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終章 ギサキ
第43話 ギサキ、翻す
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私の名はミサキ、急に家族が増えた世界最強の女の子。
休んだ私は食事を摂りながらギサキの話を聞いた…どうやら私は改造人間と言うもので正式名称は「ジャーマンロイド1O1ミサキ」と言うらしい。
しかも…あのシスターは私の母親(と言っても意識だけだが)でギサキは妹、チサキは姉…それに加えこの2人は妹に当たると言う…マジかよ…
(あの女は1人ブラッ○○ーストでも目指してたのか?)
「イサキと申します。白い旧式、貴女が副指揮官ですか?」
「リサキと言います。目つきが悪い旧式、よろしくお願いいたします。」
「……あのね!私にはミサキって言う名前があるの!旧式って言うな!」
「オレはギサキだ。指揮官じゃなくてお前等の姉だ。」
歩兵の服を着て防弾ヘルメットを被るのはイサキ、外付けの小型ナパーム連射砲を使って都市を殲滅するのを目的とした非完全生物兵器、様々な武器も使いこなせる。
インカムを付けたスーツの方がリサキ、コンピューターをハッキングしたりインターネットにアクセス出来るし、Wi-Fiも飛ばせるらしい。
2人共同じ背丈で私達より少し小さい程度だ。
「で……よし…どうかなミサキ?」
「完全に元通りよ。大変ね新型は複雑で。」
ギサキは潰れた目を交換して元通りにした…私も食事を摂ったので元気百倍○ン○ン○ンだ…さて、これからどうするかの話だけども…
「3人共、手伝ってほしい事があるんだ…」
「何よ改まって。」
「実はかくかくしかじかで…」
ギサキは私と同じで暗示を集めていると言った…全て集めればトロイダに会えるかもしれないらしい…それならもちろん返事はイエスだ。
私も個人的に奴へ恨みがある…どうしてもぶっ飛ばしてやりたいのだ。
新型2人も「指揮官の頼みなら」と了承する。
「この紙なんだけどさ…」
「ふんふん……うっ!?ちょっと待って!?」
「どうかしたの?」
ギサキに渡された紙には見覚えのある名前がいくつかあった…
ラゲッフは確かロムズタウンで死んだはずの女…それにチムシって奴も知っている様な気がする…何だっけ…サムライの幽霊だったかしら…?
それに…えぇ…マジコって…アイツは不老不死でしょ…
「マジコを殺したの…?いや、殺せたの?」
「分かんない。けど死んで無いと思うけど紙には色が付いたよ。」
「アイツは生きてそうね……最後のこの1人は一体?」
「オレも分からないんだ。」
紙に書かれた最後の1人の名は…ジャッカロープ…ご丁寧に種族と生息地まで書いてあるじゃない…ええっと…何々?
種族は化け兎で…生息地は月中都市?…なによそれ?
そんな名前の場所あったかな…なんかゲームとかでありそうな名だけど…
「あぁ……リサキ、月中都市で検索かけなさい。」
「了解しました。………月餅を20個注文しました。」
「何をやってるのよ…まぁ良いわ…美味しいし。」
「こうなったら地図から探し出すしか無いかなぁ…めんどくせ…」
月中都市ね…化け兎なんだから亡国に居るハズよ……兎で月なんて…うん?
ま、まさか?月中都市って…いやそんな事はあり得ない…だが…ま、まさか!!月中都市って月の中の都市って事!?そんな事は…もしそうだったらメルヘンよ…
「ね、ねぇギサキ…もし…もしよ?月の中に街って作れる?」
「面白い事聞くね。不可能では無いと思うぜ…確か月の中には都市レベルの空洞が存在するって研究で……」
「「………」」
確信した…間違いないだろう…奴らは月の中に居る!(かもしれない)
トロイダと月は何かしらの関係があると前々から思っていた…キョンシーは月の光で強化され、化け蛇のドトキも月が何とかって言っていた気がする!
(アイツ元気してるかな…?)
「ええっと…この中でお月様に行けるよって子は…手を上げて。」
ギサキがそう言うとイサキ、リサキが手上げる…私は行けないかもしれない。
だって宇宙って寒いんでしょ?私は寒い所は苦手なタイプだから…
「やはり月の中か……いつ出発する?私にも同行させてくれ。」
「チサキ」
その時、私もと部屋へ入って来たのはあの時の赤色コート女のチサキであった。
嫌だなぁ…コイツ、私の姉になるんだよなぁ…こんなのが姉って認めたくない、だって赤いコートに金縁のサングラスだよ?今ドキ、ラッパーだってそんな格好しない。
「頑丈さには売りあるんでね。宇宙ぐらい想定済みさ。」
「良いのかよチサキ?お前、さっきのセリフからしてお腹を貫かれて死ぬぞ?」
「ちょっと待ちなさいって…アンタ等、仲良いの?」
「ああ。ギサキとは先日和解した。(そうだよな!?ギサキ!)」
「頼もしいけど…良いわけ?アンタってトロイダの部下でしょ?」
「ジャッカロープはトロイダの敵なんでな。敵の敵は仲間だろ?」
そのジャッカロープと言うのはトロイダの部下…らしいのだが、つい最近…アイツ等が裏切り、月を乗っ取ってしまったらしい…それでトロイダはお怒り。
ギサキに始末させようとしたが、ついでならお前も行けと言われたとのこと。
(多分だけど普段はあんまり仕事して無いのかな?)
「ミサキはお留守番でオレ、姉ちゃん、リサキの3人で突入する。」
「私とアンタは残って此処で待機よ。良い?」
「了解しました。」
「月の内部については私が説明しよう。」
チサキが言うには月の中は都市と言う名の軍事基地になっており、月の表面にはトーチカや侵入者撃退用の移動砲台、月明噴射機が置いてある。
基地内には化け兎共がうじゃうじゃ…しかも武器、弾薬、食料をバンバン量産しているらしい…ちなみに食料と言うのはもちろん人参やお餅!…では無い。
彼らの主食は野菜なので人参は合っているが、それ以外も育てていると…
「月の野菜は味が薄いんだよな…苦みも少ないし。」
「苦みは少ない方が良いわ。でも味が薄いのは嫌ね。」
無駄な話はさておき、計画はこうだ。
ギサキ、チサキ、リサキの3人が月へ向かい、トロイダの部下と言って中へ侵入。
何とかして内部のメインコンピューターまでリサキを連れて行き、メインコンピューターをハッキングする…それにより武装の解除と外部からの増援、生産を停止。
後は標的のジャッカロープを殺し…月とは新しく条約を結ぶ…1割完璧だ。
「ちなみにジャッカロープは月明兎会の会長で月中都市の最大権力者でもある。」
「ヤクザの親分ってわけか…どうりで奴らの本拠地が見つからないハズだ。」
「そんな奴等がまだ居たなんて思わなかったわ…」
・・・
オレの名はギサキ、司令官の強き女の子だ。
身体の修理も終わった事だし…後は月に行って標的を殺害するのみ。
だが今日はもう遅いので明日にしたい…が…皆は何処で寝るんだ?
教会にはベッドが2つしかない…オレとシスターが寝てたヤツとミサキの牢屋のベッドだけだ…とてもじゃないが2つのベッドで5人姉妹は余る。
「オレは此処で寝るとして…イサキとリサキは小さいし、3人で寝られるかな?」
「だったら私はあの部屋のベッドを1人で使わせてもらうわよ?」
「待て…じゃ私は何処で寝ればいいんだ?」
「自分の家に帰れば良いじゃない。」
「冗談言うなよ、私に家なんてあるわけ無いだろ。金持ちじゃあるまいし。」
チサキはいつもトロイダの家で寝泊まりしていたらしい…ヒモかよ。
そうなれば…まぁしょうがない、ミサキと一緒に寝てもらおう。
「ミサキ、一緒に寝てあげ「嫌よ。」即答かい…」
「かなりショックだ。」
「昔は一緒に寝てただろ?2人だけじゃなくて3人で。」
「覚えてない事を言われてもしょうがないわ。」
それもそうか…ミサキは昔の記憶が無かったな…昔の記憶が戻れば仲良く………いや、駄目だ…昔の事を思い出せば気まずいどころでは無い。
しょうがない…ちょっと寒いけど…我慢してもらおう。
「チサキ、研究室で寝てね。」
「えぇ…マジかよ…あそこって内臓のホルマリン漬けとかあって不気味なんだよなぁ…」
「じゃあ外で寝れば?あ、私の家なら使って良いわよ。」
「おい!お前らなぁ…しかも家持ってんのかよ…」
「あばら家だけど住み心地は良いわよ。」
そうなればチサキはしょうがないと研究室で寝る事を選んだ。
この世は左右に傾けるレバーみたいな物だ…嫌過ぎない方に傾けるしかない。
改造人間5人姉妹のオレ達はそれぞれ眠りに就いた…
・・・
「じゃ、オレ達は行って来るから。」
「地上はよろしくな。トロイダが来ても手出しすんなよ?」
「はいはい。10秒だけなら待ってあげるわよ。」
早朝、ギサキ達は月に向けてぶっ飛んで行った…どうやら全員飛べるらしい。
さて…地上待機班の私はやる事も無いのでお茶でもしようかな…と思ったが…
そう言うワケにも行かないらしい。
『地上人、基地への攻撃を計画しているならば即刻中止せよ。』
「おっと遅かった様ね。突撃班ならもう行ったわよ。」
『なにぃ!?』
茂みから出て来たのは宇宙服にしては薄い服を着た奇妙な奴であった。
話から察するにコイツは月からの刺客だろう…だがちょっと遅かったな。
今はイサキも寝ている事だし、私1人で何とかしようじゃないか。
月の田舎者に地上の力を見せてやる。
「ボーっとしてちゃ…やられるだけよ!!」
『はっぐぅあ!!や、野蛮人め…白倭仁!来いッ!』
「ワニ?…ッ!」
【警戒を解除、戦闘に移行します。】
奥の茂みから出て来たのは雪迷彩服を着てツルツルの白いヘルメットを着けたデカい奴だ…身長が大きすぎる、余裕で2メートル以上だ!
月の生物兵器か何かか…?
宇宙服の刺客はヘルメットのヒビをテープで塞ぐと、奥に座り込んだ。
『コイツをぶっ殺せ!』
【指令を探知、標的…地上人の排除を開始。】
「いきなりッ…!これは!?」
奴は右腕を上げ、思いっきり振り下ろして来た!腕で防いだがその力は凄まじく!踝の辺りまで地面へ埋まる!!とんでもない馬鹿力だ!
だが…戦い方は素人のそれだ、このくらい容易い!
「うぉおおおお!!そいやァッ!!」
【がぶごッ!】
奴の腕を掴んで持ち上げると、反対側の地面へ力任せに叩き付ける!!
どうだ…地面にヒビが入るぐらいだからかなりのダメージが通ったハズだ!
「な!?た、立ち上がった!?」
【ブゥーンッ!!】
「あがッ!?ガアァァアアッ!!」
地面に叩き付けられた奴は何事も無かったかのように立ち上がると私をアッパーで殴り上げた!!打たれた場所が悪かったので、一瞬気が朦朧としたが…
直ぐに意識を取り戻して体制を立て直そうとしたが、その時にはもう奴の拳へ背中から強打した時だ!!
「おがッ!!?」
【ブンガ!ブンガ!!】
「がぁああッ!んがッはッ!!ごっはぁ!!」
強すぎる衝撃を背中へ受けた自分は奴の前へ仰向けに倒れ込むと、何度も顔を強く踏んづけられる!一発一発靴底をぶち込まれる度に後頭部に衝撃が走り、埋まって行く!!
クソ…こんな奴に好き勝手やられるなんて屈辱だ!本調子を取り戻さないと…
【ダリャアアアアアッ!!】
「!?何処掴んで!?ンガガァアア!?」
【アルァッ!!】
「がふ…」
奴は私の髪を掴むと埋まった頭部を無理やり引っこ抜き、そのまま顔面を地面へ押し付けるとすりおろし器で大根をおろすようにガリガリと擦り付ける!!
そして一通り、擦り付けるとトドメと言わんばかりに後頭部へ蹴りを入れた…
この私が…良いようにされているだと!最強の名が廃るじゃないか!
そんな事はあってはならない!
【対象のバイタルを確認…計測不可。】
『多分死んだだろう。おい、次はそこのボロ家の中に…!?後ろだッ!!』
「ハアッ!!」
【ぐがごッ!?ガガガガ…】
シロワニが後ろを振り向いた隙に音を立てずに素早く起き上がると、奴の脳天目掛けて力の限り!!拳を振り下ろした!!
バッギィィッ!!と音を立て、ヘルメットにヒビが入る…
拳が痛いよ!チクショウ!!
【ビビビ!!ガガガガッ!!ゴガガガ!!ギャギャギャ!!】
『白倭仁!命令を聞け!再起動だ!白倭仁ィ!!』
【グゥーン………】
「機械って…叩けば直るけど、壊れる事も…あるのね。」
『ひぇぇ…白倭仁が壊されるなんて…』
シロワニは「ガガガ…」や「ピーヒョロロ~」と言った音を立て、そのまま後ろへバタンッ!と倒れてしまった…月の機械なんてたかが知れているわね。
こうなりゃ残ったのはアイツ1人…楽には死なせん、色々と吐いてもらう。
『ま、待って!お願いします!殺さないで!命だけはッ!!』
「哀れね。月に住み着くような奴が私の様な地球の人間に慈悲を乞うなんて。」
『う…うぅぅうう…お願いします…命だけは許してください…』
「知ってる情報、全てを話しなさい。」
そう言うと相手はベラベラと大事そうな事を話し出した。
涙声でボロボロだったし、途中から変な訛りも出ていたのでよく分からなかった…ただ1つ分かる事…コイツ等は地球の生物では無く、完全なる地球外生命体と言う事だ。
マジコの他に宇宙人に出会うとは…世の中、変な出会いもあるものね。
『お願いします!!許してください!もう来ませんから!!』
「しょうがないわね…許してあげるわ。」
『は、はは……ははは…』
「その代わり死ね。許すけど死んでもらうわよ。」
『は?』
すぐさま奴のヘルメット目掛けて蹴りをぶち込むと、ヘルメットの一部はバキッ!と割れて中からビュシューと何かが漏れ出した…
『うわあああぁぁああ!!嫌だぁああ!!死にたくない!!うわああ!!』
「私の元へ派遣されたのを恨むことね。」
『ああああああ!!がはぁぁああ!!ごっは!!げっほぉ!!』
奴は死にたくないとヘルメットの割れた部分を必死に手で押さえたが、その行動は却って穴を大きくするのだった…しばらく漏れ出した空気はピタリと止み…
息が出来ないのか、奴は血を噴き出しながらもがき始めた…そして…死んだ…死因は吐血による窒息死だろうか?それにしても…月の奴等は地上の空気を吸うと血を噴き出しながら死ぬのね。
良い事を聞いたわ。
「さて…もう行こうかしら……ッ!?居ない!?」
もう教会に戻ろうと思ったその時、あのデカブツが居なくなっていることに気が付いた!奴め…何処に隠れて…
【アッキャァ!!】
「うんがッ!」
シロワニは私の後ろへ回りへ回り込んでおり、裏拳で私を墓場まで殴り飛ばす!!
私は墓石をボゴォ!!と破壊しながら飛んで行く!そして十字架も折りながら着地すると、前を向いたが…
【コォロロロ!!!】
「き、来た…!どうする…殴るか!!」
奥からシロワニが走って来ているのが見えた…奴のヘルメットは割れ、ガイコツみたいな顔が右半分見えている…こ、怖い!?クッソゥ…アイツめ…
だが来るなら殴るのみ!
「(引き付けて…引き付けて……今だッ!!)ダァッ!!」
【ウンガラァァ!!どごぼぉッ!!】
「うぉぉおおおおおお!!」
ギリギリまで引き付けて奴に向かって右の拳を振るった!!すると奴も同じように右腕でパンチをぶちかます!!
両者の拳の強い押し合い!!ビキビキと音を立て、凄まじい衝撃が走る!!
「うぐぅッ……ダァァァアアアア!!!」
【んごげがッ!?】
押し合いの結果、勝ったのは私だ!シロワニの拳はバッギョォ!!と砕け散り、私のパンチはそのまま空を切り、誰かの墓もついでに粉々に砕いた。
右手首が無くなった奴は怯んだと思ったが、全く全然怯んでおらず、変な方向に足を曲げて私の腹部を蹴り込む!!
「ぐぅええ!!」
【アンギャロ!ウンギャロ!!オンゴッコ!!!】
「がはッ!?」
ゲロを抑えて蹲る私の右腕を掴んで奴は容赦なく振り回すと!!近くの墓石や十字架へ叩き付ける!!そして地面へ思いっきり私を投げ落とす!!
奴は追い打ちでうつ伏せの私の背中へストンピングをかました!
「うがぁああッ!?ごほッ!!かは…はぁ…はぁ…」
【ガビャ…ガビャ……ンギョォォオ!!】
「(来る!!)うあああ!!はぁ…はぁ…か、躱せた…」
【ンギギギ!!】
奴の攻撃の気配を感じ取ると必死に左へ回避した…なんとか躱せたが…少しだけヤバいかも…体力の限界をほんのちょっぴりだけだが感じ始めている。
私も弱くなったものだ………!!なんだ…奴の鼻と口に…チューブが繋がっているぞ…そうか!!奴もあの野郎と同じで地球では息が出来ないのか!
そうと分かれば…勝利までの道のりが見えて来たぞ!!
「うああぁぁぁああ!!コンチキショウ!!」
【ガッガンガ!?ゴロロロロ!!】
「喰らうかッ!!ヤァァ!!」
【ッ!?】
無理やり立ち上がると、奴の真ん前まで行き、顔をぶん殴るついでに!!口と鼻に突っ込まれていたチューブをブチブチィ!!と引き千切ってやった!!
【ガハァンッ!?ハガガガッホッホッホォォォオォ!?】
「はぁ…はぁ…やってやったわよ…どんなもんよ…」
【ゴッファ!!ガハァァア……ガフッ…ゴホ………ンガッハ………】
はぁ…やっとくたばったか…敵ながらアッパレと言うべきか…とんでもない奴だったわ…月にはこんな奴がうじゃうじゃ居るのかしら…
だとしたらギサキ達もヤバいわね…けど、アイツ等なら平気かな。
「副司令官殿、騒音がしたのでやって来たのですが…」
「もう済んだわよ。」
「そうですか。」
今更、イサキが火炎放射器を持ってやって来た。
ふと思ったのだが…シロワニに火炎放射は効くのだろうか?ちょっと気になった私はイサキへ「あのボロゴミを焼却して」と頼んでみた。
「良いですよ。ちょっと離れててください。」
「おぉう…かなりの火力ね。」
イサキの持つ軍用火炎放射器からは黒い煙を発する炎がボウボウと墓ごとシロワニを燃やした…奴の死体からバチバチと火花が飛び散る。
生物と機械が融合した感じ…もしかしたら私達と似てるかも?
それはさておき、もう良いやと燃える奴を放っておいて2人で朝ごはんでも食べようかと思ったが…
【ンガオオオオオ!!】
「ひぇ!?何ですかコイツは!?」
「イサキ!!危ない!」
なんとしぶとい奴だろうか…シロワニはまだ生きており、イサキへ襲い掛かる!
これはヤバイと私も咄嗟に動いたが…間に合わない!!
【アギャゴォオオ!!】
「うるせぇ!!この生ゴミがッ!!」
【あだばァッ!?】
「け、蹴り壊した!」
イサキはシロワニの頭を蹴り飛ばし、完全なるトドメを刺した。
どうやらコイツは結構強いらしい…そりゃ…私の妹なんだし当たり前だ。
とにかく…何事も無くて良かった…イサキは蹴り飛ばされ、地面へ落ちた頭部を踏み壊すと「さ、行きましょうか」と言う…ちょっと逞しいかも。
「そうね…お腹が減ったわ。」
「司令官殿と赤い旧式殿は朝食を摂っていないようですが…大丈夫でしょうか?」
「知らないけど…まぁ平気よ、アイツ等なら。」
「そうですね。」
つづく
休んだ私は食事を摂りながらギサキの話を聞いた…どうやら私は改造人間と言うもので正式名称は「ジャーマンロイド1O1ミサキ」と言うらしい。
しかも…あのシスターは私の母親(と言っても意識だけだが)でギサキは妹、チサキは姉…それに加えこの2人は妹に当たると言う…マジかよ…
(あの女は1人ブラッ○○ーストでも目指してたのか?)
「イサキと申します。白い旧式、貴女が副指揮官ですか?」
「リサキと言います。目つきが悪い旧式、よろしくお願いいたします。」
「……あのね!私にはミサキって言う名前があるの!旧式って言うな!」
「オレはギサキだ。指揮官じゃなくてお前等の姉だ。」
歩兵の服を着て防弾ヘルメットを被るのはイサキ、外付けの小型ナパーム連射砲を使って都市を殲滅するのを目的とした非完全生物兵器、様々な武器も使いこなせる。
インカムを付けたスーツの方がリサキ、コンピューターをハッキングしたりインターネットにアクセス出来るし、Wi-Fiも飛ばせるらしい。
2人共同じ背丈で私達より少し小さい程度だ。
「で……よし…どうかなミサキ?」
「完全に元通りよ。大変ね新型は複雑で。」
ギサキは潰れた目を交換して元通りにした…私も食事を摂ったので元気百倍○ン○ン○ンだ…さて、これからどうするかの話だけども…
「3人共、手伝ってほしい事があるんだ…」
「何よ改まって。」
「実はかくかくしかじかで…」
ギサキは私と同じで暗示を集めていると言った…全て集めればトロイダに会えるかもしれないらしい…それならもちろん返事はイエスだ。
私も個人的に奴へ恨みがある…どうしてもぶっ飛ばしてやりたいのだ。
新型2人も「指揮官の頼みなら」と了承する。
「この紙なんだけどさ…」
「ふんふん……うっ!?ちょっと待って!?」
「どうかしたの?」
ギサキに渡された紙には見覚えのある名前がいくつかあった…
ラゲッフは確かロムズタウンで死んだはずの女…それにチムシって奴も知っている様な気がする…何だっけ…サムライの幽霊だったかしら…?
それに…えぇ…マジコって…アイツは不老不死でしょ…
「マジコを殺したの…?いや、殺せたの?」
「分かんない。けど死んで無いと思うけど紙には色が付いたよ。」
「アイツは生きてそうね……最後のこの1人は一体?」
「オレも分からないんだ。」
紙に書かれた最後の1人の名は…ジャッカロープ…ご丁寧に種族と生息地まで書いてあるじゃない…ええっと…何々?
種族は化け兎で…生息地は月中都市?…なによそれ?
そんな名前の場所あったかな…なんかゲームとかでありそうな名だけど…
「あぁ……リサキ、月中都市で検索かけなさい。」
「了解しました。………月餅を20個注文しました。」
「何をやってるのよ…まぁ良いわ…美味しいし。」
「こうなったら地図から探し出すしか無いかなぁ…めんどくせ…」
月中都市ね…化け兎なんだから亡国に居るハズよ……兎で月なんて…うん?
ま、まさか?月中都市って…いやそんな事はあり得ない…だが…ま、まさか!!月中都市って月の中の都市って事!?そんな事は…もしそうだったらメルヘンよ…
「ね、ねぇギサキ…もし…もしよ?月の中に街って作れる?」
「面白い事聞くね。不可能では無いと思うぜ…確か月の中には都市レベルの空洞が存在するって研究で……」
「「………」」
確信した…間違いないだろう…奴らは月の中に居る!(かもしれない)
トロイダと月は何かしらの関係があると前々から思っていた…キョンシーは月の光で強化され、化け蛇のドトキも月が何とかって言っていた気がする!
(アイツ元気してるかな…?)
「ええっと…この中でお月様に行けるよって子は…手を上げて。」
ギサキがそう言うとイサキ、リサキが手上げる…私は行けないかもしれない。
だって宇宙って寒いんでしょ?私は寒い所は苦手なタイプだから…
「やはり月の中か……いつ出発する?私にも同行させてくれ。」
「チサキ」
その時、私もと部屋へ入って来たのはあの時の赤色コート女のチサキであった。
嫌だなぁ…コイツ、私の姉になるんだよなぁ…こんなのが姉って認めたくない、だって赤いコートに金縁のサングラスだよ?今ドキ、ラッパーだってそんな格好しない。
「頑丈さには売りあるんでね。宇宙ぐらい想定済みさ。」
「良いのかよチサキ?お前、さっきのセリフからしてお腹を貫かれて死ぬぞ?」
「ちょっと待ちなさいって…アンタ等、仲良いの?」
「ああ。ギサキとは先日和解した。(そうだよな!?ギサキ!)」
「頼もしいけど…良いわけ?アンタってトロイダの部下でしょ?」
「ジャッカロープはトロイダの敵なんでな。敵の敵は仲間だろ?」
そのジャッカロープと言うのはトロイダの部下…らしいのだが、つい最近…アイツ等が裏切り、月を乗っ取ってしまったらしい…それでトロイダはお怒り。
ギサキに始末させようとしたが、ついでならお前も行けと言われたとのこと。
(多分だけど普段はあんまり仕事して無いのかな?)
「ミサキはお留守番でオレ、姉ちゃん、リサキの3人で突入する。」
「私とアンタは残って此処で待機よ。良い?」
「了解しました。」
「月の内部については私が説明しよう。」
チサキが言うには月の中は都市と言う名の軍事基地になっており、月の表面にはトーチカや侵入者撃退用の移動砲台、月明噴射機が置いてある。
基地内には化け兎共がうじゃうじゃ…しかも武器、弾薬、食料をバンバン量産しているらしい…ちなみに食料と言うのはもちろん人参やお餅!…では無い。
彼らの主食は野菜なので人参は合っているが、それ以外も育てていると…
「月の野菜は味が薄いんだよな…苦みも少ないし。」
「苦みは少ない方が良いわ。でも味が薄いのは嫌ね。」
無駄な話はさておき、計画はこうだ。
ギサキ、チサキ、リサキの3人が月へ向かい、トロイダの部下と言って中へ侵入。
何とかして内部のメインコンピューターまでリサキを連れて行き、メインコンピューターをハッキングする…それにより武装の解除と外部からの増援、生産を停止。
後は標的のジャッカロープを殺し…月とは新しく条約を結ぶ…1割完璧だ。
「ちなみにジャッカロープは月明兎会の会長で月中都市の最大権力者でもある。」
「ヤクザの親分ってわけか…どうりで奴らの本拠地が見つからないハズだ。」
「そんな奴等がまだ居たなんて思わなかったわ…」
・・・
オレの名はギサキ、司令官の強き女の子だ。
身体の修理も終わった事だし…後は月に行って標的を殺害するのみ。
だが今日はもう遅いので明日にしたい…が…皆は何処で寝るんだ?
教会にはベッドが2つしかない…オレとシスターが寝てたヤツとミサキの牢屋のベッドだけだ…とてもじゃないが2つのベッドで5人姉妹は余る。
「オレは此処で寝るとして…イサキとリサキは小さいし、3人で寝られるかな?」
「だったら私はあの部屋のベッドを1人で使わせてもらうわよ?」
「待て…じゃ私は何処で寝ればいいんだ?」
「自分の家に帰れば良いじゃない。」
「冗談言うなよ、私に家なんてあるわけ無いだろ。金持ちじゃあるまいし。」
チサキはいつもトロイダの家で寝泊まりしていたらしい…ヒモかよ。
そうなれば…まぁしょうがない、ミサキと一緒に寝てもらおう。
「ミサキ、一緒に寝てあげ「嫌よ。」即答かい…」
「かなりショックだ。」
「昔は一緒に寝てただろ?2人だけじゃなくて3人で。」
「覚えてない事を言われてもしょうがないわ。」
それもそうか…ミサキは昔の記憶が無かったな…昔の記憶が戻れば仲良く………いや、駄目だ…昔の事を思い出せば気まずいどころでは無い。
しょうがない…ちょっと寒いけど…我慢してもらおう。
「チサキ、研究室で寝てね。」
「えぇ…マジかよ…あそこって内臓のホルマリン漬けとかあって不気味なんだよなぁ…」
「じゃあ外で寝れば?あ、私の家なら使って良いわよ。」
「おい!お前らなぁ…しかも家持ってんのかよ…」
「あばら家だけど住み心地は良いわよ。」
そうなればチサキはしょうがないと研究室で寝る事を選んだ。
この世は左右に傾けるレバーみたいな物だ…嫌過ぎない方に傾けるしかない。
改造人間5人姉妹のオレ達はそれぞれ眠りに就いた…
・・・
「じゃ、オレ達は行って来るから。」
「地上はよろしくな。トロイダが来ても手出しすんなよ?」
「はいはい。10秒だけなら待ってあげるわよ。」
早朝、ギサキ達は月に向けてぶっ飛んで行った…どうやら全員飛べるらしい。
さて…地上待機班の私はやる事も無いのでお茶でもしようかな…と思ったが…
そう言うワケにも行かないらしい。
『地上人、基地への攻撃を計画しているならば即刻中止せよ。』
「おっと遅かった様ね。突撃班ならもう行ったわよ。」
『なにぃ!?』
茂みから出て来たのは宇宙服にしては薄い服を着た奇妙な奴であった。
話から察するにコイツは月からの刺客だろう…だがちょっと遅かったな。
今はイサキも寝ている事だし、私1人で何とかしようじゃないか。
月の田舎者に地上の力を見せてやる。
「ボーっとしてちゃ…やられるだけよ!!」
『はっぐぅあ!!や、野蛮人め…白倭仁!来いッ!』
「ワニ?…ッ!」
【警戒を解除、戦闘に移行します。】
奥の茂みから出て来たのは雪迷彩服を着てツルツルの白いヘルメットを着けたデカい奴だ…身長が大きすぎる、余裕で2メートル以上だ!
月の生物兵器か何かか…?
宇宙服の刺客はヘルメットのヒビをテープで塞ぐと、奥に座り込んだ。
『コイツをぶっ殺せ!』
【指令を探知、標的…地上人の排除を開始。】
「いきなりッ…!これは!?」
奴は右腕を上げ、思いっきり振り下ろして来た!腕で防いだがその力は凄まじく!踝の辺りまで地面へ埋まる!!とんでもない馬鹿力だ!
だが…戦い方は素人のそれだ、このくらい容易い!
「うぉおおおお!!そいやァッ!!」
【がぶごッ!】
奴の腕を掴んで持ち上げると、反対側の地面へ力任せに叩き付ける!!
どうだ…地面にヒビが入るぐらいだからかなりのダメージが通ったハズだ!
「な!?た、立ち上がった!?」
【ブゥーンッ!!】
「あがッ!?ガアァァアアッ!!」
地面に叩き付けられた奴は何事も無かったかのように立ち上がると私をアッパーで殴り上げた!!打たれた場所が悪かったので、一瞬気が朦朧としたが…
直ぐに意識を取り戻して体制を立て直そうとしたが、その時にはもう奴の拳へ背中から強打した時だ!!
「おがッ!!?」
【ブンガ!ブンガ!!】
「がぁああッ!んがッはッ!!ごっはぁ!!」
強すぎる衝撃を背中へ受けた自分は奴の前へ仰向けに倒れ込むと、何度も顔を強く踏んづけられる!一発一発靴底をぶち込まれる度に後頭部に衝撃が走り、埋まって行く!!
クソ…こんな奴に好き勝手やられるなんて屈辱だ!本調子を取り戻さないと…
【ダリャアアアアアッ!!】
「!?何処掴んで!?ンガガァアア!?」
【アルァッ!!】
「がふ…」
奴は私の髪を掴むと埋まった頭部を無理やり引っこ抜き、そのまま顔面を地面へ押し付けるとすりおろし器で大根をおろすようにガリガリと擦り付ける!!
そして一通り、擦り付けるとトドメと言わんばかりに後頭部へ蹴りを入れた…
この私が…良いようにされているだと!最強の名が廃るじゃないか!
そんな事はあってはならない!
【対象のバイタルを確認…計測不可。】
『多分死んだだろう。おい、次はそこのボロ家の中に…!?後ろだッ!!』
「ハアッ!!」
【ぐがごッ!?ガガガガ…】
シロワニが後ろを振り向いた隙に音を立てずに素早く起き上がると、奴の脳天目掛けて力の限り!!拳を振り下ろした!!
バッギィィッ!!と音を立て、ヘルメットにヒビが入る…
拳が痛いよ!チクショウ!!
【ビビビ!!ガガガガッ!!ゴガガガ!!ギャギャギャ!!】
『白倭仁!命令を聞け!再起動だ!白倭仁ィ!!』
【グゥーン………】
「機械って…叩けば直るけど、壊れる事も…あるのね。」
『ひぇぇ…白倭仁が壊されるなんて…』
シロワニは「ガガガ…」や「ピーヒョロロ~」と言った音を立て、そのまま後ろへバタンッ!と倒れてしまった…月の機械なんてたかが知れているわね。
こうなりゃ残ったのはアイツ1人…楽には死なせん、色々と吐いてもらう。
『ま、待って!お願いします!殺さないで!命だけはッ!!』
「哀れね。月に住み着くような奴が私の様な地球の人間に慈悲を乞うなんて。」
『う…うぅぅうう…お願いします…命だけは許してください…』
「知ってる情報、全てを話しなさい。」
そう言うと相手はベラベラと大事そうな事を話し出した。
涙声でボロボロだったし、途中から変な訛りも出ていたのでよく分からなかった…ただ1つ分かる事…コイツ等は地球の生物では無く、完全なる地球外生命体と言う事だ。
マジコの他に宇宙人に出会うとは…世の中、変な出会いもあるものね。
『お願いします!!許してください!もう来ませんから!!』
「しょうがないわね…許してあげるわ。」
『は、はは……ははは…』
「その代わり死ね。許すけど死んでもらうわよ。」
『は?』
すぐさま奴のヘルメット目掛けて蹴りをぶち込むと、ヘルメットの一部はバキッ!と割れて中からビュシューと何かが漏れ出した…
『うわあああぁぁああ!!嫌だぁああ!!死にたくない!!うわああ!!』
「私の元へ派遣されたのを恨むことね。」
『ああああああ!!がはぁぁああ!!ごっは!!げっほぉ!!』
奴は死にたくないとヘルメットの割れた部分を必死に手で押さえたが、その行動は却って穴を大きくするのだった…しばらく漏れ出した空気はピタリと止み…
息が出来ないのか、奴は血を噴き出しながらもがき始めた…そして…死んだ…死因は吐血による窒息死だろうか?それにしても…月の奴等は地上の空気を吸うと血を噴き出しながら死ぬのね。
良い事を聞いたわ。
「さて…もう行こうかしら……ッ!?居ない!?」
もう教会に戻ろうと思ったその時、あのデカブツが居なくなっていることに気が付いた!奴め…何処に隠れて…
【アッキャァ!!】
「うんがッ!」
シロワニは私の後ろへ回りへ回り込んでおり、裏拳で私を墓場まで殴り飛ばす!!
私は墓石をボゴォ!!と破壊しながら飛んで行く!そして十字架も折りながら着地すると、前を向いたが…
【コォロロロ!!!】
「き、来た…!どうする…殴るか!!」
奥からシロワニが走って来ているのが見えた…奴のヘルメットは割れ、ガイコツみたいな顔が右半分見えている…こ、怖い!?クッソゥ…アイツめ…
だが来るなら殴るのみ!
「(引き付けて…引き付けて……今だッ!!)ダァッ!!」
【ウンガラァァ!!どごぼぉッ!!】
「うぉぉおおおおおお!!」
ギリギリまで引き付けて奴に向かって右の拳を振るった!!すると奴も同じように右腕でパンチをぶちかます!!
両者の拳の強い押し合い!!ビキビキと音を立て、凄まじい衝撃が走る!!
「うぐぅッ……ダァァァアアアア!!!」
【んごげがッ!?】
押し合いの結果、勝ったのは私だ!シロワニの拳はバッギョォ!!と砕け散り、私のパンチはそのまま空を切り、誰かの墓もついでに粉々に砕いた。
右手首が無くなった奴は怯んだと思ったが、全く全然怯んでおらず、変な方向に足を曲げて私の腹部を蹴り込む!!
「ぐぅええ!!」
【アンギャロ!ウンギャロ!!オンゴッコ!!!】
「がはッ!?」
ゲロを抑えて蹲る私の右腕を掴んで奴は容赦なく振り回すと!!近くの墓石や十字架へ叩き付ける!!そして地面へ思いっきり私を投げ落とす!!
奴は追い打ちでうつ伏せの私の背中へストンピングをかました!
「うがぁああッ!?ごほッ!!かは…はぁ…はぁ…」
【ガビャ…ガビャ……ンギョォォオ!!】
「(来る!!)うあああ!!はぁ…はぁ…か、躱せた…」
【ンギギギ!!】
奴の攻撃の気配を感じ取ると必死に左へ回避した…なんとか躱せたが…少しだけヤバいかも…体力の限界をほんのちょっぴりだけだが感じ始めている。
私も弱くなったものだ………!!なんだ…奴の鼻と口に…チューブが繋がっているぞ…そうか!!奴もあの野郎と同じで地球では息が出来ないのか!
そうと分かれば…勝利までの道のりが見えて来たぞ!!
「うああぁぁぁああ!!コンチキショウ!!」
【ガッガンガ!?ゴロロロロ!!】
「喰らうかッ!!ヤァァ!!」
【ッ!?】
無理やり立ち上がると、奴の真ん前まで行き、顔をぶん殴るついでに!!口と鼻に突っ込まれていたチューブをブチブチィ!!と引き千切ってやった!!
【ガハァンッ!?ハガガガッホッホッホォォォオォ!?】
「はぁ…はぁ…やってやったわよ…どんなもんよ…」
【ゴッファ!!ガハァァア……ガフッ…ゴホ………ンガッハ………】
はぁ…やっとくたばったか…敵ながらアッパレと言うべきか…とんでもない奴だったわ…月にはこんな奴がうじゃうじゃ居るのかしら…
だとしたらギサキ達もヤバいわね…けど、アイツ等なら平気かな。
「副司令官殿、騒音がしたのでやって来たのですが…」
「もう済んだわよ。」
「そうですか。」
今更、イサキが火炎放射器を持ってやって来た。
ふと思ったのだが…シロワニに火炎放射は効くのだろうか?ちょっと気になった私はイサキへ「あのボロゴミを焼却して」と頼んでみた。
「良いですよ。ちょっと離れててください。」
「おぉう…かなりの火力ね。」
イサキの持つ軍用火炎放射器からは黒い煙を発する炎がボウボウと墓ごとシロワニを燃やした…奴の死体からバチバチと火花が飛び散る。
生物と機械が融合した感じ…もしかしたら私達と似てるかも?
それはさておき、もう良いやと燃える奴を放っておいて2人で朝ごはんでも食べようかと思ったが…
【ンガオオオオオ!!】
「ひぇ!?何ですかコイツは!?」
「イサキ!!危ない!」
なんとしぶとい奴だろうか…シロワニはまだ生きており、イサキへ襲い掛かる!
これはヤバイと私も咄嗟に動いたが…間に合わない!!
【アギャゴォオオ!!】
「うるせぇ!!この生ゴミがッ!!」
【あだばァッ!?】
「け、蹴り壊した!」
イサキはシロワニの頭を蹴り飛ばし、完全なるトドメを刺した。
どうやらコイツは結構強いらしい…そりゃ…私の妹なんだし当たり前だ。
とにかく…何事も無くて良かった…イサキは蹴り飛ばされ、地面へ落ちた頭部を踏み壊すと「さ、行きましょうか」と言う…ちょっと逞しいかも。
「そうね…お腹が減ったわ。」
「司令官殿と赤い旧式殿は朝食を摂っていないようですが…大丈夫でしょうか?」
「知らないけど…まぁ平気よ、アイツ等なら。」
「そうですね。」
つづく
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