悪役令嬢になったので、可哀想な友人の婚約を破断させていくことになりました

優雅な朝食と謎の解明

 こんな状況でなければ、ゲームの世界に転生なんて喜んで逆立ちするくらいの状況ではあるのだが、色々と驚く事が多すぎてこちらも、頭の中で整理がついてない。しかし、中々思い出せない理由は分かった。

 元の世界。というよりは、前世ともいうべき前の世界では、確かに僕はこの世界の元となるゲーム。『栄光の姫君』というゲームは何度もプレイしたし、何だったら友人同士で何度も酒を飲みながら、語り合った作品だ。
それなのに、何故分からなかったのか？
簡単な理由であるし、少し矛盾した様な聞こえでもあるが…。

僕はこのゲームをプレイしていたが、プレイしていなかったのだ。

 自分の何度もプレイしていたのは、あくまでギャルゲー。男性用の恋愛シュミレーションのゲームであり、恐らく、僕が転生したのはこの乙女ゲーム。簡単に言えば女性用の恋愛シュミレーションゲームの世界というか側である。
僕がプレイしたゲームの側では、ほとんどが男性視点の作品であり、ヒロインの多くはイラストで描かれていた。
しかし、この今の自分の姿。
エーデルシュタイン・クリスタル・グラナートには男性版ではキャラデザインはほとんど出ない。名前とかは出るが、良くヒロイン達を虐めている姿は、良く見ているのだが、この娘のイラストは実は死ぬ直前に買った乙女ゲーム版のパッケージを見た時に初めて知ったのだ。ほとんど覚えていなくて当然だ。
しかし、父親の方は何となく思い出せた。娘の為にその権力を存分に使い、娘の為に邪魔なヒロイン達を不幸な目に合わせていたお陰で、顔が出た瞬間はほとんど無かったが、ほどイラストを見るのが初見だった、今の姿のヒロインよりかは記憶に残っていたのだろう。
しかし…。

「よりによって悪役令嬢に転生とか、ちょっと落ち込むな」

ため息をつきながら、大量にジャムを塗りたくったクロワッサンを完食し、父に言われた通りに早めに学校に向かう事にした。