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第陸章 兎ヤ露ツ異の堕ショ李ウ都タ棲イ无は…人形篇
第ⅩⅩⅩⅣ話 トウ磨出之ミチ野離波トオ異(塔までの道のりは遠い)
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私の名はミサキ、ちょっとヤンチャな世界最強の女の子。
現在自分はトロイダの統率する世界、ケイオプレイスにて奴へ会いにケイオスタワーへ向かっている道中だ…
「捏造シャトル通り」を抜けた先に広がっていたのは竹林であった…こんな街のド真ん中に竹林が位置しているなんて本当によく分からない場所だ。
「此処はショウケイと呼ばれる場所です…狸と狐がいつも争ってます…」
「だとしたら素直に通れそうにも無いわね。」
「ですけど…此処を通らないとさらに遠い場所を通らないとダメです。」
「だったらしょうがないわね。さっさと進みましょう。」
この竹林、雰囲気は良い…暗い竹林と明るすぎない照明、騒音も不思議とない。
あのクソトロイダもこういう場所は作れるのね…意外と直ぐに通れそうかも。
【くたばれ!ギシフ!】
【死ぬのはお前だ!マカシギ!!】
「そう言うワケにも行かなさそうね。」
竹林の道を進んで行くと、なにやらボコスカと喧嘩する者が2人。
片方はロムズタウンで会った化け狸に似ている…もう1人はウーランと似た狐人間だ。
喧嘩に夢中なので2人でそーっと脇を通って行こうとしたが…
【おい!そこの奴!】
「ッチ…なによ?なんか用?」
「ウチ達はただ通りたいだけです…」
【此処はアタシ達の道だ!通りたければ許可が必要だよ!!】
2人は喧嘩を止めると、こちらへ殴りかかって来た…が、直ぐに殴り返す!!
コイツ等は特に強くない…一発殴るとシュン…と大人しくなった。
「私達は忙しいの。じゃあね。」
【あぁ!!待ってよぉ!!通りすがりの人!助けてよぉ!】
「はぁ?助けるってなにを?」
2匹を宥めると…まぁ時間は無いが、話は聞いてやる事に。
この2匹の名はメスタヌキの方がマカシギ、オスキツネの方がギシフと言うらしい。
そして、何を助けてほしいかだが…
【俺達よぉ…異母兄妹なんだけどよぉ…いい加減に上下を決める必要がある…】
【全く持ってその通り!言っておくけど姉弟だからね!】
「アンタ等のお家事情は知らないわよ。上下を決めたわけね?」
「ウチ達が決めれば良いんですか?」
【そう、俺達じゃなにせ互角なんでね。】
要は勝負をするからどちらが上かを決めてほしいという事だ。
この2匹は悔しくも殆ど実力が一緒…なので此処を通りたくば勝負を見届け、どっちが上かを決める必要がある…時間が無いが、面白そうなので引き受けた。
肝心の勝負は…もちろん狸と狐と来たら…カップ麺!では無く、化け勝負。
私が提案した「お互いの指の噛み千切り合い」は却下されてしまった。
「じゃあ早く、化けてみなさい。」
「ウチ達は公平に決めるので安心してください。」
【よっしゃ!俺からだ!】
【ちょっと待ちなさいよ!姉に順番を譲りなさいよ!】
【はぁ!?お前は妹だろ、俺が兄だ!】
また殴り合いを始めた家畜共を黙らせると、先に順番を決める事に。
ここは公平にじゃんけんで決めよう………よし、順番は決まった。
最初にギシフ、次にマカシギ、そして最後はチゥワナ…あれ?チゥワナ?
「アンタ何やってんのよ…」
「すみません…ジャンケンを見ると遊牧民の血が騒いで…B型ですけど。」
【泣いて笑っても俺が最初だ!行くぞ?】
「もう良いわ…早くやりなさい…」
ちゃんと順番決めの通り、トップバッターは化け狐のギシフ!
三本勝負の一本目を決めるのは彼なのかだろうか…さっさと変身しろ。
【ハァァアッ!!どうだ!俺様の完璧なる変化は!!】
「す、すごいです…これは紛うこと無き…完璧な…」
「ブラウン管テレビね。何と言うか…古くない?薄型テレビとかあるでしょ?」
【俺はこの姿が好きなんでね。薄型じゃ出せない重みとワクワク感があるぜ。】
【くっ…我が弟ながら見事な変化…】
ギシフはビデオデッキ付きのブラウン管テレビへと化けた…大きさも見た目もちゃんとブラウン管テレビだ…ただでさえ見た目は完璧なのに、なんと本人の意思で点けたり出来る!
触れば何とも言えないボワボワも味わえ、右上にはビデオ1と表示される…
これは点数が高い!
【ふふふ…どうだ、次はお前の番だぜ?】
【フン、別にコンくらい…何とも無いわよ!ハァッ!!】
ギシフは元の姿に戻ると、今度はマカシギの番だ…彼女が変身したのは…
【これぞ究極の物体!!超高級羽毛布団だ!!】
「ふかふかね。」「ですね。」
【はん!布団だと?笑わせるな!!捲るしか出来ねぇじゃねぇか!】
マカシギが化けたのは奇妙な柄の超高級羽毛布団(自称)である…ふかふかだ。
触ってみた感じはとにかくふかふか…もふもふ…触り心地は最高。
しかし、テレビの後となると…少しギミック感に欠ける。
【無駄なモノは必要無し!究極の機能美!さぁ旅人さん、寝てみて!】
「お邪魔するわ……うん、下が地面だから寝心地最悪!」
「畳ならまだしも、地面がそのままだと痛いのも無理ありませんね。」
【ふ、不覚…周りの事に気を配るのを忘れていた…】
【ハッハァ!まだまだだな…】
と言うワケで次はチゥワナ…本当にやるの?と何度も聞いたが「やる」と言って聞かない…もうこうなりゃ本人の好きなようにやらせよう。
彼女は腐っても道士、術等は使えるので変化くらいお手の物だろう。
マカシギも元に戻ったので…
「えーっと……こう!…で如何でしょう?」
「これは何?クッション?」
「座布団です。来客時に便利だと思います…もてなしながら話が出来るので。」
【……どうしよ、反応に困っちゃうなぁ…】
【流石の俺もこんな変な物に化ける奴は始めて見たぞ…】
私の脳内で行われた極めて正当な…それこそ今の世の中の様に正当な審議の結果…
一回戦目の勝者はギシフ!機能と見た目と共に申し分なし。
【ッシャァ!!】
【くっ…ギシフに負けるなんて屈辱…だけど次は無いわよ!】
「ウチも負けられませんね…」
「アンタもノリ気になってんじゃないわよ。」
続いて行われる第2戦、初回はもちろんギシフ…一回戦のテレビの事もあるので期待…果たしてどんな物に変身するのだろうか…
【第2戦目となると…手は抜けないな!!】
【ア、アレは!!超巨大ロボット!】
「中々の迫力があるわね…それにデザインもカッコいいわ。」
【全長約20メートル!鉄人と同じ大きさだ!】
ギシフが続いて化けたのはなんとも巨大なロボット…とてもカッコいい!
機能も盛りだくさんだ!スプリング式のロケットパンチに目は眩しく発光!なんと一切のバランスを崩さずに2足歩行も可能!ロマンだ…ロマンが此処にある!!
「……鉄人って何ですか?」
「は!?」【えぇ!?】【なんだと!】
超巨大ロボットに向かい、チゥワナは信じられない言葉を発した。
この女…鉄○○8号を知らないのか!スーパーロボット漫画の傑作である鉄人を!
なんと言う事だ…そんな人間がこの世に存在していたなんて…
名前だけでも聞くと思うが普通は…いや、此処は普通じゃ無いのか…
【貴様!横○○輝作品の名作と名高い鉄人を知らないのか!】
「はい…レッ○○ャークなら見たことありますが…」
「レッ○○ャークって…あるでしょもっと!ジャイ○ント○ボとか!」
【そうだよ!バ○ル2世とか○影とか!】
「すみません…よく分かりません…」
今日はやけに伏字が大いなぁ…けど!チゥワナは結構、変な知識ばかりを付けている様だ…
好きな漫画を聞いてみれば…
「ラ○○ングっていう漫画なら好きです。あと教○○に○いッっていう漫画も。」
「ふり幅が凄いわね…まぁ良いわ…話を戻しましょう。」
【そ、そうだな…次はお前の番だ!】
【よぉーし!張り切って行っちゃうぞ!!】
気を取り直して、次に化けるのは当たり前だがマカシギ…彼女が化けたのは…
【フッ…機能差で劣るというのなら…これに化けるのみよ。】
「これは…マッサージチェア!しかも最新型!」
【そうだよ!首から足元まで遺憾なく揉みしだける…最高の椅子さ!】
「機能と言う面では最強ですね。」
マカシギが化けたのは最新型のマッサージチェア…全身の位置にあるモーターが個別に身体を揉み解す…最近、疲れることが多いのでこれは嬉しい。
リモコン式なので操作も楽ちん、タイマー機能も完備で安心。
「あぁ~ぎもちぃ~…最高の玉座であり…永遠に離れられない呪いの玉座ね…」
【おのれぇ…ロボット相手にマッサージチェアとは…ぐぬぬ…】
「ふぅ……さてと…で?チゥワナ、アンタ…まだやるの?」
「やらせてください。自分でも分かんないくらい…燃えているんです。」
チゥワナの血が騒ぐ!元トロイダと言うだけあってそう言う事は好きなのか?
マカシギに続き、チゥワナ…1回戦目の事があるのであまり期待はしないでおこう。
「………どうです?ほっかほかのパオズです。」
「ふぅん…パオズねぇ…具は?」
「海老と小松菜です……あ…ちょっと…」
「あーん…」
彼女は化けたのはホカホカのパオズ…漢字では包子と書く中国の食べ物だ。
肉まんが有名である…とにかく、美味しそうだったので、持ち上げてみた…もちろん食べない!食べるフリだ…食人なんて趣味は無いし、トロイダなら猶更だ。
たまに…たまに?ふざけたくなる時がある…今がその時…
「わーっ!!食べないでください!!死んでしまいます!」
「なーんてね、冗談よ。」
「よ、良かったぁ…生きたまま食べられるなんて嫌でした…」
【なぁ、そろそろ審査を…】
そうだったそうだった…第2回戦は……マカシギの勝ちである…マッサージチェアは強い、特に今の私にとっては最強の椅子である…疲れもある程度は取れた。
さぁ続くは第3戦…この戦いで決まるだろう、真の勝者が…
最初に化けるのはギシフ、当たり前だ。
【最後の力を見せてやる…これが最強の力だ!思い知ったか!!】
「ルービックキューブ!!す、凄い…ちゃんと回せる…遊べる…」
「小さいながらもちゃんと遊べるなんて凄いです…」
【ハーッハッハ!もっと褒めてくれても良いぜ?】
【ヂグショウ…悔しいけど凄い…】
ギシフは化けたルービックキューブは…まぁ玩具としてみれば面白みのない物だ。
しかし!これが生命体であり、変化していると考えれば、凄い事である。
ちゃんとグリグリ回せるし、ピタッと止まる…単純にクオリティが高い…
これに対抗すべく…マカシギは何に化けるというのだろうか…いや、勝てるのだろうか?
【クッソォォ!!見てなよ!!これが…アタシの全力だぁー!!】
「これは…!双眼鏡…?」
【最大倍率30倍!曇りなし!究極の双眼鏡!!】
【ッチ…同じ精密さ勝負かぁ…】
マカシギが化けるのは30倍率の双眼鏡…30倍なので遠くの景色もよく見える!!
クッキリと遠くの竹まで見える…見ているだけで楽しい!
【さぁ!どっちなんだ!】【どっちなの!!】
「えぇっと……まだ、チゥワナの番がまだだわ、それを見てから決めるわ。」
【ならしょうがない…】
「ウチの番だね…じゃあ張り切っちゃう…」
チゥワナは「いよーっし!」と張り切り、ドロン!と煙に包まれ変化した…
煙が晴れるとそこに居たのは………私だ…私がそこに居た…うん…リアル。
「どうでしょうか…?ミサキ、そっくり…ですよね?」
「え、えぇ…かなりね…本当に…」
【ウジウジ加減は違えども…ここまで再現するとは…】
彼女の化けた私は完璧だ…持ち物も服装も見た目も…全部私と瓜二つ。
言われた様にウジウジさは変わらないが…なんか情けないなぁ……こうしてみると…意外と私ってアジアっぽくない外国人の顔ね…なんか変な気分だわ。
「もう良いわ。3回戦目はアンタの勝ちで良いわよ。」
「やったぁ…けど…それだと勝負がつきません…」
【いや…俺達の負けだ。】【完全にアタシ達の完敗だね…】
通りすがりの2人組に負けるようじゃまだまだとギシフとマカシギは反省した。
結局この勝負…勝者はチゥワナだ…いや、何故勝った…何故参加した…いや、考えてはダメだ…私が居るのはケイオプレイス…常識は通じない。
斯くして私達を通せんぼしていた2匹は私達の為に道を開けた…この先は狸と狐の街らしい…
竹林を抜けるには必ず通る事になるが…一筋縄ではいかないだろう…
「狸と狐ねぇ…あんなのがうじゃうじゃ居るのかしら…」
「そんなに数は多くないと思います。それに頭も良くないですし。」
「アンタって意外と辛辣な事を言うのね。」
「そうでしょうか…」
しばらく道を進むと質素な街へと着いた…活気が無い、ベッドタウン…と言うよりベッド村?住宅街?目立った商業施設も無く、普通の小規模な町と言う感じだ。
獣人口密度は非常に少ない…やはりチゥワナが言っていた様に数が少ないのか…
しかし…私達は目立つようだ…バグ人でもない、ただの人間の姿なのだから。
「やっぱり…目立つわね…」
「無理も無いです…早くここは通り抜けましょう…」
さっさとこんな寂れた町を通り抜けようとした…が、そうも上手くはいかない。
【よう、待ってたぜ。お前の到着をな…】
「ッチ…知ってるみたいね、私達の事を。」
「もしかしたら…トロイダの差し金かもしれません…」
私達の元へ姿を現したのは左腕の無い、化け狐であった…獣人に五体満足は少ないのだろうか?
それはともかく…大人しく通らせては暮れない様だ…やるしかない。
町のド真ん中だが…気にする余裕はない!!
つづく
現在自分はトロイダの統率する世界、ケイオプレイスにて奴へ会いにケイオスタワーへ向かっている道中だ…
「捏造シャトル通り」を抜けた先に広がっていたのは竹林であった…こんな街のド真ん中に竹林が位置しているなんて本当によく分からない場所だ。
「此処はショウケイと呼ばれる場所です…狸と狐がいつも争ってます…」
「だとしたら素直に通れそうにも無いわね。」
「ですけど…此処を通らないとさらに遠い場所を通らないとダメです。」
「だったらしょうがないわね。さっさと進みましょう。」
この竹林、雰囲気は良い…暗い竹林と明るすぎない照明、騒音も不思議とない。
あのクソトロイダもこういう場所は作れるのね…意外と直ぐに通れそうかも。
【くたばれ!ギシフ!】
【死ぬのはお前だ!マカシギ!!】
「そう言うワケにも行かなさそうね。」
竹林の道を進んで行くと、なにやらボコスカと喧嘩する者が2人。
片方はロムズタウンで会った化け狸に似ている…もう1人はウーランと似た狐人間だ。
喧嘩に夢中なので2人でそーっと脇を通って行こうとしたが…
【おい!そこの奴!】
「ッチ…なによ?なんか用?」
「ウチ達はただ通りたいだけです…」
【此処はアタシ達の道だ!通りたければ許可が必要だよ!!】
2人は喧嘩を止めると、こちらへ殴りかかって来た…が、直ぐに殴り返す!!
コイツ等は特に強くない…一発殴るとシュン…と大人しくなった。
「私達は忙しいの。じゃあね。」
【あぁ!!待ってよぉ!!通りすがりの人!助けてよぉ!】
「はぁ?助けるってなにを?」
2匹を宥めると…まぁ時間は無いが、話は聞いてやる事に。
この2匹の名はメスタヌキの方がマカシギ、オスキツネの方がギシフと言うらしい。
そして、何を助けてほしいかだが…
【俺達よぉ…異母兄妹なんだけどよぉ…いい加減に上下を決める必要がある…】
【全く持ってその通り!言っておくけど姉弟だからね!】
「アンタ等のお家事情は知らないわよ。上下を決めたわけね?」
「ウチ達が決めれば良いんですか?」
【そう、俺達じゃなにせ互角なんでね。】
要は勝負をするからどちらが上かを決めてほしいという事だ。
この2匹は悔しくも殆ど実力が一緒…なので此処を通りたくば勝負を見届け、どっちが上かを決める必要がある…時間が無いが、面白そうなので引き受けた。
肝心の勝負は…もちろん狸と狐と来たら…カップ麺!では無く、化け勝負。
私が提案した「お互いの指の噛み千切り合い」は却下されてしまった。
「じゃあ早く、化けてみなさい。」
「ウチ達は公平に決めるので安心してください。」
【よっしゃ!俺からだ!】
【ちょっと待ちなさいよ!姉に順番を譲りなさいよ!】
【はぁ!?お前は妹だろ、俺が兄だ!】
また殴り合いを始めた家畜共を黙らせると、先に順番を決める事に。
ここは公平にじゃんけんで決めよう………よし、順番は決まった。
最初にギシフ、次にマカシギ、そして最後はチゥワナ…あれ?チゥワナ?
「アンタ何やってんのよ…」
「すみません…ジャンケンを見ると遊牧民の血が騒いで…B型ですけど。」
【泣いて笑っても俺が最初だ!行くぞ?】
「もう良いわ…早くやりなさい…」
ちゃんと順番決めの通り、トップバッターは化け狐のギシフ!
三本勝負の一本目を決めるのは彼なのかだろうか…さっさと変身しろ。
【ハァァアッ!!どうだ!俺様の完璧なる変化は!!】
「す、すごいです…これは紛うこと無き…完璧な…」
「ブラウン管テレビね。何と言うか…古くない?薄型テレビとかあるでしょ?」
【俺はこの姿が好きなんでね。薄型じゃ出せない重みとワクワク感があるぜ。】
【くっ…我が弟ながら見事な変化…】
ギシフはビデオデッキ付きのブラウン管テレビへと化けた…大きさも見た目もちゃんとブラウン管テレビだ…ただでさえ見た目は完璧なのに、なんと本人の意思で点けたり出来る!
触れば何とも言えないボワボワも味わえ、右上にはビデオ1と表示される…
これは点数が高い!
【ふふふ…どうだ、次はお前の番だぜ?】
【フン、別にコンくらい…何とも無いわよ!ハァッ!!】
ギシフは元の姿に戻ると、今度はマカシギの番だ…彼女が変身したのは…
【これぞ究極の物体!!超高級羽毛布団だ!!】
「ふかふかね。」「ですね。」
【はん!布団だと?笑わせるな!!捲るしか出来ねぇじゃねぇか!】
マカシギが化けたのは奇妙な柄の超高級羽毛布団(自称)である…ふかふかだ。
触ってみた感じはとにかくふかふか…もふもふ…触り心地は最高。
しかし、テレビの後となると…少しギミック感に欠ける。
【無駄なモノは必要無し!究極の機能美!さぁ旅人さん、寝てみて!】
「お邪魔するわ……うん、下が地面だから寝心地最悪!」
「畳ならまだしも、地面がそのままだと痛いのも無理ありませんね。」
【ふ、不覚…周りの事に気を配るのを忘れていた…】
【ハッハァ!まだまだだな…】
と言うワケで次はチゥワナ…本当にやるの?と何度も聞いたが「やる」と言って聞かない…もうこうなりゃ本人の好きなようにやらせよう。
彼女は腐っても道士、術等は使えるので変化くらいお手の物だろう。
マカシギも元に戻ったので…
「えーっと……こう!…で如何でしょう?」
「これは何?クッション?」
「座布団です。来客時に便利だと思います…もてなしながら話が出来るので。」
【……どうしよ、反応に困っちゃうなぁ…】
【流石の俺もこんな変な物に化ける奴は始めて見たぞ…】
私の脳内で行われた極めて正当な…それこそ今の世の中の様に正当な審議の結果…
一回戦目の勝者はギシフ!機能と見た目と共に申し分なし。
【ッシャァ!!】
【くっ…ギシフに負けるなんて屈辱…だけど次は無いわよ!】
「ウチも負けられませんね…」
「アンタもノリ気になってんじゃないわよ。」
続いて行われる第2戦、初回はもちろんギシフ…一回戦のテレビの事もあるので期待…果たしてどんな物に変身するのだろうか…
【第2戦目となると…手は抜けないな!!】
【ア、アレは!!超巨大ロボット!】
「中々の迫力があるわね…それにデザインもカッコいいわ。」
【全長約20メートル!鉄人と同じ大きさだ!】
ギシフが続いて化けたのはなんとも巨大なロボット…とてもカッコいい!
機能も盛りだくさんだ!スプリング式のロケットパンチに目は眩しく発光!なんと一切のバランスを崩さずに2足歩行も可能!ロマンだ…ロマンが此処にある!!
「……鉄人って何ですか?」
「は!?」【えぇ!?】【なんだと!】
超巨大ロボットに向かい、チゥワナは信じられない言葉を発した。
この女…鉄○○8号を知らないのか!スーパーロボット漫画の傑作である鉄人を!
なんと言う事だ…そんな人間がこの世に存在していたなんて…
名前だけでも聞くと思うが普通は…いや、此処は普通じゃ無いのか…
【貴様!横○○輝作品の名作と名高い鉄人を知らないのか!】
「はい…レッ○○ャークなら見たことありますが…」
「レッ○○ャークって…あるでしょもっと!ジャイ○ント○ボとか!」
【そうだよ!バ○ル2世とか○影とか!】
「すみません…よく分かりません…」
今日はやけに伏字が大いなぁ…けど!チゥワナは結構、変な知識ばかりを付けている様だ…
好きな漫画を聞いてみれば…
「ラ○○ングっていう漫画なら好きです。あと教○○に○いッっていう漫画も。」
「ふり幅が凄いわね…まぁ良いわ…話を戻しましょう。」
【そ、そうだな…次はお前の番だ!】
【よぉーし!張り切って行っちゃうぞ!!】
気を取り直して、次に化けるのは当たり前だがマカシギ…彼女が化けたのは…
【フッ…機能差で劣るというのなら…これに化けるのみよ。】
「これは…マッサージチェア!しかも最新型!」
【そうだよ!首から足元まで遺憾なく揉みしだける…最高の椅子さ!】
「機能と言う面では最強ですね。」
マカシギが化けたのは最新型のマッサージチェア…全身の位置にあるモーターが個別に身体を揉み解す…最近、疲れることが多いのでこれは嬉しい。
リモコン式なので操作も楽ちん、タイマー機能も完備で安心。
「あぁ~ぎもちぃ~…最高の玉座であり…永遠に離れられない呪いの玉座ね…」
【おのれぇ…ロボット相手にマッサージチェアとは…ぐぬぬ…】
「ふぅ……さてと…で?チゥワナ、アンタ…まだやるの?」
「やらせてください。自分でも分かんないくらい…燃えているんです。」
チゥワナの血が騒ぐ!元トロイダと言うだけあってそう言う事は好きなのか?
マカシギに続き、チゥワナ…1回戦目の事があるのであまり期待はしないでおこう。
「………どうです?ほっかほかのパオズです。」
「ふぅん…パオズねぇ…具は?」
「海老と小松菜です……あ…ちょっと…」
「あーん…」
彼女は化けたのはホカホカのパオズ…漢字では包子と書く中国の食べ物だ。
肉まんが有名である…とにかく、美味しそうだったので、持ち上げてみた…もちろん食べない!食べるフリだ…食人なんて趣味は無いし、トロイダなら猶更だ。
たまに…たまに?ふざけたくなる時がある…今がその時…
「わーっ!!食べないでください!!死んでしまいます!」
「なーんてね、冗談よ。」
「よ、良かったぁ…生きたまま食べられるなんて嫌でした…」
【なぁ、そろそろ審査を…】
そうだったそうだった…第2回戦は……マカシギの勝ちである…マッサージチェアは強い、特に今の私にとっては最強の椅子である…疲れもある程度は取れた。
さぁ続くは第3戦…この戦いで決まるだろう、真の勝者が…
最初に化けるのはギシフ、当たり前だ。
【最後の力を見せてやる…これが最強の力だ!思い知ったか!!】
「ルービックキューブ!!す、凄い…ちゃんと回せる…遊べる…」
「小さいながらもちゃんと遊べるなんて凄いです…」
【ハーッハッハ!もっと褒めてくれても良いぜ?】
【ヂグショウ…悔しいけど凄い…】
ギシフは化けたルービックキューブは…まぁ玩具としてみれば面白みのない物だ。
しかし!これが生命体であり、変化していると考えれば、凄い事である。
ちゃんとグリグリ回せるし、ピタッと止まる…単純にクオリティが高い…
これに対抗すべく…マカシギは何に化けるというのだろうか…いや、勝てるのだろうか?
【クッソォォ!!見てなよ!!これが…アタシの全力だぁー!!】
「これは…!双眼鏡…?」
【最大倍率30倍!曇りなし!究極の双眼鏡!!】
【ッチ…同じ精密さ勝負かぁ…】
マカシギが化けるのは30倍率の双眼鏡…30倍なので遠くの景色もよく見える!!
クッキリと遠くの竹まで見える…見ているだけで楽しい!
【さぁ!どっちなんだ!】【どっちなの!!】
「えぇっと……まだ、チゥワナの番がまだだわ、それを見てから決めるわ。」
【ならしょうがない…】
「ウチの番だね…じゃあ張り切っちゃう…」
チゥワナは「いよーっし!」と張り切り、ドロン!と煙に包まれ変化した…
煙が晴れるとそこに居たのは………私だ…私がそこに居た…うん…リアル。
「どうでしょうか…?ミサキ、そっくり…ですよね?」
「え、えぇ…かなりね…本当に…」
【ウジウジ加減は違えども…ここまで再現するとは…】
彼女の化けた私は完璧だ…持ち物も服装も見た目も…全部私と瓜二つ。
言われた様にウジウジさは変わらないが…なんか情けないなぁ……こうしてみると…意外と私ってアジアっぽくない外国人の顔ね…なんか変な気分だわ。
「もう良いわ。3回戦目はアンタの勝ちで良いわよ。」
「やったぁ…けど…それだと勝負がつきません…」
【いや…俺達の負けだ。】【完全にアタシ達の完敗だね…】
通りすがりの2人組に負けるようじゃまだまだとギシフとマカシギは反省した。
結局この勝負…勝者はチゥワナだ…いや、何故勝った…何故参加した…いや、考えてはダメだ…私が居るのはケイオプレイス…常識は通じない。
斯くして私達を通せんぼしていた2匹は私達の為に道を開けた…この先は狸と狐の街らしい…
竹林を抜けるには必ず通る事になるが…一筋縄ではいかないだろう…
「狸と狐ねぇ…あんなのがうじゃうじゃ居るのかしら…」
「そんなに数は多くないと思います。それに頭も良くないですし。」
「アンタって意外と辛辣な事を言うのね。」
「そうでしょうか…」
しばらく道を進むと質素な街へと着いた…活気が無い、ベッドタウン…と言うよりベッド村?住宅街?目立った商業施設も無く、普通の小規模な町と言う感じだ。
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しかし…私達は目立つようだ…バグ人でもない、ただの人間の姿なのだから。
「やっぱり…目立つわね…」
「無理も無いです…早くここは通り抜けましょう…」
さっさとこんな寂れた町を通り抜けようとした…が、そうも上手くはいかない。
【よう、待ってたぜ。お前の到着をな…】
「ッチ…知ってるみたいね、私達の事を。」
「もしかしたら…トロイダの差し金かもしれません…」
私達の元へ姿を現したのは左腕の無い、化け狐であった…獣人に五体満足は少ないのだろうか?
それはともかく…大人しく通らせては暮れない様だ…やるしかない。
町のド真ん中だが…気にする余裕はない!!
つづく
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楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
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