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第10章 夢の中の現実

第10章 夢の中の現実 1~Back to the Rial

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第10章 夢の中の現実 1~Back to the Rial

●S-1:現代日本

 虹色の光に包まれたかと思った沙那が気が付いた時には、街の中にいた。
 見覚えのある建物。
 久しぶりに見る色とりどりの服装の人々が歩く。
 
 地下鉄の駅の看板が見え、大きな通りを自動車やバスが行き来する。
 街角にあるコーヒーショップからは香ばしい香りが漂い、沙那とよく似た制服の少女たちの姿もある。
 どこか懐かしいと思うと同時に、不思議な違和感があった。


 ここは首都圏郊外の都市である。
 古くはベッドタウンとして開発が始まったが、今では新興住宅地の集まるちょっとした町だった。
 人口数十万を抱えるはずだが、程よく長閑で、程よく人混みがあった。
 
 田舎のように不便ではなく、かといってゴミゴミしてもいない。
 多くの人にとっても生活しやすい街だった。
 何より……。
 沙那にとっては久しぶりに見る日本語の文字や、日本語の響き。
 
 目が覚めたという感覚はなかった。
 ベッドから落ちたわけでもなさそうだ。
 歩きながら白昼夢でも見ていたのか、年頃の少女らしく妄想の世界を広げていた瞬間から、我に返ったのかもしれない。

「あ、あれー?」

 沙那にとっても違和感は、あまりに長い夢だったからなのかもしれなかった。
 いや。どうだろうか?
 あの信号の角はドーナッツのチェーン店だったはずなのだが、ハンバーガーチェーン店になっている。

 気のせいだろうか。
 いや。間違いないはずだ。
 100円キャンペーンの時に箱で買い込んだ覚えがある。
 といっても10個だったが。
 中学生のお小遣いはそれほどふんだんではない。
 
 2年生になって月5000円に増やしてもらって、飛び上がるほど嬉しかったはずだ。
 通学費用や教科書代、服や靴代は別途に出してもらえる純粋なお小遣いだから、中学生にはかなり大きい。
 おかげ放課後にクラスメートたちとファミレスでお茶をすることも楽になった。

 名門私立の学校なので、裕福な家の子も多いので交友費もバカにならないのだ。
 沙那の家もわりと裕福と言えなくもなかったが、ありきたりの中流家庭だったから大変だった。
 もっとも一軒家の時点で、この時代ではかなり収入がある方に分類されてしまう。
 昭和の時代なら典型的な中流だ。
 一億総中流などといっていた豊かな日本とは少し事情が違っていた。


 自分は今まで何をしていたのだろう。
 そもそも今、何をしているのだろう。
 確か、夢の中の世界では髪がピンクブロンドに……と、思い出し、髪の毛に触れてみた。

 何時も見慣れた黒髪だった。
 染めたように真っ黒な髪の毛は少し自慢だった。
 なんたって、清楚でお嬢様的な雰囲気に見えるからだった。
 学校の先生に「髪を染めてるな?」と疑われる心配もない。
 おや。女性教師ならむしろ「黒すぎて怪しい」と思うかもしれないが。

 それをツインテールにしているから少し子供っぽく感じるかもしれないが、そのまま下すと動くときに邪魔なのでこれで良かった。
 それでいて、胸の発育は大人顔負けだったから、かなりちぐはぐな外見だった。
 それは少しばかりコンプレックスでもあったが、嫌いではない。
 自分に肯定的なところは、彼女の最大の長所だった。

 じーじーじー。
 アブラゼミの鳴き声が響く。
 街中でもセミの鳴き声が聞こえるのは日本の特徴かもしれない。
 舗装が進んだこの時代でもいまだにたくさんのセミが存在できる国はそうはない。
 公園の木の下にセミの抜け殻なんて、普通に落ちているのだ。
 東京のど真ん中、繁華街にすらセミの声が聞こえるくらいだった。
 
「んとー。なんだっけ……」
 
 今が下校中なのか、街へ遊びに出ていたのかが思い出せない。
 制服姿なのだから帰宅中なのだろうか。
 
 しかし、不思議なことに気付く。
 制服がよれよれなのだ。
 マメにアイロンもかけるし、帰宅したらすぐに着替えてハンガーにかけておくはずなのに。

 そもそも。
 髪の毛もなんか、ゴワゴワしていた。
 全体的にパサパサしているし、枝毛もちらほら見える。

「……プール帰りってことはないよね」 

 消毒用の塩素で髪が荒れることは良くある。
 かといって、水着や着替えの入ったカバンなども持っていない。
 どこか変だ。
 今一つ状況がつかめない。

 そして、ふと気付いた違和感。
 脚だ。
 右足の太腿に手を伸ばすと、何か固いものがある。
 周囲を見回し、誰もが見てないことを確認して制服のミニスカートを少し捲った。
 
「え……?」

 そこには革製の紐で吊られたホルスター。
 鈍い青色に光る銃だった。
 触って金属特有の冷たさはない。
 
 むしろ手に取ると軽い。
 まるでプラスチックのような軽さだった。
 デザインも現代的なピストルのような武骨さはなく(最新のピストルは樹脂製のボディだったりもするが)、中世の火打石式拳銃に似ている。
 全体的に唐草模様のような不思議な装飾が彫り込まれている。

 だが、構造的に引き金トリガーはあるが、撃鉄ハンマー撃針ストライカーもない。
 一言で表すなら……幼児用のおもちゃのピストル。
 電池やゼンマイでジジジジーとか音が鳴りそうにも見える。
 フレームに埋め込まれた光りそうな石が、おもちゃっぽさを助長する。

「……むむー?」

 もちろん覚えがないわけではない。
 夢の中の異世界で作ってもらった沙那専用の魔法銃だ。
 精霊の力を撃ち出すとかなんとか。
 ミスリル鉱で作られたためにとても軽い……らしい。
 それにしても金属感がない。
 
 いやいやいや。
 このおもちゃを手にして妄想が働いた結果なのかもしれない。
 でも、買ったかなあ。こんなもの。
 沙那は首を傾げる。
 ピストルのおもちゃを買う趣味はないはずなのだが。
 
 そこに……。


「沙那っ!」

 自分を呼ぶ女性の声がした。
 驚きと悲鳴の入り混じったような響きだ。
 そして、何より聞き覚えがある。

 沙那が振り返った先には、その声の主がいた。
 緩やかにウェーブのかかったロングの髪が胸を隠すように下がっている。
 沙那を10歳ほど大人にしたら、このようになるかもしれない。

 沙那は数舜だけ考えた。

「お姉?」

 そこにいたのは良く知った顔。
 仲の良かった姉の優海だった。

「沙那っ!」
 
 優実が走ってきた。
 沙那が少し迷ったのは、記憶の中の優海よりも少し大人びて見えていたからだった。
 メイクや髪形、服装のせいだけではない。と思う。

 少し高いヒール。
 沙那の記憶の中の優海は大学に入ったばかりで、自動車免許取得のためにスニーカーで教習所に足しげく通っていたはずだった。
 ヒールのある靴はほとんど履かなかった。

 小さな違和感を感じていた沙那に、優海は抱き着いた。
 ヒールのためもあって、沙那より10cmは背が高い。
 ぎゅっと沙那の頭を抱きしめる。

 自分よりリ小さい子を抱きしめる癖は姉妹共通なのかもしれないなと沙那は思った。
 変わらないのは、大きな胸。
 母もそうだったから、自分も遺伝で大きいのかもしれなかった。
 やわらかいクッション感と、優しさと安心感を与える。
 母性ってこういうことなのだろうかと、沙那は再確認した。

「あなた、今まで、どこに、どうして……」

 ぎゅうぎゅう。
 痛いくらいだ。
 だが、懐かしい匂い。
 小さい頃からこうして可愛がられてきた覚えがある。


「どうしてってー……とりあえず、家に帰ろうかなーって」
 沙那が照れ笑いした。
 姉にとって、自分はまだまだ子供扱いらしい。

「か、帰るって……いったい3年も、どこで……」

 優海は涙ぐんでいた。

「え?」
 沙那は眉をへの字にした。
「3年?なにそれ?」

「あなた、3年も行方不明だったのよ!」

「え?あ?お?」

 そういえば。
 沙那は忘れ雪の季節に元気にミニスカ登校をしていたはずなのに、なぜかセミの声。
 どんどん増えていく違和感がジワジワと浸みてきた。


「3年過ぎてたら、もうすぐ成人だー!なーんて、ボク、中二だもんねー。ぴっちぴちのJC14歳ー!」

 今度は優海が困ったような顔をした。

「あなた、今、17よ。もう少しで18になるはずだから」

「お?おー?」

「それなのに……子供の頃のままなんて……」

「ん。んー?」

 そんなはずはない。
 沙那はそう思った。
 夢世界では2~3年経ってた気はする。
 でも、あくまで夢。

 そもそも、背も伸びてないし。
 一応は成長期だからもうちょっと伸びる可能性がなくはないハズ。
 女子だと中学生くらいで身長は止まるけど。

 胸のサイズもこれ以上大きくなられると可愛いブラが選べなくなる……じゃない。
 遺伝的にもうちょっと育っても良いはずだ。
 すでに下手な大人より大きいのだが。
 グラビアアイドル顔負けだ。

 ともかく、大きく大人になった気は全くない。
 リアリティがありそうでいまいちリアリティがない夢だなと思った。
 まあ、そりゃあ、夢だし。

 
「お姉ったら。3年も過ぎてるわけないでしょー。ボクの思ってるより3年後とかだったら、世界が変わってるはずだよねー」

 沙那は自信満々に胸を張った。

「じゃ、今の総理大臣はー?」
 沙那が古い映画で見たネタでもある。
 未来から来たなら大統領は誰だ?って訊かれる主人公がいた。
 素直に答えたら、昔は二流の俳優で、その映画のポスターが近くに貼ってあって笑われてしまうシーンがあった。

旗幟賀キシガでしょ?」
 優海は答えた。

「え。……安呆アボじゃないの?」

「いつの話よ……」

「え。えー!?キシガって誰ー!?」
 沙那はパニックになりかけた。

 
「……沙那。もう大丈夫。もう大丈夫だから家に帰ろうね」
 優海がまた強く沙那を抱きしめた。
 何か安心させようとしているらしい。


「この夢、やり直しを要求したいー!」
 沙那は思わず口走っていた。




●S-2:花厳邸

 ちゃぽん。
 結露した天井から水滴が沙那の肩の上に落ちた。
 沙那は自宅のお風呂にいた。


 あれから目が回るような忙しさだった。
 母は泣き崩れ、父も目元を抑えていた。
 捜索願を出していたから、警察にも行かなければならなかったし。
 なにより事情をしつこく訊かれるのが大変だった。

 夢の中で異世界生活をエンジョイしてました、とはとても言えない。
 信じてくれないどころか、精神状態を疑われるだろう。
 周囲の見解の多くは、変態ロリコンに誘拐監禁されていたのではないかというものだった。

 変態ロリコン……クローリーの顔が浮かんだが、彼はえっちかもしれないがロリコンでも変態でもない気がした。  
 警察は何を言っても納得してもらえない。
 結局、壮絶な経験をしたために記憶が飛んでしまっていると解釈したようだった。
 雑すぎる。

 変態にえっちな監禁されていた可能性から病院でしつこく検査もされた。
 もちろん何ら異常はなかったのだが。
 むしろ、お医者さんからは「良かったですね」なんて言われる始末。
 何が、良かったね、なのか。



 解放されるまでに3週間ほどかかったが、その間も色んな変化を目にした。
 連絡を聞いて駆けつけてきた旧クラスメートはすっかりお姉さんっぽくなっていた。
 大学受験が近いので大変だとのこと。

 ああ、3年少し過ぎたってことは、そういうことなのか。
 いやいやいや。
 本当に3年以上も過ぎたのだろうか?
 いろいろ疑わしいと紗那は思っていた。

 だが、自宅に帰れば時間の経過を感じずにはいられなかった。
 大学に入ってすぐの姉は通学にスクーターを使っていたのだが、その愛用のスクーターはガレージの隅で埃をかぶっていた。
 代わりにガレージには車が一台増えていた。
 優海の愛車はスクーターから、小型のワゴン車になっていた。

 そして、猫。
 紗那が拾ってきて、モモと名付けられた野良の仔猫はすっかり成猫になっていた。
 青灰色のロシアンブルー……に見えなくもない雑種だ。
 育ってもわりと小柄ですらっとした体躯だった。
 母や姉がよほどきちんと面倒見てくれていたのだろう。
 紗那だったら面白がって餌を過剰に与えて、ブタ猫になっていたかもしれない。

 面影は仔猫の時のそのままだ。
 紗那の姿を見ると嬉しそうに飛びついてきた。
 まだ覚えていたのだろうか。
 なかなか賢い猫だ。
 何故か一瞬、髪の毛がぞわっとしたが。

 
 紗那の部屋は何も変わっていない、ように見えた。
 違ったのは、楽しそうに笑う紗那の写真の入ったフォトスタンドが机の上に立てかけられているくらい。
 あれは宿泊研修の時のものだったろうか。
 
 子供の頃から使っているので妙にファンシーでピンク色なベッド。
 枕元にはお気に入りだったペンギンの縫いぐるみが幾つも置いてある。
 ガンバリ眉毛や涙目なのは沙那が追加した悪戯だ。
 
「そーいえば、ぺんぎんくんたち思い出すなあー」

 何かというとペンギンネタをぶっこんでくる紗那に、クローリーが作ってあげたバレーボールのように丸いペンギンぽいナニカの自立行動する泥人形を思い出す。
 飼い犬か何かのよう紗那の後ろをついてまわり、親衛隊を自称するユーモラスな存在だった。
 考えてみれば、紗那のぺんぎん好きが夢の中でも結実化したのかもしれない。

 それでも、紗那の部屋以外はやはりというか、少しづつ変わっていた。
 一部の家……リビングのテレビが違うメーカーのモデルになっていた。
 壁掛け式のものでそう大きな違いはないのだが、少しだけ意匠が違う。
 リモコンも違っていた。

 全体的に漂う微妙な違和感。
 様々な状況を見せつけられても、理性はともかく感情が3年後についていけない。

 冷蔵庫に沙那が貼り付けたマグネットのぺんぎんもどこかやつれてしまっていた。
 ちょっとづつ古くなっているように見えるのと、どこか懐かしい空気と匂い。
 田舎へ行くと元気になるあじさんおばさんがこんな感覚なのかもしれない。




 慣れ親しんだ水道にシャワー。
 ボタン一つで追い炊きも簡単。
 何より品質の良いシャンプーとトリートメント。

 夢の世界の中での、手作り感漂う石鹸の液体版で洗髪し、果実水のリンスで洗い流す生活とは全く違う。
 現代的な生活。
 便利なことこの上ない。

 あの世界では何でもアナログだった。
 電気も発電はできるものの、電化製品はない。
 電球も試作したがあまりに暗いので、ガス灯に代わる物にはならなかった。
 LEDなんて夢のまた夢。

 何よりトイレとお風呂はなかなか問題で、精霊の助けを借りられる前はとてもとても苦労したものだった。

「イズミちゃんがいなかったら大変だったよねー。都合の良いお助けけキャラだったなー」
 
 紗那は顎まで湯船に浸かりながらつくづく思った。
 すると、ひょいっと目の前に何かが顔を出す。

「へ?」

 体長10cmほどの一糸纏わぬ姿の少女。
 どことなく少し透けているように見えるが……。
 イズミだった。
 沙那の頭の上からぶらーんと、上半身だけ逆さになってぶらさがってる。

「え。ええええええー?」

「さな。よんだ?」

「うっそぉぉぉっっ!?」
 紗那はひっくり返りそうになった。

「ボク、まだ夢の世界にいたんだ!?」

「?」
 イズミは紗那の頭……アップにした髪の毛の中から逆さまになったまま首を傾げる。


「なんでイズミちゃんがいるのっ!?」

「ずっといるよ」

「いやいやいやいや!」
 紗那は腕を組んだ。
「そうか!まるほど!」
 ポンと手を叩く。
「これは……夢が続いているという話だねっ!?異世界編から現代編になったとゆー」

 妖精女王たる精霊イズミがここにいるのはおかしい。
 
「さなの世界って面白いね。妖精の力を感じないのに色んなものが動いてる」
 イズミは感心したように周囲を眺める。
 水の精霊である彼女だが、自分の力と関係なく作動するものに感心していた。
 嫉妬心のような感情はないのだろう。

「つまり、夢の世界パート2!」
 紗那は確信した。
 間違いない。
 これは夢の続きなのだ。
 現代編というのが妙にリアリティを感じるが、なかなか良くできている。
 さすが自分!と心の中で自画自賛した。
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