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合宿編:三週目・ダンジョン掃討特訓
カトリナさん…?
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リアーナの風魔法で壁に強く打ち付けられたバジリスクは、苦し気に頭をもたげあたりを見回した。目にはカトリナが放った矢が深く刺さっている。
「フシュルルル…」
「あ!知ってるだろうけどバジリスクと目が合うと石化するからなー!!目は合わせるなよー!!」
リアーナの言葉に双子は慌ててバジリスクから視線を外した。
「だめ!視線を外しすぎよ!尻尾を見て動向は追って!」
「む、むずかしい…!」
「バジリスクの弱点は目だ!目に向かって矢を射るんだアーサー!」
「見ちゃいけないのにどうやって狙うの?!」
「モニカはバジリスクがこっちに来れないように火魔法で壁を作れ!」
「わ、分かった!」
「だめだそれじゃ火が強すぎてこっちからも攻撃できないだろ!」
「んひぃぃっ!」
バジリスクはA級魔物、しかも状態異常をふたつも持っている強敵だ。ただ殴るだけで倒せる相手ではなく、防衛しながら攻撃をしなければならない。難しい指示を出されてアーサーとモニカは大混乱していた。
特にアーサーにいたっては、ただでさえ恐怖で足がすくんでいるのに、狙うべき場所を見てはいけないという難題を出されて途方に暮れていた。矢を射てもバジリスクの目に命中させることができず、バジリスクを逆上させてしまう。
「…まずいわねェ。普段のアーサーなら目隠しをしてでも的の真ん中を射れるのに…。よほど怖いのねェ」
「バジリスクは動くし余計命中しねえよな。モニカはアーサーが気がかりで魔法に集中できてねえし」
「こんなバタバタしてるアーサーとモニカ初めて見ましたよ…。そろそろ俺たちも出たほうがいいんじゃないですか?」
「そうだな!行くか!」
「ええ」
離れた場所で双子を見守っていた先輩冒険者たちが参戦する。カトリナはアーサーのうしろに、リアーナはモニカの隣に立つ。イェルドは「うぉぉぉぉ!」と叫びながらバジリスクに突っ込んでいった。
「アーサー。落ち着いて。私がいるからもう大丈夫よォ」
「モニカ!アーサーはカトリナに任せろ!お前は魔法に集中だ!」
聞き慣れたS級冒険者の声に双子がハッと我に返った。モニカはこくりと頷き杖を握り直す。アーサーはカトリナを見てポロっと涙を流した。
「カトリナ…」
「怖いのによく頑張ったわね。もう大丈夫。モニカにはリアーナがついてるし、あなたには私がついてるわァ」
「うん…。ごめんなさい、僕…」
「謝らないでェ。苦手なものは誰にだってあるわ。さあ、まだ戦えるかしら?」
「うん。がんばる」
「分かったわ。じゃあ、弓を引いてちょうだい?」
アーサーは目をゴシゴシこすってから弓を構えた。落ち着かせるためか、カトリナはアーサーの頭を優しく撫でながらアドバイスをする。
「いい?尻尾をよく見るのよォ。尻尾を見ていたらバジリスクがどういった動きをしているのか、頭がどこにあるのかが分かるでしょう?」
「うーん…」
正直に言えば尻尾の動きだけでそこまで読み取ることはかなり難しかった。おおまかな動きは分かっても、頭がどこに向いているのかまではアーサーでは分からない。アーサーが歯切れの悪い返事をしたので、カトリナが「だったら…」と次の案を出した。
「アーサー、耳もいいわよねェ?バジリスクの呼吸音で頭の位置が分かるんじゃない?」
「あっ、それならいけそう!」
「やってみてェ。イェルド?今からアーサーが矢を射るから攻撃をとめてくれるかしらァ?」
「うぉぉぉおぉぉ!おりゃぁぁぁっ!!」
「…聞こえてないわねェ」
「おぉぉいイェルド!!いったん攻撃止めろぉ!!」
「わーーっ!」
攻撃に夢中になっていたイェルドをリアーナが風魔法で吹き飛ばした。壁に打ちつける前に風を弱めてイェルドを綺麗に着地させたのを見て、モニカは(すごいコントロール!やっぱりリアーナってすごいなあ!)と内心テンションが上がった。
攻撃する相手がいなくなったので、激昂してはいるもののこれでバジリスクが不規則な動きをすることはなくなった。カトリナは気を取り直してアーサーに矢を射るよう指示をする。
「さあアーサー。矢を」
「うん…っ」
アーサーが弓を引く。バジリスクの呼吸音が顔の場所と向きを教えてくれる。聴覚に集中しすぎてバジリスクの鼓動まで聞こえた気がした。キリキリと限界まで弓を引き、指を離した。
「んっ!!」
「キェェェッ!!」
「ギリギリ合格ねェ」
バジリスクの悲鳴と、カトリナの呟きが聞こえる。どこに命中したのか分からないアーサーは、バジリスクの尻尾を注視しながらカトリナに声をかけた。
「カトリナ!どこに当たった?!」
「下まぶたよォ。眼球には刺さったから合格」
「ほ、ほんとにギリギリだ…」
「瞳孔に当てるのが理想よォ。アーサーならいけるでしょう?」
「が、がんばる!」
「じゃあ、次からはイェルドに参戦してもらうわァ。バジリスクの動きが読みにくいでしょうけどがんばってね」
カトリナがそう言いながら目にも止まらない速さで矢を3本射た。アーサーは気付いていなかったが、バジリスクがアーサーに大きな口を開けて食いかかろうとしていた。カトリナの矢を受けたバジリスクは痛々しい悲鳴を上げて地面に倒れこむ。突然目の前にバジリスクの頭が現れたのでアーサーは「ひぃぃぃ?!」と叫びながらカトリナに抱きついた。カトリナはニコニコしながらアーサーを抱き返し頭を撫でる。
「ん~。怖がってるアーサーって新鮮でかわいいわァ。カミーユを怖がらないのに、こんなかよわいヘビで怖がっちゃうのねェ。かわいいわァ。これから枕元にこっそりヘビを忍ばせちゃおうかしらァ」
「フシュルルル…」
「あ!知ってるだろうけどバジリスクと目が合うと石化するからなー!!目は合わせるなよー!!」
リアーナの言葉に双子は慌ててバジリスクから視線を外した。
「だめ!視線を外しすぎよ!尻尾を見て動向は追って!」
「む、むずかしい…!」
「バジリスクの弱点は目だ!目に向かって矢を射るんだアーサー!」
「見ちゃいけないのにどうやって狙うの?!」
「モニカはバジリスクがこっちに来れないように火魔法で壁を作れ!」
「わ、分かった!」
「だめだそれじゃ火が強すぎてこっちからも攻撃できないだろ!」
「んひぃぃっ!」
バジリスクはA級魔物、しかも状態異常をふたつも持っている強敵だ。ただ殴るだけで倒せる相手ではなく、防衛しながら攻撃をしなければならない。難しい指示を出されてアーサーとモニカは大混乱していた。
特にアーサーにいたっては、ただでさえ恐怖で足がすくんでいるのに、狙うべき場所を見てはいけないという難題を出されて途方に暮れていた。矢を射てもバジリスクの目に命中させることができず、バジリスクを逆上させてしまう。
「…まずいわねェ。普段のアーサーなら目隠しをしてでも的の真ん中を射れるのに…。よほど怖いのねェ」
「バジリスクは動くし余計命中しねえよな。モニカはアーサーが気がかりで魔法に集中できてねえし」
「こんなバタバタしてるアーサーとモニカ初めて見ましたよ…。そろそろ俺たちも出たほうがいいんじゃないですか?」
「そうだな!行くか!」
「ええ」
離れた場所で双子を見守っていた先輩冒険者たちが参戦する。カトリナはアーサーのうしろに、リアーナはモニカの隣に立つ。イェルドは「うぉぉぉぉ!」と叫びながらバジリスクに突っ込んでいった。
「アーサー。落ち着いて。私がいるからもう大丈夫よォ」
「モニカ!アーサーはカトリナに任せろ!お前は魔法に集中だ!」
聞き慣れたS級冒険者の声に双子がハッと我に返った。モニカはこくりと頷き杖を握り直す。アーサーはカトリナを見てポロっと涙を流した。
「カトリナ…」
「怖いのによく頑張ったわね。もう大丈夫。モニカにはリアーナがついてるし、あなたには私がついてるわァ」
「うん…。ごめんなさい、僕…」
「謝らないでェ。苦手なものは誰にだってあるわ。さあ、まだ戦えるかしら?」
「うん。がんばる」
「分かったわ。じゃあ、弓を引いてちょうだい?」
アーサーは目をゴシゴシこすってから弓を構えた。落ち着かせるためか、カトリナはアーサーの頭を優しく撫でながらアドバイスをする。
「いい?尻尾をよく見るのよォ。尻尾を見ていたらバジリスクがどういった動きをしているのか、頭がどこにあるのかが分かるでしょう?」
「うーん…」
正直に言えば尻尾の動きだけでそこまで読み取ることはかなり難しかった。おおまかな動きは分かっても、頭がどこに向いているのかまではアーサーでは分からない。アーサーが歯切れの悪い返事をしたので、カトリナが「だったら…」と次の案を出した。
「アーサー、耳もいいわよねェ?バジリスクの呼吸音で頭の位置が分かるんじゃない?」
「あっ、それならいけそう!」
「やってみてェ。イェルド?今からアーサーが矢を射るから攻撃をとめてくれるかしらァ?」
「うぉぉぉおぉぉ!おりゃぁぁぁっ!!」
「…聞こえてないわねェ」
「おぉぉいイェルド!!いったん攻撃止めろぉ!!」
「わーーっ!」
攻撃に夢中になっていたイェルドをリアーナが風魔法で吹き飛ばした。壁に打ちつける前に風を弱めてイェルドを綺麗に着地させたのを見て、モニカは(すごいコントロール!やっぱりリアーナってすごいなあ!)と内心テンションが上がった。
攻撃する相手がいなくなったので、激昂してはいるもののこれでバジリスクが不規則な動きをすることはなくなった。カトリナは気を取り直してアーサーに矢を射るよう指示をする。
「さあアーサー。矢を」
「うん…っ」
アーサーが弓を引く。バジリスクの呼吸音が顔の場所と向きを教えてくれる。聴覚に集中しすぎてバジリスクの鼓動まで聞こえた気がした。キリキリと限界まで弓を引き、指を離した。
「んっ!!」
「キェェェッ!!」
「ギリギリ合格ねェ」
バジリスクの悲鳴と、カトリナの呟きが聞こえる。どこに命中したのか分からないアーサーは、バジリスクの尻尾を注視しながらカトリナに声をかけた。
「カトリナ!どこに当たった?!」
「下まぶたよォ。眼球には刺さったから合格」
「ほ、ほんとにギリギリだ…」
「瞳孔に当てるのが理想よォ。アーサーならいけるでしょう?」
「が、がんばる!」
「じゃあ、次からはイェルドに参戦してもらうわァ。バジリスクの動きが読みにくいでしょうけどがんばってね」
カトリナがそう言いながら目にも止まらない速さで矢を3本射た。アーサーは気付いていなかったが、バジリスクがアーサーに大きな口を開けて食いかかろうとしていた。カトリナの矢を受けたバジリスクは痛々しい悲鳴を上げて地面に倒れこむ。突然目の前にバジリスクの頭が現れたのでアーサーは「ひぃぃぃ?!」と叫びながらカトリナに抱きついた。カトリナはニコニコしながらアーサーを抱き返し頭を撫でる。
「ん~。怖がってるアーサーって新鮮でかわいいわァ。カミーユを怖がらないのに、こんなかよわいヘビで怖がっちゃうのねェ。かわいいわァ。これから枕元にこっそりヘビを忍ばせちゃおうかしらァ」
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