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第六節 殺戮
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凍てついた風が、葉の落ちた剥き出しの木の枝を揺らして通り過ぎていく。
夕闇の茜に染まる薄暗い森の中に、武装した異国の男達が七~八人、クスティリン族の女魔法使いが住む家を取り囲むように佇んでいた。
彼女の家の戸口に立って、「名を棄てた者」と名乗る青年は、なにやら、実に不敵な表情をして、眼前に立つ屈強な男達をぐるりと見回したのである。
「どこの国の連中だ?此処の主は、おまえらの王の元には行かないと言ってるぜ?」
その凛々しい唇に、正体不明の薄い笑みを浮かべながら、ジェスターは、悪びれることもなく、実に飄々とした態度で、平然とそんなことを言い放った。
「そこを退(の)け若僧!我が王の命令は絶対だ・・・!邪魔立てすれば殺す!」
周りを取り囲む男達の中の一人が、厳しい顔付きをしたまま、凄むようにそう言葉を返す。
「殺せるもんなら・・・殺してみろよ?」
とたん、凍てついた風だけが吹き荒ぶ薄暗い夕闇の森に、いく筋もの刃が閃いた。
不敵な表情をしたまま、素早く金色の大剣を抜き払った彼の見事な栗色の髪が、凍てつく虚空に乱舞する。
空を切り裂くように豪速で飛来した閃光の斬撃を、金色の大剣が、甲高い音と火花を散して真っ向から弾き返した。
ジェスターの鮮やかな緑玉の両眼が、魔物じみた煌きを宿してにやりと邪に笑う。
その次の瞬間。
彼の俊足が凍りついた地面を叩くように蹴り、しなやかに翻された、禍々しくも神々しい金色(こんじき)の刀身が、虚空に迅速の孤を描き出したのである。
刹那、黄金(こがね)色の帯を引く閃光の一線が、眼前の男の頚動脈を、一瞬にして浚った。
胴体から切り離された生首が、自分が絶命した事すら気付かぬまま、紅の鮮血を吹き上げて虚空に撥ね飛んでいく。
大きく口を開いた首が、ぼたりと鈍い音を上げて、力なく地面の上に転がり落ちた。
「この若僧が!」
息巻く怒声が薄暗い森の中にこだまし、いきり立った屈強な男達が、鼻先でせせら笑うジェスター向かい、一斉に刃を振り下ろしてくる。
しかし、なおも余裕の表情で不敵に笑うジェスターは、金色の大剣を素早く切り返すと、横から来た斬撃を機敏な身のこなしでかわし、眼前を行き過ぎた男の背中を、その胸まで、容赦なく貫き通したのだ。
吹き上がる返り血を避けるようにして、鋭利な大剣の切っ先を抜くと、ジェスターは、間髪入れずに、横から刃をふりかざした男の腹を、深く鋭く薙ぎ払った。
まるで噴水のように吹き上がった鮮血が、凍った地面を紅色に染めあげていく。
凍てついた夕闇の森は、にわかに鮮血と死臭に満たされていった。
夕闇の茜に染まる薄暗い森の中に、武装した異国の男達が七~八人、クスティリン族の女魔法使いが住む家を取り囲むように佇んでいた。
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「どこの国の連中だ?此処の主は、おまえらの王の元には行かないと言ってるぜ?」
その凛々しい唇に、正体不明の薄い笑みを浮かべながら、ジェスターは、悪びれることもなく、実に飄々とした態度で、平然とそんなことを言い放った。
「そこを退(の)け若僧!我が王の命令は絶対だ・・・!邪魔立てすれば殺す!」
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「殺せるもんなら・・・殺してみろよ?」
とたん、凍てついた風だけが吹き荒ぶ薄暗い夕闇の森に、いく筋もの刃が閃いた。
不敵な表情をしたまま、素早く金色の大剣を抜き払った彼の見事な栗色の髪が、凍てつく虚空に乱舞する。
空を切り裂くように豪速で飛来した閃光の斬撃を、金色の大剣が、甲高い音と火花を散して真っ向から弾き返した。
ジェスターの鮮やかな緑玉の両眼が、魔物じみた煌きを宿してにやりと邪に笑う。
その次の瞬間。
彼の俊足が凍りついた地面を叩くように蹴り、しなやかに翻された、禍々しくも神々しい金色(こんじき)の刀身が、虚空に迅速の孤を描き出したのである。
刹那、黄金(こがね)色の帯を引く閃光の一線が、眼前の男の頚動脈を、一瞬にして浚った。
胴体から切り離された生首が、自分が絶命した事すら気付かぬまま、紅の鮮血を吹き上げて虚空に撥ね飛んでいく。
大きく口を開いた首が、ぼたりと鈍い音を上げて、力なく地面の上に転がり落ちた。
「この若僧が!」
息巻く怒声が薄暗い森の中にこだまし、いきり立った屈強な男達が、鼻先でせせら笑うジェスター向かい、一斉に刃を振り下ろしてくる。
しかし、なおも余裕の表情で不敵に笑うジェスターは、金色の大剣を素早く切り返すと、横から来た斬撃を機敏な身のこなしでかわし、眼前を行き過ぎた男の背中を、その胸まで、容赦なく貫き通したのだ。
吹き上がる返り血を避けるようにして、鋭利な大剣の切っ先を抜くと、ジェスターは、間髪入れずに、横から刃をふりかざした男の腹を、深く鋭く薙ぎ払った。
まるで噴水のように吹き上がった鮮血が、凍った地面を紅色に染めあげていく。
凍てついた夕闇の森は、にわかに鮮血と死臭に満たされていった。
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