悪役に壁ドンされたら思い出しました

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24.最終回

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 さて、呆気なく終わったパーティの次の日。

なぜだかミアは令嬢たちにお姉様と呼び慕われていた。

「まあ!伊達メガネだったんですの!?なら外してしまいましょうよミアお姉様!」

「そうですわぁ!そんなお綺麗な瞳を隠すのは国の大損失です!」

(んんんんん?はてさて、なぜ私はこんな目に遭っているんだろうか・・・)

ミアにとっては大事件だ。

人知れず好き勝手に生きたかったというのに、グウィンと関わり始めてから以前とは違う意味での悪目立ちの連続だ。

「まあまあ、こういうのも面白いし悪くないんじゃない?お・ね・え・さ・ま?」

「アリアが言うと怖気と寒気と目眩が一気に襲ってくるからやめて。」

「そこまで!?」

 どうやらミアの容姿は凛々しく美しく、前世でいうところの宝塚?のようなモテっぷりを発揮するようだ。

「ちょっと解放して・・・」

とモゾモゾ逃げ出そうとしていると、背後から物凄い土煙を上げ走ってくる女の塊。

「はぁぁん!お姉様ぁぁぁぁ!」

ギョッとするミア。
流石のミアですら恐怖だった。思わず涙目になってお得意の脚力を駆使し逃げ出した。

「──なにこれ新手のいじめ???」

ただただ恐怖だ。


- - - - - - - - - - - - - - -


「で、ここに逃げ込んできたのか?おん?」

ニヤニヤと嬉しそうな顔つきのグウィンに、助けてもらった立場でありながらイラつくミア。

「ちょっと的になってくれません?」

「待て待て、なんの的だ?」

二人はお互いの立場を忘れ、談笑(?)する。

「まあなぁ、お前は俺の、おーれーの、女だから無償で助けてやるんだよ。」

「都合のいい男の典型ですね。」

「侯爵だってこと忘れてないか?」

そんな漫才も最早通常運転。

だが今日は少し違うらしい。

「──おま・・・ミア。」

「・・・・・・はあ。」

唐突に名前を呼ばれ、真剣な目で見つめられるミアは言葉に詰まる。

「その・・・あれだ。えーと・・・」

「・・・なんですか急に。挙動不審ですよ?騎士団でも呼んで連行してもらいましょうか?」

ミアがちゃちを入れると、まるで小学生男子のように単純な反応をした。

「~~~受け取れバカ!!!」

(なんだこのツンデレ!)

誰得だ!(俺得や!)と思いながら投げつけられた箱をキャッチする。

だが我に返ったグウィンが慌てて言った。

「──い、いや待てえ!!一旦返せ!もっとちゃんと!ちゃんとするから!」

なぜちゃんとしないといけないのかが分からなかったミアは、首を傾げて聞く。

少しの悪戯心を湧かせながら。

「え?なぜです?渡されたのだからコレはもう私のモノと同義では。」

「横暴!!!!」

顔を真っ赤にさせ、息をゼェハァさせながら取り返したグウィン。

「え!なんですかグウィン様!?」

唐突に跪く。

そんなグウィンを目にし、熱があるのではと心配になったミア。

同じようにしゃがみこんでグウィンを見つめた。

「────改めて、言われてくれ。す・・・す・・・ふぅ」

「す?ふぅ?」

グウィンは顔を真っ赤にし、どもりながら箱を開け叫んだ。

「いい加減気づけ!・・・お前のことが好きだ!」

ミアの薬指に嵌められる、輝く婚約指輪。

「──学園を卒業したら、結婚してくれ!!」


この後、驚きすぎたミアがグウィンを張り手してしまったのは、この先ずっとネタとしていじられ続けたらしい。


- - - - - - - - - - - - - - -


これにて【悪役に壁ドンされたら思い出しました】は完結となります!
短編ですからどう二人を縮めようか試行錯誤しました。二人の過ごす時間を増やしたくてたまりませんでした。

悪役感は薄かったかな、と思いました。元クズ男をモチーフにした題材だったのですが、実際には女たらしの放浪男ではなさそうな感じに・・・ウブになってしまいました。言うなれば劣等感抱いた根性歪み男でしたね。まあ本格的に屑さんでしたら同情できなかったでしょうし仕方ない。

祝!初完結です。執筆仕切ったとともに溢れ出る達成感は物凄いですね。

未練があるとしたら、ミアにもグウィンに対し好きだと言わせたかった事ですかね。

今まで人への関心が薄かったミアですし、気持ちを伝えるのも一苦労でしょうね。

ここまで読んでくださった読者の皆様、本当にありがとうございました。感謝感激です。
またどこかでお会いしましょう!
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