無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話

タタミ

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11話

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 確実に響く刺激を感じて、優成は目を強く閉じて叫んだ。叫んですぐ、枕をひっつかむ。

「なんで、されるがままなんですか!?危ないでしょ!危機管理して!」

 覆い被さって腹を撫でてきた男にいきなり枕を投げつけられて、明樹はポカンとした。
 肩で息をする優成と半開きの口を閉じることを忘れた明樹の間には、先程まで舌を擦り合わせていたとは思えない空気が流れている。

「いや、危機管理って言われても」
「相手が俺じゃなかったら、大変なことになってた!」
「大変なことってなんだよ」

 セックスだよ。
 なんて優成が答えられるわけもなく、ベッドから飛び降りて話を切り変えた。

「俺は、今から、走ってきます」
「え、なんで?」
「どうしても、走りたいから、です!」

 ちょっと待てと後ろから声がした気がするが、優成は明樹を振り返らず、脱兎のごとく部屋を出た。
 騒音と共にドアを閉めて、そのドアを背にずるずるとしゃがみこむ。今確実に誰にも見られるわけにはいかない顔をしている。優成は両手で顔を覆って深く息を吐いた。

「あ~……」

 先ほど明樹に感じたのは、明らかに性欲だ。今まで高嶺と仁にしていた主張が全て戯言になるほど、圧倒的に性欲だった。
 今も顔が熱い。
 身体中が熱い。
 もう言い訳ができない。

「……好きなのかよ、俺……」

 絞り出した呟きは、誰にも聞かれず消えた。




「はー、つまみが全然見つからなくて時間かかっちゃったな~!遅くなって悪いふたりとも!」
「って、あれ?優成は?」

 ドラマでも観ていたのかというくらいの時間を経て戻ってきた高嶺と仁は、ひとりでステーキを食べている明樹を見て目を瞬いた。

「なんか、走ってくるっていなくなった」
「はぁ?こんな夜遅くに?」
「そういう気分なんじゃないっすか」

 無表情で明樹が肉を口に運ぶ。
 その様子は不機嫌になるギリギリ1歩手前に見えて、高嶺と仁は即座に目配せした。優成が何かやらかしたのかと小突き合うふたりは、明樹が服の中に手を突っ込んで居心地悪そうに唇を噛むのに気付かない。

(あのまま、優成がやめなかったらどうなってたんだろ)

 正直、どうなっていたのか想像できないほど明樹は子どもではない。でも、どうなってほしかったのかはわからない。
 優成が撫でた箇所をなぞるように触れて、明樹は衝動的に腹を引っ掻いた。そうしないと、何かが溢れてしまいそうだった。
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