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痛い。なんだ?
首だ。首が痛い。
何か尖ったものが押し当てられている感覚が、首筋に走る。
「……っう……」
顔をしかめながら目を開ける。視界がかすんでいても、目の前に誰かいるのが分かった。
イズキだ。寝ている俺の横にしゃがんでいる。
「っ!あ、え、あの、おはよう、ございます……っ」
「……生きてんのか」
イズキはつまらなそうな顔をして、何やら手に持っていたものを投げ捨てた。
カラン、と音を立てて床に落ちたのはアイスピックだった。
(え、首に突き刺そうとしてた?)
気づいて血の気が引いて、すぐに首に手を当てると少しだけ血が出ていた。俺が血に動揺していると、何をしていたのか説明もなくイズキは立ち上がって腕を組む。
「死んでねえなら仕事だ。寝すぎなんだよテメエ」
「す、すみません……!すぐ行きます……!」
今俺を殺そうとしてた?ということすら聞けない力関係を前に謝りながら立ち上がって、もつれる脚で部屋を出ようとするとイズキに頭を殴られた。ほんの軽く、という手の動きだったが、脳にぐわんと衝撃が走る。
「シャワー浴びてからだ。シャツも新しいのに着替えろ。汚え恰好で店出たら殴る。10分で店に来なかったら殺す」
「は、はい!10分で!」
殺害宣言をしたイズキは居酒屋店員のような返事をした俺にシャツを投げて、部屋を出て行った。死にたくないので急いでシャワーを浴びて着替え、着ていたシャツはどうしたらいいのかと持ったまま部屋を出ると、リビングのテーブルでジウが段ボールを開けていた。
「お、幸太おはよ~。店開けるからって、イズキさんに叩き起こされたでしょ」
「あ、うん。ジウは店出ないの?てか今ってもう夜中?あと、着替えたシャツって──」
「シャツはあとで洗っとくからここ置いといて。んで、俺はキョウコさんみたいな太客が来ないと店には出してもらえない。VIP入れる客以外、俺の小遣い稼ぎ禁止されてるから」
俺が矢継ぎ早に聞くと、ジウは段ボールの中身を取り出しながら答える。
ジウがキョウコと会うことも、イズキはスマホをぶっ壊すくらいには嫌がっているようだったが、あれで許容されているということなのだろうか。
「そして、今は夜中じゃなくて午前中の10時」
「え、10時?昨日は夜中に開店してたはずじゃ」
「ああ、エルムンドの営業時間って結構変わるんだよね。イズキさんが決めてるわけじゃなくて、上司から指示があってそれに従ってる。今日はボスが用事あって来るから、合わせて店開けろって言われたみたいよ」
イズキは上司に正当防衛以外の殺しを禁止されていると、昨日ジウに聞いた。治安最悪の店でイズキの殺しを禁止して、エルムンドの営業時間を勝手に変えられる上司がいるというのが怖い。その命令にイズキが従っているのだから、相当な人間に違いない。
全然会いたくないなと思いながら、遅刻で命を失わないようにエルムンドへ行こうとすると「あ、待って」とジウに呼び止められた。
「この荷物、キョウコさんから届いたやつでさ。幸太宛の楽譜とスマホも入ってた。仕事早いよね。はい、これ」
テーブルの上を滑って、俺の方へ楽譜とスマホがやってくる。昨日の今日でもう約束のプレゼントが送られてくる手際の良さにキョウコのテクニックを感じながら、なんだか見たことのない機種のスマホを手に取った。電源ボタンを押すとホーム画面が開き、今の時刻は10時3分だった。
スマホをズボンにしまって楽譜を手に取ると、『別れの曲』『ラ・カンパネラ』『子犬のワルツ』など色々あった。曲名ではよくわからなかったが、譜面を見ると知っている曲のメロディーが頭に流れた。学校に行っていた頃、音楽室で勝手に聴いていたCDに収録されていたのを覚えている。
「いつでも弾けるように、楽譜はVIPルームに置いとけば。スマホはね、キョウコさんカスタムがされてて、俺とキョウコさんの連絡先しか入ってない。どうせ遠隔で監視されてるからプライバシーゼロだけど、ないよりはいいでしょ」
「ああ、そうなんだ……うん、ないよりはいい」
うわぁとは思ったが、以前俺にスマホを支給していた三ツ木さんも位置情報を勝手に抜いていたし、俺はスマホにプライバシーがないことを仕方ないで片付けられるようになってしまっていた。
俺は楽譜を揃えて持ち直し、「じゃ、また」とジウに言って足早にリビングを出る。急がないとイズキに殺されてしまうのだから、必死だった。
階段を駆け上がってエルムンドに到着しカウンターへ走ると、イズキが壁に寄りかかりながらスマホを見ていた。息を上げる俺を一瞥して、スマホをしまう。
「9分49秒。もっと余裕持って動け」
「す、すみません!あの、俺掃除とかします……!」
ギリギリ間に合って殺されずに済んだが、少々不満げなイズキの機嫌を損ねたくなかったので、速攻でキャビネットに楽譜を突っ込んで掃除用具を取り出した。昨日死体の血をキレイにするためにずっと掃除をしていたおかげで、俺は掃除に関してだけは仕事覚えの早い従業員だった。
昨日、というか数時間前にきっちり掃除をしたので店内はキレイだが、真面目に端のテーブルから丁寧に磨いていると、イズキはシェイカーに酒を入れて振りはじめた。本当にバーテンダーなんだなと少し見てしまうと、すぐに一瞥を投げられ俺は顔ごと目をそらす。
その後黙々とテーブルを磨いたり椅子を拭いたりして過ごし、30分ほど経っただろうか、もう店は開いているのかなと入り口の方を見た時、ドアが大きい音を立てて開いた。
目つきの悪い金髪男が大股で入って来て、そのあとに喪服のような黒スーツの男たちが続く。金髪男は不機嫌な顔で男たちを引き連れて、イズキの元へ無遠慮に歩いて行った。
(もしかしてこいつがイズキの上司?若いな、俺とそんな変わらなそう)
金髪男はイズキより明らかに若いが、たぶん裏社会は実力主義の業界なのだろう。失礼のないように先回りでカウンターに向かい、イズキの斜め後ろに立って頭を下げた。
「相変わらず古臭え店だな。なんで潰れねえんだよ」
金髪男はカウンターに着くなり開口一番そう言って、鼻で笑った。挑発的な口調でまったく友好的ではない。上司にしては喧嘩腰過ぎて、俺はすぐに緊張を感じた。
「古臭えじゃなくて、アンティークだ。バカには理解が難しいかもしれないが」
イズキはシェイカーからグラスに酒を注ぎながら金髪男の目も見ずにそう言い返して、俺はふたりが上司と部下じゃないことを確信した。イズキの態度はキョウコに対するそれより確実に棘がある。つまり、イズキにとって金髪男はキョウコ以上に嫌な客ということだ。緊張で手汗が出てくる。
昨日迷惑客が殺されていたカウンター席を思わず見てしまうと、金髪男が大きく舌打ちをした。
「誰に口効いてんだ、あ?敬語使えやボケ」
「志倉のガキが随分デケェ口叩くようになったな」
「テメエこれ以上舐めたこと言いやがったらドタマぶち抜くぞ、三下」
金髪男が凄んで懐から拳銃を抜く。初めて本物を見て俺は血の気が引いたが、銃口を向けられているイズキは顔色一つ変えなかった。ポーカーフェイスのまま、手首の動きだけで、カウンターの下からナイフを取るのが見えた。調理ナイフは後ろの壁に並べてあるので、あれは武器だ。しかし金髪男は至近距離で銃をイズキに向けており、ナイフで勝てるわけはない。それなのにイズキの堂々たる立ち姿には余裕しかなく、この場で引け腰なのは俺だけだった。
「は、ムカつく面しやがって。それとも大人しく殺される覚悟があんのか?」
「お前が撃ってくれないと、俺はお前を殺せない。だから初心者でも弾当てやすいように目の前に立ってやってんだよ」
「っ、テメエ、マジで殺す。吉春さんがいなきゃテメエなんて──」
イズキの火に油を注ぐ発言によって、金髪男は口を歪めて指を引き金にかけた。撃たれると思って俺が頭を抱えると同時に、入り口のドアが開いてベルの音がした。あのドアは毎回蹴破る勢いで開けられていて、ベルが綺麗な音色で仕事をしているのを初めて聞いた。
「飛龍やめな。イズキに喧嘩売るなっていつも言ってんでしょ」
入ってきたのは金髪男を飛龍と呼ぶ男で、この場にいる誰よりも柔らかい表情をしていた。しかし、その顔は血に塗れていて、こちらに歩いてくる男の全身から血の匂いを感じた。
首だ。首が痛い。
何か尖ったものが押し当てられている感覚が、首筋に走る。
「……っう……」
顔をしかめながら目を開ける。視界がかすんでいても、目の前に誰かいるのが分かった。
イズキだ。寝ている俺の横にしゃがんでいる。
「っ!あ、え、あの、おはよう、ございます……っ」
「……生きてんのか」
イズキはつまらなそうな顔をして、何やら手に持っていたものを投げ捨てた。
カラン、と音を立てて床に落ちたのはアイスピックだった。
(え、首に突き刺そうとしてた?)
気づいて血の気が引いて、すぐに首に手を当てると少しだけ血が出ていた。俺が血に動揺していると、何をしていたのか説明もなくイズキは立ち上がって腕を組む。
「死んでねえなら仕事だ。寝すぎなんだよテメエ」
「す、すみません……!すぐ行きます……!」
今俺を殺そうとしてた?ということすら聞けない力関係を前に謝りながら立ち上がって、もつれる脚で部屋を出ようとするとイズキに頭を殴られた。ほんの軽く、という手の動きだったが、脳にぐわんと衝撃が走る。
「シャワー浴びてからだ。シャツも新しいのに着替えろ。汚え恰好で店出たら殴る。10分で店に来なかったら殺す」
「は、はい!10分で!」
殺害宣言をしたイズキは居酒屋店員のような返事をした俺にシャツを投げて、部屋を出て行った。死にたくないので急いでシャワーを浴びて着替え、着ていたシャツはどうしたらいいのかと持ったまま部屋を出ると、リビングのテーブルでジウが段ボールを開けていた。
「お、幸太おはよ~。店開けるからって、イズキさんに叩き起こされたでしょ」
「あ、うん。ジウは店出ないの?てか今ってもう夜中?あと、着替えたシャツって──」
「シャツはあとで洗っとくからここ置いといて。んで、俺はキョウコさんみたいな太客が来ないと店には出してもらえない。VIP入れる客以外、俺の小遣い稼ぎ禁止されてるから」
俺が矢継ぎ早に聞くと、ジウは段ボールの中身を取り出しながら答える。
ジウがキョウコと会うことも、イズキはスマホをぶっ壊すくらいには嫌がっているようだったが、あれで許容されているということなのだろうか。
「そして、今は夜中じゃなくて午前中の10時」
「え、10時?昨日は夜中に開店してたはずじゃ」
「ああ、エルムンドの営業時間って結構変わるんだよね。イズキさんが決めてるわけじゃなくて、上司から指示があってそれに従ってる。今日はボスが用事あって来るから、合わせて店開けろって言われたみたいよ」
イズキは上司に正当防衛以外の殺しを禁止されていると、昨日ジウに聞いた。治安最悪の店でイズキの殺しを禁止して、エルムンドの営業時間を勝手に変えられる上司がいるというのが怖い。その命令にイズキが従っているのだから、相当な人間に違いない。
全然会いたくないなと思いながら、遅刻で命を失わないようにエルムンドへ行こうとすると「あ、待って」とジウに呼び止められた。
「この荷物、キョウコさんから届いたやつでさ。幸太宛の楽譜とスマホも入ってた。仕事早いよね。はい、これ」
テーブルの上を滑って、俺の方へ楽譜とスマホがやってくる。昨日の今日でもう約束のプレゼントが送られてくる手際の良さにキョウコのテクニックを感じながら、なんだか見たことのない機種のスマホを手に取った。電源ボタンを押すとホーム画面が開き、今の時刻は10時3分だった。
スマホをズボンにしまって楽譜を手に取ると、『別れの曲』『ラ・カンパネラ』『子犬のワルツ』など色々あった。曲名ではよくわからなかったが、譜面を見ると知っている曲のメロディーが頭に流れた。学校に行っていた頃、音楽室で勝手に聴いていたCDに収録されていたのを覚えている。
「いつでも弾けるように、楽譜はVIPルームに置いとけば。スマホはね、キョウコさんカスタムがされてて、俺とキョウコさんの連絡先しか入ってない。どうせ遠隔で監視されてるからプライバシーゼロだけど、ないよりはいいでしょ」
「ああ、そうなんだ……うん、ないよりはいい」
うわぁとは思ったが、以前俺にスマホを支給していた三ツ木さんも位置情報を勝手に抜いていたし、俺はスマホにプライバシーがないことを仕方ないで片付けられるようになってしまっていた。
俺は楽譜を揃えて持ち直し、「じゃ、また」とジウに言って足早にリビングを出る。急がないとイズキに殺されてしまうのだから、必死だった。
階段を駆け上がってエルムンドに到着しカウンターへ走ると、イズキが壁に寄りかかりながらスマホを見ていた。息を上げる俺を一瞥して、スマホをしまう。
「9分49秒。もっと余裕持って動け」
「す、すみません!あの、俺掃除とかします……!」
ギリギリ間に合って殺されずに済んだが、少々不満げなイズキの機嫌を損ねたくなかったので、速攻でキャビネットに楽譜を突っ込んで掃除用具を取り出した。昨日死体の血をキレイにするためにずっと掃除をしていたおかげで、俺は掃除に関してだけは仕事覚えの早い従業員だった。
昨日、というか数時間前にきっちり掃除をしたので店内はキレイだが、真面目に端のテーブルから丁寧に磨いていると、イズキはシェイカーに酒を入れて振りはじめた。本当にバーテンダーなんだなと少し見てしまうと、すぐに一瞥を投げられ俺は顔ごと目をそらす。
その後黙々とテーブルを磨いたり椅子を拭いたりして過ごし、30分ほど経っただろうか、もう店は開いているのかなと入り口の方を見た時、ドアが大きい音を立てて開いた。
目つきの悪い金髪男が大股で入って来て、そのあとに喪服のような黒スーツの男たちが続く。金髪男は不機嫌な顔で男たちを引き連れて、イズキの元へ無遠慮に歩いて行った。
(もしかしてこいつがイズキの上司?若いな、俺とそんな変わらなそう)
金髪男はイズキより明らかに若いが、たぶん裏社会は実力主義の業界なのだろう。失礼のないように先回りでカウンターに向かい、イズキの斜め後ろに立って頭を下げた。
「相変わらず古臭え店だな。なんで潰れねえんだよ」
金髪男はカウンターに着くなり開口一番そう言って、鼻で笑った。挑発的な口調でまったく友好的ではない。上司にしては喧嘩腰過ぎて、俺はすぐに緊張を感じた。
「古臭えじゃなくて、アンティークだ。バカには理解が難しいかもしれないが」
イズキはシェイカーからグラスに酒を注ぎながら金髪男の目も見ずにそう言い返して、俺はふたりが上司と部下じゃないことを確信した。イズキの態度はキョウコに対するそれより確実に棘がある。つまり、イズキにとって金髪男はキョウコ以上に嫌な客ということだ。緊張で手汗が出てくる。
昨日迷惑客が殺されていたカウンター席を思わず見てしまうと、金髪男が大きく舌打ちをした。
「誰に口効いてんだ、あ?敬語使えやボケ」
「志倉のガキが随分デケェ口叩くようになったな」
「テメエこれ以上舐めたこと言いやがったらドタマぶち抜くぞ、三下」
金髪男が凄んで懐から拳銃を抜く。初めて本物を見て俺は血の気が引いたが、銃口を向けられているイズキは顔色一つ変えなかった。ポーカーフェイスのまま、手首の動きだけで、カウンターの下からナイフを取るのが見えた。調理ナイフは後ろの壁に並べてあるので、あれは武器だ。しかし金髪男は至近距離で銃をイズキに向けており、ナイフで勝てるわけはない。それなのにイズキの堂々たる立ち姿には余裕しかなく、この場で引け腰なのは俺だけだった。
「は、ムカつく面しやがって。それとも大人しく殺される覚悟があんのか?」
「お前が撃ってくれないと、俺はお前を殺せない。だから初心者でも弾当てやすいように目の前に立ってやってんだよ」
「っ、テメエ、マジで殺す。吉春さんがいなきゃテメエなんて──」
イズキの火に油を注ぐ発言によって、金髪男は口を歪めて指を引き金にかけた。撃たれると思って俺が頭を抱えると同時に、入り口のドアが開いてベルの音がした。あのドアは毎回蹴破る勢いで開けられていて、ベルが綺麗な音色で仕事をしているのを初めて聞いた。
「飛龍やめな。イズキに喧嘩売るなっていつも言ってんでしょ」
入ってきたのは金髪男を飛龍と呼ぶ男で、この場にいる誰よりも柔らかい表情をしていた。しかし、その顔は血に塗れていて、こちらに歩いてくる男の全身から血の匂いを感じた。
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