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第6話 ルファのお家
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ホウキに長く揺られていると、景色に変化が生じてきた。
雪一面だったのが、森の上空を飛ぶようになり、そこを抜けると家がぽつぽつと現れ始める。
集落のような場所へ辿り着いたようだ。
どの家も屋根に雪がこんもり積もっている。
飛ぶ速度が緩やかに落ちていく。
高度も低くなり、地面が近付いてくる。
とある家の前でわたしたちは降り立った。
一階建ての茶色を基調としたログハウスのような建物。
歩くスペースの雪は脇へ退けられているため、雪の壁が左右に形成されている。
「ここは……?」
「ワタシの家だよ! 外は寒くてずっといると体調悪くなっちゃうから、お家の中で魔法を見せるよ!」
ルファが鼻歌でも歌い出しそうなほどルンルンした気分で玄関を開ける。
きっとわたしに色々な魔法を見せたくてしょうがないのだろう。
わたしは緊張感とともに、ルファに続いて中に入った。
「わぁ……」
木の良い匂いが鼻をくすぐる。
誰かのお家に入るとき、わたしはいつも匂いを強く感じる。
どの家も違う匂いに満ちていて、面白味があるのだ。
目の前には厚手のカーペットやタペストリーのかけられた壁など、布地が多く見受けられる。どれも独特な絵柄で非常にお洒落だ。
「おかえり、ルファ。……ん?」
玄関から真っ直ぐ続く廊下の途中に扉がある。そこからふらりと女性が現れた。
金色の髪はルファより長く、腰くらいまである。顔立ちにどことなくルファの面影を感じる。
お母さんだろうか?
それにしては若すぎるような……?
「ただいま! こっちは友達のマナよ!」
ルファが躊躇いもなくわたしのことを友達だと紹介した。
わたしたちってもう友達なの……?
疑問が頭に浮かぶが、ルファが友達だと認めてくれたことが嬉しくて頬が緩む。
「真奈です。お邪魔しますね」
わたしはルファにそっくりな女性に向かって軽く挨拶をした。
「アタシはシャーファ。ルファの姉よ、よろしくね」
シャーファさんはにこりと眉尻を下げて笑った。
ルファのお姉さんか、どおりで若いなあと思ったわけだ。
「マナ! 上がって上がって!」
シャーファさんが出てきた部屋へと皆で入る。
瞬間、暖かい空気が全身を包み込む。
初めて上がるからと緊張していた気持ちが霧散していき、心に安堵が生まれる。
部屋は木目調でテーブル、ソファ、棚などの家具が置かれている。
ソファの近くには暖炉もあった。
ルファがソファに座ったのでわたしも隣に座る。
とても柔らかいのか、沈み込むような感触を覚えた。
シャーファさんは奥にあるキッチンの方にいるようだ。なにやら音が聞こえる。
少し経つと、彼女はトレーを手にこちらへやってきた。
コトン、コトンとテーブルの上に二つのホットミルクが置かれた。
「そんな格好で寒かったでしょ? これでも飲んであったまりな」
「ありがとうございます」
マグカップの取っ手を掴んで「ふー」と冷ましながら口に含む。
ぽかぽかとした甘さが美味しい。
そして、あたたかい。
身体の芯までじんわりと熱がいきわたる。
思わず、ほぅっと口から吐息が零れ出た。
「このホットミルクも魔法で温めたものなんだよ。ね、お姉ちゃん?」
ルファが飲みながら、そう教えてくれる。
「そうだね、そのほうが早いからね」
シャーファさんが目の前のソファに座りながら、なんてことないように返す。
魔法で温めたからこんなにも早く持ってくることが出来たのだと今更気付いた。
「魔法ってすごいんだね」
「マナちゃんは魔法を知らないのかい……?」
「あ、説明しなきゃわからないよね!」
ルファは慌てたように身振り手振りでわたしのことを語っていく。
ルファの魔法によって日本とルテンシアが繋がったこと。
それを通ってわたしがやってきたこと。
魔法が存在するのを知らなかったということ。
「なるほど。ここじゃあんまり見ない風体しているのはそういうことか」
「それでね、いろんな魔法を見せてあげようと思って!」
「ん? それってルファが見せたいだけじゃ……?」
シャーファさんが疑わしげにルファを見つめる。
「え……マナは魔法見たい……よね?」
切なげに潤んだ目を向けてくる。
わたしはその気持ちに応えるように力強く告げる。
「見たいよ! だって魔法なんて生まれてきてからさっきまで見たことなかったんだもん」
「やったぁ!」
それに、ルファがそうやって喜んでくれるのが嬉しいから。
言葉にしようと思ったけれど恥ずかしくなって胸の内に留めておいた。
「それじゃあまず……」
透き通るような声がルファの口から紡がれる。
ルファが持っていたマグカップが、手元から離れて宙に浮き始める。
「す、すごい……!」
口を半開きにして、浮いたマグカップを見る。
「ルファ、マグカップなんかでやらないの!」
一方シャーファさんは怒っていた。
万が一落として割れたら危険だからだろう。
「あ、うん」
しょぼんとしてルファは魔法を解除し、マグカップを手にする。
「とまぁこんな感じで物を浮かせることも出来るのです!」
怒られた事実などなかったように自信満々に話す姿が、わたしにはどこか眩しく見えた。
「ルファはすごいんだね!」
「えへへ……。この調子でワタシは大魔女になるのを目指してるんだ!」
雪一面だったのが、森の上空を飛ぶようになり、そこを抜けると家がぽつぽつと現れ始める。
集落のような場所へ辿り着いたようだ。
どの家も屋根に雪がこんもり積もっている。
飛ぶ速度が緩やかに落ちていく。
高度も低くなり、地面が近付いてくる。
とある家の前でわたしたちは降り立った。
一階建ての茶色を基調としたログハウスのような建物。
歩くスペースの雪は脇へ退けられているため、雪の壁が左右に形成されている。
「ここは……?」
「ワタシの家だよ! 外は寒くてずっといると体調悪くなっちゃうから、お家の中で魔法を見せるよ!」
ルファが鼻歌でも歌い出しそうなほどルンルンした気分で玄関を開ける。
きっとわたしに色々な魔法を見せたくてしょうがないのだろう。
わたしは緊張感とともに、ルファに続いて中に入った。
「わぁ……」
木の良い匂いが鼻をくすぐる。
誰かのお家に入るとき、わたしはいつも匂いを強く感じる。
どの家も違う匂いに満ちていて、面白味があるのだ。
目の前には厚手のカーペットやタペストリーのかけられた壁など、布地が多く見受けられる。どれも独特な絵柄で非常にお洒落だ。
「おかえり、ルファ。……ん?」
玄関から真っ直ぐ続く廊下の途中に扉がある。そこからふらりと女性が現れた。
金色の髪はルファより長く、腰くらいまである。顔立ちにどことなくルファの面影を感じる。
お母さんだろうか?
それにしては若すぎるような……?
「ただいま! こっちは友達のマナよ!」
ルファが躊躇いもなくわたしのことを友達だと紹介した。
わたしたちってもう友達なの……?
疑問が頭に浮かぶが、ルファが友達だと認めてくれたことが嬉しくて頬が緩む。
「真奈です。お邪魔しますね」
わたしはルファにそっくりな女性に向かって軽く挨拶をした。
「アタシはシャーファ。ルファの姉よ、よろしくね」
シャーファさんはにこりと眉尻を下げて笑った。
ルファのお姉さんか、どおりで若いなあと思ったわけだ。
「マナ! 上がって上がって!」
シャーファさんが出てきた部屋へと皆で入る。
瞬間、暖かい空気が全身を包み込む。
初めて上がるからと緊張していた気持ちが霧散していき、心に安堵が生まれる。
部屋は木目調でテーブル、ソファ、棚などの家具が置かれている。
ソファの近くには暖炉もあった。
ルファがソファに座ったのでわたしも隣に座る。
とても柔らかいのか、沈み込むような感触を覚えた。
シャーファさんは奥にあるキッチンの方にいるようだ。なにやら音が聞こえる。
少し経つと、彼女はトレーを手にこちらへやってきた。
コトン、コトンとテーブルの上に二つのホットミルクが置かれた。
「そんな格好で寒かったでしょ? これでも飲んであったまりな」
「ありがとうございます」
マグカップの取っ手を掴んで「ふー」と冷ましながら口に含む。
ぽかぽかとした甘さが美味しい。
そして、あたたかい。
身体の芯までじんわりと熱がいきわたる。
思わず、ほぅっと口から吐息が零れ出た。
「このホットミルクも魔法で温めたものなんだよ。ね、お姉ちゃん?」
ルファが飲みながら、そう教えてくれる。
「そうだね、そのほうが早いからね」
シャーファさんが目の前のソファに座りながら、なんてことないように返す。
魔法で温めたからこんなにも早く持ってくることが出来たのだと今更気付いた。
「魔法ってすごいんだね」
「マナちゃんは魔法を知らないのかい……?」
「あ、説明しなきゃわからないよね!」
ルファは慌てたように身振り手振りでわたしのことを語っていく。
ルファの魔法によって日本とルテンシアが繋がったこと。
それを通ってわたしがやってきたこと。
魔法が存在するのを知らなかったということ。
「なるほど。ここじゃあんまり見ない風体しているのはそういうことか」
「それでね、いろんな魔法を見せてあげようと思って!」
「ん? それってルファが見せたいだけじゃ……?」
シャーファさんが疑わしげにルファを見つめる。
「え……マナは魔法見たい……よね?」
切なげに潤んだ目を向けてくる。
わたしはその気持ちに応えるように力強く告げる。
「見たいよ! だって魔法なんて生まれてきてからさっきまで見たことなかったんだもん」
「やったぁ!」
それに、ルファがそうやって喜んでくれるのが嬉しいから。
言葉にしようと思ったけれど恥ずかしくなって胸の内に留めておいた。
「それじゃあまず……」
透き通るような声がルファの口から紡がれる。
ルファが持っていたマグカップが、手元から離れて宙に浮き始める。
「す、すごい……!」
口を半開きにして、浮いたマグカップを見る。
「ルファ、マグカップなんかでやらないの!」
一方シャーファさんは怒っていた。
万が一落として割れたら危険だからだろう。
「あ、うん」
しょぼんとしてルファは魔法を解除し、マグカップを手にする。
「とまぁこんな感じで物を浮かせることも出来るのです!」
怒られた事実などなかったように自信満々に話す姿が、わたしにはどこか眩しく見えた。
「ルファはすごいんだね!」
「えへへ……。この調子でワタシは大魔女になるのを目指してるんだ!」
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