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10.グウィンとマーティン、そしてエレン
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さて、そんな風に仕事をサボっていると思われていたグウィン侯爵だが、意外にも真面目に仕事をこなしていた。
領地に問題があったらしく、マーティンと共に視察に行っているのだ。
ちなみにマーティンについては学園も事情を理解しているため了承済みだ。一応単位も取れるらしい。
「・・・マーティンが私と共に来るのは知っていたが・・・なんだ?その女性は。」
ジラッと凶悪な顔を更に凶悪にさせ、グウィンは冷たい声でそういった。
そう、マーティンの腕に縋りつきながらついて来ているこの女。【エレン・ブラントン】のことだ。
「ここは遊び場じゃないが?いつからそんな場所になったのだろうかねぇ・・・?」
ミアがいない間のグウィンの口調や仕草はだいぶおっさん臭さをにおわせている。
彼女の前ではかっこつけていたのが伺える。
「やですねぇ。グウィン?侯爵さまぁ。」
「・・・誰が名前で呼んでいいと言った?確かお前、平民、だったよな?」
「兄さん!なぜそんなキツい物言いしかできないんですか!可哀想に・・・エレンが泣きそうになって怯えてるじゃないか!」
「うぅ・・・怖い。マーティン・・・」
グウィンは、その茶番に思わず間抜けな声が漏れる。
「・・・は?」
失態だった。
何が彼らの琴線に触れたのか、キッと睨みつけてきて責め始める。
「そんな風に睨みつけるな!エレンは繊細なんだぞ!?なにを思ってか知らないけれど、エレンにちょっかいをかけるのはやめてくれ!」
「・・・」
ちなみにこの沈黙の間、白目を剥いているグウィン。あまりの展開に天下の女たらし(笑)もついていけないようだ。
「いや、待て・・・うん。まあそれは置いとくぞ?仕事があるのを忘れないでくれ・・・」
「・・・はあ、仕方ねえ。・・・エレン、少しの辛抱だぞ?何かあったら俺を頼ってくれ。」
「マーティンさま・・・!」
(・・・早く帰りたい)
まんま、茶番だ。
グウィンは昔から騎士として名を挙げたマーティンを妬んでいたが、今では過ぎたことだ。
ミアと出会ってから上には上がいる(筋肉ダルマのゴリラ)と知ったし、謙遜も驕りもそのどちらもしていない(というより興味がないのだろう)彼女を見て馬鹿馬鹿しくなったのだ。
だから二人に対して興味もないし、突っかかられるだけ迷惑だった。
「早くミアに会いたいなぁ・・・多分馬車に押し込められて強制送還されるんだろうけどな。」
思わず呟いてフッと笑ってしまう。
そんな兄を見たマーティンは、思わず目をかっぴらいてしまった。
「ま、マーティンさまぁ!」
「あ、ああ、エレンどうしたんだい?」
「私、マーティン様の領地を視察できると聞いたわ。でも、どうしてこんな兵団の訓練所にいるの!?」
グウィンはチラとエレンを見る。
顔を真っ赤にさせて、マーティンに訴えているところを見るに大方こんな暑苦しい場所が嫌なのだろう。
(ならついてくんなって・・・あとコイツの領地じゃなくて一応俺が領主なんだけどな!?)
こっそり、耐えきれずにため息をついたら、エレンが物凄い形相で睨みつけてきた。
マーティンは筋肉馬鹿なだけだ。
彼の領地と言われるのはさすがに納得がいかないグウィン。
領地については全てグウィンがこなしていた。それと同時進行でマーティンのようになりたく、体を鍛えていたのだが。
「もっと市場の様子をお忍びで見るのかと思ってたのに・・・!」
爪を噛みながら、ブツブツと呟いているエレン。
確かにそういう事もあるが、そんなのは大抵執事に任せている。
今回グウィンが視察に来た理由は領地の設備と衛生問題の見直しのためだ。
(こいつら、領地運営を舐めてるなぁ・・・)
そしてこっそりとエレンという女を見た。
どうにもこうにも、マーティンがメロメロになるほどの女とは思えず疑問に感じるのだ。
癇癪を起こして仕事の邪魔をするだけの女の何がいいのだろうか。
「もういい。お前らはあっち行ってろ。」
この領地の市場にある、沢山の金品や宝飾物が目当てなのだろうと女の様子を見て察する。
そのためシッシッと厄介払いをしたグウィン。
「ただし、家の金は使うな。手伝いも何もしないみたいだからな。マーティン、自分の金を使え。ついでに市場の様子を調べて俺にそれを見せろ。それで学校側に話をつけておく。そこの女以外な。」
そう言った瞬間にエレンが真っ赤になってた顔を更に沸騰させ、地団駄を踏んだ。
「何よ!ケチ!侯爵のくせして!」
「え、エレン・・・?お、落ち着けよ。ほら、行こう」
「・・・どうせアンタなんかスグに当て馬として潰してやるんだから!この世界は私のためにできてるんですもの、ちょっとシナリオから外れることが出来たからって調子に乗らないでよね!?」
何やら意味のわからない事を言っていたが、そのままマーティンに無理やり連れていかれた。
沈黙。
なぜかあのエレンという女が、一々グウィンに噛み付いてくるのだ。
理由は分からないが、物凄く敵意を顕にしていた。
「あーーーっ!何だよホント・・・!!」
ギャンッ!と手をブンブンして怒ったグウィン。
それを兵団の兵士に見られて笑われたため、稽古をつけてあげることにしたとかなんとか。
(その次の日、団長以外の兵士たちは立てなくなっていたという噂が蔓延ったらしい)
ちなみに、グウィンもその次の日、兵団全員分の人数の手合わせをしたため酷い筋肉痛と疲労感に襲われて仕事が遅れたらしい。
丁寧な手つきでグウィンの腰や肩に湿布を貼る執事に対し、バンバンと寝具を叩きながら暴れるグウィン。
「あいだだだだっ!ジェリー、湿布は優しく貼れ!」
領地に問題があったらしく、マーティンと共に視察に行っているのだ。
ちなみにマーティンについては学園も事情を理解しているため了承済みだ。一応単位も取れるらしい。
「・・・マーティンが私と共に来るのは知っていたが・・・なんだ?その女性は。」
ジラッと凶悪な顔を更に凶悪にさせ、グウィンは冷たい声でそういった。
そう、マーティンの腕に縋りつきながらついて来ているこの女。【エレン・ブラントン】のことだ。
「ここは遊び場じゃないが?いつからそんな場所になったのだろうかねぇ・・・?」
ミアがいない間のグウィンの口調や仕草はだいぶおっさん臭さをにおわせている。
彼女の前ではかっこつけていたのが伺える。
「やですねぇ。グウィン?侯爵さまぁ。」
「・・・誰が名前で呼んでいいと言った?確かお前、平民、だったよな?」
「兄さん!なぜそんなキツい物言いしかできないんですか!可哀想に・・・エレンが泣きそうになって怯えてるじゃないか!」
「うぅ・・・怖い。マーティン・・・」
グウィンは、その茶番に思わず間抜けな声が漏れる。
「・・・は?」
失態だった。
何が彼らの琴線に触れたのか、キッと睨みつけてきて責め始める。
「そんな風に睨みつけるな!エレンは繊細なんだぞ!?なにを思ってか知らないけれど、エレンにちょっかいをかけるのはやめてくれ!」
「・・・」
ちなみにこの沈黙の間、白目を剥いているグウィン。あまりの展開に天下の女たらし(笑)もついていけないようだ。
「いや、待て・・・うん。まあそれは置いとくぞ?仕事があるのを忘れないでくれ・・・」
「・・・はあ、仕方ねえ。・・・エレン、少しの辛抱だぞ?何かあったら俺を頼ってくれ。」
「マーティンさま・・・!」
(・・・早く帰りたい)
まんま、茶番だ。
グウィンは昔から騎士として名を挙げたマーティンを妬んでいたが、今では過ぎたことだ。
ミアと出会ってから上には上がいる(筋肉ダルマのゴリラ)と知ったし、謙遜も驕りもそのどちらもしていない(というより興味がないのだろう)彼女を見て馬鹿馬鹿しくなったのだ。
だから二人に対して興味もないし、突っかかられるだけ迷惑だった。
「早くミアに会いたいなぁ・・・多分馬車に押し込められて強制送還されるんだろうけどな。」
思わず呟いてフッと笑ってしまう。
そんな兄を見たマーティンは、思わず目をかっぴらいてしまった。
「ま、マーティンさまぁ!」
「あ、ああ、エレンどうしたんだい?」
「私、マーティン様の領地を視察できると聞いたわ。でも、どうしてこんな兵団の訓練所にいるの!?」
グウィンはチラとエレンを見る。
顔を真っ赤にさせて、マーティンに訴えているところを見るに大方こんな暑苦しい場所が嫌なのだろう。
(ならついてくんなって・・・あとコイツの領地じゃなくて一応俺が領主なんだけどな!?)
こっそり、耐えきれずにため息をついたら、エレンが物凄い形相で睨みつけてきた。
マーティンは筋肉馬鹿なだけだ。
彼の領地と言われるのはさすがに納得がいかないグウィン。
領地については全てグウィンがこなしていた。それと同時進行でマーティンのようになりたく、体を鍛えていたのだが。
「もっと市場の様子をお忍びで見るのかと思ってたのに・・・!」
爪を噛みながら、ブツブツと呟いているエレン。
確かにそういう事もあるが、そんなのは大抵執事に任せている。
今回グウィンが視察に来た理由は領地の設備と衛生問題の見直しのためだ。
(こいつら、領地運営を舐めてるなぁ・・・)
そしてこっそりとエレンという女を見た。
どうにもこうにも、マーティンがメロメロになるほどの女とは思えず疑問に感じるのだ。
癇癪を起こして仕事の邪魔をするだけの女の何がいいのだろうか。
「もういい。お前らはあっち行ってろ。」
この領地の市場にある、沢山の金品や宝飾物が目当てなのだろうと女の様子を見て察する。
そのためシッシッと厄介払いをしたグウィン。
「ただし、家の金は使うな。手伝いも何もしないみたいだからな。マーティン、自分の金を使え。ついでに市場の様子を調べて俺にそれを見せろ。それで学校側に話をつけておく。そこの女以外な。」
そう言った瞬間にエレンが真っ赤になってた顔を更に沸騰させ、地団駄を踏んだ。
「何よ!ケチ!侯爵のくせして!」
「え、エレン・・・?お、落ち着けよ。ほら、行こう」
「・・・どうせアンタなんかスグに当て馬として潰してやるんだから!この世界は私のためにできてるんですもの、ちょっとシナリオから外れることが出来たからって調子に乗らないでよね!?」
何やら意味のわからない事を言っていたが、そのままマーティンに無理やり連れていかれた。
沈黙。
なぜかあのエレンという女が、一々グウィンに噛み付いてくるのだ。
理由は分からないが、物凄く敵意を顕にしていた。
「あーーーっ!何だよホント・・・!!」
ギャンッ!と手をブンブンして怒ったグウィン。
それを兵団の兵士に見られて笑われたため、稽古をつけてあげることにしたとかなんとか。
(その次の日、団長以外の兵士たちは立てなくなっていたという噂が蔓延ったらしい)
ちなみに、グウィンもその次の日、兵団全員分の人数の手合わせをしたため酷い筋肉痛と疲労感に襲われて仕事が遅れたらしい。
丁寧な手つきでグウィンの腰や肩に湿布を貼る執事に対し、バンバンと寝具を叩きながら暴れるグウィン。
「あいだだだだっ!ジェリー、湿布は優しく貼れ!」
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