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序章
しおりを挟む朝起きるとTwitterの通知が来ていた。
「お、今日はいっぱい来てるな」
有料化をしてからたくさんの有名人のところや事件の投稿に行って、ひたすら意味のない返信をしまくる。これは決して意味のないことではない。
僕は俗に言われるインプレゾンビだ。でも他のゾンビと比較しないで欲しい、僕はあくまでもいっぱいいる有名人の投稿に対してコメントでいいねをしているだけの優良な一般ユーザーなのだ。他の投稿をそのまま真似したり、どうでもいい言葉を並べてリプライ欄を荒らしているわけではない。
それは僕がこの仕事に誇りを持っているからだ。僕にしか出来ない、僕だけの、僕による完璧な行為。真似?やってみろよ。僕は誰にも止められない。僕は今日も明日も明後日も、変わらずこの勤勉な態度を崩したりはしない。
「フヒヒヒヒ」
有名な女優、望月蓮根ちゃんの投稿にいいねの絵文字を投稿する。桜をバックにした普通の自撮り、これを見る人間は僕以外にもたくさんいる。彼女はスタイルがいいし、顔も僕のタイプだ。そんな彼女にいいねをして何が悪いと言うのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・」
そんな僕は決して根っからのゾンビではない。僕だってこれを始める前は普通にTwitterで投稿をしていた。でもお金の簡単な稼ぎ方を考えると、バイトをせずにただ他人の投稿にお邪魔してリプライに無意味な投稿を置いておく。これを簡単と言わずしてなんと言うのか。
(僕は悪いことなんて何もしてない。他のみんなだってそうしているし、それが正攻法なんだ)
チラリと時計を見る。既に7時になっていた。
「・・・・あとは学校でやろう」
急いで支度して僕は一階に降りる。
「おはよー」
リビングから母さんの声が聞こえる。今日は忙しいと聞いていたから恐らく朝食はないだろう。
「おはよー、今日はこのまま学校いくわー」
「え?朝食あるけど?」
「え?」
耳を疑った。確かに僕は昨日、忙しいから作れないと聞いていた。
(もしかして何かの事情があってキャンセルになったんだろうか?)
頭の中でそんな疑問が過ったけど、時間を見るとそうも言ってられなかった。残念ながら既に7時半、これ以上の時間を使えば確実に遅刻になる。
「食べたからいい!行ってきます!」
そう言って僕は勢いよく玄関から出ていく。今日は昨日と違って雨が降るらしい、傘を持って行かないと。
「今日も頑張るぞー!!」
どの有名人の投稿にお邪魔して、インプレを稼ぎに行こうか。
「・・・・どうしちゃったのかしら?今日は学校なんてないのに制服で出て行っちゃって」
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