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合宿編:二週目・基礎特訓
【404話】兄弟杖
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「アーサー、モニカ!ちょっと日に焼けたんじゃない?特訓頑張ってるのね」
「きゃーーー!!」
「シャナぁぁぁっ!!!」
シャナが到着したのは翌朝だった。こっそりと屋敷に入り、双子の背後に立って肩をつんつんとつつく。振り返ったアーサーとモニカは驚きと喜びで屋敷に響き渡る声で彼女の名前を呼んだ。
双子がシャナに抱きついておおはしゃぎしていると、カミーユとリアーナが速足でやってきた。
「おーー!!シャナ!わざわざ悪いな!!ありがとー!!」
「かまわないわ。出張杖屋は初めてしたけれど、なかなか胸が弾むわね」
「シャナ。無理言ったな」
「気にしないで。あなたたちにも会いたかったし」
「……」
カミーユはぐぅ…と唇を噛み拳を握りしめた。アーサーとモニカはこっそり目を見合わせニヤニヤする。ここがもしカミーユの家だったらきっとハグとキスをしていただろう。今は生徒たちがいるので、イメージを崩すまいと必死に我慢しているはずだ。
「シャナ!杖を選んでほしいやつを紹介するな!おーーい!ライラー!!」
「は、はい!!」
「こっちこーい!」
「はいぃっ!」
リアーナに呼ばれ、ライラは頬張っていた肉を急いで飲みこみ駆け寄ってきた。美人エルフにぺこりと頭を下げ、ぽわっと頬を赤らめた。
(う、わぁぁっ…。エルフってきれいな人が多いけど、こんな美人なエルフははじめて見たぁ…。き、緊張するよぉ…)
「ライラ!このおっぱいのでけえ美人エルフはシャナっていうんだ!あたしが知る中でも1,2を争う優秀で信頼できる杖師!あたしの杖ももちろんシャナ製!」
「えー!!リアーナの杖もシャナのなの?!」
「モニカ知らなかったのか?」
「知らなかったー!!」
「ちっちゃい頃はばあちゃんが適当に作った杖使ってたんだけど、ポントワーブに来てからはシャナの杖を使ってる!わざわざあたしのためにシャナが杖を作ってくれたんだ!」
「ええ。あなたに合う杖を作るのは楽しかったわ」
「シャナぁ!今日はこいつにピッタリの杖を見つけてやってくれよな!!こいつはライラ!一流アーチャーのくせになかなか良い魔力も持ってやがる欲張りセットなガキだ!」
「あら」
シャナはライラを一目見て口元に手を当てた。がっかりされたかと思いライラがおろおろしていると、おもむろにシャナが彼女に抱き着いた。
「ぅあっ?!」
「あなたの魔力!!なんてあたたかいの!!こぶりではあるけれど、とっても優しくてホワホワした魔力!!ああん素敵だわ!この子の杖を選ばせてくれるの?!なんて嬉しいの!今日はなんて良い日なの!」
シャナのことばにアーサーがクスっと笑った。シャナは素敵な魔力を持った人を見るとああいう反応をしてしまうのだろう。モニカがはじめてシャナの杖屋を訪れたときも、シャナは似たような反応をしてモニカを驚かせていた。アーサーが5年前を振り返ってほのぼのしているうちに、話はずいぶん先に進んでいた。
「よーし、じゃあライラは早速シャナについていけ!」
「だ、大丈夫ですか?朝はカトリナさんの…」
「おう、カトリナにはもう言ってある!今日は弓術は休みだ!」
「わ、わかりました!」
「ライラ。じゃあいきましょうか。馬車にたくさん杖を積んできたのよ。あなたにぴったりなものがきっと見つかるわ」
「はい!」
ライラはシャナのあとを駆け足でついていった。見えなくなるまで目で追いかけてから、モニカがアーサーの腕に抱きついて頭をぐりぐりこすりつけた。
「アーサー!!ライラも今日からシャナの杖を持つのよ!」
「うん!!いいのが見つかるといいねえ!」
「ライラと私の杖は兄弟みたいなものよね!!なんだか嬉しい~!!」
「同じ杖師からうまれた杖だもんね!嬉しいねえー!」
「リアーナとも兄弟杖よ!!すごいでしょー!!」
「いいなあー!僕も魔法使えたら絶対シャナの杖を持つのにー!!」
《魔法も使えんのに杖なんぞ持たんでよい!!》
アーサーがぽろっとこぼした言葉に思わず杖が口出しした。
「わかってるよー!もしあったらの話だもーん!」
《ならんならん!!》
「どうしてさぁ!」
《な、なんでもない!アーサーなんぞもう知らんっ!》
「えぇ?どうして怒ってるの藍~」
「怒ってなどない!」
「藍はわたしとアーサーを独り占めしたいのよ」
モニカが兄の耳元で囁いた。それを聞いてアーサーは「なるほど~!」と納得したが、杖は蒸気を発しながら必死に否定した。
《ち、ちがう!!アーサーなんぞに所持された杖はすぐにお前の血で赤く染まってしまうだろうからな!!それが哀れで止めているのだ!!決して独り占めしたいからなどではない!!》
「はいはいっ」
「心配しなくっても私たちには藍だけだよっ」
それから藍が何を言っても双子はニコニコしてそれをなだめるだけだった。子ども扱いされたのが気に食わなかったのか、本音がバレバレで逆ギレしてごまかすしかなかったのか、藍はアーサーとモニカを爆風で吹っ飛ばした。
「きゃーーー!!」
「シャナぁぁぁっ!!!」
シャナが到着したのは翌朝だった。こっそりと屋敷に入り、双子の背後に立って肩をつんつんとつつく。振り返ったアーサーとモニカは驚きと喜びで屋敷に響き渡る声で彼女の名前を呼んだ。
双子がシャナに抱きついておおはしゃぎしていると、カミーユとリアーナが速足でやってきた。
「おーー!!シャナ!わざわざ悪いな!!ありがとー!!」
「かまわないわ。出張杖屋は初めてしたけれど、なかなか胸が弾むわね」
「シャナ。無理言ったな」
「気にしないで。あなたたちにも会いたかったし」
「……」
カミーユはぐぅ…と唇を噛み拳を握りしめた。アーサーとモニカはこっそり目を見合わせニヤニヤする。ここがもしカミーユの家だったらきっとハグとキスをしていただろう。今は生徒たちがいるので、イメージを崩すまいと必死に我慢しているはずだ。
「シャナ!杖を選んでほしいやつを紹介するな!おーーい!ライラー!!」
「は、はい!!」
「こっちこーい!」
「はいぃっ!」
リアーナに呼ばれ、ライラは頬張っていた肉を急いで飲みこみ駆け寄ってきた。美人エルフにぺこりと頭を下げ、ぽわっと頬を赤らめた。
(う、わぁぁっ…。エルフってきれいな人が多いけど、こんな美人なエルフははじめて見たぁ…。き、緊張するよぉ…)
「ライラ!このおっぱいのでけえ美人エルフはシャナっていうんだ!あたしが知る中でも1,2を争う優秀で信頼できる杖師!あたしの杖ももちろんシャナ製!」
「えー!!リアーナの杖もシャナのなの?!」
「モニカ知らなかったのか?」
「知らなかったー!!」
「ちっちゃい頃はばあちゃんが適当に作った杖使ってたんだけど、ポントワーブに来てからはシャナの杖を使ってる!わざわざあたしのためにシャナが杖を作ってくれたんだ!」
「ええ。あなたに合う杖を作るのは楽しかったわ」
「シャナぁ!今日はこいつにピッタリの杖を見つけてやってくれよな!!こいつはライラ!一流アーチャーのくせになかなか良い魔力も持ってやがる欲張りセットなガキだ!」
「あら」
シャナはライラを一目見て口元に手を当てた。がっかりされたかと思いライラがおろおろしていると、おもむろにシャナが彼女に抱き着いた。
「ぅあっ?!」
「あなたの魔力!!なんてあたたかいの!!こぶりではあるけれど、とっても優しくてホワホワした魔力!!ああん素敵だわ!この子の杖を選ばせてくれるの?!なんて嬉しいの!今日はなんて良い日なの!」
シャナのことばにアーサーがクスっと笑った。シャナは素敵な魔力を持った人を見るとああいう反応をしてしまうのだろう。モニカがはじめてシャナの杖屋を訪れたときも、シャナは似たような反応をしてモニカを驚かせていた。アーサーが5年前を振り返ってほのぼのしているうちに、話はずいぶん先に進んでいた。
「よーし、じゃあライラは早速シャナについていけ!」
「だ、大丈夫ですか?朝はカトリナさんの…」
「おう、カトリナにはもう言ってある!今日は弓術は休みだ!」
「わ、わかりました!」
「ライラ。じゃあいきましょうか。馬車にたくさん杖を積んできたのよ。あなたにぴったりなものがきっと見つかるわ」
「はい!」
ライラはシャナのあとを駆け足でついていった。見えなくなるまで目で追いかけてから、モニカがアーサーの腕に抱きついて頭をぐりぐりこすりつけた。
「アーサー!!ライラも今日からシャナの杖を持つのよ!」
「うん!!いいのが見つかるといいねえ!」
「ライラと私の杖は兄弟みたいなものよね!!なんだか嬉しい~!!」
「同じ杖師からうまれた杖だもんね!嬉しいねえー!」
「リアーナとも兄弟杖よ!!すごいでしょー!!」
「いいなあー!僕も魔法使えたら絶対シャナの杖を持つのにー!!」
《魔法も使えんのに杖なんぞ持たんでよい!!》
アーサーがぽろっとこぼした言葉に思わず杖が口出しした。
「わかってるよー!もしあったらの話だもーん!」
《ならんならん!!》
「どうしてさぁ!」
《な、なんでもない!アーサーなんぞもう知らんっ!》
「えぇ?どうして怒ってるの藍~」
「怒ってなどない!」
「藍はわたしとアーサーを独り占めしたいのよ」
モニカが兄の耳元で囁いた。それを聞いてアーサーは「なるほど~!」と納得したが、杖は蒸気を発しながら必死に否定した。
《ち、ちがう!!アーサーなんぞに所持された杖はすぐにお前の血で赤く染まってしまうだろうからな!!それが哀れで止めているのだ!!決して独り占めしたいからなどではない!!》
「はいはいっ」
「心配しなくっても私たちには藍だけだよっ」
それから藍が何を言っても双子はニコニコしてそれをなだめるだけだった。子ども扱いされたのが気に食わなかったのか、本音がバレバレで逆ギレしてごまかすしかなかったのか、藍はアーサーとモニカを爆風で吹っ飛ばした。
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