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合宿編:最終日
双子vs貴族生徒1
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合宿最終日第一戦。双子vsダフ、シリル、ライラ、クラリッサ。今までの対戦ではいつも3vs3だった。バランスを考慮してか双子がタッグを組むこともなかった。この組み合わせはただS級が面白がって組んだとしか思えない。それを証明するかのように、カミーユたちはいつも以上にワクワクした表情で観戦していた。
生徒たちは首、両腕、両太ももに頑丈な鉄の首輪、腕輪、足輪をはめて、心臓部分を守るための片胸鎧を身に付けた。学院でしていたような四肢切断や即死攻撃を禁止する戦い方は実践向けではないと、4週目2日目からより実践向けの対戦ルールをカミーユが提案したのだ。身に付けた鉄輪に攻撃が当たると(剣は一撃、矢は5本、魔法はS級が判断)その部位は動かしてはいけない。首輪と鎧に攻撃を受けた場合は即時リタイアとなる。学院ルールでしか戦ったことがなかったシリルとクラリッサはやりづらそうにしていたが、魔物と戦い(殺し)慣れているアーサーにとってはこのルールの方が断然やりやすかった。
「いきます」
ベニートが対戦開始の矢を射る。矢が地面に落ちるとダフとシリルがモニカに襲い掛かった。しかしアーサーが間に入ってこない。彼はモニカを守らずクラリッサの背後を取っていた。
「なっ…!」
(アーサーがモニカを守らないだって…?!くそ、読み違えた…!)
「わたしは守られるほどやわじゃないわよ」
「っ…!!」
二人が攻めてくると予想していたモニカはすでに反撃の準備ができていた。ダフとシリルの剣がモニカに触れる前に風魔法で吹き飛ばされる。おまけに同時に火魔法まで放たれた。強風により庭の端まで吹き飛ばされた二人(丸焦げ)は、顔をしかめて舌打ちをした。
(ぐっ…!威力が軽減されてない…!)
(クラリッサ…アーサーに攻められて反属性魔法を打つ余裕がないのか!やられた…!)
(これじゃあモニカに近寄ることすらできない…!こうなったら…)
「シリル!!」
「いやだ!」
「まだ何も言っていない!!」
「君を盾にしてモニカに攻撃しろって言うんだろ?!そんなことしたら君は大怪我じゃ済まない!」
「それが盾の仕事だろう!!モニカを落とせば楽になる!というか落とさないと勝ち目はないぞ!!アーサー一人なら3人でなんとか…!」
「……」
「シリル!早くしないとクラリッサとライラも危ないぞ!」
「…分かった。頼むよ、ダフ」
「ああ!俺がこの体と盾でモニカの魔法を耐えてみせる!お前は俺を風よけにするんだ!じゃあいくぞ!」
ダフは背中にかけていた大盾を構えた。シリルがダフの背中に隠れて立つ。遠くでぽつんと立っている少女に目をやると、彼女はニコッと笑って杖を構えた。
「相変わらず、あのかわいらしい笑顔からは想像もできないほど恐ろしい魔法だな!!クラリッサの力を借りずにどこまでいけるが分からないが、お前をあそこまで運んでやるぞシリル!!」
「…仇は必ず討つよダフ」
「俺はまだ死ぬとは決まってない!!」
◇◇◇
「クラリッサ!後ろ!!」
「っ!!」
モニカがダフとシリルを吹き飛ばしているとき、ライラは背後に現れたアーサーにいち早く気付き弓を引いた。アーサーは放たれた3本の矢を短剣ではじき落としながらクラリッサに剣を振り上げる。咄嗟に避けたものの肩から腰にかけて長い傷を受けてしまった。鎧に傷はついていないのでアウトは取られなかった。クラリッサは表情一つ変えずアーサーに蹴りを入れて距離を取る。蹴りが来ると分かっていたのか、アーサーは腕で腹を守りダメージを軽減させた。その間にもライラの弓が降り注ぐ。すべての矢を避けることはできず、数本の矢がアーサーの体に刺さったが(その内1本が足輪に当たった)アーサーはものともしない。瞬時に弓に切り替えライラに反撃する余裕すらあった。
(ああもうっ!アーサーと戦うの苦手なのよね…っ。素早いし機転が早くて攻撃がなかなか当たらないし、当たったとしても魔法耐性と痛み耐性が強すぎてダメージが入ってるように見えないんだもの…!)
(集中力が高い時のアーサーって頭のうしろにも目がついてるみたい…!)
「うーん、やっぱりクラリッサの体術は厄介だなあ。蹴りが凄まじいんだよね…腕にひびはいっちゃった」
アーサーはひびが入った右手をぷらぷらと振りながら呟いた。さすがのアーサーでもライラとクラリッサを同時に相手にするのは厳しい。
(ライラは打たれ強いからなかなか落ちてくれないよね。まずはクラリッサかな)
考えがまとまり、アーサーはこくんと頷いた。ライラの矢にも意識を向けつつクラリッサと距離を詰める。また彼女の蹴りが飛び出したので、その足を掴んで横転させた。蹴りの衝撃がひびわれた骨に響き、アーサーがめずらしく「んひぃぃぃ…っ」と裏返った声を漏らした。
「くっ…!しまった!」
倒れこんでしまったクラリッサは慌ててアーサーに炎魔法を放った。…が、反属性魔法で打ち消される。クラリッサはゾッとして遠くで戦っているはずの少女に目を向けた。
モニカは今もダフ、シリルと戦っていた。彼らに恐ろしい威力の魔法を放ちながら、ちらりとこちらを見てホッとした表情を浮かべている。
「…ダフとシリルを相手にしながら、アーサーのことを守ってるの…?」
「すごいなあモニカは!僕もがんばらなきゃ」
アーサーはにっこり笑い誇らしげに呟いた。彼の剣がクラリッサの首輪を強打する。剣が首輪に当たる直前、クラリッサの鋭い風魔法が3本放たれた。
生徒たちは首、両腕、両太ももに頑丈な鉄の首輪、腕輪、足輪をはめて、心臓部分を守るための片胸鎧を身に付けた。学院でしていたような四肢切断や即死攻撃を禁止する戦い方は実践向けではないと、4週目2日目からより実践向けの対戦ルールをカミーユが提案したのだ。身に付けた鉄輪に攻撃が当たると(剣は一撃、矢は5本、魔法はS級が判断)その部位は動かしてはいけない。首輪と鎧に攻撃を受けた場合は即時リタイアとなる。学院ルールでしか戦ったことがなかったシリルとクラリッサはやりづらそうにしていたが、魔物と戦い(殺し)慣れているアーサーにとってはこのルールの方が断然やりやすかった。
「いきます」
ベニートが対戦開始の矢を射る。矢が地面に落ちるとダフとシリルがモニカに襲い掛かった。しかしアーサーが間に入ってこない。彼はモニカを守らずクラリッサの背後を取っていた。
「なっ…!」
(アーサーがモニカを守らないだって…?!くそ、読み違えた…!)
「わたしは守られるほどやわじゃないわよ」
「っ…!!」
二人が攻めてくると予想していたモニカはすでに反撃の準備ができていた。ダフとシリルの剣がモニカに触れる前に風魔法で吹き飛ばされる。おまけに同時に火魔法まで放たれた。強風により庭の端まで吹き飛ばされた二人(丸焦げ)は、顔をしかめて舌打ちをした。
(ぐっ…!威力が軽減されてない…!)
(クラリッサ…アーサーに攻められて反属性魔法を打つ余裕がないのか!やられた…!)
(これじゃあモニカに近寄ることすらできない…!こうなったら…)
「シリル!!」
「いやだ!」
「まだ何も言っていない!!」
「君を盾にしてモニカに攻撃しろって言うんだろ?!そんなことしたら君は大怪我じゃ済まない!」
「それが盾の仕事だろう!!モニカを落とせば楽になる!というか落とさないと勝ち目はないぞ!!アーサー一人なら3人でなんとか…!」
「……」
「シリル!早くしないとクラリッサとライラも危ないぞ!」
「…分かった。頼むよ、ダフ」
「ああ!俺がこの体と盾でモニカの魔法を耐えてみせる!お前は俺を風よけにするんだ!じゃあいくぞ!」
ダフは背中にかけていた大盾を構えた。シリルがダフの背中に隠れて立つ。遠くでぽつんと立っている少女に目をやると、彼女はニコッと笑って杖を構えた。
「相変わらず、あのかわいらしい笑顔からは想像もできないほど恐ろしい魔法だな!!クラリッサの力を借りずにどこまでいけるが分からないが、お前をあそこまで運んでやるぞシリル!!」
「…仇は必ず討つよダフ」
「俺はまだ死ぬとは決まってない!!」
◇◇◇
「クラリッサ!後ろ!!」
「っ!!」
モニカがダフとシリルを吹き飛ばしているとき、ライラは背後に現れたアーサーにいち早く気付き弓を引いた。アーサーは放たれた3本の矢を短剣ではじき落としながらクラリッサに剣を振り上げる。咄嗟に避けたものの肩から腰にかけて長い傷を受けてしまった。鎧に傷はついていないのでアウトは取られなかった。クラリッサは表情一つ変えずアーサーに蹴りを入れて距離を取る。蹴りが来ると分かっていたのか、アーサーは腕で腹を守りダメージを軽減させた。その間にもライラの弓が降り注ぐ。すべての矢を避けることはできず、数本の矢がアーサーの体に刺さったが(その内1本が足輪に当たった)アーサーはものともしない。瞬時に弓に切り替えライラに反撃する余裕すらあった。
(ああもうっ!アーサーと戦うの苦手なのよね…っ。素早いし機転が早くて攻撃がなかなか当たらないし、当たったとしても魔法耐性と痛み耐性が強すぎてダメージが入ってるように見えないんだもの…!)
(集中力が高い時のアーサーって頭のうしろにも目がついてるみたい…!)
「うーん、やっぱりクラリッサの体術は厄介だなあ。蹴りが凄まじいんだよね…腕にひびはいっちゃった」
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(ライラは打たれ強いからなかなか落ちてくれないよね。まずはクラリッサかな)
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「くっ…!しまった!」
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モニカは今もダフ、シリルと戦っていた。彼らに恐ろしい威力の魔法を放ちながら、ちらりとこちらを見てホッとした表情を浮かべている。
「…ダフとシリルを相手にしながら、アーサーのことを守ってるの…?」
「すごいなあモニカは!僕もがんばらなきゃ」
アーサーはにっこり笑い誇らしげに呟いた。彼の剣がクラリッサの首輪を強打する。剣が首輪に当たる直前、クラリッサの鋭い風魔法が3本放たれた。
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