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8.クリスマスツリー
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昼から働いてた僕は、今日は19時でバイトは終わり。休憩時間の時には山本さんからのメールは来ていなかった。僕はスマホをチェックしながら、いつものように駅ビルの中の本屋に向かう。
「あ……やっぱり」
山本さんからのメールは、ほんの30分前に来ていた。
『部署の飲み会に顔を出してくる。1時間くらいしたら、またメールする』
たぶん、小島さんが言ってたクリスマスパーティだ。
僕は、すぐに彼女のミニスカサンタのイメージが頭をよぎった。でも、きっと、大丈夫。山本さんなら、きっとすぐにメールくれる。そう思ったから、僕は、そのまましばらく本屋で本を見ながら時間を潰していた。
だけど、1時間経ったのにメールは来ない。飲み会が盛り上がってるのかもしれない。そうは思っても、小島さんと遠藤さん、この二人のことを思い出すと、不安で仕方がなかった。だからといって、僕に何ができるわけでもない。ただ、待つしかない。
だけど、僕もいい加減、お腹が空いていた。休憩時間に食べたのは、コンビニで買ったサンドイッチだけだったから。どうせ、山本さんも、何かしら食べてくるのだろう。仕方がないから、どこかで食べて時間を潰すしかない。返事のこないスマホを握りしめると、コートのポケットにしまい、本屋を出た。
山本さんの会社のあるほうに向かうと、下手をするとあの人たちと会いかねない。だから、反対側の僕のアパートのあるほうの駅前で探してみた。こちら側は古い商店街もあるせいか、あまり遅い時間までやっている店は多くない。迷った挙句、以前、山本さんに連れてきてもらった中華料理の店に入った。
「イラッシャイマセー」
不自然な発音の日本語で迎えられながら、僕は空席がないか、店の中を覗き込み、目についた出口そばの席に座った。
「塩野菜ラーメンください」
壁に貼ってあったメニューをそのまま伝えると、すぐにスマホの画面を確認する。メールはまだ来ない。
「早く、終わらないかな……」
天井近くに置かれたテレビの画面を見ながらも、僕の頭の中は山本さんのことでいっぱい。今日は……今日こそは、少しは、その……もうちょっと…先に進みたい。
チラリと、僕は自分のバッグのほうに視線を向けた。中には、もし、泊りとかになったら、とか思って、着替え用の下着と、ネット通販で買ったローションとコンドームが入ってる。こんなの生まれて初めて買ったから、アパートに届いた時は、ドキドキした。それに、ネットでも、どうやればいいのか、ちゃんと予習もした。……うん。
「ハイ、オマタセシマシター」
変な妄想してたら目の前にラーメンがトンっと置かれて、ビックリした。まるで妄想してたことを見透かされたような気がして、恥ずかしくなる。
「あ、ありがとうございます」
僕は顔を俯いたまま、箸をとるとラーメンを食べ始めた。一人でも、ここのラーメンは旨い。温かいものを食べたせいもあるかもしれないが、フッと笑みがこぼれた。
ブルルルル、ブルルル
マナーモードにしていたスマホ。テーブルの上で揺れだしたのを、慌てて持って確認すると、ようやく山本さんからのメール。
『遅くなってごめん。今、どこ?』
ちゃんと連絡をくれたことに、安心する。
『駅前の中華料理の店にいます』
『〇〇飯店?』
『はい』
『待ってて』
僕は、その言葉にジワリと喜びが湧き上がってくるのを感じた。
山本さんが来てくれる。
さっさとラーメンを食べきってしまわなくては。まだ半分以上残っているラーメンを、急いで食べるべく、僕は箸を握りなおした。
「あ……やっぱり」
山本さんからのメールは、ほんの30分前に来ていた。
『部署の飲み会に顔を出してくる。1時間くらいしたら、またメールする』
たぶん、小島さんが言ってたクリスマスパーティだ。
僕は、すぐに彼女のミニスカサンタのイメージが頭をよぎった。でも、きっと、大丈夫。山本さんなら、きっとすぐにメールくれる。そう思ったから、僕は、そのまましばらく本屋で本を見ながら時間を潰していた。
だけど、1時間経ったのにメールは来ない。飲み会が盛り上がってるのかもしれない。そうは思っても、小島さんと遠藤さん、この二人のことを思い出すと、不安で仕方がなかった。だからといって、僕に何ができるわけでもない。ただ、待つしかない。
だけど、僕もいい加減、お腹が空いていた。休憩時間に食べたのは、コンビニで買ったサンドイッチだけだったから。どうせ、山本さんも、何かしら食べてくるのだろう。仕方がないから、どこかで食べて時間を潰すしかない。返事のこないスマホを握りしめると、コートのポケットにしまい、本屋を出た。
山本さんの会社のあるほうに向かうと、下手をするとあの人たちと会いかねない。だから、反対側の僕のアパートのあるほうの駅前で探してみた。こちら側は古い商店街もあるせいか、あまり遅い時間までやっている店は多くない。迷った挙句、以前、山本さんに連れてきてもらった中華料理の店に入った。
「イラッシャイマセー」
不自然な発音の日本語で迎えられながら、僕は空席がないか、店の中を覗き込み、目についた出口そばの席に座った。
「塩野菜ラーメンください」
壁に貼ってあったメニューをそのまま伝えると、すぐにスマホの画面を確認する。メールはまだ来ない。
「早く、終わらないかな……」
天井近くに置かれたテレビの画面を見ながらも、僕の頭の中は山本さんのことでいっぱい。今日は……今日こそは、少しは、その……もうちょっと…先に進みたい。
チラリと、僕は自分のバッグのほうに視線を向けた。中には、もし、泊りとかになったら、とか思って、着替え用の下着と、ネット通販で買ったローションとコンドームが入ってる。こんなの生まれて初めて買ったから、アパートに届いた時は、ドキドキした。それに、ネットでも、どうやればいいのか、ちゃんと予習もした。……うん。
「ハイ、オマタセシマシター」
変な妄想してたら目の前にラーメンがトンっと置かれて、ビックリした。まるで妄想してたことを見透かされたような気がして、恥ずかしくなる。
「あ、ありがとうございます」
僕は顔を俯いたまま、箸をとるとラーメンを食べ始めた。一人でも、ここのラーメンは旨い。温かいものを食べたせいもあるかもしれないが、フッと笑みがこぼれた。
ブルルルル、ブルルル
マナーモードにしていたスマホ。テーブルの上で揺れだしたのを、慌てて持って確認すると、ようやく山本さんからのメール。
『遅くなってごめん。今、どこ?』
ちゃんと連絡をくれたことに、安心する。
『駅前の中華料理の店にいます』
『〇〇飯店?』
『はい』
『待ってて』
僕は、その言葉にジワリと喜びが湧き上がってくるのを感じた。
山本さんが来てくれる。
さっさとラーメンを食べきってしまわなくては。まだ半分以上残っているラーメンを、急いで食べるべく、僕は箸を握りなおした。
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