業をしていることを知っていたジュリアは(エリクサーの稼ぎがあれば可能でしょうけど、どうしてわざわざ他人の領地に莫大なお金をかけたのかしら)と考え込んだ。
そんな二人の手を引き、アーサーとモニカはトロワ貧困層を見せて回った。一番の自慢である美術館をまっさきに案内して、館内の絵画を自慢した。
「どう!?いいでしょー!?」
「え、ええ…。素敵ですわね」
「あ!お兄さま!この絵、以前僕がいただいた絵に雰囲気が似ています!」
「わー!ウィルクすごいね!そう、リュノの絵だよ!素敵でしょー!」
アーサーの頭をわしゃわしゃと撫でられて、ウィルクは嬉しそうに笑った。それからも彼はアーサーの腕にしがみつき離れなかった。
モニカはジュリアと一緒に回っていた。妹がクロネたちの絵をあまりよく思っていないことに気付いた彼女は、そっと手を繋いで小さな声で尋ねた。
「ジュリア、あんまりこの絵好きじゃない?」
「あっ、い、いえ!とても素敵ですわ!」
「無理しなくていいよ。好ききらいがあるのはわるいことじゃないわ」
「あ…。も、申し訳ありません…。わたくし、アカデミックな絵を見慣れているもので…」
「うんうん!カトリナもそう言ってたよ!アカデミックな絵を見慣れてる人はね、なかなかこの絵を受け入れられないって。だから気にしないでね」
「はい…。ありがとうございます」
モニカとジュリアはゆっくりと歩き絵を順番に見ていた。遠くでアーサーとウィルクがはしゃいでいる声が聞こえてきて、二人が同時に「あんのばか…」と呟き、目を見合わせてクスクス笑った。
カツラをかぶり、化粧をしてスカートを身に着けたアーサーはどこからどうみても女の子にしか見えない。仕草や振る舞いまでもが女性そのものだった。
「おはようございます、みなさま」
「……」
スカートをちょんとつまみ挨拶をするアビー。ウィルクだけでなく、リーノまでもが頬を赤らめている。オリバ婦人とジュリアはキャーキャー騒いでアビーの周りを飛び跳ねた。オリバ男爵はアビーの手を取り、「リーノと結婚しないか?」と言い出す始末だ。
「父さん!!こう見えてもこの子は男の子なんだぞ!!変なこと言わないでください!!」
「本当に男の子なのかい?アーサーは本当に男の子なのか!?」
「男だよ!!一緒に風呂入ったことあるから知ってるよ!!かろうじてついてるよ!!」
「かろうじてってなにリーノ!ひどい!!」
アビーがぷぅっと頬を膨らませた。それもまたかわいらしかったらしく、男性陣の頭から湯気が出ている。なにをしても夢中にさせてしまうと危機感を抱き、モニカの手を引き逃げるように馬車へ飛び乗った。ウィルクとジュリアもあとを追い、4人が乗った馬車が走り出した。
◇◇◇
「これは…」
トロワ貧困層の門をくぐったジュリアは目をしばたかせた。想像していた町と180度違い、発展途上だが活気があった。建物や舗装は白を基調としており清潔感がある。できたばかりなのであろう広場には、色とりどりの花が咲いていた。そこでは追いかけっこをしている子どもたちや、楽器の練習をしている人たち、それに合わせて踊っている人たちもいる。
「どこが疫病が蔓延しそうな町なのですか?お姉さま」
ウィルクがニヤニヤしながら姉の腕を小突いた。ジュリアは弟を睨みつけ、ふいと顔を背ける。
「ありえない。見渡せる範囲だけでも、施設はすべてここ数年で建ったばかりのものだわ…。たった4年でここまで町をつくりかえてしまうなんて…。費用もバカにならないでしょうに…」
「結構かかったねー」
「まだまだ施設増やしたいねー」
「お兄さま、お姉さま…。まさかこの施設もあなたたちが費用を出して…?」
「うん!」
「広場はカトリナとジルが建ててくれたんだ!」
「……」
唖然として町を見渡すウィルクとジュリア。双子が冒険者をしていることしか知らないウィルクは(冒険者業だけで町を作り変えるほどの稼ぎがあるのだろうか)と不思議に思った。一方エリクサー業をしていることを知っていたジュリアは(エリクサーの稼ぎがあれば可能でしょうけど、どうしてわざわざ他人の領地に莫大なお金をかけたのかしら)と考え込んだ。
そんな二人の手を引き、アーサーとモニカはトロワ貧困層を見せて回った。一番の自慢である美術館をまっさきに案内して、館内の絵画を自慢した。
「どう!?いいでしょー!?」
「え、ええ…。素敵ですわね」
「あ!お兄さま!この絵、以前僕がいただいた絵に雰囲気が似ています!」
「わー!ウィルクすごいね!そう、リュノの絵だよ!素敵でしょー!」
アーサーの頭をわしゃわしゃと撫でられて、ウィルクは嬉しそうに笑った。それからも彼はアーサーの腕にしがみつき離れなかった。
モニカはジュリアと一緒に回っていた。妹がクロネたちの絵をあまりよく思っていないことに気付いた彼女は、そっと手を繋いで小さな声で尋ねた。
「ジュリア、あんまりこの絵好きじゃない?」
「あっ、い、いえ!とても素敵ですわ!」
「無理しなくていいよ。好ききらいがあるのはわるいことじゃないわ」
「あ…。も、申し訳ありません…。わたくし、アカデミックな絵を見慣れているもので…」
「うんうん!カトリナもそう言ってたよ!アカデミックな絵を見慣れてる人はね、なかなかこの絵を受け入れられないって。だから気にしないでね」
「はい…。ありがとうございます」
モニカとジュリアはゆっくりと歩き絵を順番に見ていた。遠くでアーサーとウィルクがはしゃいでいる声が聞こえてきて、二人が同時に「あんのばか…」と呟き、目を見合わせてクスクス笑った。
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