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ACT2 石の上にも三年とか言うけど、石の上なんて痛くて三年も座ってられるか!5

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 うーん・・・
 なんていうか・・・
 うーん・・・

 俺は、ベッドの上で背中を向けたまま眉間を寄せた。
 とりあえず、交代で風呂入り、きなこには俺のスウェットを貸して、時間も時間なんで寝ようとしてる訳だが・・・
 
 何故かきなこが、ひとの背中に張り付いてる・・・・!!

「にゅふふ・・・てっちゃん、なんでそっち向いてんの???」

 そして、無邪気にそんなことを聞いてくる始末だ。
 こいつはあほなのか?と本気で思う。
 部屋に鍵をかけ忘れたのが、運の尽きだったな・・・・!
 ってか、勝手に部屋入ってる時点でおまえwwwって思うが、きなこだししょうがない。

「そりゃ向くだろ!あほかおまえ!いいからはよ寝ろよwww
明日も仕事なんだろ?」

「仕事~!そういえばね・・・
あたし、もしかすると、救命に移動になるかもしれなくて
そうなると今まで以上に忙しいから、てっちゃんのライブなかなか見に行けなくなっちゃうかもぉ・・・」

 なんとなくしょんぼりした口調でそう言ったきなこが、ぺたっと背中に抱きついてくる。

 こいつは一体、どんなつもりでこうしてんのか!
 俺にはさっぱりわからねー
 迂闊にそわそわするじゃねーか

 とりあえず、そわそわしてるのを隠して俺はいう。

「ああ・・・仕事だし、それはしゃーないだろ?
救命扱ったドラマとかもあるぐらいだし、ちょー忙しいんだろうな」

「ちょーーーーーーーーーーーーーーーー忙しいよ
休みもなければ、ご飯食べてる暇も、寝てる暇もないってさぁ」

「でもあそこって、優秀なやつしか入れないんじゃなかったっけ?
あれ?きなこって優秀なの?wwww」

「あたしはめちゃくちゃ優秀だよ!!!」

 きなこは怒ったように、俺の肩越しでそうがなった。
 
「へー・・・・きなこ優秀なんだ・・・・ふーんww」

「信じてないな?看護師きなこを馬鹿にすると痛い目みるぞ?
採血で10倍血液とってやるからな!!」

「死wwwぬwwwわwwwあwwwほwww」

「むぅ!」

 唸ったきなこが、何故か俺の肩に思い切り乗ってくる。

「うわっ!ばかwww」

 仰向けになった俺の胸の上に両肘をついて、きなこはハリセンボンのようにほっぺたを膨らませた。
 大きな瞳は思い切り俺を睨んでいる。
 だが、表情はやっぱハリセンボンだw

「てっちゃんはあたしを馬鹿にしすぎ!!こんなに優秀で可愛い看護師いないでしょ!」

「自分で言うか?それ?」

 カーテンの閉まった窓から、街頭の明かりがうっすら漏れてくる。
 部屋の電気はすでに消えてるけど、意外と間近にきなこの顔があるんで表情が良く見える。
 相変わらずハリセンボンのような表情をしてるきなこ。
 今更だけど・・・
 こいつほんとに色気がないwww

 きなこは不満そうな顔つきのまま、じーっと俺の顔を見てる。
 俺は可笑しくなって笑った。

「やめろよ変な顔すんのw」

「変な顔じゃない!!てっちゃん失礼!だからインポ治らないんだよ!」

「ちげーわwwww
あほwwww
だったら・・・・」

 試してみるか?と言いかけて、俺ははっと言葉を止めた。
 やばい・・・
 このシチュエーションでこれを言ったら、ある意味地獄絵図だわ・・・・
 あぶねーあぶねーwww

 だがしかし、きなこは何故かにやっと小悪魔の顔をして言うのだ。

「だったら・・・??
なにかなぁ?なんなのかなぁ???きなこさんが聞いてあげましょう」

「結構です」

 俺はそう答えて、胸の上に乗ってるきなこを押しのけた。

「ふにゃっ!」

 変な声を上げて、きなこがベッドに転げおちる。
 俺はそのタイミングでまた背中を向けた。

「いいから寝ろよw」

「なによぉ!!てっちゃんのばーか!ばーか!ばーか!ぶぁか!!」

「はいはい、どうせバカでクズです」

「ってか、クズなのは知ってるけど!!!やっぱりインポなんね!!?」

「バカwwwww
だからwwwww
ちげーわwwwww」

 ほんとにこいつは何がしたいんだろと!
 だいたいな、付き合ってる訳でもないのに、鍵なくしたからってなんで俺のとこにくんのかと。
 しかもなんで一緒に寝てんだと。
 もはや状況がおかしすぎだわww
 
 唐突に、きなこがまたぎゅっとひとの背中に抱きついてくる。
 
「?!」

 そして、まるでテレビのドキュメント番組のナレーターのような口調でこう言った。
 
「この状況、普通のメンズなら、絶対に変な気起こすはずなのに・・・・
てっちゃんは何故いつものままなのか・・・?
この謎の現象を探るべく、レポーター中条希南(なかじょうのぞみ)は、さらなる調査を開始しようと思います!」

「しなくていいわぼけwwwww
いいから寝ろよまじでwwww
やかましいわwwwww」

 俺が、思わずそう突っ込んだのは、言うまでもない。
 だがしかし、事態はさらにカオスに方向に転がっていく。

「うっ・・・うっ・・・ふえーん・・・・ばかぁ・・・てっちゃんのばかぁ・・・」

「・・・・っ!?」

 相変わらず、俺の背中に抱きついてるきなこ。
 そんなきなこの声が、何故か泣き声になったんだ。
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