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合宿編:二週目・基礎特訓
【414話】失格の危機
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◇◇◇
《蓮華、蕣。扇子と煙管を》
キヨハルは蓮華に差し出された煙管を吸い扇子を広げた。扇面へ煙を吹きかけ、扇子をアーサーに向けて小さく振る。アーサーの目に花の香りがする煙がかかっているのを傍で眺めているモニカ。
(不思議なチカラ。花の香りがする、不思議な煙。不思議な風。不思議な…)
◇◇◇
「おーーーい」
「はっ」
モニカが目を覚ますと、呆れた顔で覗き込んでいるリアーナが立っていた。モニカは数秒ほど記憶が混濁して呆けていたが、すぐに今が特訓中だと言うことを思い出して慌てて飛び起きる。ジトっとした目で見ていたリアーナにバツが悪そうに笑い、咳ばらいをして杖を握る。リアーナはニヤニヤしながらモニカのまわりをゆっくり歩いた。
「えーと?カミーユなんて言ってたっけなあ~?"特訓中に意識を失えば失格"…うーん、居眠りは意識を…失ってるな!」
「ひぅ…」
「"立ち止まれば失格"…立ち止まるどころが寝っ転がってたな!」
「うひぃぃ…」
「"手を抜けば失格"…居眠りは手を…抜いてるどころの話じゃねえなぁー!!!」
「ご、ごめんなさいごめんなさいぃぃぃっ!!!」
「モニカ!失格だ!!」
「ひぃぃぃぃ!!!」
ビシィっと指をさし、リアーナはモニカに失格を告げた。モニカは顔を真っ青にしてリアーナにしがみつく。
「ごめんなさいぃぃっ!!!技のイメージを考えてたらいつの間にか眠っちゃってたのぉっ!!」
「言い訳はいい!!みんなが血反吐はきながらやってるのにいい度胸だなあモニカ!」
リアーナは割と本気で怒っているようだった。モニカがついウトウトと居眠りしてしまうのはよくあることだ。いつもなら笑い飛ばしてくれるのだが、今は笑うどころかモニカをぎろりと睨みつけている。
「あのなあモニカ。この特訓、お前とアーサーにとっては楽勝だろうが、他のやつらは死ぬ気でしがみついてんだよ。明日からもあたしたちに教えてもらいたくて、カッスカスの体力と魔力で、体を痛めながらなんとか食らいついてんだ」
「…っ」
「ライラだってそうだ。もうあいつは体力も体も魔力も限界なんだぞ。それでもカトリナに弓を教わりたくて、杖も握るのもやっとの握力で弓を引いてんだ。苦手な魔法必死に練習してんだよ。そんな奴の前で居眠りなんて、失礼にもほどがあるだろう」
「…ごめんなさい」
自分の失態に反省し、しょんぼりと首を垂れているモニカを見て、リアーナは頭を掻きながらため息をついた。
「…分かったならいい。正直お前とアーサーは格がちげえんだ。他のやつらも優秀だけど、お前たちにとっちゃあ凡人とそんなに変わんねえ。…あたしはお前のことは大好きだし、楽しく自由に特訓してやりてえ。でも、複数人で特訓するなら話は別だ。いくら優秀なやつでも、他のやつのモチベを下げたり心折ったりする恐れがあるやつは、いないほうがいい」
「……」
「お前にはまたポントワーブで教えてやる。安心しろ、あっちじゃこんなこと言わねえよ。わりぃな」
「もう居眠りしないから…」
「だめだ。それを許しちゃ他のやつらに示しつかねえだろぉ?」
リアーナはモニカの頭をガシガシ撫で、魔物を閉じ込めていた氷魔法を解いた。本気で帰れと言っているのは明白だった。モニカは目に涙を溜めリアーナに無言で訴えていたが、リアーナはもうモニカの方を見なかった。
(やだっ…帰りたくないよ…どうして私居眠りなんてしちゃったのバカぁ…)
「グスっ…」
鼻をすする音が聞こえてもリアーナは振り返ってくれない。リアーナはもう一度ため息をつき、ライラの元へ戻ろうと歩き出した。そのとき、モニカのアイテムボックスがガタガタと震え、モニカの手にアサギリが現れた。
「アサギリ?!」
《おい!リアーナ!!》
「…アサギリがなに言ったって無駄だぜ?」
《お前知らねえのか?!モニカには夢見の才がある!!!》
「ユメミぃ?なんだそれ」
《夢で見るんだよ!》
「そのまんまだなおい!」
《俺が夢を見せてからこいつは夢見ができるようになった!俺の…薄雪の妖力が傍にあるとき、こいつは夢で答えを導き出せるんだ!》
「はぁ?」
《おいモニカ!!お前さっきも夢見てただろ!!》
「あ、うん…」
《それをイメージに組み入れろ!きっと魔法がうまくいくぜ!!》
「えー…っと…」
モニカもアサギリの言っていることがよく分からなかった。アサギリが「魔法を試してみろ」とうるさいので、おそるおそるリアーナを見る。リアーナは渋い顔をしてしばらく黙っていたが、また小さな魔物を氷魔法で閉じ込めた。
「一回だけな」
《リアーナ!これでモニカが成功したら特訓は続行しろ!》
「失敗したら大人しく帰るんだぞ」
《上等だゴルァァァ!!》
「ちょっとアサギリぃ~…」
《モニカ!いいからやってみろ!!》
正直に言うと、モニカに成功する自信は全くなかった。だが成功しなければ失格。モニカに残された道はひとつしかなかった。
(成功させるしか…ない!)
《蓮華、蕣。扇子と煙管を》
キヨハルは蓮華に差し出された煙管を吸い扇子を広げた。扇面へ煙を吹きかけ、扇子をアーサーに向けて小さく振る。アーサーの目に花の香りがする煙がかかっているのを傍で眺めているモニカ。
(不思議なチカラ。花の香りがする、不思議な煙。不思議な風。不思議な…)
◇◇◇
「おーーーい」
「はっ」
モニカが目を覚ますと、呆れた顔で覗き込んでいるリアーナが立っていた。モニカは数秒ほど記憶が混濁して呆けていたが、すぐに今が特訓中だと言うことを思い出して慌てて飛び起きる。ジトっとした目で見ていたリアーナにバツが悪そうに笑い、咳ばらいをして杖を握る。リアーナはニヤニヤしながらモニカのまわりをゆっくり歩いた。
「えーと?カミーユなんて言ってたっけなあ~?"特訓中に意識を失えば失格"…うーん、居眠りは意識を…失ってるな!」
「ひぅ…」
「"立ち止まれば失格"…立ち止まるどころが寝っ転がってたな!」
「うひぃぃ…」
「"手を抜けば失格"…居眠りは手を…抜いてるどころの話じゃねえなぁー!!!」
「ご、ごめんなさいごめんなさいぃぃぃっ!!!」
「モニカ!失格だ!!」
「ひぃぃぃぃ!!!」
ビシィっと指をさし、リアーナはモニカに失格を告げた。モニカは顔を真っ青にしてリアーナにしがみつく。
「ごめんなさいぃぃっ!!!技のイメージを考えてたらいつの間にか眠っちゃってたのぉっ!!」
「言い訳はいい!!みんなが血反吐はきながらやってるのにいい度胸だなあモニカ!」
リアーナは割と本気で怒っているようだった。モニカがついウトウトと居眠りしてしまうのはよくあることだ。いつもなら笑い飛ばしてくれるのだが、今は笑うどころかモニカをぎろりと睨みつけている。
「あのなあモニカ。この特訓、お前とアーサーにとっては楽勝だろうが、他のやつらは死ぬ気でしがみついてんだよ。明日からもあたしたちに教えてもらいたくて、カッスカスの体力と魔力で、体を痛めながらなんとか食らいついてんだ」
「…っ」
「ライラだってそうだ。もうあいつは体力も体も魔力も限界なんだぞ。それでもカトリナに弓を教わりたくて、杖も握るのもやっとの握力で弓を引いてんだ。苦手な魔法必死に練習してんだよ。そんな奴の前で居眠りなんて、失礼にもほどがあるだろう」
「…ごめんなさい」
自分の失態に反省し、しょんぼりと首を垂れているモニカを見て、リアーナは頭を掻きながらため息をついた。
「…分かったならいい。正直お前とアーサーは格がちげえんだ。他のやつらも優秀だけど、お前たちにとっちゃあ凡人とそんなに変わんねえ。…あたしはお前のことは大好きだし、楽しく自由に特訓してやりてえ。でも、複数人で特訓するなら話は別だ。いくら優秀なやつでも、他のやつのモチベを下げたり心折ったりする恐れがあるやつは、いないほうがいい」
「……」
「お前にはまたポントワーブで教えてやる。安心しろ、あっちじゃこんなこと言わねえよ。わりぃな」
「もう居眠りしないから…」
「だめだ。それを許しちゃ他のやつらに示しつかねえだろぉ?」
リアーナはモニカの頭をガシガシ撫で、魔物を閉じ込めていた氷魔法を解いた。本気で帰れと言っているのは明白だった。モニカは目に涙を溜めリアーナに無言で訴えていたが、リアーナはもうモニカの方を見なかった。
(やだっ…帰りたくないよ…どうして私居眠りなんてしちゃったのバカぁ…)
「グスっ…」
鼻をすする音が聞こえてもリアーナは振り返ってくれない。リアーナはもう一度ため息をつき、ライラの元へ戻ろうと歩き出した。そのとき、モニカのアイテムボックスがガタガタと震え、モニカの手にアサギリが現れた。
「アサギリ?!」
《おい!リアーナ!!》
「…アサギリがなに言ったって無駄だぜ?」
《お前知らねえのか?!モニカには夢見の才がある!!!》
「ユメミぃ?なんだそれ」
《夢で見るんだよ!》
「そのまんまだなおい!」
《俺が夢を見せてからこいつは夢見ができるようになった!俺の…薄雪の妖力が傍にあるとき、こいつは夢で答えを導き出せるんだ!》
「はぁ?」
《おいモニカ!!お前さっきも夢見てただろ!!》
「あ、うん…」
《それをイメージに組み入れろ!きっと魔法がうまくいくぜ!!》
「えー…っと…」
モニカもアサギリの言っていることがよく分からなかった。アサギリが「魔法を試してみろ」とうるさいので、おそるおそるリアーナを見る。リアーナは渋い顔をしてしばらく黙っていたが、また小さな魔物を氷魔法で閉じ込めた。
「一回だけな」
《リアーナ!これでモニカが成功したら特訓は続行しろ!》
「失敗したら大人しく帰るんだぞ」
《上等だゴルァァァ!!》
「ちょっとアサギリぃ~…」
《モニカ!いいからやってみろ!!》
正直に言うと、モニカに成功する自信は全くなかった。だが成功しなければ失格。モニカに残された道はひとつしかなかった。
(成功させるしか…ない!)
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