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ACT1 暴言吐きまくり女子だけどなんか可愛いのは何故だろう?4
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*
男ってのは単純でさ。
思わせぶりな態度を取られてるなって思うと、思わず、自分でもその気になったりするんだよな・・
でもさ・・・
やっぱ、おまえはいろんな意味で特殊だと思う。
俺の目の前には、駅ビルを背景にして、ふくれっ面のきなこがいる。
中条 希南(なかじょう のぞみ)。
それが、きなこの本名だった。
太くもなく細くもなく、適度なふくらみがある身体つき、ちっこい身長。
セミロングのその髪は、今日は下ろしてるけど、きっといつもは、結ってきっちりナースキャップをかぶってるんだろう。
いつもの白衣の天使は、ミニスカの悪魔と化して、恐ろしいほどの目つきで俺を睨みつけている。
まぁ・・・半日以上も待たされたんだから、怒るのも無理ないけど・・・
つか・・・
その前に・・・
半日も同じ場所で待ってるなんて、こいつはどれだけどMなんだと、そのときは俺は思った。
だが、あえて、それは口に出さない。
紳士の礼儀ってやつだ。
思い切り困った顔をしてる俺に向かって、きなこは言った。
「死ねよカス!!!!
忘れて飲んだくれて約束忘れて寝てるなんて、てっちゃんサイテー!!
ばぁか!
ばぁか!」
「いや・・・だから・・・すま・・・」
「足痛いよ!ずっとここに居たんだよ!待ってたんだからね!!」
たかがカラオケなのに、ここで半日も待ってるなんて、こいつ神経大丈夫かとは思ったけど、本人はいたってまじめそうだった。
普通ならドン引きするレベルだけど、きなこの元のキャラっていうのか、なんだか、ドン引きまではいかない。
ただ、なんでそんなに俺を待つ必要があったのか、俺にはまったく理解不能だった。
「あのさ、確かに悪かったけどさ・・・
待ってこなけりゃ帰ればよかったんじゃねーの?
なにも、あんな数のLINEをよこさなくても・・・」
そんなことを、うかつに口走った俺がいけなかった・・・
きなこは、俺の目の前で、一瞬、ものすごく切なそうに眉間を寄せた後、大きな瞳に涙を一杯にためるとそのまま、その場に座りこんでしまった。
そんなきなこの肩が、小刻みに、やけに不自然に揺れはじめる。
「てっちゃん・・・ばぁか・・ばぁか・・・うぅっ、ひっく、ひっく・・・っ」
卑怯なきなこは、こんな人通りの多い駅前で、それこそ人目もはばからず、小学生みたいに泣き始めた。
凶悪すぎるぜ、まじ・・・!
あせった俺は、思わずしゃがみこんで、何故か声を潜めてそんなきなこに言う。
「いや!ちょっ、と・・・待て!別に泣くほどのことでも・・・ないだろうって?」
「うぅっ、せっかくっ・・・ひっく・・・お休みだったのにっ、てっちゃんにっ・・・
歌、教えてもらいたくて・・・あたし、ずっと待ってたのに・・・っ
それなのにっ・・・帰れとかっ・・・
てっちゃん、ばぁか・・・ばぁかぁ・・・うぅっ」
しゃがみこんで泣くきなこ。
そんなきなこを同じ目の高さから、おろおろして見てる俺。
俺の背中には、駅前を行き来する人の冷たい視線が突き刺さってる。
痛い・・・
痛すぎる・・・
この冷たい視線の数々・・・・!
俺は、片手を自分の銀髪につっこんで、思わずうなった。
「わかった!悪かった!ほんとにごめん!俺が悪かった!だからさ、とりあえず・・・行こう!
立てよ・・・ほら!」
半分やけを起こして、勢いつけて立ち上がった俺。
頭につっこんでた手を、いまだにうずくまっているきなこに差し出す。
するときなこは、ちょっとだけ視線を上げて、睨むように・・・
だけど、なんだか、してやったりと言うような、なんともしたたかな視線で俺を見あげて、ぎゅっと、俺の手を両手で握り返してきた。
こいつ・・・
こえーやつだと、俺は思った。
orz
男ってのは単純でさ。
思わせぶりな態度を取られてるなって思うと、思わず、自分でもその気になったりするんだよな・・
でもさ・・・
やっぱ、おまえはいろんな意味で特殊だと思う。
俺の目の前には、駅ビルを背景にして、ふくれっ面のきなこがいる。
中条 希南(なかじょう のぞみ)。
それが、きなこの本名だった。
太くもなく細くもなく、適度なふくらみがある身体つき、ちっこい身長。
セミロングのその髪は、今日は下ろしてるけど、きっといつもは、結ってきっちりナースキャップをかぶってるんだろう。
いつもの白衣の天使は、ミニスカの悪魔と化して、恐ろしいほどの目つきで俺を睨みつけている。
まぁ・・・半日以上も待たされたんだから、怒るのも無理ないけど・・・
つか・・・
その前に・・・
半日も同じ場所で待ってるなんて、こいつはどれだけどMなんだと、そのときは俺は思った。
だが、あえて、それは口に出さない。
紳士の礼儀ってやつだ。
思い切り困った顔をしてる俺に向かって、きなこは言った。
「死ねよカス!!!!
忘れて飲んだくれて約束忘れて寝てるなんて、てっちゃんサイテー!!
ばぁか!
ばぁか!」
「いや・・・だから・・・すま・・・」
「足痛いよ!ずっとここに居たんだよ!待ってたんだからね!!」
たかがカラオケなのに、ここで半日も待ってるなんて、こいつ神経大丈夫かとは思ったけど、本人はいたってまじめそうだった。
普通ならドン引きするレベルだけど、きなこの元のキャラっていうのか、なんだか、ドン引きまではいかない。
ただ、なんでそんなに俺を待つ必要があったのか、俺にはまったく理解不能だった。
「あのさ、確かに悪かったけどさ・・・
待ってこなけりゃ帰ればよかったんじゃねーの?
なにも、あんな数のLINEをよこさなくても・・・」
そんなことを、うかつに口走った俺がいけなかった・・・
きなこは、俺の目の前で、一瞬、ものすごく切なそうに眉間を寄せた後、大きな瞳に涙を一杯にためるとそのまま、その場に座りこんでしまった。
そんなきなこの肩が、小刻みに、やけに不自然に揺れはじめる。
「てっちゃん・・・ばぁか・・ばぁか・・・うぅっ、ひっく、ひっく・・・っ」
卑怯なきなこは、こんな人通りの多い駅前で、それこそ人目もはばからず、小学生みたいに泣き始めた。
凶悪すぎるぜ、まじ・・・!
あせった俺は、思わずしゃがみこんで、何故か声を潜めてそんなきなこに言う。
「いや!ちょっ、と・・・待て!別に泣くほどのことでも・・・ないだろうって?」
「うぅっ、せっかくっ・・・ひっく・・・お休みだったのにっ、てっちゃんにっ・・・
歌、教えてもらいたくて・・・あたし、ずっと待ってたのに・・・っ
それなのにっ・・・帰れとかっ・・・
てっちゃん、ばぁか・・・ばぁかぁ・・・うぅっ」
しゃがみこんで泣くきなこ。
そんなきなこを同じ目の高さから、おろおろして見てる俺。
俺の背中には、駅前を行き来する人の冷たい視線が突き刺さってる。
痛い・・・
痛すぎる・・・
この冷たい視線の数々・・・・!
俺は、片手を自分の銀髪につっこんで、思わずうなった。
「わかった!悪かった!ほんとにごめん!俺が悪かった!だからさ、とりあえず・・・行こう!
立てよ・・・ほら!」
半分やけを起こして、勢いつけて立ち上がった俺。
頭につっこんでた手を、いまだにうずくまっているきなこに差し出す。
するときなこは、ちょっとだけ視線を上げて、睨むように・・・
だけど、なんだか、してやったりと言うような、なんともしたたかな視線で俺を見あげて、ぎゅっと、俺の手を両手で握り返してきた。
こいつ・・・
こえーやつだと、俺は思った。
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