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第四章 スヴェルトアールヴヘイムの層

第四十六話 国王軍を撃退しよう ~重税の件~

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 翌日、一階の食堂でみんなで食事をすることになった。
 当面の宿代も稼いだことだし、塔の攻略についての話し合いもかねてのことだ。
 朝食はパンに目玉焼き、ベーコンエッグにサラダ、フルーツ、オレンジジュースと完璧にそろっている。

「おかわりは、いかが?」

 小さな子どもの亜人。
 犬? の男の子がパンを持ってきた。

「ありがとうニャ!」

 ノルが子供の亜人からパンをもらった。

「へー、こいつは亜人族犬科、こんな所に居るのは珍しいね」

 カールが言った。

「この子も他の世界から来たみたいでね。
 ここで雇ってるのよ。
 住み込みでね」

 飲み物を持ってきたドラウさんが言った。

「ほれ、みなさんに挨拶しなさい」
「ボクはガルムです。はじめまして」

 亜人族犬科の男の子はたどたどしく挨拶した。

「私はフレイヤ。小さいのにお仕事して偉いわね」

 フレイヤがガルムの頭を撫でてあげると尻尾をふって喜んだ。

「ドラウ殿は我々のような旅人を泊めたり
 身寄りのない子供を引き取ったりと実に立派です」

 アイラはドラウさんに敬礼した。

「おやおや。あたしゃーただ商売してるだけさ。
 あんた達は、ちゃんと料金払ってくれたし、ガルムは働いてくれるしさ」

 そう言うと大きな声で笑った。

 その時入り口から甲冑を着た兵士が入ってきた。

「ドラウは居るか!」

 入ってきた兵士は5名。
 隊列を組んで居て真ん中の兵士がドラウさんに声をかけたようだ。

「なんだい?」

 ドラウさんが前に出ると兵士は言った。

「国王様より通達!
 土地にかかる税金を毎月50万ペタ。
 二ヶ月間未払いにより差し押さえにはいる!」
「ちょっと待ってよ!
 今月は10万ペタで残りは、また後からでいいって話だったじゃない!」

 ドラウさんは叫んだ。

「国王の命である!
 どけ!」

 兵士はドラウさんを突き飛ばした。
 
「ドラウおばちゃん!」

 ガルムが駆け寄った。

「どけ! ガキ!」

 兵士がガルムを蹴飛ばそうとした。
 その時。

「女、子供に手を出すとは何事か!
 それが国王の兵士とは!」

 アイラが思いっきり兵士をぶっ飛ばした。
 他の4名の兵士が剣を抜いた。

「貴様! 国王直属の兵に逆らうとは死刑に処する!」

 次の瞬間、俺も4名の兵士を殴り飛ばしていた。
 全員その場に崩れ落ちた。

「やば、やっちまったかも」
「ううん。アルスは間違ってない」

 フレイヤが言った。

「間違ってないニャ!」

 ノルも賛同してくれた。

「ヒュウッ! 国王にケンカ売るなんて痺れるねぇ」

 カールは、また冗談半分に楽しそうだ。

「いや、別にケンカは売ってないけど。
 まあ、ケンカ売ってると思われても仕方ないよなぁ……」
「アンタ達強いね。助かったよ」

 ドラウさんは起き上がって言った。

「ここの所、税金の取り立てが厳しくてね。
 しかも、急に倍の金額になってね。
 払えない分は翌月にって話してたのに、いきなり取り立てに来るなんて」
「どうして急に?」
「どうも王妃様の浪費が原因らしい」

 そんなとんでも無い王妃様だ。

「もうここもやっていけないかもしれないよ。
 税金は明日までに何とか用意して払うさ……」

 ドラウさんは悲しそうに言った。
 兵士達にRPを配り目を覚まさせた後、税金は明日払うので今日の事は不問にするように話をした。
 アイラがブチ切れて胸ぐらを掴んで脅していたので話をした。
 というより脅迫した。
 みたいな感じなんだが……。


---


 この世界の探索と金を稼ぐために俺達は町の外へ出た。
 暫く歩くと次の層へ続く塔が見えた。
 俺達は塔を目指して歩き始めた。

「しっかし、どこへ行っても民衆を苦しめる権力者ってのは居るもんだね」

 カールが、つぶやいた。

「まったくけしからん。何としても是正しなくては」

 アイラは興奮しながら言った。

「ドラウさんは、私達を助けてくれたし、それに身寄りの無いガルムも養ってるし、あんないい人が苦しめられるなんて、なんとか助けられないかしら」

 フレイヤもドラウさんのために何かしようと考えているようだ。

「そうだニャ! そうだニャ!」

 ノルもやる気だ。

「そうだな。この世界を去る前に無駄遣いの王妃と圧政を強いる王様を何とかしよう」

 俺も思わず勢いに乗ってしまった。

「えいえい。オー!」

 アイラ、フレイヤ、ノルは、本当にやる気だ。
 掛け声が見事そろっている。

「おい。あれ見ろよ」

 カールが塔の方を指差した。
 
「ん? 塔以外に何かあるか?」
「塔の下の方見てみな」

 視線を下におろすと塔の根元は城と城下町から伸びていた。

「塔は城から伸びている?」
「一石二鳥だね」

 カールはうれしそうに言った。
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