悪役令嬢になったので、可哀想な友人の婚約を破断させていくことになりました

ジャスミンティー

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婚約破棄させられる間抜けな男

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「父上、招待客の名簿を見せてもらっても良いでしょうか?」

「どうした?グラナートが招待客を気にするなんて珍しいな?」

「あらあら、婚約者の王子も来られるのですから。それ相応の立ち振る舞いが出来るように下調べをしておきたいだけですわ」

 学校から帰ってくると、父親に適当な嘘をついて今晩の招待者名簿を確認させてもらった。 
用意された名簿を確認する。すると、もしかしたらと思っていたが、運良く昼に見た下劣な男とその婚約者の女性が名簿に書かれていた。

「ちょっとだけ痛い目を合わせるとしますか」

 パーテイーの準備をしている中で、婚約者の王子が一足早く会場にやってきた。
 王子の顔は元々知っていたから、さほど困らなかった。だって、ギャルゲー版で恋敵として良く対決したからね。まぁ、この男はストーリーの奴隷みたいな立ち位置で、主人公が目をつけたヒロインに婚約者いるのに手を出してくる最低野郎だからな。そりゃ、この娘がモブ画像でヒロイン達に『あんた!人の婚約者に色目を使ってどういうつもり!』などと血相を変えて怒鳴るのも仕方がない気がしてきた。


「今日は君と一緒にパーテイーに参加できるなんて、嬉しいな。こんな機会ああるのは久し振りにだね」

「そうですね。こちらこそ、嬉しいですわ」

適当に王子に返事を返すと、他の参加者もゾロゾロと入ってくる。
父上が開幕の挨拶をすると、パーテイーが始まる。私は少しだけ用事を済ませに会場を一旦出て、すぐに戻ってくる。
多くの参加者がワイングラス片手に談笑しながら各々が近況報告をしている。自分たちがいかに裕福かをひけらかす為に。
すると、例の男も参加しており、笑いながらソフトドリンクを飲んでいる。
相変わらず、彼女に食事を運ばせたり、ドリンクを持って来させる。流石に場所を弁えているのか、露骨な彼女への攻撃はしない。しかし、気に入らない事があると、彼女の足をバレないように踏みつけている。

 頃合いを見計らって、私は甘い声をあげながらわざとらしく少し大きめの声で質問する。

「ねぇ、王子?あの娘のヒールがボロボロでみっともないですわ。まるで誰かに踏まれたみたいに…。ちょっとあそこの2人とお話したいですわ」

「そうか?確かによく見ると何だか汚いな。こんな会場であんな靴を履かれると、場の雰囲気が乱れるな。ちょっと、こっちに呼んで注意くらいしようか」

相変わらず、女の言いなりの王子を上手く誘導し、彼女達を近くに誘い出す事に誘導する。

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