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変革の足音

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(第1部隊隊長 伝音寺でんおんじ照望てるもち、第3部隊隊長 涼川すずかわロック。それぞれ隊員に指示を出す)

照望:「クラウソードの回収。遺体の撤去を進めておけ」

ロック:「周囲にムゲン体はいない?一応、警戒はしておいてね」

(ここから掛け合い)

ロック:「あの第8部隊が負けちゃうとはね」

照望:「第8部隊の壊滅。我々の負担が増していくだけだ」

ロック:「全滅じゃないけどね」

照望:「生き残りがいたのか?」

ロック:「ああ、1人生き残ってる。今、ウチの部隊の救護車で治療を受けてる」

ロック:「……外道がいどうコロロさん…だったかな。限定解除の長時間使用で意識不明らしい」

照望:「限定解除の長時間使用か。よほど追い詰められたんだろうな」

ロック:「声色こわいろ一つ変えないで言うと、感情こもっていない風に聞こえるよ」

照望:「Zゼット周波数の限定解除を誰の許可もなしに行えてしまうことを問題視している上層部のニンゲンが、1人しかいない時点でJACKも組織としては破綻はたんしているが」

ロック:「上層部は放任主義だからね」

ロック:「第1部隊の照望隊長が一言ひとこと上に言えば済む問題ではないのでしょうか?」

照望:「既に何度か助言はしていた。所詮は現場の戦闘員である我々の言葉になんぞ耳も貸さない」

ロック:「やっと天才研究者様が組織改革に動いているとは聞いているけど」

照望:「武器の開発を行い、Z周波数の第一人者であるにも関わらず、組織改革も行う。天才というのは全てを完璧以上に行えてしまう存在を言うのだろうな」

ロック:(M)あんたの強さも天才のソレだけどさ。

最新兵器クラウ砲の残骸と第8部隊副隊長の倒れていた地点を見る

ロック:「あーー、クラウ砲をこんなにダメにしてぇ。もったいないよ」

(間)

照望:「クラウ砲に細工がされたあとがある」

ロック:「ん?どれどれ~。うわー、威力の軽減と次弾じだんまでのタイムラグが大きくなるようにプログラムが書き替えられてるよ」

ロック:「これは悪意しか感じられないねえ」

大きな岩の前で立ち止まる

照望:「ここに副隊長が倒れていたと聞く」

ロック:「さっき見せてもらったけど、かなり悲惨ひさんな姿だった。死体を見慣れているウチの子たちが、青ざめてたよ」

照望:「副隊長は死亡。それ以外の隊員は1人を除いて、死亡。隊長は行方不明か……」

ロック:「副隊長が派手にられてから、陣形は大きく崩れたんだろうね」

照望:「……」

ロック:「反対側の地点に、3名の遺体があったよ」

死者3名がいた地点

照望:「2名は心臓を無抵抗のまま突き刺されていたのか」

ロック:「もう1名はクラウソードによるものと見られる複数の刀傷かたなきずを負った状態で、全身の骨を粉砕ふんさいして絶命した」

照望:「全隊員の中で比べても、その1名が最も外傷が激しかったか」

ロック:「気づいちゃった?」

照望:「やはり第8部隊隊長の謀反むほんか」

ロック:「そのことに最初に気づいたのも刀傷の彼女、確か名前は……禅帝ぜんていミミさんみたいだ」

ロック:「これ見てよ。酷いもんだ。苦楽を共にした隊員をこんなにも痛めつけられるもんかね」

ロックが禅帝ミミの画像データを照望に見せる。

照望は表情一つ変えない。

(間)

ロック:「部隊の隊長とはいえ、たった1人で部隊の壊滅は可能なの?」

照望:「俺なら可能ではあるが第8部隊隊長━━慈江じこうカイにも完遂できただろうな」

ロック:「皮肉だね」

ロック:「第8部隊の隊長って強かったのかい?」

照望:「戦闘力はそれなりにあった。加えて、隊員からの信頼。統率力。他の隊員たちに裏切りなんて言葉すら思い浮かばせない、人格者だ」

ロック:「慈江カイって……」

照望:「最後まで慈江カイと奮戦したであろう、禅帝ミミの音声データを聴けば分かるだろう」

ロック:「彼女が最期に……何を自身の部隊の隊長と話したのか……」

ロック:「……はぁ(ため息)」

ロック:「ただでさえ、人手不足だっていうのに。これ以上担当地域を増やされたら参っちゃうよ」

照望:「カイが仮にムゲン体のがわについていたとしたら、JACK部隊の多くの情報をムゲン体が手に入れることになるだろう」

ロック:「……寒くなってきたね」

照望:「さっさと本部に戻って、一体でも多くのムゲン体を殲滅せんめつする」

ロック:(M)その、ミミさんの音声データの解析が進められた。俺たちの憶測は大半は当たっていた。慈江カイが自らをムゲン体と名乗る音声データは一部の隊員と隊長、副隊長にのみ公開された。

照望:(M)慈江カイは超要注意ムゲン体として認知された。
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