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ACT4 けじめけじめと言うけれどけじめを付けてどうすれば??7
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ひとしきり歌い終わった。
途中で、歌を止められることはなかった。
必死に歌ってたせいで、なんか額に汗がにじむほどだった。
大きく深呼吸する俺。
「・・・うん」
「うん・・・」
香取サイゾーと大河マサオミが目を合わせて軽く頷きあう。
他のおっさんたちにも何か耳うちして、香取サイゾーは俺に向き直ると、また、どこかにやっとした表情で言うのだった。
「まだまだ荒削りだが・・・・なんでMarinが君を指名したかわかった気がするよ
あのマーボの独特のピアノタッチについていけるし、そこそこいい声してる
なるほどな・・・」
香取サイゾーに褒められた・・・・????
俺は一瞬、きょとんとしてまじまじと香取サイゾーの顔を見る。
「でもまだまだ素人感が抜けてないし、アリーナでバッキングを務めるには全然実力は足りないが・・・
先日のオーディション参加者と一緒に選考はさせてもらうよ」
香取サイゾーはそう言って意味深に笑った。
「あ・・・ありがとう、ございました」
俺は、それでも完璧にやり切った感あったんで、もう結果なんてどうでもいいやって思いながら、なんかよくわからない充実感に満たされたまま、香取サイゾーに頭を下げた。
結果なんてどうでもいいやw
本気というなら、あの一曲を本気で唄い切ったんだから、もうそれで満足だw
どうせ落ちるんだろうし、こんな場所まで突然連れてこられて、なんの前準備もなくここまでやったんだし、もういいやwww
俺は、なんか気分よくなって、もう一度、その場にいるおっさんたちに頭を下げると、しれっとドアを出た。
そして、廊下に出た瞬間だった。
不意に俺の視界に、艶々に輝く長い栗毛の女の子が飛び込んできたんだ。
「てっちゃん!!なによちょーかっこよかったじゃん!!」
子犬が跳ねるように、なんかめちゃくちゃ嬉しそうな顔をして、見たことのあるキレイな女の子が思い切り俺に抱き付いてくる。
それは紛れもなく、きなこの従姉妹で、新人ながら絶大な人気を誇るアーティストMarinこと葵だったんだ。
「!!!?」
「ちょーグルーヴ!!マーボさんなんか、悪そうにニヤついてたじゃん!」
「あおい!!おまえ見てたのか!?」
「見てたよ!モニターあるもん!
それに、今回のオーディションはあたしのアルバムのバックボーカルオーディションだよ?
見るにきまってんじゃん!」
あおいは、ビスクドールのような堀の深いキレイな顔を、満面の笑みで満たしてそう言った。
こういうとこは、いたって普通の可愛い女の子な葵。
ファンに見られたら、俺は確実に殺されるよな・・・
だがしかし、葵のきゃしゃな肩越しに、なんだか殺気を感じてハッとそちらを見ると。
何故か不機嫌そうにじとーっと俺を見てるきなこがいた‥‥
「きなこ・・・おまえ、なんだその恨めしそうな顔は?」
「てっちゃん、貸した電車代・・・金利18ぱーせんとだからね!!!!!」
「おまえ、なに怒ってんの???」
「あたしがここに連れてこなかったら、てっちゃんこんなチャンスなかったんだからね!!
あおちぃに鼻の下伸ばして象さんみたいな顔してないで!
あたしにも感謝してよね!!」
「え・・・?あ、は、はい」
確かにきなこの言う通りだ・・・と、俺は思わず素直に返事をしてしまった。
きなこは、ハリセンボンみたいにほっぺたをふくらませている。
その顔が、やっぱ面白くて、俺は思わず吹き出した。
途中で、歌を止められることはなかった。
必死に歌ってたせいで、なんか額に汗がにじむほどだった。
大きく深呼吸する俺。
「・・・うん」
「うん・・・」
香取サイゾーと大河マサオミが目を合わせて軽く頷きあう。
他のおっさんたちにも何か耳うちして、香取サイゾーは俺に向き直ると、また、どこかにやっとした表情で言うのだった。
「まだまだ荒削りだが・・・・なんでMarinが君を指名したかわかった気がするよ
あのマーボの独特のピアノタッチについていけるし、そこそこいい声してる
なるほどな・・・」
香取サイゾーに褒められた・・・・????
俺は一瞬、きょとんとしてまじまじと香取サイゾーの顔を見る。
「でもまだまだ素人感が抜けてないし、アリーナでバッキングを務めるには全然実力は足りないが・・・
先日のオーディション参加者と一緒に選考はさせてもらうよ」
香取サイゾーはそう言って意味深に笑った。
「あ・・・ありがとう、ございました」
俺は、それでも完璧にやり切った感あったんで、もう結果なんてどうでもいいやって思いながら、なんかよくわからない充実感に満たされたまま、香取サイゾーに頭を下げた。
結果なんてどうでもいいやw
本気というなら、あの一曲を本気で唄い切ったんだから、もうそれで満足だw
どうせ落ちるんだろうし、こんな場所まで突然連れてこられて、なんの前準備もなくここまでやったんだし、もういいやwww
俺は、なんか気分よくなって、もう一度、その場にいるおっさんたちに頭を下げると、しれっとドアを出た。
そして、廊下に出た瞬間だった。
不意に俺の視界に、艶々に輝く長い栗毛の女の子が飛び込んできたんだ。
「てっちゃん!!なによちょーかっこよかったじゃん!!」
子犬が跳ねるように、なんかめちゃくちゃ嬉しそうな顔をして、見たことのあるキレイな女の子が思い切り俺に抱き付いてくる。
それは紛れもなく、きなこの従姉妹で、新人ながら絶大な人気を誇るアーティストMarinこと葵だったんだ。
「!!!?」
「ちょーグルーヴ!!マーボさんなんか、悪そうにニヤついてたじゃん!」
「あおい!!おまえ見てたのか!?」
「見てたよ!モニターあるもん!
それに、今回のオーディションはあたしのアルバムのバックボーカルオーディションだよ?
見るにきまってんじゃん!」
あおいは、ビスクドールのような堀の深いキレイな顔を、満面の笑みで満たしてそう言った。
こういうとこは、いたって普通の可愛い女の子な葵。
ファンに見られたら、俺は確実に殺されるよな・・・
だがしかし、葵のきゃしゃな肩越しに、なんだか殺気を感じてハッとそちらを見ると。
何故か不機嫌そうにじとーっと俺を見てるきなこがいた‥‥
「きなこ・・・おまえ、なんだその恨めしそうな顔は?」
「てっちゃん、貸した電車代・・・金利18ぱーせんとだからね!!!!!」
「おまえ、なに怒ってんの???」
「あたしがここに連れてこなかったら、てっちゃんこんなチャンスなかったんだからね!!
あおちぃに鼻の下伸ばして象さんみたいな顔してないで!
あたしにも感謝してよね!!」
「え・・・?あ、は、はい」
確かにきなこの言う通りだ・・・と、俺は思わず素直に返事をしてしまった。
きなこは、ハリセンボンみたいにほっぺたをふくらませている。
その顔が、やっぱ面白くて、俺は思わず吹き出した。
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