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第5章 十三番街は聖杯の手中篇
第31話 子馬の朝駆け、野狐禅(!の在庫処分回)
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私の名はミサキ、馬頭と睨み合う世界最強の女の子だ。
現在、自分は十三番街にて馬頭と向かい合っている…コイツの名はフォッス、非常に力が強く、装甲車すらも殴り飛ばすが…頭が弱い模様。
【ミサキ!!まずは力比べだ!!】
「受けて立つわよ。」
【はーっはっは!そうやって余裕でいられるのも…今の内だぜ。】
フォッスは笑いながら近くに倒れている逃げ遅れた患者を掴むと…
雑巾のように患者の右足をベキベキィ!!と無理やり絞る!いや、捩じる!!
【ギャァアアア!!】という断末魔と共に、肉は裂け、骨は割れ…患者の右足はローストチキンのようにもぎ取れてしまった。
【ヒッヒィ…どうだ!!このダボがァ!!】
「フンッ!」
奴の投げて来た患者を蹴り飛ばすと、その後投げられた右足も躱した。
そして今度は私の番だ…近くに倒れている自転車を持ち上げると、無理やり2つに折り畳む!!誰のか分からない赤い自転車はビキビキと音を立て…鯖折りにされた。
自分も奴と同じ様にそのスクラップを投げつける!!フォッスは受け止めたが…少し後ろに引きずられた…
「どう?満足かしら?」
【まだだ!今度は……オラァ!!】
「まぁ、力持ちだこと。」
【ふふふ…見てろよ!!】
フォッスは近くの乗用車からドアを無理やりもぎ取ると、両手で引き裂いた。
紙のように引き裂かれたドアは…見るも無残な姿へと変わる…
修理代は高くつくだろう。
それを見せつけた奴は私へ先ほどと同じ様に2枚とも投げつけて来たが…躱す。
これくらいはどうってことない…さて!今度はこちらの番だ!!
「アンタがドアなら…私は…本体を行くわよ。」
【な、なにぃッ!?】
私はドアをもぎ取られた車本体を持ち上げると、上空へ投げた!!
そしてそれよりも早く車の弾道へ行くと、飛んで来る車を思いっきり殴ると!!大爆発を起こし、バラバラに砕け散った…どうだ…ちょっとだけ痛いけど…全然平気!
「はぁ…どうよ……はぁ…はぁ…」
【な、中々やるなぁ…じゃ今度は…直接勝負だ!!】
「待った!」
【待った無し!!くらえ!】
拳を冷やしたいのでタンマを持ちかけたが、馬頭は聞かずにこちらへ殴りかかる!!
異議あり!と申したいところだが!!しょうがない!!このままやるか!
咄嗟に奴の拳を反って躱し、右足で下顎を狙い、蹴り上げたがあまり効かなかった様だ!直ぐに右足を掴まれてしまった!
【掴んだ!!さぁ…絞ってやるぁ!!】
「ぬおおお!!そんな事無駄よ!」
右足を掴まれ、強く絞られたが…所詮は子供の悪戯程度!左足を地に着け!!右足を力任せに思いっきり振り上げた!!フォッスは踏ん張り切れずに宙に投げ出される!
凄い体勢になったが…パンツや下を見られても気にせん!
奴は投げられ、近くの建物へ窓からぶち込まれる!
「がッ!どうだ!!」
【ぐぉおおお!!あり得ん!!俺が力で負けるなど!!】
「今がまさにその通りでしょう!!」
【この…クソッタレがァッ!】
奴は建物から両手にレンガを持って出て来た、そしてソレを投げ付ける!!
1個目を躱し!2個目を手に取ると、右手で握りこみ、細かく砕くと相手へ投げ返す!!砕かれたレンガの破片は弾丸のように奴の全身へ当たる!
【ぐぉおお!!おのれ!!】
「分かったかしら?貴方じゃ…私には敵わないって。」
【まだだ!まだ俺には…力があるぞ!!】
フォッスが全身へ力を溜めるように踏ん張ると、奴の筋肉がバキィッ!と筋肉が一回り大きくなった!コイツ、自分の筋肉を自由自在に操れるのか…
明らかに1つの生物として持てる筋肉の量を超越している!
いや…コイツに筋肉があるんじゃない…コイツは筋肉に使われているのだ!!
(何を考えているんだ私は…)
【驚いたか?恐怖したか?】
「少しだけね…でも…受けて立つわよ!!」
【圧倒的力の差を感じるが良い!!】
「ッキャ!?」
私は直ぐに奴へ飛び掛かった!がしかし!奴の圧倒的筋肉により放たれる拳は、重く!素早く!私の脇腹へめり込み、殴り飛ばされた!!
近くに停まっていたトラックの荷台を貫通して、私は向こう側の地面に着地する…
そして奴が来る前にトラックを無理やり持ち上げると!上へ飛び!投げ落としてやった!!どうだ!流石の筋肉野郎もこれに敵わないハズ!
「はぁ…はぁ…」
【ハァァ!!】
「クッソ!やっぱり駄目かッ!!」
だが奴は飛んで私と同じようにトラックの荷台を貫通すると、私の上部へ回り込み!殴り落とす!!
勢いよく地面へねじ伏せられた私は…奴が上から拳を突き立てて来るのを感じ取り、咄嗟に横へ躱しす!フォッスの重い拳は私の顔の横へめり込んだ!!
【ぐぅう…ぬ、抜けん!!】
「隙あり!死ねぇ!!」
フォッスの右腕は地面へめり込み、抜けない様だ!!その隙にありったけ攻撃する!!
殴る!蹴る!また殴る!踵落とし!!だが…
【ははは!!そんな物は…効かん!!】
「な!?ぐっはぁ!?」
私は殴られ、宙を浮いている間に考えた…奴に攻撃が効かない理由を…まさか…
筋肉が防いでいる!?鎧のように硬くなって防いでいると言うのか…あり得ん!
だが…くぅうっそ!!そうとしか思えない!!あの筋肉バカめ!!
しかも…私をアパレルショップなんかにぶち込みやがって!!
「がは…はぁ…はぁ……う…ん?これは…血!?」
気付けば私の全身に血が流れていた…ま、まさか…傷が付いたと言うのか…
私の身体に!!チクショウ!!やっぱり…不老不死なんかにはなって無かったのか!!このクソッタレが!!よりにもよって…アイツに血を流すことになるなんて!!
「ダァアアアア!!」
【ぐはッ!ほ、本気を…出して来やがったな!!】
「絶対にぶっ殺してやるわ!!アンタだけはね!!」
【良いぞ!もっと力を出せ……ごぉッ!?がはッ!!】
私は滅茶苦茶に奴へ攻撃した!!自分でもよく分からない攻撃を行った!!
胸筋を蹴り!腹筋にパンチを喰らわせる!!奴の筋肉にも限界はあるようだ…押しているぞ!勝てる!やっぱり私は最強の女の子だ!!
「デルァアアアアッ!!」
【はっがぁあああ!!】
「はぁ…はぁ…クソが…血がドンドン流れてる…拳も…痛む!」
【こ、これほどまでの力が…あるとは…ぐふ!】
「トドメだ!!くたばりやがれ!!」
トドメと言わんばかりに顔面を蹴り!奴をボロボロのテントへと蹴り飛ばした…これで…勝った…な。
血も…少し、収まって来ている…これは私の本来の機能か?
ともかく…やっぱり私は最強だ。
さて…残る敵はあと1人、ウーランのみ…
【ふははは…ミサキ、流石だな…】
「ッ!!な!生きて…いる!」
【ここまで追い込むとは流石だ…ウーランすらも知らん、俺の本当の強さをお前に見せてやる。正真正銘、最強の形態だ、お前には…戦士として敬意を込めて…殺そう。】
なんとフォッスはまだ生きており、テントから起き上がると…全身へ力を込めた…
すると!!奴の全身の筋肉は再度肥大化する!!それは…皮膚すらも裂け、筋肉が露出してしまうほどに!!血を噴き出しながらビキビキと音を立てる!
【こうなれば…もう…滅茶苦茶にするまでだ!!】
「くっそぉおおお!!もう知らないわよ!!」
ヤケクソ気味に私は奴へ飛び掛かった!!奴の眉間へ肘鉄を入れたが…
ゴッ…と情けない音を立てて、全然効いていない!私はフォッスに左足を掴まれると、ブンブン振り回され!地面へ何度も叩き付けられた!!まるで金槌で釘を打つように!
打ち付けられる度に…ボゴッ…やベゴォ…という嫌な音が響く…そして…
【どうした!さっきまでの威勢は!!そんな物か!!】
「がっふぁ!?ばぁ…ごぉっほ!!がはぁ…」
【死ね!!ミサキ!!】
私は首を掴まれ!何度も殴られた!!ぶつけられる拳の衝撃は凄まじく!一発、一発殴られる度に、目が覚めたり、眠くなったりを繰り返す!
負けて…たまるか…こんな奴に…
【ハハハハハハハハ!!…ぐほぉ!?し、しまった…線維が…】
「カハァッ!はぁ…はぁ……ふふ…限界…みたいね…」
フォッスは急に私を嬲る手を止め、私を話すと右肩を抑えた…どうやら筋線維が切れたらしい…それもそのはず…そんなに筋肉を酷使すれば…当たり前だ…
地面に首から落ちたものの…はぁ…直ぐに立ち上がると、奴を睨む…
そのままプッ…と口内の物を吐き出せば、血と共に折れた歯が地面へ転がった。
「私の勝ちね…ぐぅ…力では…強くとも…体力は劣るみたいね…がは!」
【い、良い気になるなよ…まだ勝負は…ぐぁあ!!おのれ!!】
「勝負はもうついている!!私の勝ちよ!!今度こそくたばれ!!」
【まだだ!!俺は最後まで戦い抜くぞ!!】
私が奴にトドメを刺そうと飛び掛かると!奴は片膝を地面に着き、左腕だけで応戦した!!がしかし!左腕を蹴り飛ばすと、奴の腕はベギィゴッ!!と変な方向へ曲がる!
右腕も動かそうとしたらしいが…血が噴き出し動かない!!トドメだ!
右手に力を溜め!!手刀を奴の首へ放った!!
「ハァアアアッ!!」
【こ、こんな最期…だなんて……】
「………」
【………】
静かな風が流れ、ゴットン…という転がる音が響くと…私の勝利は確定した。
振り返ってみれば…フォッスの首は地面へ転がっている…奴の身体も地面へ倒れ込んだ…はぁ…今度も勝てた…何度も言うが、私は最強なので当たり前。
「ふぅうう……さて、あのクソギツネも殺しに行きましょうかね。」
私はその場を後にして、休む暇もなく奴の居た場所へ戻る事に。
このままウーランも始末してしまおう…今なら力が存分に出せる気がする。
・・・
「出て来い!クソ犬!!」
【犬とは失礼どすよ、アンタも人やないか。】
「うるせぇ!変な訛りしやがって!ぶっ殺してやる!!」
【まぁ怖い。時間がないさかい、早う済ませ。】
「この!!」
先ほどの山の場所まで戻ると、私はウーランと対峙した。
先に仕掛けたのは私だ!奴へ殴りかかったが…奴の身体は木の葉に変わり、バラバラに散った。
辺りから奴の高笑いが聞こえる…
【赤子の手を捻るって言いますやん、今の状況でせ。】
「バカにしやがって!姿を現せ!!」
【横に居るで。】
「ハァァッ!!ッチ…またか…」
今度は横に立つ奴へ回し蹴りを放ったが…奴の右腕は霧のように消えた…
「どうせ…コイツも偽者だろう…本体は何処に…」
【そー思う?】
「ぐっは!な、なぜ…」
【ウチは化かすんよ?幻じゃ無いんよ…】
奴の偽物は私の脛を蹴る…なんと実体があるのだ!!直ぐに蹴り返すと…奴の身体はやはり…消えてしまった…チクショウ…どっかで笑ってんだろうか…ムカつく!!
……そうだ!私には生気探知があるじゃないか…見えるぞ…貴様の位置が!!
【どしたん?もう降参?】
「見える…」
【は…?何が……ま、まさかぁ!】
「そこだな!!捉えた!!」
足元の石ころを木々のほんの間へ投げつける!!そうすると…
【げっへぇ!?】
「私の事を舐めてんじゃないわよ…結局、勝つのは私よ。」
【な、なして…居場所が…】
ウーランの偽物は消え、本物の奴が姿を現した…顔から血を垂らしながら。
奴が逃げようとするや否や、私は直ぐに奴の目の前へカッ飛び、逃げ道を塞いだ。
そうすると彼女は命乞いを始めるのだった…情けない…
【み、見逃してーや…ウチはちょっと力を手に入れたから調子に乗り過ぎたんや…なぁ?ええやろ?】
「アンタ、あの3人の他に仲間居るわけ?」
【い、言ったら…おいたは勘弁?】
「(おいた?)良いわ、許したげる。」
そう言うとウーランは僅かな希望を感じ取ってか、顔が晴れる。
そして情報をベラベラと喋るのであった。
【上にドトキって言う…女が居る…ソイツがまとめ役さかい…】
「まとめ役ね…アンタ、トロイダとはどんな関係?」
【ト、トロイダが…ウチ達をケイオプレイスから連れて来たんや…】
その後も聞いた話を要約すると、トロイダはケイオプレイスと言う別次元の世界を歩き渡っており、そこで気に入った奴が居ればキョンシーにしたり、部下にしたりして亡国へ解き放っているらしい。
そいつ等には『ありったけ暴れろ』と伝えていると…コイツ等4人組もケイオプレイス出身の非人間だ。
そして…コイツ等のまとめ役であるドトキもトロイダの部下であり、種族は化け蛇…くっそう…強いんだろうな…やだなぁ…戦うの…
【ね、ねぇ?もう行って良い?ウチもう…痛うて…】
「ええ。逝って良いわよ。」
【…えっ……なんか…字、間違うとる…で…】
「許すとは言ったわ。しかし…殺さないなんて一言も言ってないけど!!」
【そ、そないな屁理屈!!がぁ!!】
私は直ぐにウーランの下顎を右手で、上顎を左手で後ろから掴んで…
思いっきり!!開いた!!いくら顎の強かろうと…これには敵わない!!顎が徐々に開いて行き、ゴキ!ボキ!と音がすると、ミチミチとも聞こえ始める…
奴の口の周りには血も滲む…
【あ゛ー!!あ゛ーッ!!】
「ぐぅおおお……ハァァアア!!」
【がびょッ!?】
その時、ウーランの顎はメリメリと剥がれ落ちた!!
私が取れた下顎を投げ捨てると、舌を垂らしながらウーランは必死に拾い上げ、戻そうとした…が…付かない、当たり前の事だ…
次第に元気がなくなったウーランは…絶命…死亡。
勝った…遂に私は十三番街を荒らす4人組に勝利した…残るはドトキあと1匹のみ。
化け蛇だか何だか知らないが…イケる!今の私には!
『本日の死亡者』
ヘリア(悪魔) 症状:呼吸困難、犬吠様咳嗽、嘔吐 死因:他殺
フォッス(馬頭) 症状:肺水腫、胸痛、呼吸困難 死因:他殺
ウーラン(化け狐) 症状:免疫不全、脱力感、不妊 死因:他殺
つづく
現在、自分は十三番街にて馬頭と向かい合っている…コイツの名はフォッス、非常に力が強く、装甲車すらも殴り飛ばすが…頭が弱い模様。
【ミサキ!!まずは力比べだ!!】
「受けて立つわよ。」
【はーっはっは!そうやって余裕でいられるのも…今の内だぜ。】
フォッスは笑いながら近くに倒れている逃げ遅れた患者を掴むと…
雑巾のように患者の右足をベキベキィ!!と無理やり絞る!いや、捩じる!!
【ギャァアアア!!】という断末魔と共に、肉は裂け、骨は割れ…患者の右足はローストチキンのようにもぎ取れてしまった。
【ヒッヒィ…どうだ!!このダボがァ!!】
「フンッ!」
奴の投げて来た患者を蹴り飛ばすと、その後投げられた右足も躱した。
そして今度は私の番だ…近くに倒れている自転車を持ち上げると、無理やり2つに折り畳む!!誰のか分からない赤い自転車はビキビキと音を立て…鯖折りにされた。
自分も奴と同じ様にそのスクラップを投げつける!!フォッスは受け止めたが…少し後ろに引きずられた…
「どう?満足かしら?」
【まだだ!今度は……オラァ!!】
「まぁ、力持ちだこと。」
【ふふふ…見てろよ!!】
フォッスは近くの乗用車からドアを無理やりもぎ取ると、両手で引き裂いた。
紙のように引き裂かれたドアは…見るも無残な姿へと変わる…
修理代は高くつくだろう。
それを見せつけた奴は私へ先ほどと同じ様に2枚とも投げつけて来たが…躱す。
これくらいはどうってことない…さて!今度はこちらの番だ!!
「アンタがドアなら…私は…本体を行くわよ。」
【な、なにぃッ!?】
私はドアをもぎ取られた車本体を持ち上げると、上空へ投げた!!
そしてそれよりも早く車の弾道へ行くと、飛んで来る車を思いっきり殴ると!!大爆発を起こし、バラバラに砕け散った…どうだ…ちょっとだけ痛いけど…全然平気!
「はぁ…どうよ……はぁ…はぁ…」
【な、中々やるなぁ…じゃ今度は…直接勝負だ!!】
「待った!」
【待った無し!!くらえ!】
拳を冷やしたいのでタンマを持ちかけたが、馬頭は聞かずにこちらへ殴りかかる!!
異議あり!と申したいところだが!!しょうがない!!このままやるか!
咄嗟に奴の拳を反って躱し、右足で下顎を狙い、蹴り上げたがあまり効かなかった様だ!直ぐに右足を掴まれてしまった!
【掴んだ!!さぁ…絞ってやるぁ!!】
「ぬおおお!!そんな事無駄よ!」
右足を掴まれ、強く絞られたが…所詮は子供の悪戯程度!左足を地に着け!!右足を力任せに思いっきり振り上げた!!フォッスは踏ん張り切れずに宙に投げ出される!
凄い体勢になったが…パンツや下を見られても気にせん!
奴は投げられ、近くの建物へ窓からぶち込まれる!
「がッ!どうだ!!」
【ぐぉおおお!!あり得ん!!俺が力で負けるなど!!】
「今がまさにその通りでしょう!!」
【この…クソッタレがァッ!】
奴は建物から両手にレンガを持って出て来た、そしてソレを投げ付ける!!
1個目を躱し!2個目を手に取ると、右手で握りこみ、細かく砕くと相手へ投げ返す!!砕かれたレンガの破片は弾丸のように奴の全身へ当たる!
【ぐぉおお!!おのれ!!】
「分かったかしら?貴方じゃ…私には敵わないって。」
【まだだ!まだ俺には…力があるぞ!!】
フォッスが全身へ力を溜めるように踏ん張ると、奴の筋肉がバキィッ!と筋肉が一回り大きくなった!コイツ、自分の筋肉を自由自在に操れるのか…
明らかに1つの生物として持てる筋肉の量を超越している!
いや…コイツに筋肉があるんじゃない…コイツは筋肉に使われているのだ!!
(何を考えているんだ私は…)
【驚いたか?恐怖したか?】
「少しだけね…でも…受けて立つわよ!!」
【圧倒的力の差を感じるが良い!!】
「ッキャ!?」
私は直ぐに奴へ飛び掛かった!がしかし!奴の圧倒的筋肉により放たれる拳は、重く!素早く!私の脇腹へめり込み、殴り飛ばされた!!
近くに停まっていたトラックの荷台を貫通して、私は向こう側の地面に着地する…
そして奴が来る前にトラックを無理やり持ち上げると!上へ飛び!投げ落としてやった!!どうだ!流石の筋肉野郎もこれに敵わないハズ!
「はぁ…はぁ…」
【ハァァ!!】
「クッソ!やっぱり駄目かッ!!」
だが奴は飛んで私と同じようにトラックの荷台を貫通すると、私の上部へ回り込み!殴り落とす!!
勢いよく地面へねじ伏せられた私は…奴が上から拳を突き立てて来るのを感じ取り、咄嗟に横へ躱しす!フォッスの重い拳は私の顔の横へめり込んだ!!
【ぐぅう…ぬ、抜けん!!】
「隙あり!死ねぇ!!」
フォッスの右腕は地面へめり込み、抜けない様だ!!その隙にありったけ攻撃する!!
殴る!蹴る!また殴る!踵落とし!!だが…
【ははは!!そんな物は…効かん!!】
「な!?ぐっはぁ!?」
私は殴られ、宙を浮いている間に考えた…奴に攻撃が効かない理由を…まさか…
筋肉が防いでいる!?鎧のように硬くなって防いでいると言うのか…あり得ん!
だが…くぅうっそ!!そうとしか思えない!!あの筋肉バカめ!!
しかも…私をアパレルショップなんかにぶち込みやがって!!
「がは…はぁ…はぁ……う…ん?これは…血!?」
気付けば私の全身に血が流れていた…ま、まさか…傷が付いたと言うのか…
私の身体に!!チクショウ!!やっぱり…不老不死なんかにはなって無かったのか!!このクソッタレが!!よりにもよって…アイツに血を流すことになるなんて!!
「ダァアアアア!!」
【ぐはッ!ほ、本気を…出して来やがったな!!】
「絶対にぶっ殺してやるわ!!アンタだけはね!!」
【良いぞ!もっと力を出せ……ごぉッ!?がはッ!!】
私は滅茶苦茶に奴へ攻撃した!!自分でもよく分からない攻撃を行った!!
胸筋を蹴り!腹筋にパンチを喰らわせる!!奴の筋肉にも限界はあるようだ…押しているぞ!勝てる!やっぱり私は最強の女の子だ!!
「デルァアアアアッ!!」
【はっがぁあああ!!】
「はぁ…はぁ…クソが…血がドンドン流れてる…拳も…痛む!」
【こ、これほどまでの力が…あるとは…ぐふ!】
「トドメだ!!くたばりやがれ!!」
トドメと言わんばかりに顔面を蹴り!奴をボロボロのテントへと蹴り飛ばした…これで…勝った…な。
血も…少し、収まって来ている…これは私の本来の機能か?
ともかく…やっぱり私は最強だ。
さて…残る敵はあと1人、ウーランのみ…
【ふははは…ミサキ、流石だな…】
「ッ!!な!生きて…いる!」
【ここまで追い込むとは流石だ…ウーランすらも知らん、俺の本当の強さをお前に見せてやる。正真正銘、最強の形態だ、お前には…戦士として敬意を込めて…殺そう。】
なんとフォッスはまだ生きており、テントから起き上がると…全身へ力を込めた…
すると!!奴の全身の筋肉は再度肥大化する!!それは…皮膚すらも裂け、筋肉が露出してしまうほどに!!血を噴き出しながらビキビキと音を立てる!
【こうなれば…もう…滅茶苦茶にするまでだ!!】
「くっそぉおおお!!もう知らないわよ!!」
ヤケクソ気味に私は奴へ飛び掛かった!!奴の眉間へ肘鉄を入れたが…
ゴッ…と情けない音を立てて、全然効いていない!私はフォッスに左足を掴まれると、ブンブン振り回され!地面へ何度も叩き付けられた!!まるで金槌で釘を打つように!
打ち付けられる度に…ボゴッ…やベゴォ…という嫌な音が響く…そして…
【どうした!さっきまでの威勢は!!そんな物か!!】
「がっふぁ!?ばぁ…ごぉっほ!!がはぁ…」
【死ね!!ミサキ!!】
私は首を掴まれ!何度も殴られた!!ぶつけられる拳の衝撃は凄まじく!一発、一発殴られる度に、目が覚めたり、眠くなったりを繰り返す!
負けて…たまるか…こんな奴に…
【ハハハハハハハハ!!…ぐほぉ!?し、しまった…線維が…】
「カハァッ!はぁ…はぁ……ふふ…限界…みたいね…」
フォッスは急に私を嬲る手を止め、私を話すと右肩を抑えた…どうやら筋線維が切れたらしい…それもそのはず…そんなに筋肉を酷使すれば…当たり前だ…
地面に首から落ちたものの…はぁ…直ぐに立ち上がると、奴を睨む…
そのままプッ…と口内の物を吐き出せば、血と共に折れた歯が地面へ転がった。
「私の勝ちね…ぐぅ…力では…強くとも…体力は劣るみたいね…がは!」
【い、良い気になるなよ…まだ勝負は…ぐぁあ!!おのれ!!】
「勝負はもうついている!!私の勝ちよ!!今度こそくたばれ!!」
【まだだ!!俺は最後まで戦い抜くぞ!!】
私が奴にトドメを刺そうと飛び掛かると!奴は片膝を地面に着き、左腕だけで応戦した!!がしかし!左腕を蹴り飛ばすと、奴の腕はベギィゴッ!!と変な方向へ曲がる!
右腕も動かそうとしたらしいが…血が噴き出し動かない!!トドメだ!
右手に力を溜め!!手刀を奴の首へ放った!!
「ハァアアアッ!!」
【こ、こんな最期…だなんて……】
「………」
【………】
静かな風が流れ、ゴットン…という転がる音が響くと…私の勝利は確定した。
振り返ってみれば…フォッスの首は地面へ転がっている…奴の身体も地面へ倒れ込んだ…はぁ…今度も勝てた…何度も言うが、私は最強なので当たり前。
「ふぅうう……さて、あのクソギツネも殺しに行きましょうかね。」
私はその場を後にして、休む暇もなく奴の居た場所へ戻る事に。
このままウーランも始末してしまおう…今なら力が存分に出せる気がする。
・・・
「出て来い!クソ犬!!」
【犬とは失礼どすよ、アンタも人やないか。】
「うるせぇ!変な訛りしやがって!ぶっ殺してやる!!」
【まぁ怖い。時間がないさかい、早う済ませ。】
「この!!」
先ほどの山の場所まで戻ると、私はウーランと対峙した。
先に仕掛けたのは私だ!奴へ殴りかかったが…奴の身体は木の葉に変わり、バラバラに散った。
辺りから奴の高笑いが聞こえる…
【赤子の手を捻るって言いますやん、今の状況でせ。】
「バカにしやがって!姿を現せ!!」
【横に居るで。】
「ハァァッ!!ッチ…またか…」
今度は横に立つ奴へ回し蹴りを放ったが…奴の右腕は霧のように消えた…
「どうせ…コイツも偽者だろう…本体は何処に…」
【そー思う?】
「ぐっは!な、なぜ…」
【ウチは化かすんよ?幻じゃ無いんよ…】
奴の偽物は私の脛を蹴る…なんと実体があるのだ!!直ぐに蹴り返すと…奴の身体はやはり…消えてしまった…チクショウ…どっかで笑ってんだろうか…ムカつく!!
……そうだ!私には生気探知があるじゃないか…見えるぞ…貴様の位置が!!
【どしたん?もう降参?】
「見える…」
【は…?何が……ま、まさかぁ!】
「そこだな!!捉えた!!」
足元の石ころを木々のほんの間へ投げつける!!そうすると…
【げっへぇ!?】
「私の事を舐めてんじゃないわよ…結局、勝つのは私よ。」
【な、なして…居場所が…】
ウーランの偽物は消え、本物の奴が姿を現した…顔から血を垂らしながら。
奴が逃げようとするや否や、私は直ぐに奴の目の前へカッ飛び、逃げ道を塞いだ。
そうすると彼女は命乞いを始めるのだった…情けない…
【み、見逃してーや…ウチはちょっと力を手に入れたから調子に乗り過ぎたんや…なぁ?ええやろ?】
「アンタ、あの3人の他に仲間居るわけ?」
【い、言ったら…おいたは勘弁?】
「(おいた?)良いわ、許したげる。」
そう言うとウーランは僅かな希望を感じ取ってか、顔が晴れる。
そして情報をベラベラと喋るのであった。
【上にドトキって言う…女が居る…ソイツがまとめ役さかい…】
「まとめ役ね…アンタ、トロイダとはどんな関係?」
【ト、トロイダが…ウチ達をケイオプレイスから連れて来たんや…】
その後も聞いた話を要約すると、トロイダはケイオプレイスと言う別次元の世界を歩き渡っており、そこで気に入った奴が居ればキョンシーにしたり、部下にしたりして亡国へ解き放っているらしい。
そいつ等には『ありったけ暴れろ』と伝えていると…コイツ等4人組もケイオプレイス出身の非人間だ。
そして…コイツ等のまとめ役であるドトキもトロイダの部下であり、種族は化け蛇…くっそう…強いんだろうな…やだなぁ…戦うの…
【ね、ねぇ?もう行って良い?ウチもう…痛うて…】
「ええ。逝って良いわよ。」
【…えっ……なんか…字、間違うとる…で…】
「許すとは言ったわ。しかし…殺さないなんて一言も言ってないけど!!」
【そ、そないな屁理屈!!がぁ!!】
私は直ぐにウーランの下顎を右手で、上顎を左手で後ろから掴んで…
思いっきり!!開いた!!いくら顎の強かろうと…これには敵わない!!顎が徐々に開いて行き、ゴキ!ボキ!と音がすると、ミチミチとも聞こえ始める…
奴の口の周りには血も滲む…
【あ゛ー!!あ゛ーッ!!】
「ぐぅおおお……ハァァアア!!」
【がびょッ!?】
その時、ウーランの顎はメリメリと剥がれ落ちた!!
私が取れた下顎を投げ捨てると、舌を垂らしながらウーランは必死に拾い上げ、戻そうとした…が…付かない、当たり前の事だ…
次第に元気がなくなったウーランは…絶命…死亡。
勝った…遂に私は十三番街を荒らす4人組に勝利した…残るはドトキあと1匹のみ。
化け蛇だか何だか知らないが…イケる!今の私には!
『本日の死亡者』
ヘリア(悪魔) 症状:呼吸困難、犬吠様咳嗽、嘔吐 死因:他殺
フォッス(馬頭) 症状:肺水腫、胸痛、呼吸困難 死因:他殺
ウーラン(化け狐) 症状:免疫不全、脱力感、不妊 死因:他殺
つづく
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