72 / 718
学院編:オーヴェルニュ侯爵からの手紙
【92話】オーヴェルニュ侯爵からの手紙
しおりを挟む
「んあー!!!よく寝たぜェ!!」
暖かいそよ風が吹く春の朝。リアーナは大きなあくびをしながら起き上がった。「おっこらせっと!」とベッドから飛び出しダイニングへ向かった。すでに起きていたカトリナがソファに座り手紙を読んでいる。リアーナは彼女をソファの背もたれから覗きこみ声をかけた。
「カトリナおはよー!!誰からの手紙だぁ?」
「リアーナおはよう。今日は早いのねェ」
「おう!なんか目ぇ覚めた!!」
「ふふ、朝から大きな声だわァ」
隣にどかっと座ったリアーナに、カトリナが「見てェ」と手紙を見せた。
「おお、カトリナのおやっさんからじゃねえか!どれどれ…」
---------------------------
愛しのカトリナへ…
---------------------------
「ぎゃははは!愛しのカトリナだってよ!!相変わらずおやっさんはカトリナが大好きだなぁ!!」
---------------------------
カトリナ、元気にしているかい?
君とカミーユたちの活躍はヴィラバンデ地区にまで聞こえてくるよ。
私はとても誇らしい…
---------------------------
「おいおやっさん!!カミーユたち、じゃなくてリアーナたち、だろうが!!」
「リアーナ、とりあえず最後まで静かに読んでくれるゥ?」
「あっ、すまんすまん」
---------------------------
ところで、君たちに頼みたいことがある。
実は私の管理下にあるオヴェルニー学院で困った出来事が起こっていてね。
この1か月で生徒たちの失踪が相次いでいるんだ。
教師たちで捜索はしているらしいのだが、全く足取りが掴めていない。
つまりまだまだ失踪者が増える恐れがあるということだ。
私は失踪した生徒たち、そして学院内にいる生徒たちが心配で仕方がない。
もし彼らが何者かに誘拐されているのだとしたら…
そう考えたら夜も眠れないんだ。
それに…今から言うことは私自身の都合で
君にこんなことを言うのは情けないのだが、
この件が学院外に知られたらオーヴェルニュ家が終わってしまう。
今は生徒たちの親に失踪を知られていないが時間の問題だろう。
オヴェルニー学院では貴族の子どもたちを預かっている。
彼らの親からの信頼を失えば、オーヴェルニュの名も地に落ちることになるだろう。
それだけならまだいい。
今、学院にはジュリア姫とウィルク王子が在籍している。
彼らにもしものことがあれば…。
そこで、君たちS級冒険者にお願いしたい。
この失踪事件の原因を探り、解決してほしい。
もし可能であれば…失踪した生徒たちの保護もね。
現時点で3人の生徒が姿を消している。
一刻も早く対処してほしいんだ。
急にこのような手紙を送ってすまない。
正直、かなり焦っている。
よろしく頼むよ。
カミーユ、ジル、リアーナによろしく。
君の父より
---------------------------
「っ…」
手紙を読み終えたリアーナは額から汗を垂らしている。カトリナも深刻な顔で両手を組み唇に当てていた。
「こ…この手紙が冗談じゃなかったら…まじでやばいじゃねえか…」
「ええ。そうなのよ」
「3人…3人の生徒が消えるまで、なんであたしたちに声をかけなかった…」
「分からないわ…」
「と、とにかくカミーユとジルと集まるぞ!伝書インコ!伝言頼む!キンキュウ ギルド シュウゴウ!」
「リアーナだめよ。ギルドでこんな話はできないわァ。うちに来てもらいましょう」
「そ、そうだな。キンキュウ リアーナンチ シュウゴウ」
《キンキュウ リアーナンチ シュウゴウ》
「よし」
暖かいそよ風が吹く春の朝。リアーナは大きなあくびをしながら起き上がった。「おっこらせっと!」とベッドから飛び出しダイニングへ向かった。すでに起きていたカトリナがソファに座り手紙を読んでいる。リアーナは彼女をソファの背もたれから覗きこみ声をかけた。
「カトリナおはよー!!誰からの手紙だぁ?」
「リアーナおはよう。今日は早いのねェ」
「おう!なんか目ぇ覚めた!!」
「ふふ、朝から大きな声だわァ」
隣にどかっと座ったリアーナに、カトリナが「見てェ」と手紙を見せた。
「おお、カトリナのおやっさんからじゃねえか!どれどれ…」
---------------------------
愛しのカトリナへ…
---------------------------
「ぎゃははは!愛しのカトリナだってよ!!相変わらずおやっさんはカトリナが大好きだなぁ!!」
---------------------------
カトリナ、元気にしているかい?
君とカミーユたちの活躍はヴィラバンデ地区にまで聞こえてくるよ。
私はとても誇らしい…
---------------------------
「おいおやっさん!!カミーユたち、じゃなくてリアーナたち、だろうが!!」
「リアーナ、とりあえず最後まで静かに読んでくれるゥ?」
「あっ、すまんすまん」
---------------------------
ところで、君たちに頼みたいことがある。
実は私の管理下にあるオヴェルニー学院で困った出来事が起こっていてね。
この1か月で生徒たちの失踪が相次いでいるんだ。
教師たちで捜索はしているらしいのだが、全く足取りが掴めていない。
つまりまだまだ失踪者が増える恐れがあるということだ。
私は失踪した生徒たち、そして学院内にいる生徒たちが心配で仕方がない。
もし彼らが何者かに誘拐されているのだとしたら…
そう考えたら夜も眠れないんだ。
それに…今から言うことは私自身の都合で
君にこんなことを言うのは情けないのだが、
この件が学院外に知られたらオーヴェルニュ家が終わってしまう。
今は生徒たちの親に失踪を知られていないが時間の問題だろう。
オヴェルニー学院では貴族の子どもたちを預かっている。
彼らの親からの信頼を失えば、オーヴェルニュの名も地に落ちることになるだろう。
それだけならまだいい。
今、学院にはジュリア姫とウィルク王子が在籍している。
彼らにもしものことがあれば…。
そこで、君たちS級冒険者にお願いしたい。
この失踪事件の原因を探り、解決してほしい。
もし可能であれば…失踪した生徒たちの保護もね。
現時点で3人の生徒が姿を消している。
一刻も早く対処してほしいんだ。
急にこのような手紙を送ってすまない。
正直、かなり焦っている。
よろしく頼むよ。
カミーユ、ジル、リアーナによろしく。
君の父より
---------------------------
「っ…」
手紙を読み終えたリアーナは額から汗を垂らしている。カトリナも深刻な顔で両手を組み唇に当てていた。
「こ…この手紙が冗談じゃなかったら…まじでやばいじゃねえか…」
「ええ。そうなのよ」
「3人…3人の生徒が消えるまで、なんであたしたちに声をかけなかった…」
「分からないわ…」
「と、とにかくカミーユとジルと集まるぞ!伝書インコ!伝言頼む!キンキュウ ギルド シュウゴウ!」
「リアーナだめよ。ギルドでこんな話はできないわァ。うちに来てもらいましょう」
「そ、そうだな。キンキュウ リアーナンチ シュウゴウ」
《キンキュウ リアーナンチ シュウゴウ》
「よし」
10
お気に入りに追加
4,342
あなたにおすすめの小説
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜
望月かれん
ファンタジー
中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。
戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。
暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。
疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。
なんと、ぬいぐるみが喋っていた。
しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。
天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。
※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。