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終章 ギサキ
第39話 ロボゴイルが雪上廃墟の空を舞う
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オレの名はギサキ、割と強めな改造人間。
現在、自分は教会にて食事を摂っている…オレは物を食べる事で体内にエネルギーを蓄え、光線兵器での攻撃が可能になる。
これはミサキのエナジータンクと同じである。
しかし後継機の自分は貯蓄できる量と効率が極めて高い、それに日光と酸素を取り込むことで、活動に必要な最低限のエネルギーを賄うことが出来る…これはミサキとチサキも同じ。
なので食事は戦闘以外では役に立たず、ただの娯楽に過ぎない。
だが断然、味が良い物でないと空気には慣れない…大変だなぁ、知性って。
「ふぅ…ごちそうさまでした…それでは自分は早速次の所へ向かいます。」
「分かったわ。コレを持って行きなさい。」
シスターから渡されたのはお手製の…携帯高熱量食品だ…簡単に言えばお菓子。
とにかく激しい戦闘にはカロリーが必要なのでこれは即戦力として頼りになる。
味も一番好きな物にしてもらっている…『ベルギーワッフル味』は格別だ。
受け取った物をローブの懐へ仕舞うと、直ぐに次の目的地を目指してぶっ飛んで行った!
次の目的地は右足の「アウサグス」という悪魔だ…エンジャラスバレーに居るらしい。
・・・
「此処がエンジャラスバレーか…なんとも寂れた…いや、ボロボロな廃墟だ。」
着いた場所はエンジャラスバレーと言う廃墟の街…前は知らなかったが、此処は廃墟だったのか…なにせ行く機会も調べる事も無かった。
さて、こんなゴーストタウンにアウサグスという奴が居るはずだが…?
【よう兄ちゃん、アンタも飛行練習かい?】
「(悪魔…コイツか?)いや、オレは人探しをしている。」
【こんな所で人探しなんて妙だねぇ、この前の女の子も変だったし。】
女の子…ミサキの事か?しかし、今はそんな事、どうでも良い。
オレはこのガーゴイルに「アウスグスを知っているか?」と尋ねてみた。
【アウスグスか…ここら辺では有名な迷惑煽り飛行者だな。】
「有名なのか?奴がどんなのか教えてくれ。」
【良いぞ。奴は確か月明兎会の構成員だったな。】
「ヤクザ…か、月明兎会と言えば有名な所だな…」
月明兎会は亡国で有名なマフィア組織だ…ロムズタウンと言う街のセガッタンファミリーという奴等もその支配下だと聞いている。
かなり有名な組織だが、その本拠地は不明、幹部も不明だ。
まぁそんな所に属せる奴なので誰も歯向かわないのが分かる…
「ソイツが何処に居るか分からないか?」
【いンや…分かんねぇな…ヤクザを追いかけるほど俺は強くない。】
「そうか、情報提供すまない。オレはもう少し周辺を探すよ。」
【穏やかそうな話じゃねぇな…俺は…もうこっから去るわ。】
「それが良い。」
通りすがりの悪魔が飛び去って行くのを見届けると、自分はエンジャラスバレーをゆっくり散策することにした。
この街はなんとも…不気味だ…そりゃ廃墟は不気味に決まっている、だけど…此処は亡霊と言うか…何と言うか…凄く不気味な視線や気配を感じる。
居るのなら居てほしい、居ないのなら居ないでほしい…
「あと10秒…10秒待って何も無かったら違う場所を探そう…10…」
【おっとそこの奴!!】
困った時はこの手に限る…高確率で何か起こるのでこの国には飽きない。
自分の前へ姿を現したのは機械を身体中にめり込ませたようなデザインの…低級ガーゴイル…なんだ、月明兎会に属しているからどんな大物が出て来るかと思ったのだが…意外とザコそう。
とんだ笑い話だな!こんなザコくらい!直ぐにやっつけ…いや、コイツが標的では無い可能性もあるな…
【こんなトコで何してんだァ?此処ぁ俺の縄張りなんだよ。命置いて出てけや。】
「おいおい、そんなに興奮しないでよ。アンタがアウサグスだろ?」
【如何にも俺がそうだ…ったく、こっちは変な女に池へ突き落とされた挙句、全身を喰われてこんなザマなんだよ!むかっ腹立ってっから…ぶっ殺したる!!】
「そりゃどうも、こちらもそのつもりだ。」
どうやらこのガーゴイルがアウサグスで間違いないらしい。
先にこちらが仕掛けようとしたが、奴はドヒュゥゥン!!とジェットで上空へ飛んで行きやがった、こちらも負けじと飛び、向かう…
【お前…さてはこの前の女の知り合いだな?責任取ってもらうからな!!】
「(姉ちゃん…コイツに何したんだよ…)うっせぇ!関係無いだろ!死ね!」
先ほど溜めたエネルギーを奴向けて指から発射したが…クソ!飛んでいる上に速いから中々当たらねぇ!!
これだから空中戦は嫌いなんだ!しょうがない…かくなる上は…アレを使うか?
しかし…あの技は体力を多く消耗してしまう…使い時を見極めなければ…
【ハチの巣にしてやるぁ!!】
「み、右腕がマシンガンだと!?」
【ぶっ散れ!!】
奴の右腕からは銃口が飛び出し!夥しい量の銃弾を乱射して来る!!
あんな物…一発一発なら躱すのは容易い…しかし!あの量はマズい!裂け切れない!
オレはミサキほど硬く作られていない…銃弾が当たれば…
「ッギャ!?」
【右足に当たった!!捉えたぞッ!!死ねぇ!!】
「チクショウ!仕方ねぇ!!先手必勝!パラサイトレーザー!!」
【ふん!そんな光線…躱し…!?】
右足へ銃弾がめり込んだが!直ぐに右手からレーザーを射出させて反撃した!
撃ち出したのはパラサイトレーザーだ!捉えた標的をどこまでも追尾する光線!自分の体力が残っている限りはずっと追尾してくれるので早く死ね!
マズいぞ…これは長引くと非常にマズい!
「当たれぇ!!」
【ッチ!しつけぇレーザーだ!!本体をやるしかねぇ!!】
「来るか…来い!!」
奴はしばらく空中を飛び回って躱していたが、次第に距離が縮まると焦ったのか、本体のこちら側を攻撃しにやって来た…突っ込んで来ている!
そうか!奴は銃を使うと飛行速度が落ちるから撃てないのか…だが…
クッソ!体力がドンドン消耗される!しかし!素手なら体力消耗無し!ぶっ飛ばしてやる!
【掛かったな!馬鹿め!!】
「な!?レ、レーザーが…!」
【よっしゃァ!!自分の光線で焼け死ね!!】
「フッ…そんなモノ…想定済みだ!!」
【!?】
アウサグスはオレの間合いギリギリで上へ飛ぶと光線をこちらへなすりつける!
だが…効かん!光線は飽くまでも自分以外の物を焼き斬るための兵器!自分にとってはただの光に過ぎない!
瞬間的に奴の上へ回り込むと、蹴り落とす!!どうせ光線がオレに当たっても透けるだけだ!自分の技でやられる様な奴は強者とは言えない!
【うぐぁあ!!お、おのれぇッ!…!?しまった!?レーザーが!!】
「貫かれろ!アウサグス!!」
【ぐぉおおおおおおッ!?…が、ガハァ!!?】
パラサイトレーザーは地面に落ちた奴の右腕を破壊した後、反り返って胸部もオマケに貫いた!!
はぁ…体力をかなり消耗してしまったが…アウサグス撃破成功…か?
「よし、早く帰って修理してもらおう…」
自分はミサキとは違う…もちろんチサキとも違う。
なので自己再生機能や防弾機能は備わって無い…自分は万能攻撃型…奇襲や突撃、特攻などが得意だ…もちろん光線もね。
「……!?コ、コイツ…さっき動いた気が…」
【……………】
「き、気のせいか…流石に死んだはずだ。」
もうこんな屑鉄肉は放っておいて行こう……としたその時!!
「…ッ!グハァッ!!な、なにが…」
【敵に背を向けるとは素人め…】
背中から強い衝撃を受けた…こ、これは…背中に何かを刺しやがったな…
一定の数値以上の痛みを受けると痛覚が遮断される仕組みだ…きっと刃物か何かを隠し持っていて、刺したのだろう…おのれ!
【このまま…内臓を抉り出してやる!!】
「はぁ…はぁ…くっ!!ハァァァ……」
【何をする気だ!!この…】
「ウラァァァアアアアアアアアッッ!!」
【!!??】
振り返る事も無く!全身にエネルギーを溜めると一気に全てを周辺に衝撃波として爆発させる!!この技は残っているエネルギー全てを使用するのでいざと言う時以外は使わない…
まさかこんな所で使う事になるとは…ちくしょう…パラサイトレーザーで消耗し過ぎた…威力が低い。
あの野郎、絶対にまだ息をしている…トドメを刺す前に貰ったアレを食べなくては…
「て、てが…震えやがる…体力を使い過ぎたんだ…」
【ごほ…や、野郎…】
シスターから貰った食料を震える手つきで仮面を外し、食べると…あまり噛まずに飲み込んだ…この際、味なんてどうでも良い………ふぅ…
落ち着いて当たりを見回すと…もう村は殆ど無くなっていた。
ちょっと派手にやり過ぎたか…いや、奴は生きている…そこまででは無い…
【ぶっ殺してやる!!】
「まだ言うか!!」
【ぐぉッ!?】
まだ原型を留めている奴の下半身へ光線を放ち、消し飛ばした。
それでもアウサグスは息をしており、トドメを刺そうとしたが…
「ッ!?飛んで行きやがった!!」
【じゃあな!!また身体を作り直してぶっ殺しに来てやる!!】
「させるかッ!消えて無くなってしまえッ!!」
奴は最後の力を振り絞ってジェットを使い、素早く飛んで行った!!
帰すか!!こちらもレーザーを高圧力で溜めると球状にして奴へ放り投げた!!
弾丸よりも速いオレの剛速球から逃げられると思うなよ!!
【だ、駄目だ…追いつかれる!!】
「クソッタレェ!!」
【うわぁぁぁあああああッ!!?ぐ、ぐぅあああああッ!!??】
「有言実行って…最高だ…」
球は奴へ追いつき、空中で凄まじい爆発が起こると…アウサグスは跡形も無く散って消えた…有言実行は気持ちが良い…さて、もう帰ろう…
全身がバキバキに痛む、足に銃弾、背中に刺し傷…もうボロボロだ。
・・・
「シスター…今、戻りました…」
「ご苦労…随分とボロボロで戻って来たわね。」
「治療してください…もうボロボロで…」
「もちろんよ。」
教会へ戻って来ると、シスターのラボで治療を受けることにした。
ミサキが入れなかったこの部屋では現在「ジャーマンロイド5C3イサキ」と「ジャーマンロイド6C4リサキ」が培養されている…どうしてサキと付けるのだろうか…
人間ベースのオレ、ミサキ、チサキと違い、この2人は身体から作っている。
2人目の父とシスターの遺伝子を掛け合わせて作っているので正確に言えば…妹だ…
「(この子は生まれるのだろうか…戦ってほしくないなぁ…)」
イサキ(魚では無い)は都市破壊用で特殊能力としてナパーム弾を使用する。
リサキは潜入捜査用だ、能力はハッキングとインターネットへのアクサス。
あと…このシスターも「ジャーマンロイド4O2アマコ」だ…元の身体の全記憶を持っている…一応身体はシスターの妹がベースになっている。
腎不全で死んだのだから勿体ないと再利用したらしい。
(家族はオレを含めて本家から絶縁されたけど)
「どう?痛くない?」
「はい…まだ痛覚は戻っていません。」
「それは良かった。普通なら痛くてたまらないわよ。」
「そうですね。」
時々思う…もしあのまま…1人目の父が死なず、みんなで日本に居て…友達が出来て…そのまま平和に暮らしていたら…と。
だけど…あのままでも家族は崩壊していただろう。
オレの存在のせいで…
「ギサキ、何か良くないことを考えてる?頭脳線が乱れてるわよ。」
「いえ…ちょっと…土星の事を考えていたら怖くなってしまって…」
「無理も無いわね。………さて、お終いよ。今、痛覚を戻すわ。」
「お願いします。」
しばらくして、自分の腕を抓ると…うん、痛い…ちゃんと痛い。
シスターに礼を言って部屋を出ると…ミサキの元へ向かった…まだ寝ているだろう。
牢屋は頑丈な物だが…もし彼女が目を覚ませばそんなモノただの壁に過ぎない。
「(ミサキ…何処から狂ってしまったんだろうか…)」
ミサキはシスターに改造された…母親であるシスターにだ…それは狂気と言えるかもしれない…しかし、元はミサキが自分で改造してくれと頼んだのだ。
・・・
時は今から…何年前だろうか…オレとミサキ、チサキは父と母と一緒に暮らしていた。
そりゃ当たり前だ、だって家族なんだから…オレ以外。
一番上の姉チサキ…本名は血早紀、真ん中の姉ミサキ…美咲、そして一番下の妹…
オレの本名は…アンリ…
「お母さん、なんで私だけカタカナなの?」
「気にしなくて良いわ。」
幼少期は何となくカッコいいと思っていた…だが小学生となると…その理由は何となくだが分かって来た…オレは浮気で出来た子だった。
だが…1人目の父はオレに優しくしてくれた、平等に接してくれた…だけど…
ある日、何の前触れもなく…死んだ…自殺だった…自宅を首を…
あの時の光景は忘れもしない、母は研究所で夜勤、ミサキとチサキは中学。
真っ先に家へ戻ったオレが見てしまった…父の遺体を。
「………」
不思議と何も思わなかった…いや、絶望はしていたが何かを考える余裕も無かったのだろう…日が暮れ、2人が返ってくるまで…一歩も動かずその死体を見ていた。
「アンリ…?なんかあったの?そんなに部屋…を…み………」
「おいどうかしたか?てか父ちゃんは?またタバコでも買いに…」
2人もオレと一緒に死体を見ていた…2分ほどした時…ミサキが先に叫びを上げて、その次にチサキ…自分は怖くなって家を飛び出した。
だけどお腹が空いたの気が付き…4分で帰った…
「ミサキ!母ちゃんに電話して!私は救急車…し、死んでるのに?警察?」
「あぁ…あ、あぁぁああ…あああ…お、お母さん…お父さんが…」
『どうかしたの?もしかしてお父さんの料理が不味いの?』
「違…あが…死んでる……あぁああ…お父さん…死んでるから…お葬式…」
『は?』
程なくして警察と救急車、ついでに野次馬が来たのを覚えている。
救急隊員は父の死体を見るなり「ご臨終です」と言った。
その後は色々あり、私達家族は近所の目も有ってか…母の故郷であるドイツへと移住した…そしてそこには2人目の父…そう私の本当の父親が居たのだ。
彼はドイツ軍人として働いており、収入も良かったので気兼ねなく私達を家に招いた…だがしかし、歓迎されたのは母と私だけだった様だ。
「お母さん…私、今日学校で殴られた…」
「仕方ないわよ…日本人なんだから…嫌だったらやり返しなさい。」
「そんな…」
チサキは仕事を始め、私とミサキはドイツの学校に通った…だが元々ドイツ顔の私と日本人ハーフ顔のミサキでは扱いは違う…この頃ドイツでは戦争の一件もあり、6か国の人間への差別が激しかったのだ。
ミサキとチサキはドンドン…性格を暗くしていった…
そして母親は元ナチスの科学者として再度研究を始め、そこで最強兵士計画を考案した。
過去に作られた病気に対する最強の抗体、生命探知機能、自力飛行、最強の力を持つ兵士の改造…この計画は危険なものとして長らく封印されていた。
しかし!シスターは自身の科学力を信じ!実行に移した!!だが!
…実験台が無い…ラットや猿ではダメなのだ…人間でないと…
「お、お母さん…」
「なにか用?私今…凄く忙しいの。」
「その…お母さんがやってる研究…強くなれるの?」
「ええなれるわよ。……まさか…」
「私を改造して、最強の人間にして…もう誰にも負けたくない!負け犬なんて嫌だ!!」
そうしてミサキは改造された…最強の「ジャーマンロイド1O1ミサキ」として。
結果は大成功…これ以上に無い兵士が出来上がった…1つだけ欠点は有ったが…
それは記憶の欠如…ミサキは改造されたその瞬間に全ての記憶を失い、美咲からミサキへと変わったのだ…永遠に成長しない兵器の女の子として。
「ミサキ…凄いわ…教授でも解けなさそうな問題をスラスラと…」
「命令のままに。」
「ちょっと語彙力が少ないのが欠点ね…前の可愛げも無くなっちゃったし…」
「スケジュールを確認、休憩に入ります。」
シスターはミサキに付きっ切りとなった…オレやチサキの事も放っておいて…
次第に沸々と…何かの感情が湧いてきたのを感じた…それは怒りでは無い…嫉妬だ…今まで楽しく話してくれたシスターはもう居ない、それはミサキのせいだと…
「ミサキ、楽しい?好きでも無い事を毎日やって。」
「アンリ様、休憩の邪魔です。雑談をしたいのなら…」
「うるさい!黙れ!お前が最強になんかならなかったら…私は…」
ある時、凄く簡単な事を思い付いた…自分も改造されれば良い。
「私も改造してよ…最強にしてよ…」
「あぁ…無理よ。ミサキは自分でもよく分からないくらいに良く出来過ぎているの、もう作れないわよあんな傑作…」
「だったら…最強じゃなくてもいい…改造して…うんと強く…」
「……そうね、最近…新しい研究を始めたのよ。」
それはエネルギーを体内で作り出すと言うものだ…これは試験的にミサキに取り付けられたが、あまり成果は芳しくなかった…ミサキは自分のエネルギー残量を把握できないのだ。
それでその改良版を私に積んでも良いのならと言った…もちろん…
「やって…強くなれるのなら…銃でもジェットでも何でも付けて…」
「良い返事ね。貴女は…ジャーマンロイド2号で…ミサキのコピーの1機目ね。今日から貴女はアンリでは無く、偽の美咲…そう、偽咲で良いわね。」
「ギ、ギサキ…」
・・・
「それがオレの名前の由来…ミサキ、オレはお前の模造品だ。」
寝ているミサキにそう伝えると…自分はこの場を去った…もう過去などどうでも良い。
今のシスターにとっての一番はオレだ、ミサキでもチサキでもイサキでもリサキでも無い…だけど…仲良くしたいなぁ…みんなで…一緒に…
しかし、そんな事を考えてもチサキを始末した自分に…その資格は無いだろう。
つづく
現在、自分は教会にて食事を摂っている…オレは物を食べる事で体内にエネルギーを蓄え、光線兵器での攻撃が可能になる。
これはミサキのエナジータンクと同じである。
しかし後継機の自分は貯蓄できる量と効率が極めて高い、それに日光と酸素を取り込むことで、活動に必要な最低限のエネルギーを賄うことが出来る…これはミサキとチサキも同じ。
なので食事は戦闘以外では役に立たず、ただの娯楽に過ぎない。
だが断然、味が良い物でないと空気には慣れない…大変だなぁ、知性って。
「ふぅ…ごちそうさまでした…それでは自分は早速次の所へ向かいます。」
「分かったわ。コレを持って行きなさい。」
シスターから渡されたのはお手製の…携帯高熱量食品だ…簡単に言えばお菓子。
とにかく激しい戦闘にはカロリーが必要なのでこれは即戦力として頼りになる。
味も一番好きな物にしてもらっている…『ベルギーワッフル味』は格別だ。
受け取った物をローブの懐へ仕舞うと、直ぐに次の目的地を目指してぶっ飛んで行った!
次の目的地は右足の「アウサグス」という悪魔だ…エンジャラスバレーに居るらしい。
・・・
「此処がエンジャラスバレーか…なんとも寂れた…いや、ボロボロな廃墟だ。」
着いた場所はエンジャラスバレーと言う廃墟の街…前は知らなかったが、此処は廃墟だったのか…なにせ行く機会も調べる事も無かった。
さて、こんなゴーストタウンにアウサグスという奴が居るはずだが…?
【よう兄ちゃん、アンタも飛行練習かい?】
「(悪魔…コイツか?)いや、オレは人探しをしている。」
【こんな所で人探しなんて妙だねぇ、この前の女の子も変だったし。】
女の子…ミサキの事か?しかし、今はそんな事、どうでも良い。
オレはこのガーゴイルに「アウスグスを知っているか?」と尋ねてみた。
【アウスグスか…ここら辺では有名な迷惑煽り飛行者だな。】
「有名なのか?奴がどんなのか教えてくれ。」
【良いぞ。奴は確か月明兎会の構成員だったな。】
「ヤクザ…か、月明兎会と言えば有名な所だな…」
月明兎会は亡国で有名なマフィア組織だ…ロムズタウンと言う街のセガッタンファミリーという奴等もその支配下だと聞いている。
かなり有名な組織だが、その本拠地は不明、幹部も不明だ。
まぁそんな所に属せる奴なので誰も歯向かわないのが分かる…
「ソイツが何処に居るか分からないか?」
【いンや…分かんねぇな…ヤクザを追いかけるほど俺は強くない。】
「そうか、情報提供すまない。オレはもう少し周辺を探すよ。」
【穏やかそうな話じゃねぇな…俺は…もうこっから去るわ。】
「それが良い。」
通りすがりの悪魔が飛び去って行くのを見届けると、自分はエンジャラスバレーをゆっくり散策することにした。
この街はなんとも…不気味だ…そりゃ廃墟は不気味に決まっている、だけど…此処は亡霊と言うか…何と言うか…凄く不気味な視線や気配を感じる。
居るのなら居てほしい、居ないのなら居ないでほしい…
「あと10秒…10秒待って何も無かったら違う場所を探そう…10…」
【おっとそこの奴!!】
困った時はこの手に限る…高確率で何か起こるのでこの国には飽きない。
自分の前へ姿を現したのは機械を身体中にめり込ませたようなデザインの…低級ガーゴイル…なんだ、月明兎会に属しているからどんな大物が出て来るかと思ったのだが…意外とザコそう。
とんだ笑い話だな!こんなザコくらい!直ぐにやっつけ…いや、コイツが標的では無い可能性もあるな…
【こんなトコで何してんだァ?此処ぁ俺の縄張りなんだよ。命置いて出てけや。】
「おいおい、そんなに興奮しないでよ。アンタがアウサグスだろ?」
【如何にも俺がそうだ…ったく、こっちは変な女に池へ突き落とされた挙句、全身を喰われてこんなザマなんだよ!むかっ腹立ってっから…ぶっ殺したる!!】
「そりゃどうも、こちらもそのつもりだ。」
どうやらこのガーゴイルがアウサグスで間違いないらしい。
先にこちらが仕掛けようとしたが、奴はドヒュゥゥン!!とジェットで上空へ飛んで行きやがった、こちらも負けじと飛び、向かう…
【お前…さてはこの前の女の知り合いだな?責任取ってもらうからな!!】
「(姉ちゃん…コイツに何したんだよ…)うっせぇ!関係無いだろ!死ね!」
先ほど溜めたエネルギーを奴向けて指から発射したが…クソ!飛んでいる上に速いから中々当たらねぇ!!
これだから空中戦は嫌いなんだ!しょうがない…かくなる上は…アレを使うか?
しかし…あの技は体力を多く消耗してしまう…使い時を見極めなければ…
【ハチの巣にしてやるぁ!!】
「み、右腕がマシンガンだと!?」
【ぶっ散れ!!】
奴の右腕からは銃口が飛び出し!夥しい量の銃弾を乱射して来る!!
あんな物…一発一発なら躱すのは容易い…しかし!あの量はマズい!裂け切れない!
オレはミサキほど硬く作られていない…銃弾が当たれば…
「ッギャ!?」
【右足に当たった!!捉えたぞッ!!死ねぇ!!】
「チクショウ!仕方ねぇ!!先手必勝!パラサイトレーザー!!」
【ふん!そんな光線…躱し…!?】
右足へ銃弾がめり込んだが!直ぐに右手からレーザーを射出させて反撃した!
撃ち出したのはパラサイトレーザーだ!捉えた標的をどこまでも追尾する光線!自分の体力が残っている限りはずっと追尾してくれるので早く死ね!
マズいぞ…これは長引くと非常にマズい!
「当たれぇ!!」
【ッチ!しつけぇレーザーだ!!本体をやるしかねぇ!!】
「来るか…来い!!」
奴はしばらく空中を飛び回って躱していたが、次第に距離が縮まると焦ったのか、本体のこちら側を攻撃しにやって来た…突っ込んで来ている!
そうか!奴は銃を使うと飛行速度が落ちるから撃てないのか…だが…
クッソ!体力がドンドン消耗される!しかし!素手なら体力消耗無し!ぶっ飛ばしてやる!
【掛かったな!馬鹿め!!】
「な!?レ、レーザーが…!」
【よっしゃァ!!自分の光線で焼け死ね!!】
「フッ…そんなモノ…想定済みだ!!」
【!?】
アウサグスはオレの間合いギリギリで上へ飛ぶと光線をこちらへなすりつける!
だが…効かん!光線は飽くまでも自分以外の物を焼き斬るための兵器!自分にとってはただの光に過ぎない!
瞬間的に奴の上へ回り込むと、蹴り落とす!!どうせ光線がオレに当たっても透けるだけだ!自分の技でやられる様な奴は強者とは言えない!
【うぐぁあ!!お、おのれぇッ!…!?しまった!?レーザーが!!】
「貫かれろ!アウサグス!!」
【ぐぉおおおおおおッ!?…が、ガハァ!!?】
パラサイトレーザーは地面に落ちた奴の右腕を破壊した後、反り返って胸部もオマケに貫いた!!
はぁ…体力をかなり消耗してしまったが…アウサグス撃破成功…か?
「よし、早く帰って修理してもらおう…」
自分はミサキとは違う…もちろんチサキとも違う。
なので自己再生機能や防弾機能は備わって無い…自分は万能攻撃型…奇襲や突撃、特攻などが得意だ…もちろん光線もね。
「……!?コ、コイツ…さっき動いた気が…」
【……………】
「き、気のせいか…流石に死んだはずだ。」
もうこんな屑鉄肉は放っておいて行こう……としたその時!!
「…ッ!グハァッ!!な、なにが…」
【敵に背を向けるとは素人め…】
背中から強い衝撃を受けた…こ、これは…背中に何かを刺しやがったな…
一定の数値以上の痛みを受けると痛覚が遮断される仕組みだ…きっと刃物か何かを隠し持っていて、刺したのだろう…おのれ!
【このまま…内臓を抉り出してやる!!】
「はぁ…はぁ…くっ!!ハァァァ……」
【何をする気だ!!この…】
「ウラァァァアアアアアアアアッッ!!」
【!!??】
振り返る事も無く!全身にエネルギーを溜めると一気に全てを周辺に衝撃波として爆発させる!!この技は残っているエネルギー全てを使用するのでいざと言う時以外は使わない…
まさかこんな所で使う事になるとは…ちくしょう…パラサイトレーザーで消耗し過ぎた…威力が低い。
あの野郎、絶対にまだ息をしている…トドメを刺す前に貰ったアレを食べなくては…
「て、てが…震えやがる…体力を使い過ぎたんだ…」
【ごほ…や、野郎…】
シスターから貰った食料を震える手つきで仮面を外し、食べると…あまり噛まずに飲み込んだ…この際、味なんてどうでも良い………ふぅ…
落ち着いて当たりを見回すと…もう村は殆ど無くなっていた。
ちょっと派手にやり過ぎたか…いや、奴は生きている…そこまででは無い…
【ぶっ殺してやる!!】
「まだ言うか!!」
【ぐぉッ!?】
まだ原型を留めている奴の下半身へ光線を放ち、消し飛ばした。
それでもアウサグスは息をしており、トドメを刺そうとしたが…
「ッ!?飛んで行きやがった!!」
【じゃあな!!また身体を作り直してぶっ殺しに来てやる!!】
「させるかッ!消えて無くなってしまえッ!!」
奴は最後の力を振り絞ってジェットを使い、素早く飛んで行った!!
帰すか!!こちらもレーザーを高圧力で溜めると球状にして奴へ放り投げた!!
弾丸よりも速いオレの剛速球から逃げられると思うなよ!!
【だ、駄目だ…追いつかれる!!】
「クソッタレェ!!」
【うわぁぁぁあああああッ!!?ぐ、ぐぅあああああッ!!??】
「有言実行って…最高だ…」
球は奴へ追いつき、空中で凄まじい爆発が起こると…アウサグスは跡形も無く散って消えた…有言実行は気持ちが良い…さて、もう帰ろう…
全身がバキバキに痛む、足に銃弾、背中に刺し傷…もうボロボロだ。
・・・
「シスター…今、戻りました…」
「ご苦労…随分とボロボロで戻って来たわね。」
「治療してください…もうボロボロで…」
「もちろんよ。」
教会へ戻って来ると、シスターのラボで治療を受けることにした。
ミサキが入れなかったこの部屋では現在「ジャーマンロイド5C3イサキ」と「ジャーマンロイド6C4リサキ」が培養されている…どうしてサキと付けるのだろうか…
人間ベースのオレ、ミサキ、チサキと違い、この2人は身体から作っている。
2人目の父とシスターの遺伝子を掛け合わせて作っているので正確に言えば…妹だ…
「(この子は生まれるのだろうか…戦ってほしくないなぁ…)」
イサキ(魚では無い)は都市破壊用で特殊能力としてナパーム弾を使用する。
リサキは潜入捜査用だ、能力はハッキングとインターネットへのアクサス。
あと…このシスターも「ジャーマンロイド4O2アマコ」だ…元の身体の全記憶を持っている…一応身体はシスターの妹がベースになっている。
腎不全で死んだのだから勿体ないと再利用したらしい。
(家族はオレを含めて本家から絶縁されたけど)
「どう?痛くない?」
「はい…まだ痛覚は戻っていません。」
「それは良かった。普通なら痛くてたまらないわよ。」
「そうですね。」
時々思う…もしあのまま…1人目の父が死なず、みんなで日本に居て…友達が出来て…そのまま平和に暮らしていたら…と。
だけど…あのままでも家族は崩壊していただろう。
オレの存在のせいで…
「ギサキ、何か良くないことを考えてる?頭脳線が乱れてるわよ。」
「いえ…ちょっと…土星の事を考えていたら怖くなってしまって…」
「無理も無いわね。………さて、お終いよ。今、痛覚を戻すわ。」
「お願いします。」
しばらくして、自分の腕を抓ると…うん、痛い…ちゃんと痛い。
シスターに礼を言って部屋を出ると…ミサキの元へ向かった…まだ寝ているだろう。
牢屋は頑丈な物だが…もし彼女が目を覚ませばそんなモノただの壁に過ぎない。
「(ミサキ…何処から狂ってしまったんだろうか…)」
ミサキはシスターに改造された…母親であるシスターにだ…それは狂気と言えるかもしれない…しかし、元はミサキが自分で改造してくれと頼んだのだ。
・・・
時は今から…何年前だろうか…オレとミサキ、チサキは父と母と一緒に暮らしていた。
そりゃ当たり前だ、だって家族なんだから…オレ以外。
一番上の姉チサキ…本名は血早紀、真ん中の姉ミサキ…美咲、そして一番下の妹…
オレの本名は…アンリ…
「お母さん、なんで私だけカタカナなの?」
「気にしなくて良いわ。」
幼少期は何となくカッコいいと思っていた…だが小学生となると…その理由は何となくだが分かって来た…オレは浮気で出来た子だった。
だが…1人目の父はオレに優しくしてくれた、平等に接してくれた…だけど…
ある日、何の前触れもなく…死んだ…自殺だった…自宅を首を…
あの時の光景は忘れもしない、母は研究所で夜勤、ミサキとチサキは中学。
真っ先に家へ戻ったオレが見てしまった…父の遺体を。
「………」
不思議と何も思わなかった…いや、絶望はしていたが何かを考える余裕も無かったのだろう…日が暮れ、2人が返ってくるまで…一歩も動かずその死体を見ていた。
「アンリ…?なんかあったの?そんなに部屋…を…み………」
「おいどうかしたか?てか父ちゃんは?またタバコでも買いに…」
2人もオレと一緒に死体を見ていた…2分ほどした時…ミサキが先に叫びを上げて、その次にチサキ…自分は怖くなって家を飛び出した。
だけどお腹が空いたの気が付き…4分で帰った…
「ミサキ!母ちゃんに電話して!私は救急車…し、死んでるのに?警察?」
「あぁ…あ、あぁぁああ…あああ…お、お母さん…お父さんが…」
『どうかしたの?もしかしてお父さんの料理が不味いの?』
「違…あが…死んでる……あぁああ…お父さん…死んでるから…お葬式…」
『は?』
程なくして警察と救急車、ついでに野次馬が来たのを覚えている。
救急隊員は父の死体を見るなり「ご臨終です」と言った。
その後は色々あり、私達家族は近所の目も有ってか…母の故郷であるドイツへと移住した…そしてそこには2人目の父…そう私の本当の父親が居たのだ。
彼はドイツ軍人として働いており、収入も良かったので気兼ねなく私達を家に招いた…だがしかし、歓迎されたのは母と私だけだった様だ。
「お母さん…私、今日学校で殴られた…」
「仕方ないわよ…日本人なんだから…嫌だったらやり返しなさい。」
「そんな…」
チサキは仕事を始め、私とミサキはドイツの学校に通った…だが元々ドイツ顔の私と日本人ハーフ顔のミサキでは扱いは違う…この頃ドイツでは戦争の一件もあり、6か国の人間への差別が激しかったのだ。
ミサキとチサキはドンドン…性格を暗くしていった…
そして母親は元ナチスの科学者として再度研究を始め、そこで最強兵士計画を考案した。
過去に作られた病気に対する最強の抗体、生命探知機能、自力飛行、最強の力を持つ兵士の改造…この計画は危険なものとして長らく封印されていた。
しかし!シスターは自身の科学力を信じ!実行に移した!!だが!
…実験台が無い…ラットや猿ではダメなのだ…人間でないと…
「お、お母さん…」
「なにか用?私今…凄く忙しいの。」
「その…お母さんがやってる研究…強くなれるの?」
「ええなれるわよ。……まさか…」
「私を改造して、最強の人間にして…もう誰にも負けたくない!負け犬なんて嫌だ!!」
そうしてミサキは改造された…最強の「ジャーマンロイド1O1ミサキ」として。
結果は大成功…これ以上に無い兵士が出来上がった…1つだけ欠点は有ったが…
それは記憶の欠如…ミサキは改造されたその瞬間に全ての記憶を失い、美咲からミサキへと変わったのだ…永遠に成長しない兵器の女の子として。
「ミサキ…凄いわ…教授でも解けなさそうな問題をスラスラと…」
「命令のままに。」
「ちょっと語彙力が少ないのが欠点ね…前の可愛げも無くなっちゃったし…」
「スケジュールを確認、休憩に入ります。」
シスターはミサキに付きっ切りとなった…オレやチサキの事も放っておいて…
次第に沸々と…何かの感情が湧いてきたのを感じた…それは怒りでは無い…嫉妬だ…今まで楽しく話してくれたシスターはもう居ない、それはミサキのせいだと…
「ミサキ、楽しい?好きでも無い事を毎日やって。」
「アンリ様、休憩の邪魔です。雑談をしたいのなら…」
「うるさい!黙れ!お前が最強になんかならなかったら…私は…」
ある時、凄く簡単な事を思い付いた…自分も改造されれば良い。
「私も改造してよ…最強にしてよ…」
「あぁ…無理よ。ミサキは自分でもよく分からないくらいに良く出来過ぎているの、もう作れないわよあんな傑作…」
「だったら…最強じゃなくてもいい…改造して…うんと強く…」
「……そうね、最近…新しい研究を始めたのよ。」
それはエネルギーを体内で作り出すと言うものだ…これは試験的にミサキに取り付けられたが、あまり成果は芳しくなかった…ミサキは自分のエネルギー残量を把握できないのだ。
それでその改良版を私に積んでも良いのならと言った…もちろん…
「やって…強くなれるのなら…銃でもジェットでも何でも付けて…」
「良い返事ね。貴女は…ジャーマンロイド2号で…ミサキのコピーの1機目ね。今日から貴女はアンリでは無く、偽の美咲…そう、偽咲で良いわね。」
「ギ、ギサキ…」
・・・
「それがオレの名前の由来…ミサキ、オレはお前の模造品だ。」
寝ているミサキにそう伝えると…自分はこの場を去った…もう過去などどうでも良い。
今のシスターにとっての一番はオレだ、ミサキでもチサキでもイサキでもリサキでも無い…だけど…仲良くしたいなぁ…みんなで…一緒に…
しかし、そんな事を考えてもチサキを始末した自分に…その資格は無いだろう。
つづく
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