夕焼けに交わる

雪莉月花

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第四章~第六章

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   「第四章哉の身長」

「うるさい、それは昔の話だ」



「そうですよ、とばりさん。麗さんは、凄く丸くなりましたよ。昔の麗さんと言えば、尖った宝石そのものでしたよ」

そこにいる小さい店員、松井哉まついはじめは反発する。






「黙れ、ちっちゃいの。お前は当時中坊だっただろう」





「ひどいです、麗さんっ。俺はその時もう高校生でしたよ」




 松井は確か、今年で成人する身だった
と記憶している。




だが、お世辞にも高身長とは言えない背丈なので、いつもからかいの的にしてもらっている。




「悪い、お前があまりにも小さかったから」




しかし実際、170超えの身長を持ち合わせており、男性の身長平均と比べても大差はない。



まぁ、とばりと並べば誰でもこいつが小さく見えるだろう。




     






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  「第五章酒に酔う」


 俺がいつもの様に、甘ったるく、しかし刺激が強いカクテルを味わっていると、三十路迎えたくらいの男が近寄ってきた。





スーツを着こなしている、いわゆる大人で、いかにも仕事ができそうなリーマンだった。




「何、飲んでるのかな? 君、いつもここでそれ飲んでるよね。俺は西城帳さいじょうはる。よろしくね」






不敵な笑みを浮かべながら、自己紹介を述べた。





「俺は、中城麗司、です。ルシアンですけど、一口飲んでみます?」



 ルシアンは甘みが強く飲みやすいが、結構アルコールが強いのでこういう相手にはうってつけのカクテルだ。




俺は、酒に溺れることは滅多にないので、毎回これを注文する。



「っと、やめとくよ。俺、こう見えて、お酒に弱いからさ」





といいつつも、酒に詳しいようだ。










――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「第六章怪しいの表情」



「随分とお詳しいんですね」




「あぁ‥。友達に酒が大好きな奴がいてね。色々聞いているうちに、詳しくなっちゃったんだ」





それが、禁句だったかのように、西城さんは苦笑いを浮かべる。





 そんな顔ですら、彼は大人の顔になっている。





とばりとはまた違う意味で、その独特な雰囲気に入り込んでしまう。





しかし、その顔は怪しげな闇を持ち合わせており、ますますそれにはまり込んでいく感覚に陥った。




「で、どうする? 俺は今日フリーだけど、麗君は今夜空いてるかな」




 西城さんが、耳元で誘うように囁く。






心地よい低音が響き、胸が大きく高鳴った。

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