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9.酒のつまみ、再び

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 百均の店で待ちあ合わせをして、久しぶりにテルくんと夕食をともにした。気が向いた時に行く、女将と板前の亭主の二人でやっている小さな小料理屋。一人静かに食事をしたい時には、この店が一番落ち着く。
 そんな俺が、テルくんを連れてきたことに、女将が少し驚いたような顔をした。テルくんは、その様子に気付かずに、店の中を興味深そうに見回している。
 旨そうに料理を口にする姿に満足しながら、俺もビールをあおる。一人で飲みにくるよりも、テルくんと共に飲むのは、一段と美味く感じる。俺たちの和やかな雰囲気のせいか、一人でいる時にはあまり話しかけてこない女将が、亭主が作ったという梅干しとじゃこの焼き飯を小さな皿に乗せて持ってきた。

「うちの人が、試作品だって言うんだけど、ちょっと多めに作っちゃったの。他のお客さんにも出してるから、気にせず食べてみて」

 一瞬戸惑った表情を見せたテルくんに、食べるように促す。一口、口にした後、テルくんの箸は止まらず、気が付けば小食のテルくんが、すっかり焼き飯を平らげていた。

「なんか、お腹いっぱいだったのに、美味しくて食べちゃいました」

 満足げに微笑むテルくんに俺も笑みを返していた。

 家に着くとすぐに、玄関先でテルくんの身体を求めてしまった。テルくんが、せっかく百均で酒のつまみをたくさん買ってくれていたのだが、その袋も三和土に落としたまま。俺もテルくんも寒さを忘れたように、互いを貪りあう。必死に抑えようとしても、漏れる甘い嬌声に俺の理性は容易く壊れる。まるで、セックスを覚えたてのガキのように。

「んっ、んん」
「んっ……何、もしかして、テルくんっ、誰かに聞かれたい趣味でもあるの」

 シャツを羽織っただけの状態で下半身をむき出しのまま、玄関のドアにもたれながら、切なそうに顔を歪めるテルくんの耳に、意地悪く囁く。激しく突き上げれば、突き上げるほど、淫猥な水音と、テルくんの啼き声が静かな玄関に響く。冷ややかな空間のはずなのに、ここの空気だけが熱い。

「あんっ、はっ、崇っ、さっ……んんっ」
「んっ、んんっ、何」

 縋るような声に反応して、腰の動きが激しくなる。目の前に差し出された白く美しい双丘を、離すまいとしっかりと掴みながら、送挿のスピードを上げていく。

「あっ、あっ、イ、イっちゃっ……イッ、ん、んあっ」
「フッ、いいよっ、イって」

 背をのけぞらせたテルくんの白い項に、ガリリと噛みつく。

「んっ、んっ、はっ、ああぁぁぁっ!」

 その刺激に、テルくん自身から吐き出された白濁がパタパタとドアにかかり、同時にテルくんの中が急に締まりだす。まるで俺を搾り取ろうとでもするかのような感触に、危うく完全にもっていかれそうになる。俺はラストスパートをかけるように激しく腰を動かし、一気に熱を吐き出した。

「クッ!」
「あああっ、中っ、熱い……」

 ドクドクとテルくんの中に放ち続けながら、彼を背中から抱きしめる。
 二人の荒い息遣いだけが、静かな玄関に響いていた。
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