8 / 8
7話 道徳と真相
しおりを挟む
次の日の道徳の授業が始まった。
佐藤は作ってきた資料を生徒全員に配りだした。
ちゃんと要求通りのものを作ってきたのか不安だったので、資料が穴が空くまで見尽くしたが良く出来ていた。資料だけなら今のところ不安はない。少し不満があるとすれば平仮名しか書いていないために非常に読みづらい。いや、仕方ないのは分かっているのだけれども…
「今から、道徳の授業を始めます!道徳はみんなの中にある正しいと分かる力!今日はそれについてお話していきます」
佐藤も落ち着いている。急な頼みだったから負担にはなっているだろうが…
「まず、みんなに質問があります!みんなの好きな人はどんな人ですか?」
初めての授業で緊張しているのか、いつもなら元気に手を挙げる子供達が今回は手を挙げない。仕方ない、少しは強力してやるか。
「はい!優しい人!」
僕は手を挙げて発表した。何人かもそれに合わせてポツリポツリと発表しただした。
「そうだね。みんな好きなものは同じだったり、違ったりするね!世の中にも色んなタイプの人が好きな人がいるんだよ。胸が大きい人が好きな人がいれば、胸が小さい人を好きな場合もある。みんなくらいの年頃の子が好きな人もいるし、みんなのお母さんくらいの歳の人が好きな子もいる。男通しで愛し合っている人も、逆に女の子通しで愛し合ってる人もいる。それをみんなはどう思うかな?」
一人の生徒が手を挙げて言った。
「変だと思う。だって、そんなのおかしいよ!」
「そう。社会に出たらそう言うことを言っている人はいっぱいいる。でもね、それは先生やみんなにとっては変に感じても本人達はどうかな?変だとは思っていないから好きだったり愛し合ったり出来るんだよね!それは変で通せることかな?」
佐藤はそう言い終えると色鉛筆を取り出して、1本をみんなに見える様に上に掲げた。
「これは何色かな?」
えっと、あれだろ。今は確か何て言うんだっけ…
「うすだいだい色です」
雨宮さんがサラリと答えて座った。
「そう今はそう言う呼び方が主流になってきた。でも、少し昔はこれを肌色って呼んでた。でも、これって本当に肌色かな?アフリカとかの人達の色と比べたら明らかに色が違うよね?だから、昔は日本人にとっては肌色だったけど今はうすだいだい色になってる。これはさっきのお話でも言えないかな?みんなにとっての当たり前は別の人にとっての非常識な事もある。もし、そんな場面にあったときに違うからって人を虐めるのは絶対にいけないことだ。でも別の考え方もある。周りの人が非常識だと言っていることがどこかに行けば当たり前の事になるかもしれない。みんなは短所だと思っていることは長所なんだよ!ゆっくりと自分が嫌いだと思っている部分をよく見てみたら良いところが見えてくるかもしれないよ。だから、人に悪いことを言うことはその人の見付けられるかもしれない良いところを潰してしまうかもしれない。だから、みんなは悪口は言わないで欲しいし、言われた人も気にしてはいけない。自分は違うのかなって不安になるかも知れないけど、きっと貴方が悪いと思っている所を好きになってくれる人もいるはずだから!みんなに悪いところなんかはないんだ!良いところを見付けられていないだけだから!」
ちょうどチャイムが鳴って、授業が終わった。
佐藤は荷物を職員室に置きに行った。
例の被害者の子の方を見ると、少しは顔の曇りも晴れていた。
「どうだった授業?」
「私…自分の胸が嫌いだった。でも、好きな人もいるしきにしちゃだめだよね」
「そうだよ!大人っぽい所も魅力なんだから気にしちゃダメだよ!私なんかツルペタだし」
「本当だ!真っ平ら!」
何気ない一言が僕の心をたたき折った。でも、彼女が少し笑い出してくれて良かった。
そう思っていると、例のティアラさんがやって来た。
「ごめんなさい。私、貴方に好きな人に取られるんじゃないかって不安だったから変なこと言っちゃった。貴方が傷つくとかも考えもせずに、本当にごめんなさい!」
彼女も思うところがあったのだろうか。
「私、貴方が羨ましかった。それなのに傷つけるようなことしてごめんなさい」
彼女は謝っていた。小学1年生だ。根は素直なのかもしれない。
「私は自分であの人に好きになってもわうわ!貴方に嫉妬はしない!貴方みたいにあの人をメロメロにしてみせる!」
なるほど、情熱的だ。どんな男に惚れたんだろう。
「私は貴方の胸みたいに!桜様に見染めってもらえるような女の子に成ってみせる」
なるほど…桜って子が好きなのか…。何か引っかかるんだが。
後ろから、雨宮さんがスゥーと現れて、耳打ちをしてきた。
「貴方、気がついていなかったでしょ。今回の事件の発端となる大きなオッパイに鼻の下を伸ばしてティアラさんに嫉妬をさせて、尚且つ本人はその事に気がつかずに事件を解決するために奮闘して彼女に探りを入れるからペラペラと本当の事を愛しい人に喋ってしまった」
「…えっとつかぬ事を聞きますが…もしかして…ティアラさんの言う桜さんって…」
「もしかしなくても、今回の事の発端は貴方がオッパイに鼻の下を延ばしていたからよ。…変態」
「桜様!私の事もいっぱい知って欲しいな!」
その後、彼女の猛烈アタックを受けることになるのだが、それはまた別のお話になる。
佐藤は作ってきた資料を生徒全員に配りだした。
ちゃんと要求通りのものを作ってきたのか不安だったので、資料が穴が空くまで見尽くしたが良く出来ていた。資料だけなら今のところ不安はない。少し不満があるとすれば平仮名しか書いていないために非常に読みづらい。いや、仕方ないのは分かっているのだけれども…
「今から、道徳の授業を始めます!道徳はみんなの中にある正しいと分かる力!今日はそれについてお話していきます」
佐藤も落ち着いている。急な頼みだったから負担にはなっているだろうが…
「まず、みんなに質問があります!みんなの好きな人はどんな人ですか?」
初めての授業で緊張しているのか、いつもなら元気に手を挙げる子供達が今回は手を挙げない。仕方ない、少しは強力してやるか。
「はい!優しい人!」
僕は手を挙げて発表した。何人かもそれに合わせてポツリポツリと発表しただした。
「そうだね。みんな好きなものは同じだったり、違ったりするね!世の中にも色んなタイプの人が好きな人がいるんだよ。胸が大きい人が好きな人がいれば、胸が小さい人を好きな場合もある。みんなくらいの年頃の子が好きな人もいるし、みんなのお母さんくらいの歳の人が好きな子もいる。男通しで愛し合っている人も、逆に女の子通しで愛し合ってる人もいる。それをみんなはどう思うかな?」
一人の生徒が手を挙げて言った。
「変だと思う。だって、そんなのおかしいよ!」
「そう。社会に出たらそう言うことを言っている人はいっぱいいる。でもね、それは先生やみんなにとっては変に感じても本人達はどうかな?変だとは思っていないから好きだったり愛し合ったり出来るんだよね!それは変で通せることかな?」
佐藤はそう言い終えると色鉛筆を取り出して、1本をみんなに見える様に上に掲げた。
「これは何色かな?」
えっと、あれだろ。今は確か何て言うんだっけ…
「うすだいだい色です」
雨宮さんがサラリと答えて座った。
「そう今はそう言う呼び方が主流になってきた。でも、少し昔はこれを肌色って呼んでた。でも、これって本当に肌色かな?アフリカとかの人達の色と比べたら明らかに色が違うよね?だから、昔は日本人にとっては肌色だったけど今はうすだいだい色になってる。これはさっきのお話でも言えないかな?みんなにとっての当たり前は別の人にとっての非常識な事もある。もし、そんな場面にあったときに違うからって人を虐めるのは絶対にいけないことだ。でも別の考え方もある。周りの人が非常識だと言っていることがどこかに行けば当たり前の事になるかもしれない。みんなは短所だと思っていることは長所なんだよ!ゆっくりと自分が嫌いだと思っている部分をよく見てみたら良いところが見えてくるかもしれないよ。だから、人に悪いことを言うことはその人の見付けられるかもしれない良いところを潰してしまうかもしれない。だから、みんなは悪口は言わないで欲しいし、言われた人も気にしてはいけない。自分は違うのかなって不安になるかも知れないけど、きっと貴方が悪いと思っている所を好きになってくれる人もいるはずだから!みんなに悪いところなんかはないんだ!良いところを見付けられていないだけだから!」
ちょうどチャイムが鳴って、授業が終わった。
佐藤は荷物を職員室に置きに行った。
例の被害者の子の方を見ると、少しは顔の曇りも晴れていた。
「どうだった授業?」
「私…自分の胸が嫌いだった。でも、好きな人もいるしきにしちゃだめだよね」
「そうだよ!大人っぽい所も魅力なんだから気にしちゃダメだよ!私なんかツルペタだし」
「本当だ!真っ平ら!」
何気ない一言が僕の心をたたき折った。でも、彼女が少し笑い出してくれて良かった。
そう思っていると、例のティアラさんがやって来た。
「ごめんなさい。私、貴方に好きな人に取られるんじゃないかって不安だったから変なこと言っちゃった。貴方が傷つくとかも考えもせずに、本当にごめんなさい!」
彼女も思うところがあったのだろうか。
「私、貴方が羨ましかった。それなのに傷つけるようなことしてごめんなさい」
彼女は謝っていた。小学1年生だ。根は素直なのかもしれない。
「私は自分であの人に好きになってもわうわ!貴方に嫉妬はしない!貴方みたいにあの人をメロメロにしてみせる!」
なるほど、情熱的だ。どんな男に惚れたんだろう。
「私は貴方の胸みたいに!桜様に見染めってもらえるような女の子に成ってみせる」
なるほど…桜って子が好きなのか…。何か引っかかるんだが。
後ろから、雨宮さんがスゥーと現れて、耳打ちをしてきた。
「貴方、気がついていなかったでしょ。今回の事件の発端となる大きなオッパイに鼻の下を伸ばしてティアラさんに嫉妬をさせて、尚且つ本人はその事に気がつかずに事件を解決するために奮闘して彼女に探りを入れるからペラペラと本当の事を愛しい人に喋ってしまった」
「…えっとつかぬ事を聞きますが…もしかして…ティアラさんの言う桜さんって…」
「もしかしなくても、今回の事の発端は貴方がオッパイに鼻の下を延ばしていたからよ。…変態」
「桜様!私の事もいっぱい知って欲しいな!」
その後、彼女の猛烈アタックを受けることになるのだが、それはまた別のお話になる。
0
お気に入りに追加
7
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる