【R18作品】善悪虐殺伝「ミサキ」

蛾脳シンコ

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第4章 ブレドキャニオンを漂う十字架篇

第25話 風流韻事

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絶望感が凄いのでトロイダ・リッスンのプロフィールでも書くことにする。
名前:トロイダ・リッスン、身長:209㎝、体重:不明(恐らく自由自在)
経験:長生きなので豊富、誕生日:2月28日、種族:元人間の妖怪
本人からのコメント『その鉛筆あげるから、もう目は勘弁して。』

私の名はミサキ、絶賛絶望の真っ只中に居る強い女の子。
自分の目の前で親友であるリンヤが扼殺され、キョンシーにされている…

「さぁ…蘇って…ワタシの可愛い…奴隷…」
「…ぅん…」
「あぁ!おはよう、リンヤちゃん?」
「………」

リンヤはえらく血色の悪い肌でキョンシーとして復活させられた。
彼女は私を見るが…覚えているのだろうか…もう感情はあるのだろうか…
私はどうすれば良いのだろうか…

「リンヤ、ミサキを始末しなさい。貴方の自慢の鉈で斬り殺すのよ。」
「………こうやって?」
「そうそう!ワタシの頭にね……って!何やってるの?」
「親友を殺すなんて私には無理だよ。」
「リンヤ…!」

彼女は手に持った鉈をブスリ!とトロイダの脳天に食い込ませる!チサキはその様を見て空気が抜けるように笑い始めた。
しかし、トロイダは無事な様だ…鉈を引っこ抜くと傷を再生させた。
コイツも一筋縄では行かない様だ…それにしても!嬉しい!!

「身体硬いし、冷たい…私って今…凄くゾンビ!」
「どうやら…自尊心が大きいらしいわね…ワタシの術が効かないなんて…」
「伊達に貴族やってないし!末柄としてプライドはあるよ!」
「まぁ良いわ…ザスタリアン、この小娘をバラバラにしといて。」
【………】

「なぁミサキ、自分達って…」
「ええ、完全に蚊帳の外ね。」

しかし、命令されたザスタリアンはリンヤに危害を加えることは無かった。
ただボーっと…そこに立っている。

「えーっと……あぁ…そう言えば同族は襲え無いのよね…」
「おいトロイダ。もうズラからねぇか?」
「それもそうね。じゃぁねぇ?ミサキ、リンヤ。」
「おい待て!!逃がさねぇぞ!!」
「それと最後に…ザスタリアン。ミサキを殺して。」
【はい。】

トロイダはチサキを連れ、外へ行ってしまった…この部屋に取り残されたのは私、リンヤ、ザスタリアンの3人だ。
床で手錠を付けられ、手が不自由な私へキョンシーは近付いて来ている!
まずい…リンヤに頼もうにも…

「ごめん、なんかこの人を殺せないや。」
「やっぱりね…リンヤ!私の手錠を斬って早く!!」
【………】

奴がゆっくりこちらへ寄って来るのに対して、リンヤは機敏に動き、私の手錠を鉈で破壊した。
自由になったので、白鞘を構えたが……このキョンシー、満月でないと動きがかなり鈍いようだ!今はコイツよりトロイダ達を追跡だ!
外へ出たが…周囲には奴等の生気を微塵も感じ取れない…逃がしたか…
だとしたら!!遠慮なくキョンシーを殺っちまおう!
(もちろん、ザスタリアンの方を…)

「やっほぉー!!ミサキちゃぁん!!こっち見て!!」
「ト、トロイダ!何しに戻って来た!」
「伝言を残しに来たのよ!上を見て見なさい!」

トロイダは後ろの岩山の頂上から私を見下ろしており、彼女の指さす上を見てみると…

「…な……なぜ!?月が…丸く…」
「せっかくならマジでやり合うべきでしょ?…それじゃ、また会いましょうね。」
「チクショウ!やるしかない!」
【満ちる…満月の力が…この俺に…!】

なんと夜空を明るく照らす月は尋常でない速さで満月へと変わった…
辺りの雲も全てが吹き飛び、月光は容赦なく荒野へ降り注ぐ!!
それとリンクするようにキョンシーは唸りを上げて凶暴化して行く。

【うぐぁああ!!感じるぞ…最強のパワー!!月光の力!!】
「最強は私に返してもらうわよ。死にぞこない。」
「えっ…」
「貴方の事じゃ無いから安心して。」

夜風か吹き荒れる荒野に…私達は居る…
今回は武器無しで行かせてもらおう、却って邪魔になる。

【うぁあああ!!死ねや!!ミサキィィ!!】
「来い!腐れキョンシー!!」

私とザスタリアンはお互いに飛び掛かり!!肩がぶつかり合うと睨み合った!
先に奴の顔面へ拳をぶち込もうとしたが、ザスタリアンは無理やり身体をバキバキ鳴らして変形させると強引に躱し、私を掴むと岩山へ思いっきり投げつけた!
豪速球が如く飛んで行く私の身体はドガァァァン!!と岩山にめり込み…貫通して向こう側へとも飛ばされる!

「面白いじゃない…マジもマジのぶつかり合いね。」
【……ィィ!!】

なんかキョンシーがこっちに飛んできながら叫んでいるが…気にしない!!
奴を迎撃するために右手をこれでもか!!と握りこむと!後ろへ引き絞り…

【くたばれぇ!!】
「うらぁああああああ!!」
【はっぐさぁ!?】

奴が私の至近距離へ近付いた瞬間に弓のように放った!!拳はバズゴォ!!と相手の顔面に埋まりこみ、それでは飽き足らずに私と同じように岩山へぶっ飛ばす!!
だが、勢いが足りなかったのか、表面に埋まるだけで済んだので追撃で足を前面に押し出して最高速度で奴へ突っ込んだ!!

「ハァアアア!!」
【ぐぉおおおおお!!ま、まだだ!!】
「足を掴んで……ぎゃかぁぁあ!」

奴を蹴り込みながら反対側へ押し出すと岩山は耐え切れずに崩壊した。
そして奴は狼狽えずに私の足を掴むと地面へ投げ落とす!ドガァ!!と地面へ倒れ込む私へザスタリアンは膝を落とす!そして背中を掴むとそのまま飛び、違う岩山の側面へ削る様に押し付けながら飛んだ!!
ズガガガガガ!!とチーズのように…削りやがって…

「この!!クソッタレがぁあ!!」
【うげっぇえ…】

素早く振り解き、奴へ振り返ると相手の胃の位置へ素早いアッパーをぶち込む!!
ザスタリアンは口からベトベトと唾液を垂らして腹部を抑えて唸る…
その隙に無防備な奴の後頭部へ肘うちを落とす!

【がッあぁあ!!】
「くたばれ!!ザスタリアン!!」
【この野郎!死んで消えてしまえ!!】
「死んで消えるのはお前だ!私の脳内からも消し去ってやる!!」

ザスタリアンの蹴りと突きを躱すと腕を掴むと、自分ごと振り回して地面へ叩き付ける!!良いぞ!身長のおかげで戦いやすくなっている!!
地面にめり込み、背を上に悶える奴へ脳天から落ちる!!
まるで爆撃機から射出される爆弾のように真っ逆さまに落ちて行った!!

「ぐぁぁっがふぁ!!」
【がぁッ…】

この技は私が今さっき思いついた技だが…自分にも負担がかかる!!
だがそれ以上にザスタリアンのへもダメージは行ったようだ…
しばらくお互いに起き上がれず、地面に倒れ込んで悶える。

「ぐはぁ…はぁ…うぅう…この!!」

先に起き上がったのは私の方だった…頭がグラグラしても無理やり立ち上がった。
そして奴の頭の方へ行くと、右拳を握り上へ上げ、左手でそれを包み込むように握ると…奴の後頭部へ再度!込めれる力全てを込めて!!思いっきり振り下ろした!!
バッギャゴンッ!!という鈍い音が響き、ザスタリアンは沈黙…

「ミサキ!今来たけど…」
「リンヤ…丁度良かった、鉈貸して…」
「良いけど…」

鉈を左手に刃を肘へ向けるように逆手で持ち、右手に白鞘を普通に持つと…
腕をクロスさせて挟み込むようにぶった斬った!!

【ぎゃふぁッッ!?】
「やった!けど…はぁ…折れたか…」

ハサミのようにズバン!!とザスタリアンの首を切断した。
しかし、白鞘は役目を終えたように刃が折れてしまった。
そして首はボトッ…と落ちて…転がった…身体や首からは血が出ずに乾いている。
ザスタリアンの首はこちらへ顔を向け…睨むようにこちらを凝視する…

【お、おのれ…俺を殺したな…貴様はもう…トロイダに目を付けられたな…】
「黙りな。アイツが来たところで返り討ちにするし、こっちからも出向くわよ。」
【俺は暗示を持つ者だ…そして…キョンシーハンターでもある…】
「な、なによ…」
【俺を殺したのなら次のキョンシーはお前だ…精々…殺される側に回るのを楽しみにしていると良い…トロイダは不老不死…絶対に……逃れ………られん…】

そう言い残してザスタリアンは完全に沈黙した。
リンヤは終始、恐れをなして私の後ろで黙って聞いていた…次のキョンシー…トロイダは不老不死…気になる事が多いが…私は首を破壊する事に。
『ダリャァァァア!!』と言って首をに踏み潰す…首は色々撒き散らしてバラバラになった…
これで紙を見れば…

「色が付いてるわね。このエリアもクリアね。」
「本当だったんだ…」
「ウソだと思ってんかい…」
「だって突拍子も無かったし。」

それもそうね…
紙に描かれた六芒星の一角、十字架の部分は緑色に塗り潰される…
これでザスタリアン・ムナポトス死亡、残りは人形と聖杯の2つだ。
夜空の満月はいつの間にか綺麗な三日月へと変わっていた。
お月様のウサギさんも可哀想だ。

「さてと…もう行きましょうか。」
「そうだね…うん?」

もう行こうかと思ったその時、私達を大量の幽霊が囲んでいたのに気が付いた。
まさか…お礼参り?ぶっ殺されるの…?私達…

【ミサキ、ワタシは部族の霊だ…聖域の開放を感謝する。】
「ほっ…そう言う事ね。存分に親友と私に感謝すると良いわ。」
「そうだよ!私も頑張ったからね!0.1割ぐらい…」
【ワタシ達は安心して成仏することが出来る。この聖域はお前に譲ろう。】
「まぁ鼻っからそのつもりよ。」

そう言うと幽霊達は一気にバッシュゥウン!!と霧のように分散して空へと散って行った。
幽霊達の集団成仏行為を見届けた私は冷たくなったリンヤを抱えて上へ飛び上がると…荒野はえらく狭くなっており、他の町などもよく見えるようになっていた。
まだ起きているかは分からないが、一旦部族の集落へと向かった。
・・・

「邪魔するわよ。」
「私も居るけどね。」
「帰って来たか…その様子を見るに…」
「ちゃんと倒して来たわ。」

集落まで行くと、族長ボシメウの所まで行き、キョンシー云々の事を報告した。

「約束通り…油田と聖域は譲ろう。権利書を持って行け。」
「これこれ♪私も億万長者ね。」
「私ミサキの愛人にならなっても良いよ。贅沢させてくれるならね。」
「油などわし達の生活には不要だ。」

私は手に入れた…土地と油田の権利書を!コレがあれば莫大な富を得たも同然!
どんなに分厚い札束よりも!この数枚の紙は価値がある!
この紙は…仕事が終わるまでリンヤに預けておこう。

「命より大事にしておくね。」
「そうして欲しいわ。」
「それで…今後はどうするつもりだ?」
「私はリンヤを送り届けて…次の所へ向かうわ。」
「休まる暇も無いという事か…」

私達は部族の集落を後にして、一旦荒野の街へ戻ることに。
町は相変わらず…ガランとしていて、活気もクソも無い寂しい街…

「んじゃ、休んだら貴方を家まで送り届けるわ。」
「ありがとうね。けど…パパとママ…驚くよね…」

そりゃ久しぶりに帰って来た娘が青白いキョンシーになっていたら誰だって驚くだろう。
これからの彼女を考えると可哀想な気持ちになるが…私が居る。
今日は色々遭ったので…もう宿に戻って寝よう、そして次の戦いに備える…
私には敵が出来た、暗示を持つ者と…そしてトロイダ・リッスンだ。
それにしても…遂に折れてしまったか、白鞘…コイツはよく働いてくれた、せめて教会まで持って帰ってやろう。

つづく
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