儚い雪に埋もれる想い

雪莉月花

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第二章「思い入れがない家」

屋敷

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 数十分‥、いや、一時間経ったところだろうか。


森の緑は、一層濃くなった時、ある巨大な屋敷にたどり着いた。




しかし、その屋敷というのはドラマやアニメに出てくる小奇麗なものではない。



どちらかというと、汚いといったほうがいい。もう数年は使われていないと見てもいいくらいだ。



 東京ドーム一個分と表現したいところだが、足を運んだ人は分からないだろう。


実際のところ、私も東京ドームの正確の大きさどころか、一回も行ったことがない。


 とにかく、とてつもなく大きいと表現したかったのだ。




「それにしても、でかいですねぇ」
 


 伽耶が呟く。


「凄い屋敷だと思う」




 独り言だったのだろう。しかし、それを分かっていながら、その言葉に返した。



 伽耶が顔をしかめる。


 決して、私が独り言を返したからではないだろう。



 私が、十八年間住んでいた家を、まるで他人事のように言ったからだろう。




初めて見たような物言いで、建物の感想を述べたからだろう。










「懐中電灯、持ってきてよかったですね」





 屋敷に足を踏み入れた直後、早々とそんな共感を求める。


 中は電気などついているはずもなく、漆黒の闇で包まれている。






 まぁ、回線が繋がっているかも怪しいのだが。





 そのうえ、窓から漏れる光は少量なもので、ぼんやりと近くが見える程度だ。



「足元に気を付けてください。何年か使われなかったせいか、半場ゴミ屋敷ですよ」




「森に迷った人たちが、寝床にしたんだと思うけど」




 冷めたように言う先輩を見る。


 思入れなどが、一切感じさせなかった。


「先輩、ここを見てください」




 俺が見つけたのは、明らかに他の床とは異なるものだった。






一立方センチメートルよりも、少し小さめの感じで、そこだけ不自然だ。

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