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「着いたよロイ」
「ここは…?」
「私の城だ。これから君はここで暮らすんだよ」
ロイの手を取り馬車から下ろしながら、セルジュは自分の城を指さした。ロイは「大きいお城…」と少しワクワクした表情をしている。城へ入ると使用人たちが主人の帰りを迎えた。少年にちらちらと目線を送っている。
「彼はロイ。今日から私の息子と思って大切にするように」
主人の言葉に使用人たちは「かしこまりました」と頭を下げる。セルジュはロイを自分の部屋に入れ、体を綺麗に拭いてやった。清潔でゆったりとした服を着せてから、ロイに自分の正体を明かした。
「ロイ。君にだけ本当のことを言おう。私も吸血鬼なんだ」
「え…?」
「だから君の苦しみがよく分かるよ。誰よりも、良く分かる」
「……」
「血のことも心配しなくていい。毎日飲ませてあげる」
「毎日…」
「…その前にしなければいけないことがある。ロイ、君はもう人間には戻れない。あと1年かけて魔物としての体に作り替えられるだろう」
「……」
「だが、私の…吸血鬼の血を飲めば、すぐに吸血鬼になると思う。吸血鬼になれば禁断症状は起きない。回復力、再生力も上がる。もう人間に戻れないのなら…今の中途半端な状態より、いっそ吸血鬼になってしまった方が楽だと思う。…荒治療だから、数日は想像を絶する苦しみを受けるだろうけれど」
「セルジュ様に従います」
「分かった。じゃあ…」
セルジュが話している途中でロイは跪き、ベッドに座っているセルジュのズボンを下ろし始めた。驚いたセルジュが彼の肩を掴みやめさせる。
「お、おい…!何をしている?!」
「旦那様や…ご子息様に、血をいただく前には奉仕をしなければならないと教えていただいていたので…迷惑でしたか…?」
「な…なんだと…?では日ごろから…あの時のようなことをされていたのか…?」
「はい。血をいただくときはいつも」
「なんということだ…」
床にぺたりと座っているロイを持ち上げベッドに座らせる。
「ロイ、あのようなこと二度としなくていい。辛い思いも、痛い思いも、もうしなくていいんだ。これからは幸せになってくれ。私が幸せにすると約束しよう」
「セルジュ様…」
「敬称などつけなくていい」
「では、なんとお呼びしたら…」
「好きに呼びなさい」
「……」
ロイはしばらく考えたあと、モジモジしながら恥ずかしそうに言った。
「では…お父さまとお呼びしてもよろしいですか…?」
「お、おとうさま?!」
「さきほど、使用人の方々に"息子と思って大切にするように"とおっしゃっていました。 だから…」
「お父さま…」
「あっ、迷惑ですよね…!申し訳ありません!出過ぎた真似を…!…セルジュ様?」
ロイが見たものは、顔を真っ赤にして口元に手を当てているセルジュだった。指の隙間から覗く口元は嬉しそうにヒクヒクしている。口角が上がるのを必死に抑えているようだった。
「ロ…ロイ。一度私のことを"お父さま!と呼んでくれないかな?」
「はい!お父さま」
「っ…!」
「?」
「…もう一度呼んでくれないか」
「お父さま」
「ン"っ…!」
「あの…セルジュ様…どうされましたか…?」
「ロイ。敬称で呼ぶなと言っているだろう」
「申し訳ありません…お父さま」
「グゥッ…!!」
「あの…お父さま…?」
堪えられなくなったのか、セルジュは力いっぱいロイを抱きしめた。あまりの圧にロイが「ぐふっ!」とうめき声をあげる。
「ロイ…!人生をかけて君を幸せにする!!私の…私の愛しい我が子…!!」
「くっ…くるしっ…!くるしいですお父さまぁ…!!」
その後セルジュの興奮がおさまるまでしばらく時間がかかった。彼が落ち着いてからロイに吸血鬼の血を飲ませる。急激に魔物の体に作り替えられたせいで、ロイは三日三晩生死を彷徨った。彼の意識が戻ったときには、チムシーが彼の体に融合して完全な吸血鬼となっていた。
元気になったロイは、優しい義父と使用人に囲まれ楽しい毎日を過ごした。病弱そうだった顔は一年経った頃には以前に比べると赤みが差してふっくらとしており、庭でセルジュと追いかけっこをするロイは満面の笑みを浮かべていた。
「ここは…?」
「私の城だ。これから君はここで暮らすんだよ」
ロイの手を取り馬車から下ろしながら、セルジュは自分の城を指さした。ロイは「大きいお城…」と少しワクワクした表情をしている。城へ入ると使用人たちが主人の帰りを迎えた。少年にちらちらと目線を送っている。
「彼はロイ。今日から私の息子と思って大切にするように」
主人の言葉に使用人たちは「かしこまりました」と頭を下げる。セルジュはロイを自分の部屋に入れ、体を綺麗に拭いてやった。清潔でゆったりとした服を着せてから、ロイに自分の正体を明かした。
「ロイ。君にだけ本当のことを言おう。私も吸血鬼なんだ」
「え…?」
「だから君の苦しみがよく分かるよ。誰よりも、良く分かる」
「……」
「血のことも心配しなくていい。毎日飲ませてあげる」
「毎日…」
「…その前にしなければいけないことがある。ロイ、君はもう人間には戻れない。あと1年かけて魔物としての体に作り替えられるだろう」
「……」
「だが、私の…吸血鬼の血を飲めば、すぐに吸血鬼になると思う。吸血鬼になれば禁断症状は起きない。回復力、再生力も上がる。もう人間に戻れないのなら…今の中途半端な状態より、いっそ吸血鬼になってしまった方が楽だと思う。…荒治療だから、数日は想像を絶する苦しみを受けるだろうけれど」
「セルジュ様に従います」
「分かった。じゃあ…」
セルジュが話している途中でロイは跪き、ベッドに座っているセルジュのズボンを下ろし始めた。驚いたセルジュが彼の肩を掴みやめさせる。
「お、おい…!何をしている?!」
「旦那様や…ご子息様に、血をいただく前には奉仕をしなければならないと教えていただいていたので…迷惑でしたか…?」
「な…なんだと…?では日ごろから…あの時のようなことをされていたのか…?」
「はい。血をいただくときはいつも」
「なんということだ…」
床にぺたりと座っているロイを持ち上げベッドに座らせる。
「ロイ、あのようなこと二度としなくていい。辛い思いも、痛い思いも、もうしなくていいんだ。これからは幸せになってくれ。私が幸せにすると約束しよう」
「セルジュ様…」
「敬称などつけなくていい」
「では、なんとお呼びしたら…」
「好きに呼びなさい」
「……」
ロイはしばらく考えたあと、モジモジしながら恥ずかしそうに言った。
「では…お父さまとお呼びしてもよろしいですか…?」
「お、おとうさま?!」
「さきほど、使用人の方々に"息子と思って大切にするように"とおっしゃっていました。 だから…」
「お父さま…」
「あっ、迷惑ですよね…!申し訳ありません!出過ぎた真似を…!…セルジュ様?」
ロイが見たものは、顔を真っ赤にして口元に手を当てているセルジュだった。指の隙間から覗く口元は嬉しそうにヒクヒクしている。口角が上がるのを必死に抑えているようだった。
「ロ…ロイ。一度私のことを"お父さま!と呼んでくれないかな?」
「はい!お父さま」
「っ…!」
「?」
「…もう一度呼んでくれないか」
「お父さま」
「ン"っ…!」
「あの…セルジュ様…どうされましたか…?」
「ロイ。敬称で呼ぶなと言っているだろう」
「申し訳ありません…お父さま」
「グゥッ…!!」
「あの…お父さま…?」
堪えられなくなったのか、セルジュは力いっぱいロイを抱きしめた。あまりの圧にロイが「ぐふっ!」とうめき声をあげる。
「ロイ…!人生をかけて君を幸せにする!!私の…私の愛しい我が子…!!」
「くっ…くるしっ…!くるしいですお父さまぁ…!!」
その後セルジュの興奮がおさまるまでしばらく時間がかかった。彼が落ち着いてからロイに吸血鬼の血を飲ませる。急激に魔物の体に作り替えられたせいで、ロイは三日三晩生死を彷徨った。彼の意識が戻ったときには、チムシーが彼の体に融合して完全な吸血鬼となっていた。
元気になったロイは、優しい義父と使用人に囲まれ楽しい毎日を過ごした。病弱そうだった顔は一年経った頃には以前に比べると赤みが差してふっくらとしており、庭でセルジュと追いかけっこをするロイは満面の笑みを浮かべていた。
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