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ACT2 ちぐはぐな人生はどうやっても交差なんかしない7
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真奈美に、こんな顔させるほど、俺は、何かひでーことしたのかな?
そんなこと思っている時点で、俺は、人間として終わってるのかもしれない。
自分の人生の5年先、10年先を見て生きてたことなんて無い俺は、真奈美がどうして、ムキになって仕事探せって言ったのか、きっと、ほとんど理解してないのかもしれない。
悲しそうな顔をしたまま、真奈美は、少しの間黙って俺を見つめる。
俺は、目を反らすことすらできないまま、そんな真奈美を見つめてた。
真奈美の瞳に、また、大粒の涙がたまる。
「てっ…哲は…きっと…ほんとに、あたしのことなんかどうでもいいんだよ…」
「そんなこと!…ないよ…」
だけど、真奈美の望むようなことを、実際にしてないのも事実であって…ごちゃごちゃと頭の中で言い訳してみても、そんなこと、勿論真奈美には通じるはずもない。
「真奈美はさ…」
俺は、ぼりぼりと頭を掻きながら、真奈美の目から視線をそむけて、言葉を続けた。
「真奈美は…どうしたいの?俺はさ…真奈美のことどうでもいいとは思ってない…つもりだけど。
頭に音楽流れ出すと、他のことって、あんまり考えられないし…
まぁ、だからって、音楽食ってる訳じゃないけど…真奈美は、どうしたいの?」
ちらっと、俺が真奈美を見た時、真奈美は、何かを諦めたような、思い詰めたような、寂しそうな…なんて言うか、ひどく複雑な表情をして、じーっと、俺を見つめていた。
「わかってない…哲は…やっぱり、何もわかってない…
あたしが、なんでここでこうして、哲と話してるか…
哲は、全然わかってない…」
「………いや…あ~……うーん?」
思わず考えこんだ俺。そんな俺を見つめたまま、真奈美が、深くため息を吐いた。
そして、片手で涙をぬぐってから、少しだけうつむいて、真奈美は俺に言う。
「あたしは…あたしはね…先が見えないのが、不安なんだよ…
哲には…きっと、こんな気持ち判らないよね…」
「………」
「いいんだ…きっとわかってないと思ってるから…でも、わかって欲しいとも思うの…あたしはね…」
「……う、うん」
「哲と別れたいから、ここにいる訳じゃないの…別れたくないから、ここにいるの…」
「……うん」
「でも今のままじゃ、不安で仕方ないの…
だから、仕事探してって言ったの…だって、哲は…」
「うん……」
「音楽好きだって言うわりに、本気でやってないもん…音楽…」
「………」
はっきりとそう言われて、反論すらできずに、俺は、思わず押し黙った。
何も言い返せない俺。
真奈美は、うつむいたまま、そんな俺に言う。
「あたしは、歌ってる哲が好きだよ。哲の詩とか、唄う声とか、まじで最高だって思う。
だけど、音楽で食べていこうとしてる訳でもなく、普通に仕事しようとしてる訳でもなく。
ほとんど惰性で生きてるじゃん…哲は」
「だ、惰性って…!」
「惰性でしょ?どうせやるなら、もっと本気で音楽やれば?
なにに対しても、哲は、全然本気でやってない。
哲が本気を出して、必死になって頑張ってるなら、あたし、仕事探してなんて、言わなかった」
「………」
「必死になって音楽で稼ぐんだって、そういうのがあれば、あたしだって、応援するのに…
そんな雰囲気もないし、じゃあ普通に仕事してるのかって言ったら、バイトだけだし。
あたしも哲も、きっとこのままじゃ、ダメになっちゃうよ…」
うつむいてはいるが、真剣な口調と声色。
的を射すぎている言葉。
真奈美にそう言われて、俺は一体、なんて答えを返せばいいんだ?
そんなこと思っている時点で、俺は、人間として終わってるのかもしれない。
自分の人生の5年先、10年先を見て生きてたことなんて無い俺は、真奈美がどうして、ムキになって仕事探せって言ったのか、きっと、ほとんど理解してないのかもしれない。
悲しそうな顔をしたまま、真奈美は、少しの間黙って俺を見つめる。
俺は、目を反らすことすらできないまま、そんな真奈美を見つめてた。
真奈美の瞳に、また、大粒の涙がたまる。
「てっ…哲は…きっと…ほんとに、あたしのことなんかどうでもいいんだよ…」
「そんなこと!…ないよ…」
だけど、真奈美の望むようなことを、実際にしてないのも事実であって…ごちゃごちゃと頭の中で言い訳してみても、そんなこと、勿論真奈美には通じるはずもない。
「真奈美はさ…」
俺は、ぼりぼりと頭を掻きながら、真奈美の目から視線をそむけて、言葉を続けた。
「真奈美は…どうしたいの?俺はさ…真奈美のことどうでもいいとは思ってない…つもりだけど。
頭に音楽流れ出すと、他のことって、あんまり考えられないし…
まぁ、だからって、音楽食ってる訳じゃないけど…真奈美は、どうしたいの?」
ちらっと、俺が真奈美を見た時、真奈美は、何かを諦めたような、思い詰めたような、寂しそうな…なんて言うか、ひどく複雑な表情をして、じーっと、俺を見つめていた。
「わかってない…哲は…やっぱり、何もわかってない…
あたしが、なんでここでこうして、哲と話してるか…
哲は、全然わかってない…」
「………いや…あ~……うーん?」
思わず考えこんだ俺。そんな俺を見つめたまま、真奈美が、深くため息を吐いた。
そして、片手で涙をぬぐってから、少しだけうつむいて、真奈美は俺に言う。
「あたしは…あたしはね…先が見えないのが、不安なんだよ…
哲には…きっと、こんな気持ち判らないよね…」
「………」
「いいんだ…きっとわかってないと思ってるから…でも、わかって欲しいとも思うの…あたしはね…」
「……う、うん」
「哲と別れたいから、ここにいる訳じゃないの…別れたくないから、ここにいるの…」
「……うん」
「でも今のままじゃ、不安で仕方ないの…
だから、仕事探してって言ったの…だって、哲は…」
「うん……」
「音楽好きだって言うわりに、本気でやってないもん…音楽…」
「………」
はっきりとそう言われて、反論すらできずに、俺は、思わず押し黙った。
何も言い返せない俺。
真奈美は、うつむいたまま、そんな俺に言う。
「あたしは、歌ってる哲が好きだよ。哲の詩とか、唄う声とか、まじで最高だって思う。
だけど、音楽で食べていこうとしてる訳でもなく、普通に仕事しようとしてる訳でもなく。
ほとんど惰性で生きてるじゃん…哲は」
「だ、惰性って…!」
「惰性でしょ?どうせやるなら、もっと本気で音楽やれば?
なにに対しても、哲は、全然本気でやってない。
哲が本気を出して、必死になって頑張ってるなら、あたし、仕事探してなんて、言わなかった」
「………」
「必死になって音楽で稼ぐんだって、そういうのがあれば、あたしだって、応援するのに…
そんな雰囲気もないし、じゃあ普通に仕事してるのかって言ったら、バイトだけだし。
あたしも哲も、きっとこのままじゃ、ダメになっちゃうよ…」
うつむいてはいるが、真剣な口調と声色。
的を射すぎている言葉。
真奈美にそう言われて、俺は一体、なんて答えを返せばいいんだ?
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