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1話 小学生準備中
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きょうはたのしいおかいもののひ。きょうはママとパパとランドセルをみにいくの。
ちかくのおおきいショッピングセンターにいってるときに、ふしぎなおはなをみつけたの。
おうだんほどうのちかくにはなたばがおいてあったの。
「ママ~!こんな所にお花が置いてるよ!これは何?」
「これはね。ちょうど1年くらい前かな。桜と同い年くらいの子がここで車に轢かれそうになったんだよ」
「その子、死んじゃったの?」
「死んではいないよ。優しいお兄さんが助けてくれたんだ。でも、その人が代わりに轢かれちゃって…。その人の弔いのために花束置いてるんだよ」
もちろん、知っている。何せ、その本人が僕なのだから…。
トラックに轢かれた後に、僕の意識が目覚めたのはちょうど6年前であった。死んだはずの僕は女の子として生まれ変わったのだ。当然、その事故の様子も、読めない振りをしながら新聞を読んで確認した。
トラックの運転手が悪質な居眠り運転によって事故を起こして、僕は死んだこと。幸い、彼女は無事だったこと。
そして、転生してしまったこと。
しかし、そんなことは関係ない。せっかくのチャンスだ。この新しい人生を謳歌しないと…。
今日は両親に連れられてランドセルを買いに来た道中で、自分の死んだ場所を見るハメになるとは複雑な気分である。
花束が置かれていると言うことは、助けた女の子か誰か別の人が僕にたむけの花を置いてくれたのだろう。心の底からありがたいと思う。
少しだけでも報われた気分だ。
しかい、未だに女の子の生活には慣れない。女児服などを着ている時には恥ずかしさもある。何とか成れようとはしているのだが、上手くはいかない。
そんなことを考えていると、両親がランドセルを選んで持ってきた。
「このランドセルで良いかしら?」
両親が持ってきたのはキャピキャピとしたピンク色のランドセルだった。あんな女の子らしいものを6年間も背負っていられる物か!
「嫌!桜はピンク色のよりも赤いのが良い!」
両親もその辺は了承してくれたのか、何とか赤いランドセルになった。
その代わりに、文房具が女の子らしいものになっていた。
僕は普通のが良いと言ってるのに…。
小学生一年生の準備には結構な時間がかかる。母親が数学のセットに一つ一つに名前のシールを貼っているときには感謝して手を合わせた。
前世の記憶といっても良い物があるために母親の手伝いなどは積極的にしている。前から好きだった料理もある程度は自由にやらせて貰える。その代わりに子供なので包丁を持ったり、焼いたりするなどの危険がある作業には親の許可がいる。
母親に労るつもりではないが、最近はほとんど晩ご飯は作っている。もちろん、仕上げなどは父親の手伝いがいるのだが…。
転生したお陰か両親の有り難みを再認識させられた。
「桜~!早く寝なさい!明日は始業式なんだからね!」
「は~い!すぐに寝ます!」
パジャマに着替えて、ベッドに潜り込んだ。
明日からの二度目の小学校生活に心をはずませていた。
この時までは驚きの出会いがあることを、僕はまだ知らなかった。
ちかくのおおきいショッピングセンターにいってるときに、ふしぎなおはなをみつけたの。
おうだんほどうのちかくにはなたばがおいてあったの。
「ママ~!こんな所にお花が置いてるよ!これは何?」
「これはね。ちょうど1年くらい前かな。桜と同い年くらいの子がここで車に轢かれそうになったんだよ」
「その子、死んじゃったの?」
「死んではいないよ。優しいお兄さんが助けてくれたんだ。でも、その人が代わりに轢かれちゃって…。その人の弔いのために花束置いてるんだよ」
もちろん、知っている。何せ、その本人が僕なのだから…。
トラックに轢かれた後に、僕の意識が目覚めたのはちょうど6年前であった。死んだはずの僕は女の子として生まれ変わったのだ。当然、その事故の様子も、読めない振りをしながら新聞を読んで確認した。
トラックの運転手が悪質な居眠り運転によって事故を起こして、僕は死んだこと。幸い、彼女は無事だったこと。
そして、転生してしまったこと。
しかし、そんなことは関係ない。せっかくのチャンスだ。この新しい人生を謳歌しないと…。
今日は両親に連れられてランドセルを買いに来た道中で、自分の死んだ場所を見るハメになるとは複雑な気分である。
花束が置かれていると言うことは、助けた女の子か誰か別の人が僕にたむけの花を置いてくれたのだろう。心の底からありがたいと思う。
少しだけでも報われた気分だ。
しかい、未だに女の子の生活には慣れない。女児服などを着ている時には恥ずかしさもある。何とか成れようとはしているのだが、上手くはいかない。
そんなことを考えていると、両親がランドセルを選んで持ってきた。
「このランドセルで良いかしら?」
両親が持ってきたのはキャピキャピとしたピンク色のランドセルだった。あんな女の子らしいものを6年間も背負っていられる物か!
「嫌!桜はピンク色のよりも赤いのが良い!」
両親もその辺は了承してくれたのか、何とか赤いランドセルになった。
その代わりに、文房具が女の子らしいものになっていた。
僕は普通のが良いと言ってるのに…。
小学生一年生の準備には結構な時間がかかる。母親が数学のセットに一つ一つに名前のシールを貼っているときには感謝して手を合わせた。
前世の記憶といっても良い物があるために母親の手伝いなどは積極的にしている。前から好きだった料理もある程度は自由にやらせて貰える。その代わりに子供なので包丁を持ったり、焼いたりするなどの危険がある作業には親の許可がいる。
母親に労るつもりではないが、最近はほとんど晩ご飯は作っている。もちろん、仕上げなどは父親の手伝いがいるのだが…。
転生したお陰か両親の有り難みを再認識させられた。
「桜~!早く寝なさい!明日は始業式なんだからね!」
「は~い!すぐに寝ます!」
パジャマに着替えて、ベッドに潜り込んだ。
明日からの二度目の小学校生活に心をはずませていた。
この時までは驚きの出会いがあることを、僕はまだ知らなかった。
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