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異国編:ジッピン前編:出会い

【小話】名づけ

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花のあやかしと風のあやかしが出会ったとき
二人は名を持たない幼いあやかしだった。

ある日のこと、花のあやかしがヒトに憧れ、名が欲しいと漏らした。
風のあやかしは彼に名を与えた。
桜色より淡い花を持つそのあやかしに「薄雪」という名を。
彼の花の色はまるで、桜に薄く雪が乗ったような色をしているからと
風のあやかしは言った。

花のあやかしは、風のあやかしに名を付けた。
春になるたびに心地の良い風で花を撫でるそのあやかしに「喜代春」という名を。
清らかな春をヒトに知らせ、ヒトはそれを喜びに代えるからと
花のあやかしは言った。

名を与えること、名を付けることは
かけがえのないモノをより大切なモノにした。

たとえそのモノが一番愛しているモノを奪おうとも
たとえそのモノと二度と会えなくなっても
その想いは、どれほど月日が経っても変わらない。



(ジッピン章前編:出会い end)
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