11 / 25
11話
しおりを挟む
確実に響く刺激を感じて、優成は目を強く閉じて叫んだ。叫んですぐ、枕をひっつかむ。
「なんで、されるがままなんですか!?危ないでしょ!危機管理して!」
覆い被さって腹を撫でてきた男にいきなり枕を投げつけられて、明樹はポカンとした。
肩で息をする優成と半開きの口を閉じることを忘れた明樹の間には、先程まで舌を擦り合わせていたとは思えない空気が流れている。
「いや、危機管理って言われても」
「相手が俺じゃなかったら、大変なことになってた!」
「大変なことってなんだよ」
セックスだよ。
なんて優成が答えられるわけもなく、ベッドから飛び降りて話を切り変えた。
「俺は、今から、走ってきます」
「え、なんで?」
「どうしても、走りたいから、です!」
ちょっと待てと後ろから声がした気がするが、優成は明樹を振り返らず、脱兎のごとく部屋を出た。
騒音と共にドアを閉めて、そのドアを背にずるずるとしゃがみこむ。今確実に誰にも見られるわけにはいかない顔をしている。優成は両手で顔を覆って深く息を吐いた。
「あ~……」
先ほど明樹に感じたのは、明らかに性欲だ。今まで高嶺と仁にしていた主張が全て戯言になるほど、圧倒的に性欲だった。
今も顔が熱い。
身体中が熱い。
もう言い訳ができない。
「……好きなのかよ、俺……」
絞り出した呟きは、誰にも聞かれず消えた。
「はー、つまみが全然見つからなくて時間かかっちゃったな~!遅くなって悪いふたりとも!」
「って、あれ?優成は?」
ドラマでも観ていたのかというくらいの時間を経て戻ってきた高嶺と仁は、ひとりでステーキを食べている明樹を見て目を瞬いた。
「なんか、走ってくるっていなくなった」
「はぁ?こんな夜遅くに?」
「そういう気分なんじゃないっすか」
無表情で明樹が肉を口に運ぶ。
その様子は不機嫌になるギリギリ1歩手前に見えて、高嶺と仁は即座に目配せした。優成が何かやらかしたのかと小突き合うふたりは、明樹が服の中に手を突っ込んで居心地悪そうに唇を噛むのに気付かない。
(あのまま、優成がやめなかったらどうなってたんだろ)
正直、どうなっていたのか想像できないほど明樹は子どもではない。でも、どうなってほしかったのかはわからない。
優成が撫でた箇所をなぞるように触れて、明樹は衝動的に腹を引っ掻いた。そうしないと、何かが溢れてしまいそうだった。
「なんで、されるがままなんですか!?危ないでしょ!危機管理して!」
覆い被さって腹を撫でてきた男にいきなり枕を投げつけられて、明樹はポカンとした。
肩で息をする優成と半開きの口を閉じることを忘れた明樹の間には、先程まで舌を擦り合わせていたとは思えない空気が流れている。
「いや、危機管理って言われても」
「相手が俺じゃなかったら、大変なことになってた!」
「大変なことってなんだよ」
セックスだよ。
なんて優成が答えられるわけもなく、ベッドから飛び降りて話を切り変えた。
「俺は、今から、走ってきます」
「え、なんで?」
「どうしても、走りたいから、です!」
ちょっと待てと後ろから声がした気がするが、優成は明樹を振り返らず、脱兎のごとく部屋を出た。
騒音と共にドアを閉めて、そのドアを背にずるずるとしゃがみこむ。今確実に誰にも見られるわけにはいかない顔をしている。優成は両手で顔を覆って深く息を吐いた。
「あ~……」
先ほど明樹に感じたのは、明らかに性欲だ。今まで高嶺と仁にしていた主張が全て戯言になるほど、圧倒的に性欲だった。
今も顔が熱い。
身体中が熱い。
もう言い訳ができない。
「……好きなのかよ、俺……」
絞り出した呟きは、誰にも聞かれず消えた。
「はー、つまみが全然見つからなくて時間かかっちゃったな~!遅くなって悪いふたりとも!」
「って、あれ?優成は?」
ドラマでも観ていたのかというくらいの時間を経て戻ってきた高嶺と仁は、ひとりでステーキを食べている明樹を見て目を瞬いた。
「なんか、走ってくるっていなくなった」
「はぁ?こんな夜遅くに?」
「そういう気分なんじゃないっすか」
無表情で明樹が肉を口に運ぶ。
その様子は不機嫌になるギリギリ1歩手前に見えて、高嶺と仁は即座に目配せした。優成が何かやらかしたのかと小突き合うふたりは、明樹が服の中に手を突っ込んで居心地悪そうに唇を噛むのに気付かない。
(あのまま、優成がやめなかったらどうなってたんだろ)
正直、どうなっていたのか想像できないほど明樹は子どもではない。でも、どうなってほしかったのかはわからない。
優成が撫でた箇所をなぞるように触れて、明樹は衝動的に腹を引っ掻いた。そうしないと、何かが溢れてしまいそうだった。
46
あなたにおすすめの小説
楽な片恋
藍川 東
BL
蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。
ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。
それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……
早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。
ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。
平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。
高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。
優一朗のひとことさえなければ…………
雪解けを待つ森で ―スヴェル森の鎮魂歌(レクイエム)―
なの
BL
百年に一度、森の魔物へ生贄を捧げる村。
その年の供物に選ばれたのは、誰にも必要とされなかった孤児のアシェルだった。
死を覚悟して踏み入れた森の奥で、彼は古の守護者である獣人・ヴァルと出会う。
かつて人に裏切られ、心を閉ざしたヴァル。
そして、孤独だったアシェル。
凍てつく森での暮らしは、二人の運命を少しずつ溶かしていく。
だが、古い呪いは再び動き出し、燃え盛る炎が森と二人を飲み込もうとしていた。
生贄の少年と孤独な獣が紡ぐ、絶望の果てにある再生と愛のファンタジー
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です
はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。
自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。
ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。
外伝完結、続編連載中です。
君さえ笑ってくれれば最高
大根
BL
ダリオ・ジュレの悩みは1つ。「氷の貴公子」の異名を持つ婚約者、ロベルト・トンプソンがただ1度も笑顔を見せてくれないことだ。感情が顔に出やすいダリオとは対照的な彼の態度に不安を覚えたダリオは、どうにかロベルトの笑顔を引き出そうと毎週様々な作戦を仕掛けるが。
(クーデレ?溺愛美形攻め × 顔に出やすい素直平凡受け)
異世界BLです。
生まれる前から好きでした。
兎
BL
目立たないよう静かに暮らしてきた高校生の相澤和真の前に、突然現れた年下の容姿端麗な男、三峰汐音。彼には生まれる前からの記憶があり、和真の事を前世で自分が護衛をしていた王女の生まれ変わりなのだと打ち明ける。自分が側に居なかった為に王女が処刑されてしまったと、心に深い傷を負ったまま汐音は何度も生まれ変わりながらもずっと亡き王女の魂を探し求め、やっと見つけたのが和真なのだと説明する。王女の面影を重ねながら和真を一途に慕う汐音に、和真の生活は乱されていく。汐音の出現で和真の唯一の友人である福井奏の様子もどこかおかしい。出生に複雑な事情を抱えていた和真の身に、さらに大手企業の後継者争いまで勃発してきて……。年下男から一途に愛される生まれ変わりラブ。
ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!
ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!?
「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる